シャドーイング教材の選び方|初級者が失敗しない音源レベルの基準
シャドーイング教材の選び方で、最初に失敗しやすいのが「難しい教材を選びすぎること」です。
TOEICの点数を上げたいから、TOEIC公式問題集でやった方がいいのか。
実践的な英語に慣れたいから、TEDやYouTubeを使った方がいいのか。
ネイティブの自然な音声を聞けるようになりたいから、海外ドラマで練習した方がいいのか。
気持ちはとても分かります。
せっかくシャドーイングをやるなら、できるだけ実践的な教材を使いたくなります。
簡単な教材を選ぶと、少し遠回りしているように感じるかもしれません。
ただ、最初に選ぶべきなのは、難しい教材ではありません。
まず選ぶべきなのは、シャドーイングの練習が崩れない教材です。
私はこれまで英語コーチングスクールで250名以上の受講生を見てきましたが、シャドーイングが続かない原因の一つに、教材が難しすぎることがあります。
本人の努力不足ではなく、教材の負荷が高すぎる。
このケースはかなり多いです。
シャドーイングは、ただ英語を聞くだけの練習ではありません。
音を聞く。
意味を確認する。
音のつながりをまねる。
口を動かす。
慣れてきたら、意味まで追う。
これらを同時に行います。
そのため、教材が難しすぎると、正しいやり方を意識する前に練習そのものが崩れます。
初級者の教材選びで大事なのは、背伸びすることではありません。
まずは、シャドーイングに慣れることです。
シャドーイング教材は「伸びそう」より「崩れずに練習できるか」で選ぶ
シャドーイング教材を選ぶとき、多くの人は「この教材で伸びそうか」を考えます。
もちろん、それも間違いではありません。
ただ、シャドーイングにまだ慣れていない段階では、もう一つ手前の視点が必要です。
それが、
この教材で、練習の形を保てるか
です。
難しい教材は、たしかに魅力的に見えます。
ネイティブの自然な会話。
有名なスピーチ。
TOEIC本番レベルの音声。
海外ドラマのリアルなセリフ。
どれも、将来的には扱えるようになりたい音声です。
ただ、最初からそれをシャドーイング教材にすると、負荷が高すぎることがあります。
筋トレで考えると分かりやすいです。
初心者がいきなり重すぎるダンベルを持つと、フォームが崩れます。
本人は一生懸命やっているのに、狙った筋肉にうまく効かない。
むしろ変なクセがついたり、続けるのが嫌になったりします。
シャドーイングも同じです。
教材が重すぎると、音を聞く余裕も、まねる余裕も、意味を追う余裕もなくなります。
その状態で何度も繰り返しても、
「ただ必死についていこうとしているだけ」
になりやすいです。
最初は、少し軽い負荷でフォームを作る。
慣れてきたら、少しずつ負荷を上げる。
この順番の方が、結果的に伸びやすいです。
多くの人が、最初から難しい教材を選びすぎてしまう
実際に受講生を見ていると、シャドーイングを始めたばかりの方ほど、かなり難しい教材を選んでいることがあります。
これは、やる気がないからではありません。
むしろ逆です。
真面目な方ほど、難しい教材を選びやすいです。
「簡単な教材では意味がないかもしれない」
「せっかくやるなら、実践的な音声で練習したい」
「TOEIC対策なら、最初からTOEIC公式問題集を使うべきでは」
「ネイティブの自然な音声に慣れたいから、TEDや海外ドラマがよさそう」
こう考えるのは、とても自然です。
ただ、最初のシャドーイング教材として見ると、負荷が高すぎることがあります。
TED・スピーチ・生音声は、最初の教材としては負荷が高いことが多い
TEDやスピーチは、英語学習の教材として魅力があります。
内容も面白く、話し方も自然で、英語らしい表現もたくさん出てきます。
ただ、シャドーイングにまだ慣れていない方が最初に使うには、難しいことが多いです。
理由は、音声がきれいでも、内容そのものが抽象的だったり、1文が長かったり、語彙が難しかったりするからです。
スクリプトを読んでも理解に時間がかかる。
音声を聞いても意味がほとんど入ってこない。
話すスピードについていけない。
文の区切れ目が分からない。
