スラムダンクのあの人を使ってマグネシウムの働きを説明してみた【マグネシウム前編】
健康に気を使う人でなくても、これは普通に知っているという栄養素は誰でもいくつかあると思う。
これまで書いてきたビタミンCや鉄について初耳だという人はほとんどいないだろうけど、今回のマグネシウムに関してはかなり、ぼんやりとした印象ではないだろうか。

たまに牛乳やサプリなどのパッケージに書いてあったりするし、一応単語としては普通に分かる。だけどそこまで表立って商品になっているものはないため、多分地味な栄養素の位置づけであろうと思うのだ。
しかし、私が栄養療法を知っていく中で1番ギャップがあったのが、マグネシウムだった。

ちなみにこのマグネシウムとは、“酸化”がついていないマグネシウムのことだ。
というのは、国内で出回っているマグネシウムは、基本的に「酸化マグネシウム」で、便秘薬やサプリメントとしてマグネシウムと書いてあっても、成分表には酸化マグネシウムとなっているものがほとんどなのである。
酸化マグネシウムとしてだと用途はほぼ便秘薬になるのだけど、今回は栄養素としてのマグネシウムを取り上げていこうと思う。この違いにも後ほど触れていく。
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さて、先ほど書いたギャップというのは、マグネシウムの働きとポジションのどちらにもかかる。
モブキャラだと思っていたのに主要キャラだった、という感じで、スラムダンクで例えるなら…

仙道(彰)だ。
仙道は、スラムダンクの主人公たちが所属している湘北のライバル校として描かれている陵南のスーパーエースである。
ご存じない方でも、こんなふうに言われるキャラだ、と言えば伝わるかもしれない。

これはスラムダンクを知っている人にとっては有名なシーンで、勝敗の行方が仙道に全てかかっていて、周りからものすごく期待も信頼もされているというのが分かると思う。
ポジションはビタミンCで書いた宮城リョーちんと同じPG(ポイントガード)なのであるが、エースというのは鉄で書いた流川と同じで、チームに対する貢献度が非常に高いというのもよく似ている。
鉄と似ている件は後述するけども、この仙道がマグネシウムというのは早い段階で明確にイメージが湧いていた。
それはマグネシウムの持つ性質に湘北メンバーにはないある特徴があったからで、その特徴がよく出ているセリフがこちらである。

この落ち着きと余裕の風格。これが仙道のキャラとして象徴的な部分なのだけど、マグネシウムのイメージを一言で言うならまさに、こういう感じなのだ。
落ち着かせる、緩ませる、スローダウンして立て直す。
チームの中で重要な役割をこなしているというのは鉄で書いた流川と同じだが、この仙道の感じは唯一無二で、ライバル校のキャラでありながら作品内での存在感は抜群なのである。

栄養療法におけるマグネシウムについては、私の実践している藤川式だと数年前から本格的に推されるようになり、マグネシウムが前面に出ている本も最近出ている。
前回の鉄の記事で、鉄が不足した時の状態を簡素化した絵↓を書いたけど、

特にこの中央の絵が示す症状、ADHDやむずむず脚症候群については、実はマグネシウム不足の症状としても同じように出る。人によってどちらか(もしくは両方)の不足が強めに出る、という感じだろうか。
全ての栄養素というのは相互に関連しているので、正直どこで線引きするかというのは大変しづらいというのはあるのだけど、
強いて言えば鉄は神経系に、マグネシウムは運動系(筋肉や骨)に影響するみたいな感じがしている。

この、キョロキョロした目や手足を“動かしてしまう”という運動要素に出るのが強いのがマグネシウムで、
鉄は同じ症状だとしても、脳の神経系の指令部が正常に働かなくなった結果、身体が動くという指令に一部なってしまう、というような。
状態としては同じであったとしても、作用点が違うという感じなのだ。

ちょっと分かりにくい気もするのでもう一つ例を上げると、この記事で“祖父が壁に頭を打ちつける”というのを書いたことがある。
祖父の場合はそういう出方であったが、藤川先生の患者さんに“自分の頭を叩いてしまう”という方がいて、これはマグネシウム不足による症状の現れとして紹介されていたことがあった。
症例数としては少なかったけど、同じような症状の記事を何件か見かけたので、祖父の場合も同じ種類だろうなと推測できたのだ。
こういう精神疾患ではなく一般的な疾患で言うなら、スポーツ選手が後半に足をつってしまう、とか、普通に部活や趣味でも少し強度のある運動をした時に足がつる、というのは経験がある人もいると思うが、
これも典型的なマグネシウム不足の一例であ
る。

他にも高血圧、不整脈、尿路結石、チック、こむら返りはマグネシウムが著効する、というのがよく出てくる。
ついでにこれはあまり運動系、というくくりではイメージしづらいけど、目がかすむとか異様に喉が渇くみたいな症状もあって、マグネシウム不足の症状は糖尿病に似ているものも多い。
これらも私が栄養療法を学んだ時には「ほうほう…」という感じだったのだけど、冒頭で書いたギャップ、というのはカルシウムとの関係が1番大きかった。

マグネシウムはあまり馴染みがなくても、カルシウムならほとんどの人が知っているはずだ。
牛乳、ヨーグルト、チーズなど、意識してカルシウムを摂ることを心がけている人も多い栄養素だと思う。
しかし現代において、カルシウムを摂るのならそれの何倍、何十倍とマグネシウムが必要になる。カルシウムが比較的普段の食事で摂りやすいことに比べると、マグネシウムは絶望的と言わざるを得ない。

