MVP ARCHIVE CIVILIZATION | GOVERNMENT : Separation of Powers / 三権分立 - 権力を分け互いに監視し合うことで自由を守る仕組み

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三権分立
権力を分け互いに監視し合うことで自由を守る仕組み
国家には強い権力が必要である。
しかし、すべての権力を一人の統治者、あるいは一つの機関が握ったらどうなるのか。
法律を作る者が、その法律を自由に執行し、自らの行為が正しかったかどうかまで自分で裁く、そこには権力を止める仕組みが存在しない。
この問題に対して発達したのが、Separation of Powers|権力分立 である。
国家権力を、Legislative|立法・Executive|行政・執行・Judicial|司法 という異なる機能に分け、それぞれを異なる機関へ配置し、権力の集中を防ぎ、権力によって権力を抑える、それが三権分立の核心である。
権力を制限するという発想
権力を制限する考え方そのものは、三権分立よりはるかに古い。
古代ギリシアやローマでも、複数の機関や役職へ政治機能を分ける制度が存在した。
中世イングランドでは、1215年の Magna Carta|マグナ・カルタ が王権に一定の制約を課す歴史的な文書となり、17世紀になると、国王と議会の対立を通じて、この問題はさらに大きくなる。
1628年の Petition of Right|権利の請願。
イングランド内戦。
1688年のGlorious Revolution|名誉革命。
1689年のBill of Rights|権利章典。
この長い政治対立を通じて、
統治者であっても無制限に権力を行使できない
という原理が制度として発達していった。
John Locke――権力を分ける
17世紀の思想家 John Locke|ジョン・ロック も、政治権力を複数の機能へ分けて考えた。
1689年に刊行された『 統治二論 』では、立法権と執行権などを区別しており、政府の権力が人民から委託されたものであるという考えだった。
政府は人間の生命・自由・財産を保護するために存在する。
したがって統治者が無制限の権力を持つことはできない。
ただし、現在一般に知られる「 立法・行政・司法 」という三権分立を体系的に示した人物として、より大きな影響を残したのが モンテスキュー だった。
Montesquieuと『法の精神』
1748年、フランスの思想家 Montesquieu|モンテスキュー は、The Spirit of the Laws|『 法の精神 』 を刊行した。
モンテスキュー はイングランドの政治制度などを観察しながら、政治的自由を維持するためには権力の集中を防ぐ必要があると考えた。
立法する権力・執行する権力・裁判する権力、これらが同じ主体へ集中すれば、自由は危険にさらされる。
そこで異なる権力を分離し、それぞれが独立性を持つ構造を考えた。
ここで重要なのは、「 権力を弱くする 」ことではない。
国家が必要な仕事を行うための権力は残す。
そのうえで、一つの権力が国家全体を支配できない構造を作る。
この発想が近代的な権力分立へつながった。
三つの権力
Legislative|立法
立法は、社会で適用される法律を制定する機能である。
現代の民主国家では、主として議会が担う。
国民によって選ばれた代表者が法律を審議し、国家の基本的なルールを決定、さらに予算の承認や政府への監督などを通じて、行政権を制御する役割を持つ場合も多い。
Executive|行政・執行
行政は、制定された法律を実際の国家運営へ移す。
活動の多くが行政によって実行される。
そのため現代では、行政権が極めて大きな実務能力を持つ。
だからこそ、議会や司法による統制が重要になる。
Judicial|司法
司法は、法律に基づいて争いを判断する。
行政の行為が法律に適合しているかを判断する。
さらに国家によっては、法律そのものが憲法に違反していないかを審査。
司法が立法や行政から独立していることは、Rule of Law|法の支配 を成立させる重要な条件となる。
政府自身が自分の行為を最終判断するのではなく、独立した裁判所が法によって判断するからである。
アメリカ合衆国憲法
三権分立を明確な国家制度として構築した代表例が、Constitution of the United States|アメリカ合衆国憲法 である。
1787年に制定された憲法では、Congress|連邦議会・President|大統領・Supreme Court を頂点とする Federal Judiciary|連邦司法 へ国家権力が配置された。
大統領は議会が成立させた法案へ拒否権を行使できる。
議会は大統領を弾劾する制度を持つ。
上院は重要な政府高官や連邦裁判官などの人事に関与する。
裁判所は司法審査を通じて、法律や行政行為の憲法適合性を判断する。
この構造が、Checks and Balances|抑制と均衡 である。
分離するだけでは足りない
重要なのは、分けることと、互いに制御すること である。
さらに、それぞれの機関内部にも複数の制御装置が置かれる。
三権分立 とは、単純な三分割ではなく、国家権力を相互作用する複数の機関へ分散させる設計思想なのである。
国によって形は違う
三権分立 は世界中で同じ制度として採用されているわけではない。
アメリカの大統領制では、立法府と行政府が比較的明確に分離している。
一方、イギリスや日本などの議院内閣制では、議会の多数派を基盤として内閣が成立するため、立法と行政は強く接続している。
つまり 三権分立 の具体的な形は、国家によって異なる。
重要なのは形式的に三つの機関が存在することではなく、権力を一か所へ集中させない制度が実際に機能していることである。
Rule of Lawとの接続
三権分立 は、Rule of Law|法の支配 と深く結びついている。
法の支配が、「 国家権力も法に拘束される 」という原則なら、三権分立は、「 その原則を誰が、どうやって守るのか 」という制度上の答えの一つである。
政府が法を破れば、司法が判断する。
行政が権力を拡大すれば、議会が監督する。
議会が憲法上許されない法律を作れば、司法審査を持つ制度では裁判所がそれを審査する。
Rule of Law × Separation of Powers × Constitutionalism
この三つが接続することで、近代立憲国家の重要な骨格が形成される。
「良い統治者」に国家を預けない
権力分立 の発想には、人間に対する極めて現実的な認識がある。
制度は、「 権力を持つ人間は常に正しく行動する 」という前提だけでは作れない。
誰が権力を握っても、その権力を制御できる仕組みを先に作る。
だから重要なのは、誰が支配するかだけではなく、支配する者に何ができ、何ができないのかを制度として決めること。
人類は長い政治史の中で、権力者を選ぶ方法だけではなく、権力そのものをどう配置すれば、自由を失わずに国家を動かせるのか という問題を考えるようになった。
三権分立とは、そのために生み出された、近代国家を支える重要な制度設計なのである。
Archive Data
名称 : Separation of Powers|権力分立・三権分立
主要機能 : Legislative|立法、Executive|行政・執行、Judicial|司法
思想的形成 : John Locke|ジョン・ロック、Montesquieu|モンテスキュー
重要著作 : Two Treatises of Government|『統治二論』、The Spirit of the Laws|『法の精神』
代表的制度化 : Constitution of the United States|1787年
重要概念 : Checks and Balances|抑制と均衡、Judicial Independence|司法の独立、Constitutionalism|立憲主義、Rule of Law|法の支配
目的 : 国家権力の集中と濫用を制度的に抑制する
歴史的接続 : Magna Carta → English Constitutional Development → Locke → Montesquieu → Separation of Powers → Constitutionalism → Modern Democratic Government

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