この状態だと、シャドーイングというより、難しい英語に振り回されている状態になりやすいです。
TEDやスピーチが悪いわけではありません。
ただ、最初の教材としては、少し先に置いておいてもいいです。
TOEIC公式問題集も、目的には合っていても最初は難しいことがある
TOEICの点数を上げたい方は、TOEIC公式問題集でシャドーイングをしたくなると思います。
目的に合っているという意味では、とても自然です。
実際、ある程度シャドーイングに慣れていて、TOEICの音声もある程度理解できる方であれば、公式問題集を使うのは有効です。
ただ、最初から使うには難しいこともあります。
Part3やPart4の音声は、まとまりがあり、本番にも近いです。
その分、1つの音声の中に情報が多く入っています。
状況を理解する。
登場人物の関係をつかむ。
設問に関係する情報を追う。
そのうえで音をまねる。
これを最初から同時にやろうとすると、かなり負荷が高いです。
TOEIC公式問題集を使いたい場合でも、最初から無理に使い続ける必要はありません。
まずは少し簡単な教材でシャドーイングの形を作る。
その後で、TOEIC公式問題集に戻る。
この順番でも、まったく遅くありません。
TOEIC対策としてシャドーイングをどう使うかは、別記事で詳しく整理しています。
シャドーイングはTOEIC対策になる?効果とおすすめ教材を解説
真面目な人ほど「簡単な教材では意味がない」と感じやすい
教材レベルを下げることは、意外と難しいです。
英語力を伸ばしたい気持ちが強いほど、簡単な教材を選ぶことに抵抗が出ます。
「こんな簡単な英語をやっていて意味があるのかな」
「もっと難しいものをやらないと伸びないのでは」
「自分の目標から遠い教材を使っていて大丈夫なのかな」
そう感じる方は少なくありません。
ただ、シャドーイング初級者にとって、簡単な教材は決して無駄ではありません。
なぜなら、最初の目的は、難しい英語を一気に聞けるようにすることではないからです。
まずは、
音を聞く。
少し遅れて声に出す。
音のつながりをまねる。
英文を見ながら確認する。
少しずつ見ないで言える範囲を増やす。
この流れに慣れることが先です。
シャドーイングに慣れていない状態で難しい教材を使うと、フォームを作る前に崩れます。
だからこそ、最初はかなり簡単に感じる教材でも大丈夫です。
初級者が最初に選ぶべき教材レベルの目安
では、シャドーイング初級者はどのくらいのレベルの教材を選べばよいのでしょうか。
目安は、かなりシンプルです。
スクリプトを見れば8〜9割ほど意味が分かる。
音だけで聞いても、大まかな意味が半分以上は分かる。
最初は、このくらいで十分です。
むしろ、これより難しいと、シャドーイング練習の前に止まりやすくなります。
スクリプトを見れば8〜9割ほど意味が分かる
まず見たいのは、スクリプトを読んだときの理解度です。
スクリプトを見ても意味があまり分からない教材は、最初のシャドーイング教材としては難しすぎます。
知らない単語をたくさん調べないと読めない。
文法構造を取るのに時間がかかる。
和訳を見ても、英文と意味がつながらない。
この状態だと、シャドーイング以前に、読解や単語確認でかなり時間を使います。
もちろん、単語や文法の学習も大事です。
ただ、シャドーイングの時間にそればかりやっていると、肝心の音を追う練習までたどり着きません。
最初は、スクリプトを見ればほとんど意味が分かる教材を選んでください。
「少し知らない単語はあるけれど、全体の意味は分かる」
くらいがちょうどいいです。
音だけで聞いても、大まかな意味が半分以上は分かる
スクリプトを見れば分かるだけでなく、音だけで聞いたときの感覚も見てください。
最初に聞いた段階で、完璧に聞き取れる必要はありません。
ただ、音だけで聞いても、話の大まかな流れが半分以上は分かる教材の方が練習しやすいです。
何の話をしているのか。
誰が何をしているのか。
明るい話なのか、説明なのか、依頼なのか。
だいたいどこで文が区切れているのか。
このあたりが少しでもつかめると、シャドーイングの練習に入りやすくなります。
