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もう建築設計者も「AIで仕事がなくなる」手前まできている

コバタカです。組織設計事務所で建築設計の実務をしながら、生成AIの業務活用を推進しています。

今回は
「建築設計におけるAIエージェント参入」
について書きます。

コーディングの世界では、Claude Codeのようなエージェントが複雑なタスクを自律的に実行し、並列で処理できる時代になりました。トップクラスのエンジニアの多くが「コードを書く仕事はもうなくなる」と断言するように、非常に高い水準で進化しています。

そして私自身、今まさにClaude Codeを使いながらこの記事を書いています(最終稿はもちろん自身で確認し加筆修正していますが)。
同じことが建築設計でも起きようとしています。

断言しますが、建築設計者の9割が大きく生成AIやAIエージェント(そしてAGI・ASI)についての認識を誤っており、危機感が弱いです。

特に今後やってくる「AIエージェントによる設計業務の自動化」について、「どうせ正確じゃない」とか「AIが考えるものなんて大したことない」「自分のセンスを発揮できない」と考えているように思います。

私はそれなりに大学で建築教育を受けました。建築設計も好きです。
しかし、
残念ながら現状の建築設計の仕事の大部分がもうあと数年の賞味期限だと考えています。
(誤解をうむ表現だったので補足します。「現状の働き方を大きく変える必要に迫られる」という意味合いです。建築設計に限らずあらゆる知的労働が働き方の再考を迫られていると考えています。)

とはいえ、目先の生き方を考えるうえで短期的な戦略は重要です。いま流行りのAIエージェントの技術スタックの先に、どのような建築設計の未来があるでしょうか。

この記事では、私が考えるエージェントの正しい使い方──「成果品を作らせる」のではなく「意思決定のための検討を任せる」という発想転換について、AutodeskのMCP開発など技術的な進化を想定しながら整理します。

下記の記事では「Rhinoを操作せずバルセロナパビリオンをAIに作らせた話」を公開しています。ぜひこちらもご覧ください。

この記事で得られるもの

  • コーディングエージェントで起きていることの理解

  • 建築設計エージェントの正しい活用イメージ(筆者視点)

  • Autodesk MCPの最新動向(2026年1月時点)

  • 今日から始められる準備



01|コーディングエージェントで起きていること

コーディングの世界では、エージェントが作業計画を立て、自律的にタスクを実行し、それを並列で処理できる時代になっています。

Claude Codeというツールがあります。Anthropic社が提供するコーディングエージェントで、自然言語で指示を与えると、コードの生成・修正・テスト実行までを自律的に行います。

私は今、このClaude Codeを使いながら記事を書いています。画面に複数ウィンドウを並べて、並列でタスクを処理させることもできます。「寝ている間に仕事が終わっている」という体験が、すでに現実になりつつあります(一部の領域では)。

※Claude Codeについては多くのトップランナーが参考になる記事を執筆されているためここでは説明を割愛します。
参考までにClaude Codeに今から挑戦する方向けに書いた記事を共有します

ここで言う「エージェント」とは、単なるチャットボットではありません。自分で計画を立て、必要なツールを呼び出し、結果を確認しながら作業を進める存在です。
人間が細かく指示しなくても、ゴールに向かって自律的に動きます。

非エンジニアで、コーディングなんてやったことのない私でも、Claude Codeによって1週間で4つもの業務効率化アプリを作成し、自身の業務速度を上げることができたのです。

コードは1行も書いていません。

この体験を通じて確信したことがあります。
同じことが、まもなく建築設計でも起きる
ということです。

⬇️余談
OpenAIの創設チームメンバーであるAndrej Karpathy氏の投稿。最近読んだのですが、コーディングエージェントの進化の様子が良くわかる非常に良いものでした。


