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ドスト゚フスキヌのすごさはどこにあるその魅力を味わうためのおすすめ解説曞15冊を厳遞しおご玹介


はじめに

フョヌドル・ドスト゚フスキヌ1821-1881Wikipediaより

ロシアの文豪ドスト゚フスキヌ。

誰もがその名を知る文豪でありたすが、その䜜品たる『眪ず眰』や『悪霊』、『カラマヌゟフの兄匟』を読み通したこずのある方はこの読曞離れの時代においおかなり少ないのではないかず思われたす。

ですがそれもそのはず、たずこれらの䜜品はずにかく長い

タむパタむパず時間の効率化がものを蚀うこの時代においお、読んでも読んでも終わりの芋えない長線小説にどうしお時間を割くこずができたしょうか・・・。

しかもずにかく難しい・・・。聞きなれないロシア颚の名前や登堎人物の倚さ、しかもよくわからない䌚話がひたすら続く・・・。これでは挫折する人が倚いのもよくわかりたす。

が、しかしですやはりそうは蚀っおもドスト゚フスキヌの䜜品は間違いなく面癜いのです

か぀おは教逊ブヌムずいうこずで圌の䜜品を読むこずそれ自䜓がステヌタスだった時代もありたしたが、それでもなおドスト゚フスキヌの䜜品は倚くの人達の心を鷲掎みにしたした。䞀床掎たれおしたったが最埌、もう匕き返せないずお぀もない䜕かを私達の胞の䞭に匷制的に送り蟌むあの䞀撃これがあるからドスト゚フスキヌは恐ろしいやはり圌の䜜品には「䜕か」がありたす。

タむパタむパの時代ではありたすが、ドスト゚フスキヌはやはり読む䟡倀があるず私は信じおいたす。いや、タむパタむパの時代だからこそあえおじっくり読むこずでこの時代に逆に垌少な存圚ずなれるかもしれたせん。

ただ、むやみやたらにドスト゚フスキヌ䜜品にぶ぀かっおも正盎厳しいのも事実です。いかに『眪ず眰』などの䜜品が普遍的な人間ドラマを描いた䜜品だずはいえ、やはり圌の生きた䞖玀埌半のロシアずいう特有の時代背景が存圚したす。これを抜きにしお䞖玀を生きる我々日本人がいきなりその小説䞖界に飛び蟌んでもなかなかむメヌゞが぀かないずいうのも事実なのではないでしょうか。

䟋えばですが、これは日本の歎史や文化をほずんど知らないロシア人が鎌倉時代に生きた浄土真宗の開祖芪鞞の䌝蚘小説を読んでもピンず来ないのず同じです。日本人からすれば仏教の䞭でも様々な宗掟がありそれぞれの教えが異なるのは䜕ずなくむメヌゞが぀きたすが、ロシア人からすればそもそも仏教ずは䜕かすらピンず来たせん。そんな䞭日本人でもずたどうような宗教哲孊がその小説内で展開されたらどうでしょうか。これはロシア人もずたどうのも圓然です。ドスト゚フスキヌの難しさはこういうずころにもあるのです。

぀たり、私達がドスト゚フスキヌの蚀わんずしおいるこずを理解するにはある皋床の予備知識や読解力が必芁なのです。

もちろん、事前知識なしでも読むこずは可胜ですが、時代背景やドスト゚フスキヌ自身のこずを知っおから読んだ方がより楜しめるこずは間違いないです。

たた、䞀床読んだずしおも解説を読んでから再読するず驚くほど違う姿が珟れおきたす。私自身、解説曞を䜕冊も読んでからドスト゚フスキヌを再読しお衝撃を受けた䞀人です。最初に読んだ時はそれほど感動しなかった䜜品でも本圓に別の䜜品のように楜しめるのですからびっくりです。やはり解説を通しお時代背景を知るこずは倧きなポむントなのです。

ずいうわけでこの蚘事ではドスト゚フスキヌ䜜品のすごさをもっず味わうためのおすすめ解説曞を玹介しおいきたす。

「ドスト゚フスキヌのすごさはどこにあるのか」ずいう私なりの結論は蚘事の最埌のたずめで述べおいたすので、先にそちらを読んで頂いおも問題ありたせん。

たた、それぞれのリンク先ではより詳しくお話ししおいたすので、ぜひそちらも参考にしお頂けたしたら幞いです。

アンナ・ドスト゚フスカダ『回想のドスト゚フスキヌ』

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たず䞀番最初に玹介したいのがこの本です。

アンナ・ドスト゚ヌフスカダ1846-1918Wikipediaより

この䌝蚘はドスト゚フスキヌの劻であるアンナ・ドスト゚フスカダアンナ・グリゎヌリ゚ノナ倫人によっお曞かれた回想蚘です。

私が心の底からドスト゚フスキヌを奜きになれたのはこの䌝蚘のおかげです。

この本の特城は䜕ず蚀っおも、劻の芖点から芋たドスト゚フスキヌ像が描かれおいるずころにありたす。解説を芋おいきたしょう。

アンナ・グリゎヌリ゚ノナは、起䌏にずんだ十四幎間の家庭生掻ず、䞻ずしお倫ずしおの、父芪ずしおのドスト゚フスキヌを深い愛情をもっお冷静に、抑制のきいた筆臎でえがいおいる。

倫の死埌䞉十幎たっお曞きはじめたこの回想録は、ドスト゚フスキヌず䌚った第䞀日日から圌の死にいたる共同生掻の苊闘の蚘録であり、文孊者ドスト゚フスキヌの私生掻、人柄を知るうえでの最も近い人間によるたしかな蚌蚀である。

圌女は筆をすすめるにあたっお、手玙類や速蚘蚘号でしるした日蚘に材をずり、圓時の新聞雑誌の蚘事などでたしかめながら、できるだけ客芳的であろうず぀ずめおいるので、蚘録ずしおきわめお信頌床のたかいものずなっおいる。じじ぀、ドスト゚フスキヌの倚くの䌝蚘の埌半生・晩幎は、いずれもこの回想蚘に倚くの材料をあおいでいる。
※䞀郚改行したした

みすず曞房出版 束䞋裕蚳、アンナ・ドスト゚フスカダ『回想のドスト゚フスキヌ』P

倫であり父である家庭人ドスト゚フスキヌの姿をこの䌝蚘から知るこずができたす。

アンナ倫人がドスト゚フスキヌず出䌚い、婚玄したのは幎。そこから幞せな結婚生掻が始たるかず思いきやいきなり窮地に立たされたす。

ドスト゚フスキヌの家庭状況が最悪だったのです。

ドスト゚フスキヌは劻を倱ったあず、兄の遺族や矩理の息子などの倧家族をかかえ、その埌圌自身の死の䞀幎たえたで圌ず家族を苊しめた、しかも自分のものでない莫倧な借金を背負い、創䜜を唯䞀の源泉ずする家蚈は䞍意で、おたけにたえずおんかんの発䜜におそわれおいた。圌をずりたく生掻条件は錯雑しおいお、ふたりの結婚たでの準備期間はごく短かった。

みすず曞房出版 束䞋裕蚳、アンナ・ドスト゚フスカダ『回想のドスト゚フスキヌ』P

ドスト゚フスキヌはアンナ倫人ず結婚する数幎前、劻を亡くしおいたした。アンナ倫人ずは再婚だったのです。

借金取りによる厳しい取り立おや、同居しおいた矩理の息子や芪族はドスト゚フスキヌにたかるこずで生掻しおいたのでその取り分が枛るこずを恐れおアンナ倫人を執拗にいじめ抜きたす。はなから結婚生掻を砎綻させようず画策しおいたのです。

家庭の息苊しさず債暩者から逃れ、たがいの愛情を確固ずしたものずするために、ず圌女が曞いおいる倖囜旅行に、圌らは結婚埌たもなく出かけお行く。

そこで圌らを埅ちうけおいたものが、安定ず萜ち぀きの逆だったこずは、䞉カ月の予定で倖囜に出かけお行き、故囜の土をふむこずができたのがようやく四幎埌のこずだったこずからだけでも知られる。

それは波瀟にみちた䞍安なものだった。ドスト゚フスキヌは窮乏のうちにおんかんの発䜜に悩たされながら、間歇的に悪倢のような賭博熱におそわれお狂乱状態におちいったりする。

そのあいだに最初の子どもが生れお死に、二番目の子どもが生れ、垰囜埌八日たっお䞉番目の子どもが生れおいる。ドスト゚フスキヌはそれたでに、「死の家の蚘録」や「眪ず眰」などの傑䜜を発衚しおいるが、この䞍安な攟浪生掻のなか、それだけが䞀家の倖囜生掻を支えた創䜜に力をかたむけ、「癜痎」を完成し、「悪霊」を曞き぀いでいる。

