Vibe Modeling vol.04|Fable 5で生成したエリア開発の記録
Claudeの新モデル「Fable 5」でVibe Modelingしてみました。
コバタカです。
大手組織設計事務所に建築意匠の設計者として入社し、最近は生成AIの活用推進の担当をやっています。
今回の記事は、Anthropic社が6月にリリースした新モデル「Fable 5」を使ったVibe Modelingの記録です。
わずか3日間で提供が一時停止した伝説的なモデルを、寝る間を惜しんでVibe Modelingで使い倒した記録を綴る2部作。
今回は第2部。
良かったら前回の記事もご覧ください!
Fable 5という特級モデル
前回の記事でも書きましたが、
Fable 5はこれまでのモデルとは一線を画す、高い能力をもったモデルです。
私の手元の検証では、あらゆるユースケースにおいて他のモデルを圧倒するパフォーマンスを誇っており、それは建築系タスクも例外ではありません。
Fable 5は人類史初の「金で買える超能力」
— KOBATAKA|生成AIと建築設計 (@shion_takk) July 1, 2026
今回は「Vibe Modeling:自然言語のみで指示しAIがモデリングする」というコンセプトのもと、AIだけでどこまでやれるかの検証です。
ヤバすぎて血を噴き倒れるワイ
— KOBATAKA|生成AIと建築設計 (@shion_takk) June 11, 2026
Fable教に入信します https://t.co/D7UlY4eohC pic.twitter.com/wcZ1RSETaq
私もリリース2日目にVibe ModelingでFable 5を活用してみて、その圧倒的な力に圧倒され、度肝を抜かれました。
今回の記事では、そんなFable 5の、何がどのようにすごいのか、実例と共にお伝えしておこうと思います。
2026年6月11日の深夜、私はFable 5に「朝までに水辺の複合キャンパスを育てておいて」というお題を投げ、寝ました。
朝起きたら、水辺に美術館とホールと水上パビリオンが建っていました。

そして起きてからの約半日で大小12棟から成るエリア開発構想まで成長しました。

この記事は、その一日に何が起きたのかの記録をベースに、私が得た経験値をまとめていきます。
建築設計に関わる方が、生成AIに関心をもち、Vibe Modelingを始めるきっかけになれば幸いです。(もちろんそれ以外の方も!!)
この記事で分かること
最新LLM(Fable 5)に一晩中モデリングタスクを任せると、どこまで育つのか(結果: 一晩で14Ver・レンダリング12枚)
LLMが自分で作業ループを回し続けるために、人間が事前に用意した5つの運用ルールと、安全のための環境設計
【有料】その後の半日で12棟のエリア構想に至る全プロセスと、試したこと・工夫・収穫・失敗
【有料】検証を通じて確立した、人間の関与を段階的に変える4つのワークフローと、私が得たVibe Modelingの学び
無料パートでは、夜間の自律運転の仕組みと「起きたら建っていた」状態までについてまとめます。
有料パートでは、その後の半日の作りこみの全記録を実務者向けに深掘りします。Vibe Modelingを行う上での詳細なテクニックや、私自身の気づきについて書いていきます。
これは「AIが自律的にどこまでやれるのか?」という疑問を出発点にした検証です。
AIが自律的に作業を進めるための仕組みは人間が決め、その枠の中でAIがスタディモデルを育てていきました。人間が意思決定を握り進めるための枠組み(Human-on-the-loop)は意識していますが、今回は意図的にディレクションも半分くらいはAI任せにしています。
第1章:検証の概要(環境と条件)
01|作業環境
まず、私の環境の条件を記録しておきます。
実施日: 2026年6月11~12日 (夜間の自律運転+起床後の連続セッション)。
環境: Claude Code(Fable 5)+ Rhinoceros。Rhino操作用のMCPサーバー(Rhino MCP Platform)と、Grasshopper連携ツールのCordycepsを併用。いまから始める方には、開発元McNeelの公式実装が入手しやすい選択肢です(記事末尾の参考リンク参照)
レンダリング: ビューポートキャプチャを下絵に、画像生成AIのGemini 3 Pro Image(通称Nano Banana Pro)で実施。Google CloudのAPIで呼び出し、スキル登録して利用