02|設計者が抱く「まだ大丈夫」というAIエージェントへの誤解

自動設計の類のAIエージェントに対する「遅い」「品質が悪い」という批判は、「エージェントが成果品を作る」という前提に論じられている気がします。

設計者の多くは、AIエージェントに対して懐疑的です。
「まだ人間がモデリングした方が早くて正確だ」と主張する人も多いと思います。

正直、その気持ちはわかります。(繰り返しになりますが私も設計者です。)
設計者は専門家としてだけでなく、作業者としてのプライドが高い人種です。自分の手で図面を引き、モデルを作ることに誇りを持っています。
そしてその過程に意味があることも十分理解しています。
だからこそ、「AIに任せる」ということに抵抗があるのだと思います。

一方で、私が考えるエージェントの本当の使い道はそこではありません。


03|発想の転換──エージェントとは「検討を潰す」ために使うものである

エージェントは「成果品を作る」のではなく「網羅的に検討する」ために使います。今まで人手不足・時間不足で諦めた案を、並列で処理させるのです。

基本計画や基本設計のフェーズで、こんな経験はないでしょうか。

ブレストで方向性を決めるとき、本当は全ての可能性を検討したい。でも、時間がなくて6案のうち3案だけモデリングして、残りは諦める。モデリングコストが重くて、全部を検討しきれない。

これは多くの設計者が経験していることだと思います。

ここで発想を転換します。

エージェントに検討案を任せる
人手や時間が足りなくて検討しきれなかった案を、エージェントに並列で処理させるという発想です。

たとえば、寝ている間に自力では試せなかった3案をモデリングしておいてもらう。移動中にVE案を出力し削減効果を整理しておいてもらう。
このように、人間が本来は作業できなかった時間を活用してエージェントを駆動させ、その時世でエージェントに任せられる作業水準のタスクを処理する。

設計における可処分時間を増やす

いままで設計者が部下やオペレーターに頼んでいた仕事を任せるイメージです。
全ての作業をコントロールできないし、ミスもするし、意思疎通できない場合もある。(きっとAIがどれほど進化しても)
でも、夜間や移動時間に不眠不休で活動できるオペレーターがいたら、最高だと思いませんか?

この仮説を、実際にRhino上で試しました。

AIを一晩走らせ、画像を見ながら自分で課題を見つけて修正させる。その後、人間が案を選び、12棟のエリア構想へ育てた検証です。
「寝ている間に検討を進める」がどこまで現実になったか、成功だけでなく失敗談もまとめています。


04|エージェントの真価は、並列化と可処分時間の拡張による検討の爆速化である

仮にエージェントの作業が遅くても(すぐ早くなりそうですが)、夜間・並列で使えばパフォーマンスが出ます。自分の検討に充てる可処分時間を増やす使い方のイメージが重要です。

活用シーン例

①パターン検討
例えば複数のファサードパターンを並列でモデリングさせる。夜間に実施すれば、翌朝に検討材料が揃っている状態からスタートできる。設計者は検討案から最適なものを選び、次の検討の仮説を立て、エージェントを指揮する。

②最適化探索
例えばコア位置の最適化などの自動バリエーション生成とその評価などには向いています。
平面計画中に、コア位置のバリエーションを複数案同時に検証させる。衝突や動線の問題を洗い出す。まさにAIが得意そうな最適化探索の世界。

③VE案の並列検討
基本設計・実施設計で、コストダウンの選択肢を複数同時に検討させる。比較表を作る手間を省く。

一度技術的なハードルを超えたら、AIの進化速度もコストダウンも急激に起こります。
今はエージェントが未成熟でも、半年後には状況が変わっている可能性があるのです。(実際にコーディングエージェントによってエンジニアの仕事は1ヶ月の間に大きく変わってしまった)
逆に言えば、今のうちに「設計者としてエージェントを指揮するイメージ(AIオーケストレーション)」を持っておけば活用チャンスが広がると思います。


05|任せること/任せないことの線引き

当然全てをAIエージェントに丸投げするなんて出来ません。建築設計のプロフェッショナルとしてエージェントを制御します。
まさにHuman-in-the-loop(プロセス内の意思決定層を人間が担う)です。