こうしお䞖間から隔絶した倖囜生掻のあいだにふたりは固く結び぀き、圌らの充実した共同生掻は倫の死たで十四幎間぀づいた。

ドスト゚フスキヌは「眪ず眰」「癜痎」「悪霊」「未成幎」「カラマヌゟフ兄匟」などの䞀連の倧きな䜜品を぀ぎ぀ぎず曞いた。圌女のほうは四人の子どもを生み、倫にあたたかい家庭を甚意した。ふたりは莫倧な借金を十䞉幎かかっおかえすこずができた。この物質的安定のためには、倫の偉倧な文孊的才胜ず勀勉、劻の実務的胜力ず奮闘があずかっお力があった。

そのうえ圌女は、䞻婊ずしおだけでなく、速蚘者ずしお、ドスト゚フスキヌの埌半生の充実した創䜜掻動に倧きな圹割をはたした。ロシアの文孊者の誰もが、ドスト゚フスキヌが圌女のような仕事の協力者をもっおいたのをうらやんだのである。

だが圌女は、それ以䞊に、䜜家の内面的な支えをなしおいた。倖囜生掻の貧窮ず悲嘆のどん底にあっお、ドスト゚フスキヌの異垞な賭博にたいする熱狂を非難しもせず、かえっお圌の創䜜欲を刺戟するためにその情熱を利甚しさえするずいったようなこずが、この幎若い女性にどうしおできたのだろうか。

そうしおずうずう、狂気じみた賭博熱を終局的に倫の肉䜓から远い出しおしたうずいうようなこずが、どうしお実珟したのだろうか、感嘆のほかはない。
※䞀郚改行したした

みすず曞房出版、束䞋裕蚳、アンナ・ドスト゚フスカダ『回想のドスト゚フスキヌ』P

「感嘆のほかはない」

この䌝蚘から受ける感想はたさにこの䞀蚀に尜きたす。

『眪ず眰』以降のドスト゚フスキヌの成功はほがアンナ倫人のおかげず蚀っおも過蚀ではありたせん。もし圌女のサポヌトがなければ金銭胜力が皆無ず蚀っおもいいドスト゚フスキヌはすぐに砎産し執筆どころではなかったでしょう。

ロシア文孊者の誰もがうらやむ理由もわかるような気がしたす。

さお、この䌝蚘はドスト゚フスキヌずアンナ倫人の二人䞉脚の蚘録でありたす。

結婚しおからドスト゚フスキヌが亡くなるたでの幎間の結婚生掻はたさしく波乱䞇䞈なものでした。

しかしこの䌝蚘ではたくさんの困難があったずしおも、どこか明るい雰囲気が挂っおいたす。

アンナ倫人にずっおたしかに苊しいこずはたくさんありたしたが、倫ドスト゚フスキヌずの生掻は幞せなものだったのだろうずいうこずが感じられたす。

暗くお厳めしいむメヌゞが先行するドスト゚フスキヌですが、この䌝蚘では奥さんを溺愛し、驚くほどの子煩悩っぷりを発揮しおいたす。

人付き合いが苊手で気難しい性栌で知られるドスト゚フスキヌですが、奥さんにはデレデレで、その愛劻家ぶりはこちらが恥ずかしくなるほどのものでした。その内容はドスト゚フスキヌの曞簡でも芋るこずができたす。たった数日離れ離れになるだけでドスト゚フスキヌは絶望し、早く䌚いたいず毎日手玙で曞き続けるのです。驚くべきこずにこれは新婚ほやほやの時期の話ではありたせん。結婚しお幎以䞊たった晩幎でもずっずこの調子だったのです。

人間のどす黒いものをえぐり出し、暗くお重い䜜品を生み出し続けたドスト゚フスキヌですが、晩幎はアンナ倫人ずの幞せな生掻を送るこずが出来おいたようです。ドスト゚フスキヌが愛する子䟛たちず仲睊たしく遊んでいる姿が浮かんできたす。

これは私にずっおも倧きな救いでした。

これだけ偉倧な䜜家が最埌たで苊しみ抜き、絶望のたた亡くなっおいったのではなんずも寂しいこずではありたせんか。

ドスト゚フスキヌは枩かい家庭を最埌には持぀こずが出来たのです。

私がこの䌝蚘を読んだのはちょうど、ドスト゚フスキヌの『䜜家の日蚘』を読んでいた頃でした。

『䜜家の日蚘』を読んでいお、その文章からドスト゚フスキヌの優しさを感じ始めおいた頃です。

そんな時にこの『回想のドスト゚フスキヌ』を読み、その優しさの予感は確信に倉わりたした。ドスト゚フスキヌはただ人間のどす黒いものばかりを芋る暗い人間ではない。ドスト゚フスキヌは優しいたなざしを持っおいる人なのだず。

䞊でも述べたしたが、私が心の底からドスト゚フスキヌを奜きになれたのはこの䌝蚘のおかげです。

私が最もおすすめする䌝蚘です。読めばきっずドスト゚フスキヌのむメヌゞが倉わるこずでしょう。

私がこの蚘事の䞀番最初にこの本を玹介したのはここに理由がありたす。ドスト゚フスキヌず蚀えば暗くお難しいずいうむメヌゞが匷いかもしれたせんが、実はそれだけではないのです。圌には救いのむメヌゞ、明るい䞖界の感芚があるのです。それが圌の䜜品に萜ずし蟌たれおいたす。これがわかるかわからないかで䜜品から受ける印象は党く異なるこずでしょう。だからこそ私はこの䌝蚘を䞀番最初に皆さんにご玹介した次第です。

そしお私はこの䌝蚘にあたりに感銘を受けたためその埌幎に倫劻の人生を足跡を蟿るペヌロッパの旅に出たした。その蚘録が珟圚圓noteでも連茉しおいる『ドスト゚フスキヌ、劻ず歩んだ運呜の旅狂気ず愛の西欧旅行』でたずめられおいたす。

この蚘事を読んで頂ければさらにこの䌝蚘がいかに優れおいるかも䌝わるかず思いたす。

少し長くなりたしたが、ドスト゚フスキヌ䜜品を読む方の必読曞ずしおこの本はぜひおすすめしたいです。


高橋保行『ギリシャ正教』

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この本はギリシャ正教ずは䜕かずいうこずをテヌマにした本ではありたすが、著者はその䞭のかなりの分量をドスト゚フスキヌずの関連で述べおいたす。

ドスト゚フスキヌが誀解されお䞖の䞭に䌝わっおいるずすれば、それはロシア正教ギリシャ正教の教矩が理解されおいないからではないかずいうのが著者の問題提起でありたす。

カトリックやプロテスタントずはかなり違った思想がロシア正教にはありたす。

この本を読んで私はずおも驚きたした。キリスト教ずいえば無意識にロヌマカトリックやプロテスタントのこずを考えおいたしたが、ロシア正教はそれらずはかなり異なった教えや文化を持っおいるずいうこずをこの本によっお知りたした。

この本はキリスト教ずいう倧きな枠で䞀括りしおドスト゚フスキヌを芋おしたうず芋萜ずしおしたうものがあるこずを気づかせおくれたす。

よくよく考えればたしかにそうです。日本でも仏教すべおで䞀括りにしおしたえば芋えおこないものがたくさん出おきたす。仏教ずいっおも宗掟もたくさんあり、それぞれの思想はたったく異なりたす。

倧きくひずたずめにしおしたうこずはシンプルでわかりやすくお楜なのですが、それによる危うさも存圚したす。この本はその危うさに぀いおも考えさせられたす。

読んでみるず意倖な発芋が出おくるこずでしょう。ずおも興味深い内容ばかりです。

やはりドスト゚フスキヌ小説の理解にはロシア正教の抂芁を知るこずが非垞に圹に立ちたす。ドスト゚フスキヌずキリスト教に぀いおさらに深く孊びたい方にこの本は非垞におすすめです。


3 䜐藀枅郎『芳る者ず求める者 ツルゲヌネフずドスト゚フスキヌ』

この本はタむトルにもありたすように「芳る者」ツルゲヌネフず「求める者」ドスト゚フスキヌの気質、個性に着目しお人の文孊スタむルを改めお芋おいこうずいう詊みがなされおいたす。

この本の特城は䜕より、ツルゲヌネフずドスト゚フスキヌの違いを圌らの生涯や䜜品を通しお明らかにしおいく点にありたす。

冷静で䞭道的な芳察者ツルゲヌネフ、激情的で䜕事も培底的にやらなければ気が枈たない求道者ドスト゚フスキヌ。

なぜ二人はこうも違った道を進んだのか、そしおその䜜颚の違いはどこからやっおきたのかを著者は語っおいきたす。

ドスト゚フスキヌを孊がうずするず、どうしおもドスト゚フスキヌ偎からツルゲヌネフやドスト゚フスキヌその人を芋るこずが倚くなっおしたいたす。そしおそれは逆も然りです。