もちろん食べ物や飲み物で摂れないこともないけれど、いくらマグネシウムが含まれているからといって、あおさやわかめなどの海藻類を毎日何キロと食すわけにもいかない。
実は少し調べると、カルシウムとマグネシウムの比率は1:1で摂った方がいいというような情報は出てくるのだけど、藤川式の場合、マグネシウムが満たされるまでカルシウムの話は出てこないのだ。
というのは、マグネシウムが不足していることによって、藤川先生のブログでは“異所性カルシウム沈着”という単語がわりと登場する。
これはカルシウムが本来使用されなければならないところではない場所にくっついてしまい、体内で固まってしまうという状態を指す。

この記事にはマグネシウム欠乏による症状のリストが書いてあるのだが、“石灰化”というキーワードがいくつも見られる。
マグネシウムがないとカルシウムが石灰化してしてしまい、くっついてしまった場所が腎臓なら腎臓結石に、膀胱なら頻尿に、血管なら動脈硬化に、水晶体なら白内障に繋がる。
脊椎管狭窄症や関節炎なども、カルシウムが溶かされないまま沈着してしまうことが原因だと言われている。
よって、カルシウムは必要な栄養素ではあるのは間違いないけども、こうした状況が起きるのは圧倒的にマグネシウムの量が足りてないからなので、まずはこちらを重点的に補充していこう、という話なのである。

これまでの話で伝わると思うが、マグネシウムには「溶かす」という性質がある。
カルシウムが緊張を、マグネシウムが弛緩を、という感じで、固まってしまった石灰部を溶かしてくれたり、筋肉の緊張を緩めて全身をリラックスさせてくれるのだ。
仙道のセリフの中には、こうした要素も象徴するシーンがある。

これはチームメイトのミスにも関わらず自分が謝ることによって、チーム内に走った緊張を解いている。
さらにこんなのもあって、

頼りになる実力で皆を安心させるだけでなく、チームメイトも信頼し場の空気を前向きにリードする。
仙道がチームにいると張り詰めた緊張感が解け、落ち着きを取り戻せる。ペースをゆったりとした感じに一旦、整えるような働きをしているのだ。
流川(鉄)と同じく、身体の機能を支える働きが多岐に渡ることはエース同士似ているけれど、このスローダウンさせる感じは仙道(マグネシウム)ならではの特徴だと思っている。

ちなみにこのマグネシウム、一体どのくらい必要なのかというところだけど、藤川式の中で必要量にここまで個人差がある栄養素は他にない。
一応の目安としては400mgとされているが、必要量の見極め方は「お腹がゆるくなるまで」。つまり、飲んでみないと分からないということだ。
そしてこの400mgを飲んでもお腹がゆるくならない場合、マグネシウム不足はなかなか重度であるという判断になる。
数字の幅は非常に大きくて、200mgでゆるくなる人もいるし、1200〜2400mgまで飲める人もいる。そしてここまで差が出る理由は、生まれた土地や環境が影響してくるそうだ。

必要量が少ないのは内陸部で生まれ育った人だと言われており、必要量が多くなるのは沿岸部で生まれ育った人だという。
ただしこれはあくまで傾向性の話であり、その人自身がどれだけそこで過ごしたかとか、生活スタイルでも全然違うはずだ。
例えば内陸部で生まれ育ったという人でも、海が好きで昔からマリンスポーツをしに海にしょっちゅう出かけることが多かった、ということであればマグネシウムの必要量が多くなる。

逆に沿岸部生まれでも、すぐに引越して内陸部の暮らしが長いという人なら必要量は少なくなる、みたいなイメージじゃないかな、と思っている。
そしておそらく、内陸部生まれでも両親が共に沿岸部生まれ、かつ海に親しむ生活をしていたとかなら子どものマグネシウム必要量は多くなりそうな感じがする。
海と陸が関係するだなんて、人間もやはりこの地球の大地の一部で、自然の中で生きている生き物なんだよなあ、と思いが巡ったりもするのだ。

そしてマグネシウム不足を解消するには1〜2年ほどかかる、というふうにも言われているのだけど、摂り続けているとお腹がゆるくなるまでの量がだんだん減ってくる。
ただ、鉄はフェリチン値という数値で見ることができるのに対し、マグネシウムについては専用の数値とか理想値というものがないのだが、
栄養療法を長年続けている藤川先生と患者さんの数値がALP(アルカリホスファターゼ)という項目で全員120〜125になっていたそうなので、これがおそらく理想値と言っていいだろうということであった。

しかしALPというのはマグネシウム単体というわけではなく亜鉛不足も含まれる数値なので、明確にマグネシウムだけの不足が見られるわけではないけれど、
お腹がゆるくなるという、ある意味最も原始的な方法で確認できるという点では分かりやすくて良いかもな、と思っている。

マグネシウムの働きとしては鉄と同じく身体の機能を動かす、という点で相当重要なポジション=仙道ということで伝えたつもりだけど、
このお腹がゆるくなる、というマグネシウムの大きな効能である便秘解消の部分は、これまで紆余曲折ありすぎたので後半に持ってくることにした。
酸化マグネシウムについてや実際に使用するマグネシウムの種類、さらに私の経験も含めたあれこれは後編で書こうと思う。
つづきます。

【関連記事】
▼ビタミンC(宮城リョータ)
▼鉄(流川楓)