反対に、音だけで聞いたときに何も分からない教材は、かなり負荷が高いです。
その場合は、音の問題だけではなく、語彙、文法、内容理解、話すスピードが一気に重なっている可能性があります。
英検レベルで見るなら、今の級より少し下げるくらいでいい
英検の級を目安にするなら、最初は今の実力より少し下げて考えるのがおすすめです。
目安としては、以下のように考えると分かりやすいです。
・英検準1級を持っている方
→ 最初は準2級プラス前後のリスニング音声からでもよい
・英検2級を持っている方
→ 最初は準2級レベルのリスニング音声からでもよい
・英検準2級前後の方
→ さらに短く、音声がクリアで、スクリプトを見ればほとんど意味が分かる教材を選ぶ
もちろん、これは絶対のルールではありません。
ただ、シャドーイングでは、読んで分かる英語を、音として処理して、さらに声に出す必要があります。
そのため、資格の級と同じレベルの音声をそのまま使うと、負荷が高くなりやすいです。
英語力としては分かる。
でも、シャドーイングでは崩れる。
これは珍しくありません。
だからこそ、最初は「少し簡単すぎるかも」と感じるくらいから始めて大丈夫です。
知らない単語や難しい文法が多すぎない
知らない単語が多すぎる教材は、初級者には向きません。
なぜなら、シャドーイング中に単語の意味で止まり続けるからです。
たとえば、1文の中に知らない単語がいくつもあると、音を聞きながら意味を追う余裕がなくなります。
「今の単語は何だろう」
「この文はどういう意味だろう」
「文の構造が分からない」
こう考えている間に、音声はどんどん進みます。
結果として、口も遅れ、意味も入らず、ただ音声に置いていかれる感覚になります。
文法も同じです。
読んでも構造が取れない文を、音声だけで追うのはかなり難しいです。
シャドーイングは、読めない英文を無理やり聞けるようにする練習ではありません。
まず読める。
意味が分かる。
そのうえで、音として処理できるようにする。
この順番で考えた方が、練習は安定します。
1文が長すぎず、短く区切って練習できる
初級者のうちは、1文が長すぎない教材を選ぶ方がいいです。
1文が長いと、途中でどこをまねているのか分からなくなります。
音のつながりも増えます。
息継ぎの位置も分かりにくくなります。
意味のまとまりも追いにくくなります。
最初は、短い文が多く、区切って練習しやすい教材が向いています。
音源全体も長すぎない方がいいです。
1回の練習範囲が長すぎると、何度も繰り返すのが大変になります。
シャドーイングは、1回聞いて終わりではありません。
同じ範囲を何度も聞き、確認し、声に出していく練習です。
だからこそ、最初は短く回せる教材の方が続けやすいです。
音声がクリアで、スピードが速すぎない
最初は、音声がクリアな教材を選んでください。
ここでいうクリアとは、発音がきれいという意味だけではありません。
背景音が少ない。
話者が重なっていない。
音量が安定している。
文の区切りが分かりやすい。
スピードが速すぎない。
こういう音声です。
初級者にとって、音声の聞き取りやすさはかなり大きいです。
内容は簡単でも、音声がこもっていたり、効果音が多かったり、複数人が重なって話していたりすると、それだけで難しくなります。
最初は、実践的すぎる音声よりも、学習用にきれいに録音された音声の方が使いやすいです。
難しい教材を選ぶと、シャドーイングは途中で崩れやすい
難しい教材を選んでも、気合いで続ければ伸びる。
そう思いたくなるかもしれません。
ただ、シャドーイングでは、教材が難しすぎると練習の形が崩れやすくなります。
読んでも難しい教材は、シャドーイング以前で止まりやすい
スクリプトを読んでも難しい教材は、シャドーイング以前で止まりやすいです。
意味確認に時間がかかりすぎる。
単語を調べるだけで疲れる。
文法構造を確認してもすぐ忘れる。
音声を聞く前に集中力が切れる。
こうなると、シャドーイングの練習量が増えません。
もちろん、難しい英文を読む学習としては意味があります。
でも、それはシャドーイングとは別の負荷です。