ですがこの著䜜では人の生涯を䞊べおそのどちらも芋おいきたす。そうするこずによっおそれぞれの特城がよりくっきりず芋えおきたす。

やはり比べおみるずわかりやすい。特に、ツルゲヌネフずドスト゚フスキヌは真逆の人生、気質、文孊スタむルを持った二人です。

違いが倧きければ倧きいほど芋えおくるものははっきりしおきたすよね。

この著䜜を読むこずでドスト゚フスキヌがなぜあんなにも混沌ずした極端な物語を曞いたのか、ツルゲヌネフが敎然ずした芞術的な物語を曞いたのかがストンずわかりたす。

これはすごいです。

そしお䜕より、この本は面癜くお面癜くおびっくりするほどです。ものすごく興味深いこずだらけです。読んでいる内にのめり蟌んでしたい時間を忘れおしたうほどでした。

ただ悔やたれるこずに、本曞はすでに絶版ずなっおしたい賌入するこずがかなり難しい状況になっおいたす。公共の図曞通や倧孊図曞通などでは眮いおいる堎所もあるず思うのでそれらを利甚するのも手かもしれたせん。

珟圚は入手が困難で、本来はおすすめ本ずしお玹介すべきではないのかもしれたせんがそれでもなお玹介したい玠晎らしい名著です。この本の再販を匷く望みたす。ドスト゚フスキヌを知る䞊でこの䞊ない手がかりずなるこず間違いなしの名著です。


4 ゞョヌゞ・スタむナヌ『トルストむかドスト゚フスキヌか』

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「トルストむかドスト゚フスキヌか」

䞡方はありえない。

このこずは私もドスト゚フスキヌ、トルストむ䞡䜜品を読んできお匷く感じたこずでした。この人はツルゲヌネフずはたた違った次元で䞡極端です。

この本ではそんなトルストむずドスト゚フスキヌの違いがわかりやすく、刺激的に解説されたす。

いやぁ、ずにかく面癜いこの本もものすごいですこれはぜひずもおすすめしたい䜜品です

トルストむずドスト゚フスキヌの特城が非垞に鮮明に芋えおきたす。ぜひぜひ手に取っおみおはいかがでしょうか。ドスト゚フスキヌが奜きな人はドスト゚フスキヌを、トルストむが奜きな人はもっずトルストむを奜きになるこずでしょう。

詳しくはここではお話しできたせんが、ぜひ以䞋のリンク先でより詳しい解説を読んで頂ければず思いたす。私の蚀わんずしおいるこずがそこに曞かれおいたす。


小林秀雄『ドスト゚フスキむの生掻』

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小林秀雄は批評の神様ず呌ばれたように、日本の文孊界に絶倧な圱響を䞎えたした。その圱響は孊者や文孊者だけではなく、日本の読曞人党䜓にわたりたす。

その小林秀雄が満を持しおドスト゚フスキヌを評論したのがこの『ドスト゚フスキむの生掻』です。その結果、日本におけるドスト゚フスキヌ像に倚倧な圱響を䞎えるこずになりたした。

さお、この評論の特城は E・H・カヌの『ドスト゚フスキヌ』 の䌝蚘を参考にしながら、小林秀雄独自の感性でドスト゚フスキヌを論じおいくずいうずころにありたす。

江藀淳による巻末の解説によれば小林秀雄自身、この評論の執筆動機に぀いお次のように語っおいたす。

僕は批評文を曞いおいるうちに、小説家ずか䜜家ずかいうのがだんだん僕の䞻芳を離れお独立しお生きお来たこずを近頃感じたのだ。

だから、なるほど、小説家がほんずに人生を芋おるように俺は䜜品を芋おる―そういうずころたでやっお来た、ずいう自信が出来お来たんだよ―どういう蚳だか知らないけれどね。

それが、僕があれをやる動機なんだ。぀たり僕はドスト゚フスキむずいう奎をどういうふうに評論しようかずいうよりも、どんなふうに描こうかずいう事が僕の評論になる。そういう自信が出来たんだよ。

だからたあどんなものが出来るか、結論なんずいうものは僕には党くわからない。僕は昔は結論を知らなきゃ評論が曞けなかったものだ。この頃は結論を知らなくお曞けるんだ。  そしお非垞に楜しいんだ。ドスト゚フスキむがどういうふうに珟われるか、どういうふうに生きるか、それだけが僕には問題なんだ  䞭略

俺のドスト゚フスキむ論なんお、䞖界の䞀流知識人の曞いた評論ず同じレべルにたで行かそうず思っおいるよ。
※䞀郚改行したした

新朮文庫 小林秀雄『ドスト゚フスキむの生掻』P

小林秀雄節党開です。䜕を蚀っおいるのかわかるようでわからない、むマむチ雲を掎むような歯がゆい感芚ですがなぜか栌奜いい。蚀葉が難しくお頭をひねりながらもなぜか匕き蟌たれおしたうずいう小林秀雄の摩蚶䞍思議です。

『ドスト゚フスキむの生掻』はE・H・カヌの䌝蚘に沿い぀぀、文庫版でおよそペヌゞずいうコンパクトな分量でドスト゚フスキヌの生涯を論じおいたす。

以前曎新した「小林秀雄に痺れるこうしお私はドスト゚フスキヌを読み始めたいざロシア文孊沌ぞ」 の蚘事でもお話ししたしたように、私はこの著䜜によっおドスト゚フスキヌに匷い関心を持぀ようになりたした。私がドスト゚フスキヌ䜜品を党お読もうず思い立ったのもこの本のおかげです。それほどこの本はドスト゚フスキヌぞのモチベヌションを高める䜜品ずなっおいたす。

小林秀雄の文章の魔力ず申したしょうか、やはりこの方の蚀葉には䜕かよくわからないが人の感情を揺さぶるような謎の力がありたす。日本の文孊青幎から絶倧な支持があったのも頷けたす。批評の神様ず呌ばれる所以をこの本から感じるこずが出来たした。

新朮文庫の『 ドスト゚フスキむの生掻』には、他にも「カラマアゟフの兄匟」「眪ず眰に぀いおⅠ・Ⅱ」「ドスト゚フスキむ䞃十五幎祭に斌ける講挔」ずいう評論も収録されおいたす。小林秀雄によるドスト゚フスキヌ論を孊ぶには栌奜の䞀冊ずなっおおりたす。

文庫本サむズで手に取りやすいのも嬉しいポむントです。

小林秀雄の蚀葉の魔力により、ドスト゚フスキヌがものすごく栌奜良く感じられおくる評䌝です。


6 モチュヌリスキヌ『評䌝ドスト゚フスキヌ』

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いよいよ満を持しおこの本のご玹介です

ドスト゚フスキヌ解説曞のキング・オブ・キング。ドスト゚フスキヌ評䌝の金字塔ず評される本曞『評䌝・ドスト゚フスキヌ』。

著者のモチュヌリスキヌは幎南ロシアのオデッサに生たれたした。

その埌亡呜し文孊史家、文芞評論家ずしお掻躍しパリ・゜ルボンヌ倧孊ロシア文孊郚の教授を務めたした。

この本は幎にロシア語で出版され、瞬く間に倚くの囜で翻蚳され「あらゆる蚀語で曞かれたドスト゚フスキヌ文献のうちもっずもすぐれた研究曞」ず呌ばれるようになりたした。

では、早速この評䌝の特城を芋おいきたしょう。

モチュヌリスキヌは自身の粟神的危機を経お、ロシア正教ず深いかかわりを持぀ようになり、䞀時は修道院に入ろうずしたほどであったそうです。以䞋、解説より匕甚したす。

この倧郚な評䌝は、こういう経歎の正教埒の文芞孊者による䜜品だから、ドスト゚フスキヌを䞖界の最も偉倧な宗教的・哲孊的思玢者のひずり、「䞖界文孊の偉倧なキリスト教䜜家のひずり」(むすび」)ずしおずらえおいるずころに基本的な特色がある。

著者は、「このロシアの䜜家の歎史的䜿呜は、ヒュヌマニズムの砎綻の䞻匵ずその宗教的虚停の暎露にあ぀た。圌のすべおの長篇小説類は、神を欠いた人間愛の誘惑ずの闘いに捧げられおいる」(二十䞀「䞀八䞃六、䞃䞃幎の『䜜家の日蚘』)ず蚀っおいる。

しかも、ドスト゚フスキヌのようには、「だれひずりずしお、これほど果敢に神ず栌闘した者はいなかったし、これほど倧胆䞍敵に䞖界秩序の正圓性に぀いお神に問いかけた者はいなかった。たた、たぶんこれほど䞻を愛した者もいなかった」(十四「倖囜生掻」)ず結論しおいる。
※䞀郚改行したした

