シャドーイングで息が続かない原因|息継ぎの場所と苦しくなるときの直し方
シャドーイングをしていると、途中で息が苦しくなったり、一語ずつ細切れになったりすることがあります。
受講生からは「息が続きません」よりも、「スムーズに言えないんですよね」と相談されることのほうが多い印象です。本人は気づいていなくても、録音を聞くと、発話が一つひとつ切れている場合もあります。
このようなとき、肺活量が足りないと決めつける必要はありません。
「最初に試してほしいのは、声を少し小さくして力を抜くことです。」そのうえで、話者の息継ぎ、音源からの遅れ方、弱い単語の読み方、教材の負荷を順番に確認します。
私はこれまで250名以上の英語学習をサポートし、3,000回以上、受講生のシャドーイング音声を聞いてきました。そのなかで、息が続かない方に多かった原因と、実際に伝えてきた直し方をまとめます。
シャドーイングで息が続かないとき、肺活量の問題だと決めない
息が苦しくなると、「もっと大きく息を吸おう」と考える方がいます。
しかし、これは25メートルを泳ぎ切れない人が、泳ぎ方を直さず、スタート前にできるだけ多くの空気を吸おうとするようなものです。
肩に力が入り、水の抵抗が大きい泳ぎ方をしていれば、最初にたくさん息を吸っても長くは持ちません。必要なのは、空気の量を増やすことだけではなく、力を抜き、フォームを整え、適切なタイミングで呼吸することです。
シャドーイングも同じです。
大きな声で力み、すべての単語を強く発音していれば、必要以上に息を使います。フレーズを聞き終えてから追いかけている場合は、話者が息を吸った場所を通り過ぎ、自分だけ息継ぎの機会を失うこともあります。
見るべきなのは、どれだけ空気を吸えるかだけではなく、どこで息を無駄に使っているかです。
シャドーイングで息が苦しくなる4つの原因
声が大きく、発話するときに力が入りすぎている
私が音声を聞いていて最も多いと感じるのは、声が大きすぎるケースです。
一語ずつはっきり言おうとして、喉や口にも力が入っています。これでは、短い英文でも息を多く使います。自分の声が大きいとモデル音声も聞きにくくなるため、さらに遅れやすくなります。
シャドーイングは、相手に聞かせるスピーチではありません。まずは自分と録音機器に聞こえる程度まで、声を小さくしてみてください。
1単語遅れではなく、フレーズを聞き終えてから発話している
初心者によくあるのが、数語のフレーズを聞き終えてから、そのかたまりを繰り返す方法です。
これではフレーズごとに発話が止まり、呼吸も細かくなります。シャドーイングというより、「聞く」と「繰り返す」を交互に行う練習に近い状態です。
基本は、音声の後ろを1単語ほど遅れて追います。完全に聞き終わるのを待たず、耳から入ってきた音を順番に口へ流していく感覚です。
機能語まで強く長く発音している
a、the、to、of、forなどは、文章のなかで弱く短く読まれることがあります。しかし、すべての単語を同じ強さで読もうとすると、息を使うだけでなく、発音に時間がかかって音源から遅れます。
私は、弱く読まれる単語にチェックを入れてもらうことがあります。それでも難しい方には、発想を逆にして、いったんすべての単語を弱く短く読み、重要な名詞や動詞だけを通常の強さに戻してもらいます。
「全部をしっかり読む」のではなく、「大切な音だけを残す」と考えると、英語の強弱をつかみやすくなります。
音のつながりや消失を再現できず、特定の箇所で遅れてしまう場合は、シャドーイングで音声変化が聞き取れない原因で確認方法を詳しく説明しています。
音源や一文の負荷が高すぎる
一文が長くなるほど、聞きながら発音する負荷は高くなります。短い英文なら一息で言えるのに、長い英文になると毎回崩れるのであれば、呼吸より先に教材の難しさや練習区間を見直します。
長い音源を最初から最後まで通す必要はありません。息が続かない部分だけを短く切り出し、再現できる長さから練習してください。区切る長さに迷う場合は、シャドーイングの音源は何秒・何分がいい?も参考になります。
息継ぎの場所は、音源のポーズと意味の区切りで見つける
息継ぎの場所を自分で決める前に、モデル音声を聞いてください。
話者が息を吸っている場所や、ごく短い間が入っている場所を探し、スクリプトに斜線などの印を付けます。その位置で自分も息を吸う練習は有効です。意識しなければ、いつも同じ場所で息継ぎを逃してしまう方もいます。
ただし、句読点がある場所で必ず息を吸うわけではありません。モデル音声が一息で読んでいるなら、まずは同じまとまりを一息で言える状態を目指します。