シャドーイングで伸ばしたいのは、聞こえた英語を音として処理し、少し遅れて再現する力です。
その練習に入る前に毎回止まってしまうなら、教材レベルを下げた方がいいです。
ついていけないのは、努力不足ではなく教材が重すぎるだけのこともある
シャドーイングでついていけないと、多くの人は自分を責めます。
「自分のリスニング力が低いのかな」
「口が回らないから向いていないのかな」
「何回やってもできないから、やり方が悪いのかな」
もちろん、やり方の問題もあります。
ただ、教材が重すぎるだけのこともあります。
英語力がないからできないのではなく、今の段階で扱うには負荷が高すぎる。
この見方はかなり大事です。
スポーツでも、初心者がいきなり試合形式に入ると、フォームを確認する余裕がなくなります。
ボールを追うだけで精一杯。
相手に反応するだけで精一杯。
自分のフォームがどうなっているか分からない。
まずは、ゆっくりした球や基礎練習でフォームを作る方が、結果的に上達しやすいです。
シャドーイングも同じです。
最初から難しい音源で勝負するより、まずフォームを作れる教材を選んだ方がいいです。
口が回らないまま続けると、フォームが崩れやすい
音声についていけず、口が回らないまま続けると、シャドーイングの形が崩れます。
聞く前に言おうとする。
スクリプトを目で追うだけになる。
音声よりかなり遅れる。
発音やリズムをまねる余裕がない。
意味はほとんど入ってこない。
この状態が続くと、本人はシャドーイングをしているつもりでも、実際には音読に近くなったり、暗唱に近くなったりします。
シャドーイングで目指したいのは、今流れている音を聞きながら、1単語遅れくらいでついていく感覚です。
その感覚を作るためにも、最初は教材の負荷を下げる必要があります。
シャドーイング全体の手順を確認したい方は、こちらで詳しく整理しています。
最初は生音声より、ナレーションのようなクリアな音声が使いやすい
シャドーイング教材を選ぶとき、音声の種類も見ておきたいです。
特に、シャドーイングをしたことがない方は、最初から生音声を選ばなくていいです。
むしろ、よほどの理由がない限り、私は最初の教材として生音声は選びません。
理由はシンプルです。
初級者にとって、生音声は情報量が多すぎることが多いからです。
生音声は実践的だが、初級者には情報量が多い
生音声には、リアルな英語の要素がたくさん入っています。
自然なスピード。
言いよどみ。
話者ごとのクセ。
音の省略。
複数人の会話。
背景音。
笑い声や相づち。
実践的ではあります。
ただ、最初のシャドーイング教材としては、情報量が多すぎることがあります。
まだシャドーイングの流れに慣れていない段階で、リアルな音声をそのまま扱おうとすると、音をまねる前に混乱しやすいです。
実践的な音声を聞けるようになりたいなら、なおさら最初は土台作りが必要です。
まずは、音がはっきりしていて、文の区切りも分かりやすい音声で練習した方がいいです。
ナレーション音声は、音のつながりやリズムを確認しやすい
ナレーション音声は、初級者にとって扱いやすいです。
発音が比較的クリアで、音量も安定していて、文の区切りも分かりやすいことが多いからです。
音のつながり。
イントネーション。
リズム。
強く読むところと弱く読むところ。
こうしたポイントを確認しやすくなります。
最初からリアルさを求めすぎなくて大丈夫です。
まずは、きれいに録音された音声でシャドーイングの形を作る。
慣れてきたら、生音声や自然な会話に移っていく。
この順番の方が、練習が崩れにくいです。
具体的な教材例や、録音音声と生音声の違いを詳しく知りたい方は、こちらで整理しています。
シャドーイングにおすすめの教材6選|録音音声と生音声の違い・選び方を解説
スクリプト付き教材は、初級者にとって補助輪のようなもの
最初は、スクリプト付き教材を選んでください。
スクリプトなしで音だけを頼りにシャドーイングするのは、かなり難しいです。
どの単語が聞こえていないのか。
どこで音がつながっているのか。
どこを落としているのか。
意味を正しく取れているのか。
これらを確認できなくなります。
スクリプトは、自転車の補助輪のようなものです。