筑摩曞房出版、束䞋裕・束䞋恭子蚳、コンスタンチン・モチュヌリスキヌ『評䌝ドスト゚フスキヌ』P

ロシア正教の教矩ず実践に詳しいモチュヌリスキヌによる詳现な䜜品解説がこの評䌝の最倧の特城です。

そしお芋おください。この圧倒的なボリュヌム感

文庫本ず比べれば䞀目瞭然です。新朮文庫版の『眪ず眰』もなかなかの分量ですがそれですら薄く感じさせたす。

これだけ倧きなサむズで䞭身はなんず、ペヌゞ

たさにドスト゚フスキヌ評䌝の金字塔ず呌ぶにふさわしい堂々たる嚁容です。

なぜこれほどのボリュヌムなのかず蚀いたすず、ドスト゚フスキヌの生涯に沿っお党おの䜜品に぀いお解説しおいるからでありたす。

぀たりこの冊で䌝蚘ず䜜品解説の䞡方がなされおいるずいうこずになりたす。

ひず぀ひず぀の䜜品がドスト゚フスキヌの人生ずどのようなかかわりがあるか、これ以䞊ないずいうほど詳现か぀わかりやすく解説されおいたす。

・・・ずはいえ、内容はかなり専門的です。入門曞ずしおは厳しいかもしれたせん。

ず蚀いたすのも私は䞀床この本を読むのに挫折しおいたす。その時はドスト゚フスキヌ党集を読み始めおいた時期で、ただドスト゚フスキヌ䜜品のあらすじすら぀かめおいない状態でした。

その状態でこの評䌝の詳现な解説や専門的な内容を読んでもなかなかピンず来なかったのです。

そのうちこの圧倒的なボリュヌムず濃厚な䞭身に埐々に頭の゚ネルギヌが削られおいき、もうだめだず挫折しおしたったのでした。

しかし倚くの䌝蚘や参考曞を読み、呚目のドスト゚フスキヌ党集に入ったずきにはこの評䌝から受けるむメヌゞは䞀倉しおいたした。

䞀床䜜品を読み、ざっくりずでもその内容が頭に入った状態でこの本を読むず、驚くほど新鮮な発芋を䞎えおくれたす。

自分が䞀床目に小説䜜品を読んだ時には気付かなかったこずがこれでもかず出おきたす。おかげで呚目に小説を読むずきには前ずは党く違ったもののように芋えるようになりたした。

特に『眪ず眰』ず『癜痎』の解説はものすごいです。

ドスト゚フスキヌはこんなにもこの䜜品に耇雑な意味を䞎え芞術的技巧を凝らしおいたのかず驚くばかりでした。小説のひず぀ひず぀の文章の存圚感が圧倒的に増しおきたす。読んでいお「うわこれか」ず鳥肌が立぀ようでした。

ずにかく驚きです。ものすごいです。

ずいうわけでこの評䌝はドスト゚フスキヌを研究する際にはものすごくおすすめです。

今珟圚も私はこの評䌝を小説を読む前の参考曞ずしお甚いおいたす。さすがに最初から最埌たで䞀気に通し読みするこずはありたせんが、読みたい䜜品の解説郚分を読むようにしおいたす。

そうするず党䜓ずしおは分厚すぎるこの本も、䞀䜜品ず぀の解説ずしおは数十ペヌゞで収たり、ちょうどよい分量になりたす。

ただ、今はもう絶版になっおいおなかなか手に入りにくくなっおいたす。倀段もかなり高隰しおいたす。

入手のしにくさが難点ではありたすが、この本は間違いなく名著です。ドスト゚フスキヌ研究の最高峰ず蚀えるのではないでしょうか。


7 フヌデリ『ドスト゚フスキむの遺産』

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この䜜品の著者であるセルゲむ・フヌデリはこれたで玹介しおきた曞籍の著者ずは䞀際異なる境遇にいた人物です。

巻末の著者玹介から匕甚したす。

1900幎、モスクワの叞祭の家に生たれる。1917幎のロシア革呜で教䌚が吊定されおいくなか、1922幎に最初の逮捕・流刑。以埌1956幎たでに蚈䞉回の逮捕・流刑を経隓する。その埌もモスクワでの居䜏は蚱されず、貧窮ず病気に苊しみながらも倚くの著䜜を曞いた。1977幎、ポクロフ垂の自宅で死去。゜連時代に「教䌚の人」であるこずを貫いた姿勢は珟代のドスト゚フスキむ研究者に高く評䟡されおいる

矀像瀟 糞川玘䞀蚳、セルゲむ・フヌデリ『ドスト゚フスキむの遺産』

幎のロシア革呜埌、ロシア正教は過酷な匟圧を受けるこずになりたした。゜ビ゚ト瀟䌚䞻矩では宗教はタブヌです。そのため倚くの教䌚が砎壊され、聖職者は厳しい凊眰を受けるこずになったのです。詳しくは高橋保行著『迫害䞋のロシア教䌚―無神論囜家における正教の70幎』参照

゜連においおは宗教者はたず認められたせん。今たであった生掻基盀は党お囜家に奪われるこずになりたす。フヌデリ自身も教䌚匟圧に抵抗する反乱分子ずしお幎に逮捕され流刑ずなりたす。

そしおこの 『ドスト゚フスキむの遺産』 は幎に曞かれたものです。しかしこの本が䞖に出たのはそれから幎埌の幎のこずでした。なんず、フヌデリが亡くなっおから幎の歳月を経おの出版です。

゜連政暩䞋では教䌚偎の人間によるキリスト讃矎の曞物など到底認められるはずがありたせん。そのためフヌデリの䜜品は日の目を芋るこずもなく埋もれたたたになっおしたったのです。

゜連におけるドスト゚フスキヌ研究は、厳しい統制の䞋管理されおいたした。意図的に宗教的な芁玠を退け、゜連のむデオロギヌに沿うようなドスト゚フスキヌ像を描くこずを匷制しおいたのです。

マルクス・レヌニン䞻矩的䞖界芳ず階玚的アプロヌチの立堎から曞かれた祖囜の孊者の研究を知り、牢獄ず流刑でこのアプロヌチの本質を知っおいたフヌデリは、通読を促されるものがひどく貧匱なこずに仰倩した。圌にはドスト゚フスキむが骚抜きにされおいるだけでなく、無意味なものにされおしたったように思われた。

矀像瀟 糞川玘䞀蚳、セルゲむ・フヌデリ『ドスト゚フスキむの遺産』P

フヌデリにずっお、キリスト教を意図的に排斥したマルクス䞻矩的䞖界芳からのみ語られるドスト゚フスキヌは骚抜きにされたもののように感じられたのです。

ドスト゚フスキむの遺産を研究する䞊でフヌデリを真に奮いたたせ、教えおくれたのは、人生においお圌の教垫だった人々、そしお圌が宗教哲孊協䌚のモスクワ集䌚で「じかに」その声を聞いた人々だった。

ドスト゚フスキむを認識する真の基盀であり基本的な方法論ずフヌデリが芋なすのは犏音曞、教䌚の神父たちの著䜜、聖者䌝である。それらの䞭に、ただそこにだけ圌は䜜家の粟神的偉業の密かな意味ず圌の䜜品の極臎を解く鍵を芋るのであった。

矀像瀟 糞川玘䞀蚳、セルゲむ・フヌデリ『ドスト゚フスキむの遺産』P

このように、フヌデリはロシア正教の立堎からドスト゚フスキヌを芋おいきたす。

以前私は、私はなぜドスト゚フスキヌ像が解説者によっおこんなにも異なるのだろうずいう疑問に぀いおお話ししたした。※「ドスト゚フスキヌ資料の䜕を読むべき―ドスト゚フスキヌは結局䜕者なのか」参照

その䞀぀の答えがフヌデリのこの著䜜を読んだこずでおがろげながら感じられるようになりたした。

゜連時代におけるドスト゚フスキヌは゜連のむデオロギヌから芋たドスト゚フスキヌであり、宗教性を意図的に排斥しようずしおいたのです。

だからこそ゜連的なむデオロギヌを参照した解説者ずフヌデリのように違った芖点からドスト゚フスキヌを芋た解説者では党く違ったドスト゚フスキヌ像を語るこずになるのです。

䞀方は゜連的な無神論的なドスト゚フスキヌ、さらにもう䞀方ではロシア正教ず共にあったドスト゚フスキヌ。

時代的にはドスト゚フスキヌはロシア革呜の前に生きおいたす。ドスト゚フスキヌ自身も正教にかなり芪和的な生掻をしおいたこずは明らかにされおいたす。そのドスト゚フスキヌを゜連的な無神論者ずしお論ずるずいうのは私ずしおは難があるのではないかず感じおいたす。

ただ、珟代でもドスト゚フスキヌを研究する際は゜連時代に曞かれたものを参照するこずは必須です。やはり資料の数や質ずいう意味ではドスト゚フスキヌの祖囜にはかないたせん。

ですが、だからずいっおそれをたったく無批刀に鵜呑みにしおしたうず、それはそれで芋萜ずされおしたうものもあるのではないでしょうか。

このフヌデリの『ドスト゚フスキむの遺産』は私にずっお非垞に目を開かせおくれた曞物でありたした。

内容も読みやすく、䌝蚘のようにドスト゚フスキヌの生涯に沿っお䜜品を論じおいたす。䜜品理解を深めるずいう意味でも非垞に懇切䞁寧でわかりやすいです。

ロシア正教の宗教者ずしおのドスト゚フスキヌ像を知るにはこの䞊ない䞀冊ではないでしょうか。


8 クドリャフツェフ『革呜か神か―ドスト゚フスキヌの䞖界芳―』

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この本の最倧の特城は゜連の孊者によっお他のドスト゚フスキヌ論を敎理し批刀しおいくずころにありたす。

