【観光】五感で感じる「良好な環境」を観光で守り保全と地域活性化に繋げる。ー良好な環境を活用した観光モデル事業とは

豊かな水辺、満天の星空、里山に響くカエルの鳴き声。
日本各地には、地域の人々が長い時間をかけて守り、育て、受け継いできた、五感で感じる自然や文化があります。
こうした地域固有の自然や文化は、そこに暮らす人々の営みとともに育まれてきた「良好な環境」であり、地域の魅力を形づくる大切な資産です。

一方で、過疎化や高齢化、資金不足、担い手不足などを背景に、これまで地域で続けられてきた環境の保全や維持管理が難しくなっている地域もあります。
また、観光によって地域の自然や文化に新たな人の流れが生まれる一方、十分な受入体制やルールが整わないまま来訪者が集中すれば、環境への負荷が高まり、地域が大切にしてきた資源そのものを損なう可能性もあります。

だからこそ、環境を「観光資源」として一方的に消費するのではなく、観光によって生まれた価値を、環境を守り、育てる力へとつなげていく。
環境省環境創造室では、地域がすでに取り組んでいる保全活動や地域づくりを土台に、関係者とともに課題を整理し、地域の自然や文化を活かしながら、持続可能な仕組みづくりを進めています。
その取組の一つが、「良好な環境を活用した観光モデル事業」です。

本事業が目指しているのは、観光による一時的な誘客ではありません。
地域で大切にされてきた「良好な環境」を観光の価値として活かし、そこから生まれた収益や人とのつながりなどを、環境の保全・再生や地域の担い手づくりへとつなげる。そして、より良くなった環境が、次の観光の価値を生み出し、環境の保全とともに地域を元気にしていく。

「活用することで守られ、守ることでさらに価値が高まる」。
こうした保全と活用の好循環を、地域の中に持続可能な仕組みとして根づかせていくことが、本事業の目指すリジェネラティブ(再生型)な観光地域づくりです。
◆創造室全体の事業はこちら
01 「観光モデル事業」が目指す仕組み
観光から生まれた価値を、地域の環境へ。保全と活用の好循環をつくる

本モデル事業では、名水百選、音風景百選、かおり風景百選、自然共生サイト、ラムサール条約登録湿地など、地域固有の自然や文化が魅力の根幹となっている地域を対象に、環境の保全と観光による地域づくりを一体的に進めています。
目指しているのは、「観光客を増やすこと」だけではありません。
地域の自然や文化が、なぜ今まで守られてきたのか。
誰が、どのような営みを通じて、その環境を支えてきたのか。
そして、これからも守り続けるためには、どのような仕組みが必要なのか。

地域の環境を取り巻く背景や課題を丁寧に捉えた上で、観光を一つの手段として、保全と地域経済をつなぐ仕組みを考えていきます。
具体的には、地域の環境資源の調査・分析、環境への影響を踏まえた受入環境の整備、体験プログラムの磨き上げ、地域固有の自然や文化を伝えるコンテンツの設計など、地域の状況に応じた取組を進めます。
令和8年度は新たに10団体を選定し、令和7年度から継続する10団体と合わせ、全国20地域で取組を進めています。

各地域では、事務局、環境省の担当者(本省・地方環境局)、外部有識者、地域支援の専門家などが連携し、それぞれの地域に適した仕組みづくりを伴走しています。
地域の自然、文化、産業、担い手などを踏まえ、地域の皆さんとともに試行錯誤しながら、事業終了後も続いていく仕組みをつくっていくことを重視しています。
観光モデル事業の取組がインタビューで紹介されました

03 令和7年度 継続10地域
令和7年度に選定された以下10団体は2年目になる今年度、事業の自走化・成果創出に向け、環境省・有識者・専門家とともに定期的な定例会を重ねています。


01|一般財団法人史春森林財団(北海道大樹町・広尾町)

自然共生サイト「生花の森」などを舞台に、森林作業体験等のプログラムを磨き上げています。森林と生物多様性、地域の暮らしとのつながりを伝えながら、自然共生サイトを活かした観光地域づくりを目指します。
02|NPO法人おおつちのあそび(岩手県大槌町)

「海と共生するまち・大槌」をテーマに、藻場再生を軸とした環境再生型観光に取り組んでいます。地域の自然環境を活かした体験プログラムを通じて、環境の再生と観光を結び付ける仕組みづくりを進めます。
03|阪南市(大阪府阪南市)

自然共生サイト「阪南セブンの海の森」を中心に、森・里・川・海のつながりを体験できるコンテンツを造成しています。豊かな海の環境を観光の価値として活かし、自然環境の保全と地域の活性化につなげます。
04|一般社団法人豊岡観光イノベーション(兵庫県豊岡市)

コウノトリの野生復帰によって再生・創出されてきた環境を舞台に、リジェネラティブな旅を構築しています。自然と農業、暮らしをつなぐ地域の物語を伝えながら、環境保全と地域経済の好循環を目指します。
05|一般社団法人北房観光協会(岡山県真庭市・備前市・笠岡市)

真庭市・備前市・笠岡市の里山・里海を舞台に、自然保全を学び、体験できるコミュニティづくりに取り組んでいます。オンラインと現地での学びを組み合わせ、地域との継続的な接点や再訪につなげます。
06|株式会社ヒネル(WATER LOOP PROJECT)(愛媛県西条市)
名水百選の「うちぬき」をはじめとする豊かな水資源を活かし、「水の都西条」の循環型観光モデルを構築しています。水の価値を高める観光コンテンツを通じて、水資源の保全にもつながる仕組みづくりを目指します。

