波長の合う場所に出会うということ
これまで特別親しくなる人間は、初めて会ったとき、ビビビとセンサーが反応する感覚があった。
高校時代の親友や、大学時代からの男友達、10年来の付き合いになる新卒の同期、パートナー。
彼ら彼女らのことをほとんどなんにも知らないのに、醸し出す雰囲気や話すそぶりを見ただけで、「この人とは仲良くなれそう/なりたい」と直感的に感じた。そして不思議なことにそれはたいてい正しくて、その後の自分の人生にとってとても大切な存在になるのだった。
翻って、“場所”だとどうだろう。
人により「自分に合う」場所やその理由はさまざまだと思うが、わたしの場合はこれもまた感覚的な部分に拠っている。その土地に降り立った瞬間に、「ここだ!」となぜか直感がはたらくのだ(決して占い師ではないのだけど)。
国内だと、大阪と奈良がその一例だった。街を歩き回り、人と話し、ご飯を食べ、ゆかりのある本を読み、時間を置いてもう一度訪れ…とその土地を知れば知るほど、「やっぱり好きだなぁ」と、気持ちが深まっていく。
つい先日はじめて訪れた高知県も、そのひとつになりそうな予感がした。高知駅に降り立った瞬間、「高知って気がいいな」と思った。
いま、「遊ぶ広報」という地域滞在プログラムを利用して、高知県中土佐町にワーケーションに来ている。

『遊ぶ広報』とは、13泊14日暮らすようにまちに滞在しながら、あなたの心が動いた瞬間をSNS発信すると7万円の滞在費が補助される、ちょっとお得な地域滞在プログラムです。
今回、高知を選んだ一番の理由は、自身が隣の徳島県出身なのにもかかわらず、一度も足を踏み入れたことのない場所だったからだ。もっと知りたいな、とずっと思っていた。
中土佐町を訪れてまずおったまげたのは、地元に似ていたこと。ローカルスーパーや書店が同じなのはもちろん、お店や宿に入ったときの“におい”が、20年前を思い起こさせた。
住宅や街の様子、動植物の種類、流れている空気感。「そういえば昔はこうだったな」と、どこにあったのかわからないほど遠くに眠っていた記憶が、グイグイ引っ張り出されるようだった。
話は冒頭に戻る。好きな人・場所のことをなんで好きなのかというと、「その人といる/その場所にいる自分が好き」だからなのだと思う。
人や社会に対してやさしい気持ちになれたり、自分を取り繕わずに自然体でいられたり、新しい価値観を養うことができたり。
そんな、自分にとって大切な人や場所を増やしていけると、きっと、より人生が幸せに満ちたものになるんじゃないか。そういった希望をぼんやりと抱きながら、今日も私は旅をしている。