02|夜間の自律作業のための「5つの運用ルール」
そして夜間パートの主役は、AIに渡した5つの運用ルールです。
モデルの保存は連番の別名保存(.3dm)のみ。上書きと削除は禁止。
各フェーズでビューポートをキャプチャし、AI自身が画像を見て品質確認してから次に進む。
Rhinoへの命令は1つずつ直列に実行する(並列禁止)
経過はすべて作業フォルダ内に記録する
作業に必要な承認設定は事前に実施
この5つの運用ルールは決して一晩の思いつきではなく、私のこれまでのVibe Modelingの蓄積によるものです。
仕組みも、AIエージェント活用では定石の「作業履歴の保全」「自己チェック・レビューのループ」「外部メモリ活用」の組み合わせで、私の発明はひとつもありません。
03|注意点
プロンプトで書いたルール(=AIに対する「お願い」)に強制力はありません。
AIがプロンプトを破る可能性は常にあります。だから安全性は、環境設定で多重に担保しています。
AIに触らせるのは専用の作業フォルダ内だけ、渡す権限はRhino操作に限定する(ファイル削除やシステム操作の権限は与えない)。
このような「お願い」と「権限」の二段構えです。AIエージェントの作業時にはこのような多層的な安全策を講じるのがオススメです。(ここでは詳細な紹介を省略します)
第2章:Fable 5による夜間の自律モデリング
深夜のうちにFable 5のモデリング作業によって、敷地と建物3棟のRhinoモデルが立ち上がり、未明からは「自分のレンダリングを見て直す」改善ループに時間の大半が使われていました。
00|テーマ選定(最初のプロンプト)
(作業フォルダを指定し)
この中であなたの長時間のモデリング作業を検証します。ちょうど今から朝の8時まで作業を継続するイメージでクレジットの許す限りの作業を続けてもらいます。
長時間あなたが自分の作業を振り返りながら次の作業を考えて、モデルを成長させ続けるようなことをやりたいです。どんなお題が良いか一緒に検討しましょう。あなたはモデルを作りこみ、キャプチャして確認し、レンダリングし、それを改善し続けます。
深夜2時、この信じられないほど大雑把なプロンプトから検証が始まります。
※このプロンプトの後にラリー形式で「水上の分化複合キャンパス」というテーマが決定しました。
それではFable 5によるモデリング作業の履歴を振り返っていきます。
01|敷地の基盤作り
汀線を数式(サイン波+ガウシアン入江)で定義し、湖・護岸・プロムナードを生成していました。

02|建物のモデル立ち上げ
美術館、イベントホール、水上のガラスドームパビリオンの3つを作成してくれました。

美術館
画像の左側。
雁行配置の3つのボックスボリューム+大庇の構成。
建物のデザインも完全にFable 5によるもの。


イベントホール
カテナリー曲線のシェル屋根。自重下の吊り形状に収束させる反復計算を220回実施してくれた(らしい)。構造計算・断面算定は未実施です。



水上のガラスドームパビリオン
桟橋で地盤とつながる水上のガラスドームパビリオン。かなり改善ループの恩恵を受けた部分。

03|モデルの作りこみ
最初の状態ではあまりにもモデルが質素ですが、自律的に作りこみを行ってくれました。


04|初レンダリング
ある程度作りこんだ時点でレンダリング(画像生成)を行ってくれています。ここまでのモデリング作業はわずか30分程度。


05|10周の改善ループ「Fable 5は目が良い」
ここからAIによる、自律的な改善ループが始まります。
2:40~9:27の間に、全10周の作業をこなしてくれています。

最も驚いた点はこの作業です。
AIはレンダリングを出して終わりではなく、その画像を自分で画像分析して、課題を言語化し、Rhinoに戻って改善作業を繰り返しました。
Fable 5は目が良い
今までのモデルとは明確に一線を画す画像分析の能力だと感じます。
これは、Fable 5が勝手に目覚めた能力ではありません。
「コイツは目が良さそうだ」と感じたため、私が評価観点(細部の破綻・モデル密度など)を与え、自分の出力を画像として再入力しチェックする仕組みにしてみたものです。
それでも、その枠の中で出てきた指摘の中身は、予想より具体的でした。ログに残っていた実例を4つ挙げます。
①美術館の庇が真っ白でノッペリしている
最初の空撮レンダに対してAIが挙げた弱点は「美術館の大庇が白い一枚板で、絵として単調」という内容でした。
改善策は、庇に円形の穴(オクルス)を6つブーリアン演算で開け、中央棟の外装をブロンズに変えること。


他にも、美術館にはルーバー状のファサードを加えてくれました。

②ガラスドームの中が空っぽ
水上パビリオンの内観を撮ろうとして、「ガラスドームの中に何もなく、写真として成立しない」と判定。
カフェの家具と植栽と人物を追加し、ガラスの透明度を調整してから撮り直しています。



③中央の芝生がただの空地
キャンパス中央の芝生広場が「何も起きていない場所」に見えると指摘し、弧状4段の野外劇場を新設。このとき干渉する樹木8本を自分で見つけて撤去しています。
他にもランドスケープを豊かにするため、改善してくれています。



④桟橋が行き止まり
水上パビリオンへの動線が桟橋1本しかなく回遊できない、という指摘を出し、横断ブリッジを2本架けてデッキを結節点に変えました。

一晩でこの改善サイクルが10回転しました。
もちろん全部が有効打だったわけではありません。
Fable 5の失敗談
狙いと違う画像を3回撮り(いずれも自らの合否判定で不合格にしてリテイク)、カメラ設定を2回取り違えています。

06|ループ作業の成果
最終的にモデルは「v000」から「v013」まで14バージョンに育ち、Nano Bananaの画像生成によるレンダリングが12枚完成していました。
一晩の成果は、この地味な改善ループそのものだったと感じます。




朝起きてPCの前に座って最初に見たのは、Rhinoに立ち上がったモデルと作業ログ群でした。
作業ログには、AIが自分のレンダリングに弱点を挙げては修正を繰り返した形跡が残っていました。
本当に、驚きで声が出ました。すげーーーーーー。と。
私にとっては、想像をはるかに超える成果でした。
2023年から生成AIを追ってきた私ですが、Fable 5以前は、AIによるモデリングタスクはまだまだ難しく、AIが自律的に作業を繰り返してモデルを磨く作業は出来たことがなかったです。
当然、個々の造形はまだ粗いものばかりです。
それでも「夜のあいだ誰も見ていない部屋で、スタディが少しずつ良くなり続けていた」という事実には、無視できないものがあります。
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