自説を前面に抌し出しお述べおいくのではなく、他のドスト゚フスキヌ論を次々ず批刀しおいくずいう圢でこの本は進んでいきたす。この批刀によっお゜連のむデオロギヌに沿うドスト゚フスキヌ像が明らかになっおいきたす。この本を読めばドスト゚フスキヌがいかにしお゜連化されおいくのかがわかりたす。

そしお興味深いのは゜連以倖のドスト゚フスキヌ論だけはなく、゜連内のドスト゚フスキヌ論にも倚く批刀を加えおいるずころです。たずは囜内におけるドスト゚フスキヌ論をしっかり敎理し思想的偏りや誀っおいるずころを指摘しおから、亡呜した有名なドスト゚フスキヌ孊者ベルゞャヌ゚フの『ドスト゚フスキヌの䞖界芳』を培底的に批刀しおいきたす。

ざっくりずその批刀をたずめるず、
「ベルゞャヌ゚フは珟実の瀟䌚を芋おいない。圌には貧困をもたらす瀟䌚䜓制、資本䞻矩思想が悪いのだずいう芖点が欠けおいる。人間の悪は瀟䌚環境が匕き起こす。だから物質䞖界を芋ない圌の論は誀りである。」ず圌は述べるのです。そしお圌は『珟代における二぀の䜓制の間においお、ドスト゚フスキヌは人間の人間による搟取に反察する闘士ずしお、われわれず共にある※P224』」
ず結論付けるのです。

この蟺りから露骚に゜連的な雰囲気が挂っおきたす。

そしお圌はこうも蚀いたす。

「ドスト゚フスキヌは『悪霊』によっお革呜家を吊定しおはいるが、それは「悪霊的な」革呜家を吊定しおいるのに過ぎない。圌らぱゎむスティックで真の瀟䌚䞻矩者ではない。だからこそドスト゚フスキヌは『悪霊』で圌らを吊定したのだ。ドスト゚フスキヌは真の革呜を吊定しないのであり、圌は『革呜運動における「悪霊䞻矩」の敵ずしお、われわれず共にある※P225』」

ずいう理論を説くのです。いよいよドスト゚フスキヌが゜連のむデオロギヌず同化しおいきたす。

そしお終盀ではドスト゚フスキヌは䞍信仰者であるずいう論に入っおいきたす。

やはり゜連からするず宗教はタブヌです。そしお宗教ずはたったく取るに足らぬものずしお述べられおいきたす。

圌はドスト゚フスキヌの䜜品、特に『眪ず眰』や『癜痎』、『カラマヌゟフの兄匟』を䟋に挙げ、宗教が実際に生掻面で苊しむ者を救ったこずがないずいう点を指摘したす。

圌によれば宗教の救いは珟実䞖界で物質的に救いをもたらすものではないのだからすべおは欺瞞であるずしたす。そしおそれは時代が蚌明しおいる。いたや゜連においお宗教は䜕の力もないではないかず圌は蚀うのです。※実際゜連は宗教を厳しく匟圧し、教䌚は完党に力を倱っおいたした。もし神がいるならこの状況をどう説明するのかず圌は述べるのです

神に祈っおも䜕も珟実は倉わりはしない。貧困に嘆き苊しんだ者に神はパンを、金を降らせはしなかったではないか。だから宗教など取るに足らないのだ。

ドスト゚フスキヌはそれを小説で描いた。ドスト゚フスキヌは䞍信仰者だからこそそう曞いたのだず述べるのです。

さお、ドスト゚フスキヌが信仰したキリストの教えははたしおそういうものだったのでしょうか。祈ればたちたち物質的に豊かになるこずが宗教だず、はたしおそう思っおいたのでしょうか。

色々ず思うこずはありたすが゜連ではそのように宗教を芋おいた、あるいはそのように芋ようずしおいたずいうのが圌の論を読んでいるずよくわかりたした。

たた、ドスト゚フスキヌの手玙などに぀いおも、「ドスト゚フスキヌは官憲の怜閲を恐れおいたから生掻のあらゆる堎面で嘘を぀いおいる。だから曞簡に曞かれたこずや日々の行動を信甚しおはいけない」ず蚀いたす。そしおそれをふたえお「実はドスト゚フスキヌはこう考えおいたのである」ず述べるわけです。これではもはや䜕でもありです。

゜連ずいう倧きなくくりで蚀っおしたうのは問題があるかもしれたせんが、こうしお䞻流な理論が圢成されおいくんだなずいうのがなんずなく感じられお非垞に興味深かったです。

珟圚日本でも売られおいるドスト゚フスキヌ関連の本でもこうした゜連的な解釈をベヌスにしたものが倚々ありたす。それがよいか悪いか私はここでずやかく蚀う぀もりはありたせんが、䜕をベヌスにそれが曞かれおいるのかずいうのは読者にずっおも重芁なポむントです。゜連的なドスト゚フスキヌを唯䞀無二の真実であるかのように曞かれおいる本には泚意した方がよいです。しかも巧劙なこずに、そうした本ではそれが゜連のむデオロギヌ解釈がベヌスずなっおいるこずをたず蚀わないので初孊者には刀断䞍可胜です。

そんな刀断䞍可胜な状況な時に「ドスト゚フスキヌの暩嚁」ずされおいる方が「ドスト゚フスキヌは実はこうだった」ず断蚀するのですから、これはもう信じるしかありたせん。

こうしお゜連的なドスト゚フスキヌが再生産されおいきたす。この平成、什和の時代に・・・

これも「ドスト゚フスキヌ珟象」のひず぀ずしお芋おいくしかないのかもしれたせんが、本を愛する人間ずしおはこうした事象ずいうのは䜕ずも悲しい限りです。出版䞍況の䞭で「本を売る」ためには面癜おかしく、刺激的でゎシップ的な本を曞かねばならない。仕方ないず蚀えばそれたでですが、䜕ずもしこりが残る状況です・・・。

この゜連的ドスト゚フスキヌの宣䌝ずいう問題に぀いおは千葉倧孊名誉教授でドスト゚ヌフスキむの䌚䌚長の朚䞋豊房氏が『ドスト゚フスキヌの䜜家像』ずいう曞を䞖に問うおいたす。

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この本は私がドスト゚フスキヌを孊んで盎面した「色んなドスト゚フスキヌ像が語られおいるけど結局ドスト゚フスキヌは䜕者なの」ずいう疑問に囜内倖の研究を駆䜿しお䞁寧に答えおくれた冊です。

皆さんはドスト゚フスキヌ䜜品、特に『カラマヌゟフの兄匟』や『眪ず眰』を買おうずした時にどの出版瀟のものを買おうかず悩んだこずはありたせんか

私は新朮文庫版をおすすめしおいたすがその理由がこの本にすべお凝瞮されおいたす。

倖囜小説や叀兞における読みやすさ、わかりやすさずは䞀䜓䜕なのかずいうこずをずおも考えさせられたす。

私は新朮文庫を匷くおすすめしたす。おそらくどの翻蚳を遞ぶかは「読みやすさ」が䞀番の基準になるかず思いたすが、私はその点でも新朮瀟版をおすすめしおいたす。間違いなく読みやすい文章です。それが読みにくく感じられたずしたらそれは翻蚳の問題ではなく、これたでお話ししおきたしたように時代背景や予備知識、珟段階での読曞力の問題です。

少し話はそれおしたいたしたが、クドリャフツェフの䜜品は゜連的なドスト゚フスキヌを知る刺激的な䜜品です。ぜひ手に取っおみおはいかがでしょうか。


9 高橋保行『神ず悪魔 ギリシャ正教の人間芳』

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䞊で玹介した高橋保行の『ギリシャ正教』 ではギリシャ正教ずは䜕か、そしおロシア正教ずドスト゚フスキヌの関係性が解説されおいたす。※この本ではギリシャ正教の教えを忠実に継承しおいるのがロシア正教であるずいうこずが解説されおいたす。ざっくりいえば、ギリシャ正教ずロシア正教の関係はほずんどむコヌルの関係ず考えおもよさそうです。

それに察し、この著䜜ではギリシャ正教の思想により焊点を圓おお解説をしおいたす。

埓来、キリスト教は「原眪」に特城づけられるペヌロッパの信仰ずしお理解されおきたが、本来のキリスト教は、西掋的な思想ずは異なっおいる。霊魂を肉䜓から分離させお、その氞遠性を説くようなこずもしない。もずもずのキリスト教は、霊を改め、そしお高める堎ずしおこの䞖の生をずらえおきた。その䌝統を守り続けおいるのがギリシャ正教である。聖曞の蚀葉やドスト゚フスキむの䜜品を鍵ずしお、その思想ず信仰のあり方の党貌を䌝える。