補助輪は、ずっと必要なものではありません。
でも、最初にバランスを覚えるときには役立ちます。
スクリプトも同じです。
最初は見ながら確認する。
音と文字をつなげる。
慣れてきたら、少しずつ見ないで練習する。
この流れで大丈夫です。
最初からスクリプトなしで頑張る必要はありません。
教材レベルを下げることは、逃げではなく調整
教材選びで一番難しいのは、レベルを下げる判断かもしれません。
多くの人にとって、簡単な教材を選ぶのは少し抵抗があります。
プライドもあります。
遠回りしているようにも感じます。
お金を出して買った教材を使わないのは、もったいなく感じることもあります。
ただ、教材レベルを下げることは逃げではありません。
練習の質を上げるための調整です。
簡単に感じる教材でも、シャドーイングでは十分負荷がかかる
読んで簡単な英文でも、シャドーイングでやると負荷は上がります。
音声を聞く。
少し遅れて言う。
発音やリズムをまねる。
意味も追う。
これを同時にやるからです。
つまり、読んでちょうどいい教材は、シャドーイングでは少し重く感じることがあります。
逆に、読んで少し簡単に感じる教材でも、シャドーイングでは十分練習になります。
「こんな簡単な英文でいいのかな」と感じるくらいでも、実際に声に出してみると意外と難しいはずです。
最初はそれでいいです。
最初の1〜2冊は「目的教材に入る前の準備」と考えていい
TOEICを伸ばしたい方は、TOEIC公式問題集を使いたいと思います。
海外のスピーチを聞き取れるようになりたい方は、TEDを使いたいと思います。
海外ドラマを字幕なしで見たい方は、ドラマ音声で練習したいと思います。
その気持ちは、とても自然です。
ただ、最初の1冊目から目的教材に入る必要はありません。
最初の1〜2冊は、目的教材に入る前の準備として使う。
この考え方で大丈夫です。
簡単な教材でシャドーイングの流れを作る。
音を聞いて、少し遅れて言う感覚に慣れる。
録音して、自分の声のズレに気づく。
短い範囲をきれいに回せるようにする。
その後で、目的に近い教材へ進めばいいです。
最初の教材は、ゴールそのものでなくてもかまいません。
ゴールに向かうための土台です。
難しい教材を買ってしまっても、あとで戻れば無駄にならない
すでに難しい教材を買ってしまった方もいると思います。
TOEIC公式問題集。
TEDのスクリプト。
YouTubeの英語教材。
海外ドラマの素材。
仕事で使いたい実践的な音声。
もし今の自分には難しすぎると感じても、その教材が無駄になるわけではありません。
むしろ、目的に近い教材だからこそ、あとで使えばいいです。
今は少し簡単な教材でフォームを作る。
その教材をやり切る。
シャドーイングの流れに慣れる。
その後で、最初に選んだ難しい教材に戻る。
これで十分です。
一度買った教材を今すぐ使わないことは、失敗ではありません。
順番を変えるだけです。
迷ったときの教材選びチェックリスト
シャドーイング教材を選ぶときに迷ったら、次の項目を確認してください。
すべて完璧に当てはまる必要はありません。
ただ、初級者の場合は、当てはまる項目が多い教材ほど練習しやすいです。
・スクリプトを見れば8〜9割ほど意味が分かる
・音だけで聞いても、大まかな意味が半分以上分かる
・知らない単語が多すぎない
・難しすぎる文法が多くない
・1文が長すぎない
・音声がクリアで聞き取りやすい
・スピードが速すぎない
・背景音や効果音が少ない
・複数人が重なって話していない
・短い範囲で何度も練習できる
・スクリプト付きで確認できる
・オーバーラッピングで大きく崩れすぎない
この中でも特に見てほしいのは、
スクリプトを見れば意味が分かること
音声がクリアであること
短い範囲で何度も練習できること
です。
この3つがそろっているだけでも、最初のシャドーイングはかなり進めやすくなります。
反対に、スクリプトを見ても難しい、音声が聞き取りにくい、範囲が長すぎる教材は、最初の教材としてはかなり重いです。
教材が自分に合っているかは、1週間試すとかなり分かる
教材選びで迷ったら、1週間だけ試してみるのがおすすめです。