私が受講生によく伝えるのは、「一息で言えれば言えるほどいい」ということです。
もちろん、一息で言えないだけで発音が間違っていると断定はできません。それでも、モデル音声と同じまとまりを一息で再現できることは、英語の強弱や音声変化を効率よく再現できているかを見る一つの指標になります。
息が続かないときに試したい3つの練習
1.まずは声を小さくして、発話時の力を抜く
最初に変えるのは呼吸ではなく、声の出し方です。
普段の会話より少し小さな声にして、喉、あご、肩へ力が入っていないか確認します。音源が自分の声にかき消されず、聞き続けられる大きさが目安です。
2.短い区間に分け、最後は一文をつなげて音読する
一文をいくつかの短い区間に分け、言いにくい部分だけを練習します。ただし、細かく区切ったまま終わらせないでください。
部分ごとに言えるようになったら、最後は一文へ戻し、途中で止まらずに音読します。そのあとでモデル音声へ重ね、シャドーイングへ戻します。
実際に、一文を細切れに発音していた受講生へ、まず音読で一文を最後まで言い切る練習をしてもらったことがあります。その結果、一文単位であれば、以前よりも続けて発音できるようになりました。
3.再現度が低い箇所は、音声確認へ戻る
声量を下げ、区間を短くしても同じ場所で苦しくなるなら、その箇所を自分なりの発音で読んでいないか確認します。
スクリプトだけを見て練習するのではなく、モデル音声を繰り返し聞きます。どの単語が強いか、どこが短くなるか、音がつながったり消えたりしていないかを確かめてから、もう一度口を合わせます。
息が続かない原因を練習別に切り分ける
日本語でも口が回らないなら、発話運動を確認する
英語だけでなく、日本語の音声でもシャドーイングしてみてください。
日本語でも同じように口が動かず、細切れになる場合は、英語の聞き取りだけが原因ではありません。そもそも音声を少し遅れて追う動きに慣れていない可能性があります。
日本語でできていない動きを、英語になった途端に加えることは難しいものです。口の動きだけが追いつかない場合は、シャドーイングで口が回らないときの対処法で切り分け方を確認してください。
音読では言えるのにシャドーイングで切れるなら、遅れ方を確認する
スクリプトを見た音読では一文を続けて言えるのに、音源を流すとフレーズごとに切れる。この場合は、呼吸よりもシャドーイングの方法を疑います。
数語を聞き終えてから発話していないか、音源の1単語ほど後ろを追えているかを確認してください。
毎回同じ場所で苦しくなるなら、音声変化を確認する
毎回同じ単語やフレーズで止まる場合は、そこに苦手な音声変化や発音が隠れている可能性があります。
無理に一文を繰り返すより、その数語だけを切り出します。モデル音声の速さ、強弱、音のつながりを確認し、オーバーラッピングで口を合わせてから全体へ戻してください。
苦しいまま回数だけを増やさず、ひとつ前の工程へ戻る
息が続かない状態で、ただ回数だけを増やしても、細切れの発音を繰り返すことがあります。
一時的に速度を下げるのは構いません。私の指導では、0.7〜0.75倍程度までを一つの目安にしています。ただし、0.5倍のように極端に遅くすると、本来の強弱やリズムが変わりやすいため、基本的には勧めていません。
声を小さくする。短く区切る。モデル音声を聞き直す。音読やオーバーラッピングへ戻る。
これは後退ではありません。うまくいかない原因を残したまま回数を重ねるより、ひとつ前の工程で整えたほうが、結果的に早くシャドーイングへ戻れます。
息の問題に限らず、複数の原因が重なっているときは、シャドーイングが難しいと感じたときに見直す順番で全体を整理できます。
まとめ|息継ぎの場所と、そこに間に合わない原因の両方を見る
シャドーイングで息が続かないときは、深く息を吸うことだけで解決しようとしないでください。
最初に声を小さくして力を抜きます。次に、モデル音声の息継ぎ位置、1単語ほど遅れて追えているか、機能語を強く長く読んでいないか、教材が難しすぎないかを確認します。
モデル音声が一息で話しているなら、自分も同じまとまりを一息で言える状態が目標です。ただし、苦しいまま無理に繰り返す必要はありません。短く区切り、音声確認や音読へ戻り、最後にもう一度一文へつなげましょう。
なお、英語練習に限らず日常生活でも強い息苦しさがある場合や、練習中にめまい・胸の痛みなどを感じた場合は、練習を中止してください。