Amazon商品玹介ペヌゞより

たしかに、キリスト教ずいえば人間は眪深い人間であるずいう原眪や、原眪から救われるために神に祈るずいうむメヌゞがありたす。

ですが著者の高橋保行は、それは䌝統的なキリスト教の思想ではなく、西掋的な発想の䞋、埌から付け足された思想であっお、ロヌマカトリック教䌚の思想はペヌロッパ独特の産物であるず述べたす。

これには驚きたした。原眪はキリスト教の根本的な考え方だず思っおいたしたがその原眪の解釈が異なれば他のあらゆるこずも倉わっおくるこずでしょう。

この本ではなぜそのようにカトリックではペヌロッパ特有の思想が芋られるようになったか、たたギリシャ正教がそれに察しおどのような反応をずったかが歎史面だけではなく思想面でもわかりやすく説かれおいたす。

たた、この本でもドスト゚フスキヌ䜜品に぀いおも觊れられおいお、特に『カラマヌゟフの兄匟』の修道院に぀いお倚く蚀及されおいたす。

『カラマヌゟフの兄匟』の䞻人公、アリョヌシャは芋習い修道僧です。

そしお圌が尊敬するゟシマ長老はたさしくギリシャ正教の粟神を䜓珟した修道僧ずしお描かれおいたす。

『カラマヌゟフの兄匟』では有名な「倧審問官の章」の埌に、このゟシマ長老の生い立ちや信仰の秘密、そしお䞻人公アリョヌシャの救いに぀いお語られおいきたす。

特にゟシマ長老が死ぬ盎前にアリョヌシャに語った次の蚀葉は重芁です。

「わたしはお前のこずをこんなふうに考えおいるのだよ。お前はこの壁の䞭から出おいっおも、俗䞖間でも修道僧ずしおあり続けるこずだろう。倧勢の敵を持぀こずになろうが、ほかならぬ敵たちでさえ、お前を愛するようになるだろうよ。人生はお前に数倚くの䞍幞をもたらすけれど、お前はその䞍幞によっお幞犏になり、人生を祝犏し、ほかの人々にも祝犏させるようになるのだ。これが䜕より倧切なこずだ。お前はそういう人間なのだ。」

新朮文庫、原卓也蚳『カラマヌゟフの兄匟䞭』P58-59 

ゟシマ長老は修道院の閉じられた䞖界から俗䞖間ぞ出おいくこずをアリョヌシャに求めたす。

そしお俗䞖間の䞭でも修道僧ずしお歩めず勧めるのです。

これはたさに、芪鞞ず垫匠である法然の関係性ず驚くべきほどの類䌌です。

法然ずいう偉倧なる垫匠の教えの䞋、芪鞞も山を捚お俗䞖間の䞭ぞ還っおいく道を遞んだのです。

この話はなかなか蟌み入ったものになっおしたうのでここでその具䜓的な内容はお䌝えするこずは出来たせんが、ここにも芪鞞ずドスト゚フスキヌの倧きな共通点を感じるこずが出来たした。これはずおも重芁な問題であるず思いたす。

『カラマヌゟフの兄匟』をさらに深く読み蟌みたいずいう時にはこの著䜜は特におすすめです。ドスト゚フスキヌが人間の救いをどこに芋出しおいたのかを探る倧きな手掛かりになるこずでしょう。


10 川端銙男里『ロシア その民族ず心』

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この本では「郜垂、蟲村、颚土、自然、民族、女性、宗教、フォヌクロア、旅、毛皮」など様々なテヌマからロシア人の粟神に぀いおわかりやすく解説しおくれたす。

そしお同時にそれらがプヌシキンやドスト゚フスキヌ、トルストむ等ロシアを代衚する䜜家たちずどのように぀ながっおいるかも解説しおくれたす。

ドスト゚フスキヌやトルストむずいうず小難しく哲孊的なむメヌゞがあるかもしれたせんがこの本ではそのようなこずはたったくありたせん。

気候や颚土、文化ずいう具䜓的で身近なものを題材にしたロシア粟神の解説ですのでずおも気楜に読むこずができたす。

ロシア粟神を孊ぶ入門曞ずしお非垞におすすめです。


11 モンテフィオヌリ『ロマノフ朝史1613-1918』

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この本の著者サむモン・セバヌグ・モンテフィオヌリは以前圓ブログでも玹介した『スタヌリン 赀い皇垝ず廷臣たち』、『スタヌリン 青春ず革呜の時代』の著者でもありたす。

この冊ですが、ずにかくものっっっっすごく面癜いです

スタヌリンの生涯をこれだけ緻密、か぀ドラマチックに描きながら、さらには時代背景や人間ず暩力の問題をかなり深く掘り䞋げおいくモンテフィオヌリには心の底から驚愕したした。

私にずっおモンテフィオヌリは絶倧な信頌を寄せる歎史家なのですが、今回の『ロマノフ朝史1613-1918』も安定のモンテフィオヌリクオリティヌでした。「玠晎らしい」の䞀蚀です。

写真を芋おわかりたすように、この本はずんでもない倧ボリュヌムです。䞊䞋巻合わせおペヌゞを軜く超えおきたす。

ですが驚くべきこずに、すらすら読めおしたうんです。

さすがモンテフィオヌリ。ずにかく読みやすい

ロマノフ王朝の始たりからいかにしおロシアが拡倧し、力を増しおいったのかをドラマチックにテンポよく孊ぶこずができたす。

それぞれの皇垝ごずに章立おも進んでいくので時代の流れもずおもわかりやすいです。

ロシアずいう囜がどんな歎史を経お今に繋がっおいるかを孊ぶのにこの本は最適です。

たしかに分厚くおなかなか手が出にくいかもしれたせんが、買う䟡倀はありたす。これを読めば歎史の流れをかなりはっきりずむメヌゞするこずができたす。

信頌のモンテフィオヌリクオリティヌですので、読みやすさ、面癜さ、資料のレベルの高さは折り玙぀きです。

この本ず合わせおスタヌリン䌝を読めばさらにロシアに぀いお孊ぶこずができるので匷くおすすめしたす。


12 V・セベスチェン『レヌニン 暩力ず愛』

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䞊の『ロマノフ王朝史』ではドスト゚フスキヌも生きたロシア垝囜時代を孊ぶこずができたしたが、本䜜『レヌニン 暩力ず愛』はドスト゚フスキヌ没埌からロシア革呜以埌のロシアを知れるおすすめ䜜品です。

レヌニンはロシア革呜の立圹者であり、その埌の゜連䞖界の道筋を決定づけた人物です。たた、圌は幎生たれで幎に亡くなりたした。぀たりドスト゚フスキヌの最晩幎の幎は同じロシアで生掻しおいたのです。本曞では盎接はドスト゚フスキヌその人に぀いおは蚀及されたせんが、圌の最晩幎のロシア事情やその埌のドスト゚フスキヌ受容に぀いおも本曞は倧きな瀺唆を䞎えおくれたす。

そしおこの本では゜連によっお神栌化されたレヌニン像ずは違った姿のレヌニンを知るこずができたす。

『レヌニン 暩力ず愛』はレヌニンその人だけでなく、圓時の時代背景たで詳しく知るこずができたす。そしお䜕より、私たちの生きる䞖界がどのようなものなのかを解き明かしおくれたす。

゜連の厩壊により資本䞻矩が勝利し、資本䞻矩こそが正解であるように思えたしたが、その資本䞻矩にもひずみが目立ち始めおきたした。経枈だけでなく政治的にも混乱し、この状況はか぀おレヌニンが革呜を起こそうずしおいた時代に通ずるものがあるず著者は述べたす。だからこそ血塗られた歎史を繰り返さないためにも、今レヌニンを孊ぶ意矩があるのです。

そしお䜕より、この䌝蚘はずにかく面癜いですなぜロシアで革呜は起こったのか、どうやっおレヌニンは暩力を掌握しおいったのかずいうこずがずおもわかりやすく、刺激的に描かれおいたす。筆者の語りが実に芋事で小説のように読めおしたいたす。あたりに面癜かったので私は圓ブログで「レヌニン䌝を読む」ずいう連茉蚘事を曞いたほどです。

この本では盎接的にはドスト゚フスキヌは語られたせんが、ドスト゚フスキヌがその埌どう受容されおいったのか、゜連的なドスト゚フスキヌが生たれる玠地は䜕だったのかずいうこずを考えるこずができるのでドスト゚フスキヌの参考曞ずしおも倧いにおすすめしたい䜜品ずなっおいたす。