最初から完璧な教材を選ぼうとしなくて大丈夫です。
実際に数日やってみると、その教材が自分に合っているかどうかはかなり見えてきます。
見るポイントは、主に3つです。
意味確認に時間がかかりすぎないか
まず、意味確認にどれくらい時間がかかるかを見てください。
1つの短い音源なのに、単語確認や文法確認だけでかなり時間がかかる。
スクリプトを読んでも内容がなかなか理解できない。
和訳を見ても、英文と意味がつながらない。
この場合は、教材が少し難しいかもしれません。
シャドーイングでは、意味確認は必要です。
ただ、毎回そこで疲れ切ってしまうなら、音の練習に入る前に止まっています。
オーバーラッピングで口がある程度ついていくか
次に、オーバーラッピングで口がある程度ついていくかを見てください。
オーバーラッピングは、スクリプトを見ながら音声と同時に読む練習です。
これがまったく追いつかない場合、その教材でシャドーイングをするのはかなり難しいです。
もちろん、最初から完璧に言える必要はありません。
ただ、何度か練習してもほとんど口が回らない。
音声と大きくズレ続ける。
途中で何度も止まる。
この場合は、教材を少し簡単にした方がいいです。
教材を選んだあと、最初の1週間でどう進めるかは、こちらで詳しく整理しています。
教材を選んだあとの最初の1週間の進め方もご確認ください。
→シャドーイング初心者は何から始める?最初の7日間の進め方
録音して聞いたときに、大きく崩れすぎていないか
1週間試すなら、できれば一度録音してみてください。
録音すると、自分ではできているつもりでも、実際には大きくズレていることがあります。
音声よりかなり遅れている。
単語が抜けている。
リズムがかなり違う。
聞こえた音ではなく、文字を読んでいる感じになっている。
途中から何を言っているか分からなくなっている。
多少崩れるのは普通です。
ただ、何度やっても大きく崩れすぎる場合は、教材が重い可能性があります。
その場合は、努力量を増やす前に、教材レベルを見直してください。
教材を変えるべきか、速度を落とすべきか
教材が難しいと感じたとき、迷うのがここです。
教材を変えるべきか。
それとも、速度を落として続けるべきか。
この判断は、ざっくり分けると分かりやすいです。
英文は分かるが速いだけなら、速度調整を試してもよい
スクリプトを見れば意味は分かる。
知らない単語もそこまで多くない。
内容も難しすぎない。
ただ、音声が少し速くて口が追いつかない。
この場合は、速度を少し落として練習してもいいです。
たとえば、0.8倍速くらいに落とすと、音のつながりやリズムを確認しやすくなることがあります。
速度を落とすことも、逃げではありません。
ただし、落としすぎには注意が必要です。
不自然な音になりすぎると、元の英語のリズムから離れてしまうからです。
0.8倍速で練習してよいケースや注意点は、こちらで詳しく整理しています。
シャドーイングは0.8倍速でも効果ある?やっていいケースと注意点
スクリプトを見ても難しいなら、教材レベルを下げた方がよい
スクリプトを見ても意味が取りにくい。
知らない単語が多い。
文法が難しい。
内容を理解するだけで時間がかかる。
この場合は、速度を落とすよりも教材レベルを下げた方がいいです。
なぜなら、問題はスピードだけではないからです。
内容理解そのものが重い状態で速度だけ落としても、シャドーイングの負荷はあまり下がりません。
むしろ、遅くしても分からないので、余計に苦しくなることがあります。
読んでも難しい教材は、まず教材レベルを見直してください。
0.8倍速でも苦しいなら、教材そのものを見直す
0.8倍速にしてもまったく追えない。
この場合は、教材がかなり重い可能性があります。
もちろん、最初は誰でもうまくできません。
ただ、何度やっても音声についていけない。
オーバーラッピングでも大きく崩れる。
スクリプトを見ても理解が浅い。
録音すると、ほとんど再現できていない。
ここまで苦しいなら、今の教材にこだわりすぎない方がいいです。
教材を変えることは、負けではありません。