07|株式会社山都竹琉(熊本県山都町)

自然共生サイト「Present Tree in くまもと山都」を中心に、有機農業を軸としたアグロエコツーリズムに取り組んでいます。農業や地域の暮らしを体験する機会をつくり、地域との継続的な関わりを生み出します。
08|山川町漁業協同組合(鹿児島県指宿市)

指宿の豊かな海を舞台に、藻場に関する学びや地域の食、環境保全につながる体験を組み合わせた観光モデルを構築しています。海の環境と地域の産業・文化を活かしながら、その持続可能性を高めることを目指します。
09|一般社団法人E'more秋名(鹿児島県龍郷町)
自然共生サイト「奄美大島真米の里 秋名・幾里・大勝」を舞台に、「100年後も続く観光と自治」をテーマとした取組を進めています。地域住民と来訪者がともに地域の未来を考える、リジェネラティブツーリズムの創出を目指します。

10|一般社団法人大宜味村観光協会(沖縄県大宜味村)
やんばるの水に親しみ、その源に思いをはせる「飲水思源」をテーマに、平南川・ター滝を中心とした観光地域づくりに取り組んでいます。自然を体験しながら地域の価値を知るプログラムを通じ、環境と暮らしを守る持続可能な観光を目指します。
04 令和8年度 新規選定10地域
また、令和8年から事業を開始する、以下10団体が新たに選定されました
📋 令和8年度 新規選定10団体

01|株式会社太極舎(岩手県八幡平市)

日本名水百選「金沢清水湧水群」を中心に、水と地熱が育んできた地域の自然や暮らしを体感する「ウォーター・エクスペリエンス」を構築します。
湧水を活かした地域の営みを観光につなげ、水環境の保全と地域の魅力向上を目指します。
02|塩釜市漁業協同組合 須賀漁組(宮城県塩竈市)

松島湾の島々に残る特徴的な松の景観を「松島湾盆栽」として捉え、景観保全と観光を組み合わせた取組を進めます。
気候変動等による松の立ち枯れへの適応を図りながら、地域ならではの景観を活かした観光モデルの構築を目指します。
03|檜原村エコツーリズム推進協議会(東京都檜原村)

豊かな森林や渓流、地域に受け継がれてきた暮らしや文化を活かし、檜原村ならではのエコツーリズムを展開します。
自然体験や地域との交流を通じて、環境の保全と地域の魅力を伝える持続可能な観光地域づくりを目指します。

04|一般社団法人富山県西部観光社 水と匠(富山県砺波市)

砺波平野の散居村を舞台に、水循環、屋敷林、水田が支える地域の暮らしを観光資源として捉え直します。水がつくる暮らしを体感するコンテンツや、地域内外の人が関わる仕組みを構築し、散居村の保全と観光をつなげます。
05|株式会社MIYAMOTO(長野県小海町)

松原湖をはじめとする小海町の自然や、地域に受け継がれてきた暮らしを活かした保養地づくりを進めます。自然の中で心身を整える滞在型の観光を通じて、地域の環境と暮らしの価値を伝え、持続可能な地域づくりを目指します。
06|NPO法人ORGAN(岐阜県)

名水百選・音風景百選に選定された長良川と、世界農業遺産にも認定された鮎文化を核に、流域をめぐる観光プログラムを構築します。源流から下流までの自然・文化・人のつながりを伝え、流域4市の連携によるリジェネラティブツーリズムを目指します。

07|一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会(京都府南丹市)

かやぶき民家が残る美山の里山景観と、そこに根付く暮らしや文化を活かした観光地域づくりに取り組みます。地域の自然や文化を守りながら、その価値を訪れる人に伝え、持続可能な観光の仕組みづくりを目指します。
08|株式会社レノファ山口(山口県美祢市)

秋吉台・秋芳洞エリアを舞台に、観光客が草原の保全活動に参加する「カルストガーディアン」プロジェクトを展開します。レノファ山口FCの発信力を活かし、スポーツツーリズムと環境保全を組み合わせ、草原保全の担い手不足の解消と観光振興を目指します。
09|王子ホールディングス株式会社(OMO王子の森活性化推進部)(高知県四万十町)

自然共生サイトに認定された「王子の森 四万十」を舞台に、ヤイロチョウをはじめとする豊かな自然と森林文化を活かした体験プログラムを開発します。企業と地域が協働し、社有林の保全と地域の活性化を両立する観光モデルの構築を目指します。

10|株式会社わんさか(沖縄県名護市)

大浦川流域を舞台に、生態系や水質の保全と地域経済の活性化を一体的に進める「再生型ツーリズム」に取り組みます。
地域の保全活動と観光をつなぎ、訪問者の増加が環境の再生や地域の活力につながる好循環の構築を目指します。
※ 各団体の事業概要の詳細は環境省報道発表資料をご参照ください。
▶「令和8年度良好な環境の創出・活用推進事業(良好な環境を活用した観光モデル事業)」の実施団体の選定について | 報道発表資料 | 環境省
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良好な環境は、地域の豊かさを支えるとともに、産業・文化・教育にも広く関わる地域の貴重な資源です。
ー環境を「守る」だけでなく、「活かすことで守る」
このnoteでは、今後も各地の取組事例や現場の声、「良好な環境」に関するコラムなどを発信していく予定ですので、身近な水辺や地域の環境に少しでも目を向けていただけたら、私たちにとって何より嬉しいです。
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