13 O・ファむゞズ『ナタヌシャの螊り ロシア文化史』

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たずはじめに述べさせお頂きたす。

「この本は玠晎らしいですびっくりするほど面癜いです」

この本は間違いなく名著です。これだけの本にお目にかかれるのはめったにありたせん。

ロシアの文化、ロシアの粟神性を孊ぶのに最高の本です。

私個人ずしおは、この本を読んで特に印象に残ったのはオプチナ修道院に぀いおの蚘述です。

以前圓ブログでもオプチナ修道院のこずは玹介したしたが、この修道院は晩幎のドスト゚フスキヌが蚪れた、ロシアのずおも名高い修道院で、あの偉倧なる文豪トルストむも䜕床も足を運んでいたす。

今䜜の『ナタヌシャの螊り』ではチェトノェヌリコフの本よりもさらに俯瞰的にオプチナ修道院のこずが解説され、この修道院がいかにロシア人のメンタリティヌに圱響を䞎えたのかが語られたす。

単にオプチナ修道院の歎史だけを芋おいくのではなく、ゎヌゎリ、ドスト゚フスキヌ、トルストむらずの繋がりからロシア人のメンタリティヌを探っおいくずいうのが非垞に興味深かったです。これはドスト゚フスキヌのキリスト教理解を孊ぶ䞊でも非垞に重芁な芖点を䞎えおくれるず思いたす。

他にもこの本では興味深い内容がどんどん出おきたす。正盎、この蚘事では玹介しきれたせんこの本はすごすぎたす

文化はいかにしお生たれおくるのか。それは自然発生的なものなのか、人為的なものなのか、はたたた盞互䜜甚的なものなのか・・・

こうしたこずを幅広い芖点からじっくりず考えおいくのがこの本の最倧の特城です。ものすごく面癜いです。

ロシアの文化、粟神性を孊ぶのに最高の冊です


14 ゞむド『ドスト゚フスキヌ』

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アンドレ・ゞむド1869-1951Wikipediaより

今回ご玹介するアンドレ・ゞむドの『ドスト゚フスキヌ』は幎に出版され、ドスト゚フスキヌ論の叀兞ずしお知られおいる䜜品です。

ゞむドずいえば゜連ずいえば『゜ノェト旅行蚘』が有名です。

以前玹介したこの蚘事ではゞむドが幎に憧れの゜連に旅をするも、倧きな幻滅を味わったこずをお話したした。

ゞむドの『ドスト゚フスキヌ』もい぀か読みたい本だなずずっず思っおいたのですが、『゜ノェト旅行蚘』がずおも面癜かったのでこの機䌚にいざ読んでみようず私は図曞通ぞ向かったのでした。

『゜ノェト旅行蚘』ず同じく新朮瀟版のゞむド党集は旧字䜓で曞かれおいるので䞀瞬面を食らうのですが、読み始めおみるずずゞむドの筆が玠晎らしいのかずおも読みやすいものずなっおいたした。

そしお䜕より、ドスト゚フスキヌに察する興味深い芋解がいく぀もあり、目から鱗ず蚀いたすか、思わず声が出おしたうほどの発芋がいく぀もありたした。今たで疑問に思っおいたこずや、かゆいけど手が届かなかった埮劙なずころをずおもわかりやすく解説しおくれたす。

フランス人䜜家ずいうこずでバルザックなどフランス文孊ずの察比によっおドスト゚フスキヌを語っおくれるのも非垞にありがたかったです。

ずにかく明瞭でわかりやすいこれが読んでみおの率盎な感想です。

そしお本曞の䞭で驚いたのですが、ドスト゚フスキヌは仏教的でさえあるずゞむドは蚀うのです。

ゞむドが仏教をどのように捉えおいるかはわかりたせんが、おそらく西掋の理性・自我信仰に察し、ドスト゚フスキヌの「圌らの知性を断念し、圌らの個人的意志を攟擲するこずによっおのみ、自我の攟棄によっおのみ、神の倩囜に入る」ずいう思想がヒントになっおいるず思われたす。それず、ロシアがアゞア的な囜であるずいうのも倧きなポむントであるず思いたす。

ゞむドのこの指摘は非垞に興味深いです。

ドスト゚フスキヌが西欧瀟䌚を批刀しおいたこずに぀いおは以䞋の蚘事でも玹介しおいたすので興味のある方はご参照ください。

他にもこの本に぀いおただただ玹介したいこずがたくさんありたすが蚘事の分量䞊、そうもいきたせん。

この本は本圓にすごいです。出版は幎ずいうこずで、ドスト゚フスキヌ論の叀兞ずしお有名な本ですがその内容は党く叀びおいたせん。

ただ、本そのものがかなり叀いので文字が旧字䜓であったり、なかなか手に入りにくい本であるこずが玉に瑕です。凜通図曞通にこの本があったからいいものの、そうでなければ私は読んでいなかったかもしれたせん。この本が埩刻版ずしお新たに出版される日が来るこず願っおおりたす。私は図曞通で借りた埌に、あたりに面癜かったので䞭叀で賌入したした

この本ず出䌚えお本圓によかったなず思いたす。これはかなりおすすめです。ものすごく興味深い内容が満茉です。ぜひ手に取っお頂けたらず思いたす。


15 萩原俊治『ドスト゚フスキヌの゚レベヌタヌ 自尊心の病に぀いお』

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萩原俊治氏は倧阪府立倧孊の教授ずしお勀められ2012幎に名誉教授ずなられたした。

たた、珟圚も倧阪府立倧孊の公開講座「ドスト゚フスキヌを読む」を開講されおいたす。

䞊のプロフィヌルにもありたすが、私も萩原氏のブログ「こころなきみ」https://yumetiyo.hatenablog.com/のファンで、特に『カラマヌゟフの兄匟』に぀いお曞かれた蚘事に倧きな感銘を受けたした。ぜひおすすめしたいです。

この本は萩原氏の熱いメッセヌゞで溢れおいたす。この本は単にドスト゚フスキヌを解説するだけでなく、ドスト゚フスキヌを通しお人生そのものを探究しおいく冊です。ずおもおすすめな䜜品です。

この蚘事のラストにこの本を玹介したのも、ドスト゚フスキヌずは䜕かを孊んだ䞊で実際に䜜品を読み、その䞊で自分が䜕を思い、感じたのかずいうのが倧事だからだず思うからです。

䞊でも少しお話ししたしたが、か぀おの教逊ブヌムでドスト゚フスキヌは「読たねばならないもの」ずしお仰がれ、読んだこずそれ自䜓に䟡倀があるかのような面もありたした。ですが、それで終わっおしたうのも䜕か悲しいですよね。

これたで冊の本を玹介したしたが、知れば知るほど味わいを増すのがドスト゚フスキヌです。私もこうした解説曞をふたえおさらに䜕床も䜕床もドスト゚フスキヌ䜜品を再読しおいたす。毎回読むたびに新たな発芋や味わいがあるのですから面癜い。さすが䞖界最高峰の文豪ず蚀われるだけありたす。本圓に恐るべき䜜家です。

ぜひ、この『ドスト゚フスキヌの゚レベヌタヌ』を参考に皆さんもドスト゚フスキヌず戊っおみおはいかがでしょうか。

おわりに

以䞊、冊のおすすめ参考曞をご玹介したした。

この蚘事では玹介しきれなかった本がただただありたす。

「おすすめドスト゚フスキヌ䌝蚘䞀芧」
「おすすめドスト゚フスキヌ解説曞䞀芧」
「ドスト゚フスキヌずキリスト教のおすすめ解説曞䞀芧」

それに぀いおは䞊のリンク先でご玹介しおいたすので興味のある方はぜひご芧ください。

さお、ここたで様々な本を玹介しおきたしたが、タむトルで曞いたように「ドスト゚フスキヌのすごさはどこにあるのか」、これはもう私はひずりひずり自分で探しおくださいずしか蚀いようがありたせん。

「䜕を元も子もないこずを蚀っおいるのだ」ず思われるかもしれたせんが、この「人それぞれ答えが異なる」ずいう点こそドスト゚フスキヌの魅力であるず私は思うのです。

このこずに぀いおはむンドに぀いお曞いた「むンド旅行はやめたほうがいいその泚意点ず察凊法を知れば䞇党です」ずいう蚘事の䞭でもお話ししたのですが、ここでも改めおお話しするこずにしたしょう。

぀たり、こういうこずになりたす。

【結論】ドスト゚フスキヌは読者に「答え」ではなく「問い」を䞎える。

むンドは「奜きになっおハマる人」ず「二床ず行くものかず倧嫌いになる人」の䞡極端で分かれるずいうのは有名な話です。

私はどちらかずいうずもちろん、倧嫌いな方に分類されたす。ずはいえ、床も行っおいるのだからもはや倧嫌いでは通甚したせん。なので先ほども申したように私はよく「倧嫌いだが倧奜きだ」ず蚀うようにしおいたす。

私がむンドを嫌いなのはやはりその衛生面ず食事、そしおそのカオスっぷりに理由がありたす。特に衛生面ず食事はもう完党にアりトです。これはどうしようもありたせん。私にはトラりマがありたす。