今の段階に合った教材へ移るだけです。
シャドーイングが難しい原因を、教材以外も含めて見直したい方はこちらも参考になります。
シャドーイングが難しいと感じたら|できない原因と見直す順番を解説
迷ったら、少し簡単に感じる教材から始めていい
教材選びで迷ったら、少し簡単に感じる教材から始めてください。
難しい教材で30分苦しむより、少し簡単な教材で10〜15分きれいに回す方がよい場合があります。
特に最初は、量よりもまず形です。
音を聞く。
遅れて言う。
音のつながりをまねる。
録音して確認する。
また直す。
この流れを安定させることが先です。
まずはシャドーイングに慣れることを優先する
最初から一気に聞こえるようになろうとしなくて大丈夫です。
まずは、シャドーイングという練習に慣れることを優先してください。
音声を聞きながら声を出すこと自体、最初はかなり負荷があります。
そこに難しい単語、長い文、速い音声、生音声、複数人会話が重なると、かなり苦しくなります。
最初は、簡単な教材でいいです。
スクリプトを見れば意味が分かる。
音声もクリア。
文も短め。
1回の範囲も短い。
何度も回しやすい。
こういう教材で、まず練習の形を作ってください。
独学で進める場合は、教材選びの影響がさらに大きくなります。自己流で失敗しない進め方はこちらで整理しています。
シャドーイングは独学でもできる?自己流で失敗しないための進め方
フォームが安定してから、TOEIC・TED・生音声に戻ればいい
簡単な教材で練習することは、ゴールを下げることではありません。
TOEIC公式問題集を使いたいなら、あとで戻ればいいです。
TEDを聞けるようになりたいなら、あとで挑戦すればいいです。
海外ドラマを聞き取れるようになりたいなら、フォームができてから進めばいいです。
最初から最高難度を選ぶ必要はありません。
ゲームでも、最初から最高難度を選ぶと、操作方法を覚える前にゲームオーバーになります。
まずは少し簡単なステージで操作に慣れる。
慣れてきたら、難しいステージに進む。
その方が、結果的に遠くまで行けます。
シャドーイングも同じです。
最初の教材は、英語力の限界に挑戦するためのものではありません。
練習のフォームを作るためのものです。
具体的な教材例まで知りたい方は、こちらの記事で整理しています。
シャドーイングにおすすめの教材6選|録音音声と生音声の違い・選び方を解説
まとめ|初級者は「難しい教材」より「練習が崩れない教材」を選ぶ
シャドーイング教材を選ぶとき、最初ほど難しい教材を選びたくなります。
TOEIC公式問題集。
TED。
YouTube。
海外ドラマ。
ネイティブの自然な生音声。
どれも悪い教材ではありません。
ただ、最初のシャドーイング教材としては、負荷が高すぎることがあります。
初級者が最初に見るべきなのは、その教材が有名かどうかではありません。
実践的に見えるかどうかでもありません。
その教材で、シャドーイングの練習が崩れずにできるか。
ここです。
目安としては、
・スクリプトを見れば8〜9割ほど意味が分かる
・音だけで聞いても、大まかな意味が半分以上は分かる
・知らない単語や難しい文法が多すぎない
・1文が長すぎない
・音声がクリア
・スピードが速すぎない
・短い範囲で何度も練習できる
・最初は生音声より、きれいに録音された音声を使う
このあたりを見てください。
英検準1級を持っている方でも、シャドーイングをしたことがないなら、少しレベルを下げた音源から始めて大丈夫です。
英検2級を持っている方でも、最初は準2級レベルのリスニング音声くらいから始める方が、練習が安定することがあります。
簡単な教材を選ぶことは、逃げではありません。
練習の質を上げるための調整です。
難しい教材を買ってしまったとしても、無駄にはなりません。
今は少し簡単な教材でフォームを作る。
そのあとで、目的に近い教材に戻る。
それで大丈夫です。
シャドーイングは、難しい教材で苦しむほど伸びる練習ではありません。
まずは、崩れずに続けられる教材で、音を聞いて、少し遅れてついていく感覚を作る。
初級者の教材選びは、そこから始めるのが一番安定します。
