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【八幡平】名水百選「金沢清水」を訪ねて 。岩手県八幡平市での水と地熱が育む地域づくり

環境省 環境創造室|良好な環境を活用した観光モデル事業

 火山が育んだ豊かな湧水、地熱の恵み、そして鉱山の歴史。岩手県八幡平市には、水とともに歩んできた地域の物語があります。

 今回訪れたのは、日本名水百選にも選ばれている「金沢清水湧水群」と、その湧水を生かしたビールづくりに取り組む「暁ブルワリー八幡平ファクトリー」です。

 令和8年度「良好な環境を活用した観光モデル事業」の実施団体として選定された株式会社太極舎では、この地域ならではの水環境を体感し、学ぶことのできる「ウォーター・エクスペリエンス」の構築を進めています。今回は、そのフィールドを期初訪問として有識者とともに実際に訪ねました。

▶「良好な環境を活用した観光モデル事業」とは

01 はじめに
名水を生かした地域づくりに挑む


 株式会社太極舎は、岩手県八幡平市で「暁ブルワリー八幡平ファクトリー」を営む団体です。日本名水百選「金沢清水湧水群」の天然水と、地熱発電による電力を使ったオーガニックビールを醸造し、2022年には有機JAS認証を取得しました。

 金沢清水湧水群は、7つの湧水の総称として1985年(昭和60年)に環境省の名水百選に選定されました。

 水温は年間を通じて12度前後とほぼ一定で、日量数万トン規模の豊富な湧水が今も涸れることなく流れ続けています。周囲はブナやミズナラの森に囲まれ、地域の水道水や農業用水、淡水魚の養殖にも古くから活用されてきました。

03 SPOT 01 

地域を支える名水「金沢清水」

 最初に案内いただいたのは、日本名水百選にも選定されている「金沢清水湧水群」。岩手山と八幡平の間を流れる松川沿いには、7つの湧き口が点在し、年間を通して約12℃の湧水が絶え間なく流れています。

 地域には「七つの頭を持つ龍が地中から姿を現した場所が湧き口になった」という伝承も残されており、人々が古くからこの水を大切にしてきたことが伝わってきます。一方で、近年は気候変動の影響も指摘され、湧水量の変化を継続的に調査する必要性も高まってきました。

今年度のモデル事業では、こうした水環境を専門家とともに調査・可視化し、その価値を来訪者へ伝える仕組みづくりが進められます。

 また、八幡平山頂では雪解けと共に姿を現す沼があり、龍の青い目のように見える事から、この沼を「ドラゴンアイ」と呼んでおり、暁ブルワリーで販売しているビールにもこの名称が使われています。

 🌿  水を守る背景にある松尾鉱山の歴史
金沢清水のすぐ近くには、かつて「東洋一の硫黄鉱山」と呼ばれた松尾鉱山があります。最盛期には約1万5千人が暮らす鉱山都市として栄えましたが、閉山後には坑廃水による河川汚染が大きな課題となりました。現在も岩手県による中和処理が続けられています。豊かな自然と開発の歴史が隣り合わせにあるこの土地だからこそ、「水を守ること」の意味を改めて考えさせられます。

03 SPOT 02 
名水と地熱から生まれるオーガニックビール

 湧水群からほど近い場所にあるのが、「暁ブルワリー八幡平ファクトリー」です。ここでは金沢清水の天然水と、八幡平地域の地熱発電による電力を活用し、有機JAS認証を取得したオーガニックビールを醸造しています。

 一般的なビール酵母ではなく清酒酵母のみを用いる独自の製法も特徴で、国内外のビールコンテストでも高い評価を受けています。醸造後に出るモルトかすは地域の畜産農家で飼料として活用されるなど、地域内で資源を循環させる取組も進められていました。

 自然の景観や地域のストーリーを商品づくりにも生かしている点が印象的でした。

🍺ドラゴンビールについて
製品の「ドラゴンアイ」は、ピルスナーの「スカイ」とIPLの「マグマ」、ゴールデンエールの「サン」とペールエールの「スノー」の4種類が販売されており、和食に合うビールをコンセプトに製造されてます。

八幡平の自然をいただく

金沢清水の名水ですくすく育ったイワナ

 現地では、地元食材を生かした昼食が振る舞われました。

ツーンとしない!!甘い中にも爽やかな香りと共にごはんが進みます。

 金沢清水で育った「いわな」の焼き物をはじめ、八幡平産の「マッシュルーム、トマト、山芋、ホワイトアスパラ」を使った一皿、安比わさびごはん。副菜には「ばっけみそ(八幡平大豆とふきのとう)」「安比わさび葉のしょうゆ漬」、デザートには安比牛乳と塩こうじ、八幡平のきなこを使ったプリンが並び、地域の恵みを凝縮した食卓となりました。

従業員の方の)手作りプリン!濃厚でとても美味。

 地域の自然環境が、そのまま食の魅力にもつながっていることを実感できる時間となりました。

05 これまでの取組

水を軸に広がる学びと地域のつながり

 太極舎ではこれまで、小学校や大学、行政、企業など延べ500名以上の視察・教育プログラムを受け入れてきました。
 
 都市部ではビール講習会や試飲イベントを通じて八幡平の自然や水資源を発信し、製品はオーガニック食品売場やコンビニエンスストアなどでも販売されています。
 

 令和8年度は、こうした実績を基盤に、水環境の調査と学習・体験プログラムの構築を進め、地域資源の価値をより深く伝える観光コンテンツづくりに挑戦していきます。

06 訪問を終えて
─ 名水の価値を未来へつなぐために

 八幡平市では、火山が育んだ湧水、地熱エネルギー、そして鉱山の歴史が一つの地域の中でつながっています。今回の訪問では、「水を使う」だけでなく、「水を知り、守り、その価値を伝える」という視点で観光を考える取組が進められていることを実感しました。

令和8年度の本事業では、金沢清水の水環境を調査・可視化し、来訪者が地域の自然を学び、体感できるプログラムづくりが進められます。

今後、この取組が地域の新たな魅力としてどのように育っていくのか、引き続きこのnoteでご紹介していきます。応援、よろしくお願いいたします!

報告/🏺
環境省 環境創造室にて「良好な環境を活用した観光モデル事業」を担当。千葉県出身で栃木県の環境測定分析会社で土壌・アスベスト調査系を主に担当し今に至る。趣味は、ランニングやロードバイクで峠や山を登る事。アニメや映画鑑賞も趣味の一つですが、最近は思い付きで旅行に出かける事が多く、旅先で出会う風景・食事・酒を嗜み、ボーっとしながら過ごす事が楽しみ。

 

今後もモデル事業の進捗や地域での実践について、このnoteでお伝えしていきます。


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ー環境を「守る」だけでなく、「活かすことで守る」

このnoteでは、今後も各地の取組事例や現場の声、「良好な環境」に関するコラムなどを発信していく予定ですので、身近な水辺や地域の環境に少しでも目を向けていただけたら、私たちにとって何より嬉しいです。

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