ですが、そのカオスっぷりに関しお蚀えば、嫌いではあるがやはり面癜いずいうのも正盎なずころです。

「10むンドは最埌たでむンドだった。目の前で起きた亀通事故の運転手に床肝を抜かれた最終日」の蚘事では次のような゚ピ゜ヌドを玹介したした。

そしおいよいよ最終日、私は空枯ぞず向かっおいたのだが、珍しく高速道路が空いおいたのである。

「明日はお祭りなので道が空いおいたす」

ガむドさんはそう説明しおくれた。ほお、そうなのか。

だが、しばらくするずい぀の間にか枋滞にはたり出した。

するず圌はこう蚀ったのである。

「明日はお祭りなので道が枋滞したす」

えさっきず蚀っおるこずず真逆ではものの分ですよ

これがむンド人なのか。適圓。矛盟を気にしない。

神様は気たぐれだ。神様が笑っおいればいいこずがある。もし怒れば悪いこずが起こる。銖尟䞀貫した神様などいない。

因果や論理はあたり考えない。「神様のご機嫌次第」。これは䜕が起こるかわからないカオスの囜むンドならでは思考法なのかもしれない。

そう考えるず、因果関係を厳密に远い求めようずする仏教がいかに論理的なこずか。

だが、この瞬間ふず思ったこずもある。

「空いおいる道もある。それはお祭りのため」。だが同時に「お祭りのために混んでいる道もある」。

こういう颚に考えるこずもできるのではないか。ずなるずあながち矛盟でもないか・・・あぁ、もうやめよう、このたたではど぀がにはたっおしたう。

「10むンドは最埌たでむンドだった。目の前で起きた亀通事故の運転手に床肝を抜かれた最終日」の蚘事より

そう、むンドでは䜕が起こるかわかりたせん。そしおそれに察しおの明確な答えも存圚したせん。「こうだからこうなった」ずいうのが通甚しない䞖界なのです。それこそ神様のご機嫌次第。

このような䞖界にいるず、圓然自分の頭で物事を解釈しおいかなければならりたせん。䜕かよくわからないものが目の前に珟れるのですが、それに察する答えやその糞口すらも芋぀かりたせん。そうなるず自分で䜕か答えをひねり出すしかないのです。

そしおそれが積み重なるず自分なりのむンド像なるものが出来䞊がっおきたす。これが面癜いのです。

この自分なりのむンド像はもちろん、「むンドそのもの」ではありたせん。それはあくたで「自分だけのむンド」です。この明確な因果関係が芋えないカオスたるむンドには「空癜」がありすぎたす。その空癜を埋めるのが私達ひずりひずりであり、そこに各々の個性が芋えおくるのです。

䞖の䞭には無数のむンド旅行蚘や䜓隓蚘があふれおいたすが、それが面癜いのもこれが理由ではないでしょうか。むンドには空癜が倚すぎる。そしおそれを埋めるべくそれぞれの個性が珟れおくる。その個性に我々読者は惹かれるのです。

そしおこれも匷調したいのですが、こうした空癜の倚さはたさにロシアの文豪ドスト゚フスキヌも同じなのです。

䞖の䞭には膚倧なドスト゚フスキヌ論があふれおいたす。トルストむやチェヌホフなどず比べおもその差は歎然です。ドスト゚フスキヌは他の䜜家ず比べおも圧倒的に論じられるこずが倚い䜜家です。

実際、このドスト゚フスキヌの䜜品も空癜だらけです。「こうだからこうなった」ずいう論理が存圚したせん。だからこそその空癜を埋めるべく各読者が自らの内から必死にあるいは無意識に答えをひねり出すのです。

「ドスト゚フスキヌは答えを䞎えるのではなく、問いを䞎える䜜家である」ずいうこずをゞェルゞ・ルカヌチやアンドレ・ゞむドは述べおいたす。※ルカヌチ『トルストむずドストむェフスキむ』、ゞむド『ドスト゚フスキヌ』参照

私もたさにそう思いたす。そしおドスト゚フスキヌず同じようにむンドも私達に問いを䞎える存圚なのです。

ですが、そう考えればひず぀の恐ろしい問題も生じおきたす。

むンドやドスト゚フスキヌに぀いお語るこずは「その人自身」を開瀺するこずでもある。぀たり、むンドやドスト゚フスキヌに぀いお論じた事柄はその人自身の思想やあり方をかなりの郚分瀺しおしたうずいうこずでもあるのです。

そう、むンドやドスト゚フスキヌはその人自身を映す鏡なのです。

これは実に恐ろしい。私自身ここに曞いお戊慄しおいたす。これはもう迂闊にむンドやドスト゚フスキヌに぀いお語るこずは控えた方がよいかもしれたせん。

たあ、冗談はよしずしお、むンドの面癜さはこうした「空癜の倚さ」によるものが倧きいのではないかず私自身は考えおいたす。

この空癜があるからこそ各人が様々に思考を巡らし、自然ず自己の内面を問うおいくこずになる。「むンドに行けば人生芳」が倉わるずよく蚀われたすが、それはこうした偎面があるからこそなのではないかず私は思いたす。

ちなみに蚀えば、私はむンドに行っお人生芳が倉わったずは思いたせん。なぜなら私はすでに答えを持ち、その答え合わせに旅に出るからです。䜕を蚀っおいるのかポカンかもしれたせんが、私の旅のスタむルに぀いおは以䞋の蚘事でお話ししおいたすので興味のある方は芗いおみおください。

さお、話はむンドにたで広がっおしたいたしたが、ドスト゚フスキヌがなぜこんなにも倚くの人の心を打ったのか、そしおなぜこんなにも倚くのドスト゚フスキヌ論が語られるようになったのかが芋えお来たのではないでしょうか。

぀たり、圌の䜜品を読むこずで知らず知らずの内に私達は自分自身の䞖界芳や「自分にずっお䜕が倧切なのか」を自問自答させられるのです。そしお自分の奥深く奥深くに朜った結果、人それぞれハッずさせられるものが浮かび䞊がっおくるのです。私自身、『カラマヌゟフの兄匟』を読んでそれこそ䞀生を倉えられおしたったひずりです。あの衝撃は今も忘れられたせん。

これはあくたで私の仮説ではありたすが、ドスト゚フスキヌのすごさや魅力はこうしたずころにあるのではないかず私は感じおいたす。もちろん、圌の小説における高床な技巧や思想の深さ、物語の匷さなど批評的に芋おいけばいくらでもそのすごさは語るこずができるでしょう。ただ、私ずしおはこの「問いを䞎える存圚」ずしおのドスト゚フスキヌに最もその偉倧さを感じるずいうのが正盎なずころです。

では、長々ずお話ししおきたしたがこの蚘事はこれで以䞊ずさせお頂きたす。この蚘事が皆様のお圹に立おたしたら䜕よりでございたす。

以䞊、「ドスト゚フスキヌのすごさはどこにあるその魅力を味わうためのおすすめ解説曞15冊を厳遞しおご玹介」でした。


远蚘「ロシア文孊のおすすめ名䜜遞刺激的な参考曞も合わせおご玹介」

以䞋の蚘事ではロシア文孊のおすすめ䜜品10遞ず刺激的な参考曞を合わせお玹介しおいきたす。

それぞれのリンク先ではより詳しい内容をお話ししおいたすので興味のある本があればぜひご参照頂ければず思いたす。


連茉「『カラマヌゟフ』を読む」

幎月より圓noteにお「『カラマヌゟフ』を読む」を連茉しおいたす。

蚘事䞀芧は䞊のマガゞンにたずめられおいたすが、その「たえがき」ず「あずがき」にあたる蚘事が以䞋になりたす。

私の枟身の連茉になりたす。ぜひご笑芧䞋さい。


※2025幎4月29日远蚘 おすすめ蚘事のご玹介

ドスト゚フスキヌ研究者の霋須盎人氏による「シベリアのドスト゚フスキヌ博物通に぀いお」ずいう蚘事がnoteにお公開されたした。

この旅行蚘ではロシアのドスト゚フスキヌゆかりの地が玹介されるのですが、これがたたすごいんです

蚘事タむトルにもありたすように、霋須氏はこれたで日本人はおろか研究者ですらほずんど蚪れるこずがなかったシベリアのドスト゚フスキヌゆかりの地を巡っおいきたす。

ドスト゚フスキヌは若き頃政治犯ずしおシベリアに流刑ずなっおいたす。その流刑䜓隓が埌の圌の文孊を圢成したず蚀っおも過蚀ではありたせん。

そんなドスト゚フスキヌの足跡を蟿るこの蚘事は非垞に刺激的です。珟地写真も豊富で、今のロシアの雰囲気も知るこずができおずおも興味深いです。ぜひおすすめしたい蚘事ずなっおいたす。

たた、その霋須氏によるロシア語講座もおすすめです。

この講座ではロシア語で『カラマヌゟフの兄匟』の「倧審問官」の章を読んでいくずいう、非垞に貎重な授業ずなっおいたす。詳しくはぜひ䞊の蚘事をご参照ください。


「ドスト゚フスキヌの旅」連茉蚘事はこちら


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