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📚リブロ編⑤|古い記録とハヤトが見たもの

森の図書館(リブロ編)
①|自動整理支援システム『リブロ』
②|図書館の人気者
③|仕事が減った司書
④|図書館に持ち込まれた謎
⑤|古い記録とハヤトが見たもの← 今ここ

「確か、その辺りについて書かれた資料があったような……」

アキラは本棚へ目を向けると、しばらく視線を巡らせた。

「えーと、この辺りの資料なら、確かあの棚だったと思うんだけど……」

その時、金属音が響いた。

カシャリ。スー……。

リブロが書架の間からこちらへ向かってくる。小さなアームに一冊の本を抱え、それをスッとハヤトの前に差し出した。

「わー! すごいモコー!
アキラさんより早いモコー!」

「ちょ、モコ、それは言わなくていいんだよ」
ハヤトは慌ててモコの口を塞いだ。

アキラは、コホンと軽く咳払いをすると、その本を手に取って開いた。

「それで……と。
これはまた、ずいぶん古い本だな」

ハヤトは隣から覗き込んだ。
アキラがページをめくると、昔の森の様子が描かれていた。

「アキラさん。この本、今の森と全然違うね」

「そうだね。昔はこの辺りに道があったみたいだ」

アキラが指で地図をなぞる。
ハヤトもその指先を追いながら、ページをめくっていく。

「これだ」

そこには、森の奥に残る古い建造物について書かれていた。

「昔、この辺りには人が暮らしていたらしい。かなり古い記録だけど」

ハヤトが身を乗り出す。

「今は? 今は誰か暮らしてる?」

「まさか」
アキラは軽く笑った。

「これはずいぶん古い記録だからね。
今でも人が住んでいるとは考えにくいよ。
電気や水だって、あんな奥までは届かないだろう?」


「…………」


「そう……なんだけどさ……」



「でもぼく、見たんだよ……」

地下へと続く遺跡。
入口付近はボロボロだった。

でも奥に進むほど、
光るパネルや隠し通路が現れ、
最後の部屋に入ると電気まで付いた。

見たこともない道具に、
たくさんのロボット。

それに、その部屋だけは驚くほど綺麗だった。

まるで、今でも誰かが住んでいるかのように。

本に記された「昔の記録」と、
自分が見てきた「今」が、
どうしても同じものには思えなかった。

アキラはページをめくった。

「でもなぁ……。これ以上のことは、
何も書かれていないからなぁ……」

「でもっ!!」

「ほんとにあったんだ!!」

ハヤトは思わず声を上げた。

「あ……。ごめんなさい……」

ハヤトは慌てて口を閉じた。
目の前の本へ視線を落とし、指先でページの端を押さえる。

「……でもぼく、本当に見つけたんだ」

アキラは何も言わず、古い記録の上に指を置いている。

その横で、ハヤトの頭にはあの日の光景が浮かんでいた。

森の奥に立っていた、大きな石碑。
周りを見回しても入口らしいものはなく、ただ古びた石だけがそこにあった。

風や葉の動きを頼りに、地下への入口を開いた。

ハヤトは本のページを見つめたまま、うつむいている。だが、その瞳は嘘をついているようには見えない。

「そうか……」

アキラはハヤトを見ると、さっきまでの半信半疑の表情を少しだけ変え、もう一度、古い記録へ目を落とした。

「ハヤトくん、その場所で見た物のこと、
もっと詳しく教えてくれるかい?」

「……うん」

ハヤトは頷いたものの、宝箱のことを話すのが怖くて、膝の上で手を握ったり開いたりしていた。

「ハヤトくん?  どうした?」

アキラの言葉にハッとして、ハヤトは意を決したように顔を上げた。

「……アキラさん。実はぼく、遺跡から持ってきたものがあるんだ」

「ほお、何を持ってきたんだい?」

「えっと……」

少し黙ってから、小声で答える。

「……たから……ばこ」

アキラが目を瞬く。
「え? 宝箱? それはまた……」

「本当だよ! すごく立派なんだ!」
ハヤトは身を乗り出した。

「でも……開かないんだ」

「そうか」

「ぼく、どうしても中が見たい。アキラさん、一緒に見てくれる?」

アキラはしばらく腕を組んで考え込んだ。



「……分かった」

「ほんと?」

「ああ。ただし、ちゃんと元の場所へ返すんだよ。僕はそこまで見届けることにしよう」

その言葉を聞いて、ハヤトの顔がパッと明るくなった。

「アキラさん、ありがとう!」

立ち上がりかけたハヤトが、ふと思い出したように振り返る。

「じゃあ、次、持ってくるから!」


(続く)


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