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📚リブロ編③|仕事が減った司書

森の図書館(リブロ編)

①|自動整理支援システム『リブロ』
②|図書館の人気者
③|仕事が減った司書← 今ここ

翌朝の図書館は、いつもより明らかに整っていた。アキラは扉を開けた瞬間に、それに気づいた。

棚も床も、ほこり一つ無い。
通路に置かれた返却本の台車まで、
すでに片付いていた。

昨日、終わらなかった作業があったはずだった。アキラはカウンターの奥に置いてある作業メモを確認する。

「全て終わっているだと?まさか……」

ス、コトン。カシャリ。

その時、図書館の奥から金属音が響いた。
棚と棚の間を縫うように飛び回る、
ロボットの姿が見えた。

「あいつ……一体何時から動いてるんだよ……」

昨日残した作業は、
普段なら午前いっぱいかかるはずだった。

ス…ス…。カシャリ。
金属製のアームは無駄なく動き続ける。

それを見たアキラの口元が、固まった。

「……あれ?リブロ、ちょっと待て。
それ、今日の俺の作業だろ!」

昨日の残りはおろか、気づけば、リブロは今日の仕事まで次々と片付けていく。

「それにしても……速いな」

昨日も同じことを言った気がする。

でも今日は、少し意味が違った。

アキラはカウンターに戻り、
机の引き出しを確認した。

今月のおすすめコーナーのポップ。
貸出状況を確認して、新しく作り直す。

それならまだ自分の仕事はある。
そう思って、アキラはペンを取った。

けれど、それすらも昼前には終わってしまった。

ポップを貼り終え、時計を見る。

「……まだ、こんな時間か」

いつもより、一日が長く感じた。

アキラは机に肘をつき、天井を見上げた。

「やることがないな」

少し間を置く。

「……いや、そんなはずはない」

指で机をとんとん叩く。

「計算上は、あるはずなんだ」

手帳をめくる。
ページには、びっしりと予定が書いてある。

「終わっている。
これも。これも終わっている……」

言葉にすると、胸の奥で何かが小さく動いた。自分でもよく分からない感覚だった。

夕方になる頃、子どもたちは帰り、図書館はまた静かになった。

アキラは書架のあいだをゆっくり歩いた。
棚の隙間に伸ばした手は、
そのまま行き場を失ってしまった。

「……便利になるのは、悪いことじゃない。」

「……はずだろ」

声が、徐々に小さくなる。

自分がいなくても。
自分じゃなくても。

それが、妙に胸に引っかかる。



その時、館長が目の前を通りかかった。

「アキラくん」

アキラはゆっくりと顔を上げた。

「館長……」

「なんでしょう?」

「今日はもう上がっていいよ」

アキラは目を見開いた。

「……え?」

「やること、もうないだろう?」

館長は悪気なく笑った。

「リブロがずいぶん頑張ってくれているからね」

「まぁ……そうですね」

アキラも笑った。

けれど、その笑顔は自分でも分かるくらい、ぎこちなかった。

鞄を持って図書館を出る。
外は、まだ明るかった。

「……早く帰っても、な……」

アキラは小さく呟いた。

家の扉を開けると、台所から奥さんが顔を出した。

「あら、今日は随分早いのね」


(続く)


自動整理ロボット・リブロ編

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次回、モコとハヤトが図書館へ。
森の物語は、まだまだ続きます。

一方、ここからアキラの物語は少し横道へ。

リブロの登場で、自分の仕事の意味を見失ってしまったアキラ。

ここから先の物語は、すでに公開中のスピンオフ、「意味を渡す人」へ続きます。

アキラの図書館編、続きはこちらから⬇︎

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森の図書館には、物語の本編から少し寄り道したスピンオフ、創作の裏側など、ここでしか読めない物語が並んでいきます。

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