任せるべきこと

  • 予め人間がディレクションした検討案の作成作業(パターン出し、バリエーション生成)

  • 大量のデータ参照・整理・分析

  • クロスチェック(法適合や監理、人間による最終確認の前の事前確認)

任せるべきではないこと

  • 意思決定

  • 人付き合い

  • 最終確認・責任

設計者の仕事の核心は「意思決定」だからです。どの案を採用するか、どの方向性で進めるか、クライアントに何を提案するか。これは設計者がコントロールすべきです。

エージェントは、その意思決定のための材料を揃える存在です。判断そのものを任せるわけではなく、設計者と上手く分担するのが重要です。


06|Autodesk MCPが近づいている

Autodeskが公式MCPサーバーを準備中です。設計エージェントの実用化は近いと思います。

ここからは、具体的な動きについて触れます。

MCP(Model Context Protocol)というものがあります。Anthropic社が2024年11月に公開したオープンソースの規格で、LLM(大規模言語モデル)と外部ツールを接続するための標準プロトコルです。

これを使うと、AIエージェントが容易に外部ツールと連携することが出来ます。
例えば、Revitと連携することでRevitの操作を任せたり、モデル内のデータを抽出したりすることが出来るようになります。

MCPの詳細についてはAnthropicの公式ページを参照してください。
https://www.anthropic.com/news/model-context-protocol

Autodesk社は、このMCPを使った公式サーバーの開発を進めています。2025年のAutodesk Universityでは、Revit、Fusion、Model Data向けの公開MCPサーバーが発表されました。

確認日: 2026-01-26
参照元: https://www.autodesk.com/solutions/autodesk-ai/autodesk-mcp-servers

最初は機能的にも限定的なはずです。簡易な情報を処理するタスクから始まるでしょう。

これが進化していくと、モデリングの要件(位置や寸法など)を指示したら自律的に動くようになる。コーディングエージェントに実行権限を与えるように、Revitのコマンド実行権限を与えるイメージです。近い将来、絶対に出来ます。

最近、Autodesk社の方と会話する機会が2度あり、どちらも設計エージェントに向けてのロードマップで盛り上がりました。
私は高性能な設計エージェントが近いうちに実現すると確信しています。


07|設計者もそろそろ真剣にAIと向き合う時

この記事を読んでくださったあなたが「ChatGPTに質問している」くらいの活用度であるなら、まだまだ伸びしろが沢山ある状態です。

やればやるほど楽しく活用できます。

「何から始めたら良いの?」とよく聞かれるので、私なりの考えをnoteにしました。

あなたの到達しているレベルに応じて、生成AI活用のためのポイントを解説しています。
良かったらお読みください。無料でも一部読めます。

また、すでにAIにモデリングさせる試行を進めています。所感としては本記事で述べているような設計の補助として非常にポテンシャルの高い試行となっています。

また、画像生成AIにも挑戦したい!という方向けに以下もおすすめです。既に多くの方に購入頂いております。

建築設計の経験があればきっと面白いと思います。


結論

設計者の仕事は変わります。

部下やオペレーターに指示を与えるように、四六時中AIエージェントに仕事を振り、意思決定を高速化させる。そういう「オーケストレーション」に変容していく。

成果品を自分の手で作ることがプライドなら、発想を転換してほしい。検討を潰すための最強の手下を、寝ている間も働かせる。意思決定の速度と精度を上げることが、これからの設計者の仕事になる。

これがもう今年か来年の話です。よって若手は詰みです。
残念ながら現在若手のあなたが想像している、40代でバリバリ建築設計している未来は、今のイメージのままでは絶対にやって来ません。

設計エージェントの時代は、すぐそこまで来ています。


今日できる小さくも大きな一歩

  1. Claude CodeまたはCodexを準備する

  2. 簡単なタスク(ドキュメント整理、調査など)を指示してみる

  3. 「放置している間に完了している」体験をする

  4. 私の記事をぜひお読みください!


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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