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「考察探究型の道徳授業」とは・・・

これまでの道徳授業では、教材をいくつかの場面に分けてあらすじを辿り、その中で登場人物の心情や価値観を探る方法が一般的でした。
しかし、考察探究型の道徳授業は、それとは一線を画す、まったく新しいアプローチです。
 
考察探究型の道徳授業では、まず児童生徒が教材の中から思考の材料を見つけ出し、その後、自分たちの力で深く考察し、最後にその内容を俯瞰して「価値」についてより深い理解を得ることを目指します。

この方法は、ただの価値の押し付けではなく、児童生徒自身が思索を深め、視野を広げることに重点を置いています。

どんな授業が展開されるのか?

授業は、まず教師が教材の概要を簡単に紹介し、児童や生徒が教材に対して「すごいと思ったこと」「心に残ったこと」「登場人物の行動」などに注目して読み進めます。

その後、児童や生徒が見つけた重要なポイントを発表し、教師がその内容を整理し、考察を深めるための発問を行います。

そして、教材全体を俯瞰して、そこから浮かび上がる価値についてじっくりと話し合います。

このアプローチによって、児童や生徒は自然に価値を深く理解し、道徳的な視点を養うことができます。

教師も驚く、授業の変化

従来の道徳授業に慣れている先生方にとっては、最初は驚きがあるかもしれません。
この「考察探究型」の授業を実践すると、児童や生徒の思考が劇的に広がり、豊かな意見交換が生まれます。

自信を持って自分の考えを表現し、他者の意見に耳を傾けながら、価値について深く掘り下げる姿を目にすることでしょう。

道徳の時間は、ただの「正しさ」を教えるのではなく、気持ちや考えを想像することに終始するのでもなく、世の中や自分自身をさまざまな角度から見つめ直す貴重な時間に変わります。

教材の選び方と授業設計の新しい方法

教師の立場から見ると、「考察探究型の道徳授業」の大きな特徴は、登場人物の気持ちや考えに主眼を置くのではなく、教材の意図を深く理解し、どう展開するかを戦略的に考えるところにあります。

17種類の授業類型を活用しよう

考察探究型には、教材の特徴に応じた4分類17種類の授業類型があります。

これらの授業類型を理解することにより、教師は教材の特徴を捉え、より効果的な授業展開を描くことができるようになります。
考察探究型の授業を実践するための具体的なパターンを学び、授業設計を今までよりもスムーズに進めることができるようになります。

こんな先生方におすすめです。

道徳の授業をもっと深く、広い視点で進めたい
児童生徒に自分で考えさせ、思考力を養いたい
教材を最大限に活用し、授業の質を高めたい

このように考える先生方には、考察探究型は必ず役に立ちます。

考察探究型の道徳授業で得られるもの

あなたも「考察探究型の道徳授業」を実践すれば、道徳授業の楽しさと奥深さを体感することができます。
そして、教材の特徴に合わせて自由自在に授業を設計・実践できるようになります。
さらに、これまでの授業を新しい視点から見直し、より深い学びを提供する方法を身につけることができると思います。

道徳授業の可能性を広げ、
未来を担う授業法に出会ってください。


考察探究型の道徳授業では、次のような順に授業を設計します。

考察探究型の授業設計の手順

考察探究型で授業を設計するには、教材の主題を捉え、教材の意図を想像する必要があります。
そして、教材の特徴と内容を捉え、教材の本質を捉える教材研究を行うと、授業展開はおのずと定まっていきます。

教材の特徴や内容、構造を活かした授業を組み立てて実践するのが、考察探究型の道徳授業の大きな特徴です。

考察探究型の道徳授業には、次のような共通した学習過程があります。

考察探究型の道徳授業に共通する学習過程

考察探究型の道徳授業は、教材内容を抽出して整理し、それらに考察を加え、考察した内容を俯瞰して価値に迫る展開方法に特徴があります。

1 教材内容の抽出・整理
2 抽出した内容の考察
3 考察した内容の俯瞰・探究

このように、考察探究型の授業では、
「1教材内容の抽出・整理」で取り上げた内容が、「2抽出した内容の考察」の活動で利用する「考えるための材料」となります。
そして、
「2抽出した内容の考察」で考えた内容は、「3考察した内容の俯瞰・探究」の活動で利用する「考えるための材料」となります。

現在の活動が次の活動の材料となり、次の活動がその次の活動の材料となるという「重層的な授業展開」である点が、これまでの授業とは大きく異なる考察探究型の授業の特徴です。

そして、教材内容に考察を加えることで含まれる価値を明確にし、教材に描かれた事象を俯瞰して様々な角度から考察し探究することで、価値に焦点化し、価値について考えを深めていきます。

このように、「三段階の学習過程」を共通してもつ点に考察探究型の特徴があるのですが、様々なタイプの道徳教材に対応するために、考察探究型には教材の特徴や内容、構造に応じた授業類型(展開パターン)があります。

考察探究型の授業には、4分類17種類の授業類型があります。

4分類17種類の授業類型(展開パターン)

これらの授業類型は、授業設計の参考にするもので、典型的な発問構成があります。

「抽出して考える展開群」の4類型と、「整理して考察する展開群」の6類型は、考察探究型の基本形になります。

「発展させて考察する展開群」の4類型と、「現実社会を考察する展開群」の3類型は、考察探究型の応用形になります。

教材の特徴を捉えて、これらの授業類型を参考にすると、授業展開(発問構成や板書構成)を容易に考えることができます。

考察探究型の道徳授業では、教材の内容や特徴と授業展開が深く関わっています。

1 教材内容と利用できる授業類型の関係

教材の特徴と利用できる授業類型との関係

考察探究型の授業では、このような特徴の教材は、この授業類型を参考にするとスムーズな授業展開が構想できるという授業類型(展開パターン)の使い分けがあります。

考察探究型では、教材の特徴に合わせ、教材を活かすための最適な方法で、授業構成を考え、実践していくのです。

2 教材だけでは考えを深めることが難しい場合に利用する授業類型

展開後段に重点化する授業類型

道徳教材には、その教材をメインに使って価値について深く考えることが難しいものもあります。
考察探究型では、そのような教材を用いて授業を行う場合にも、学びがいがあり、価値について、広く、深く考える授業を組み立てることができます。

3 文章の構成が複雑と感じられる教材の授業設計方法

構成が複雑な教材への対応方法

道徳教材には、時系列が交錯して描かれていたり、主人公が複数存在したり、内容が「入れ子構造」になっていたりして、授業展開を考えることが難しいものもあります。
そうした場合にも、考察探究型は対応することができます。

これらの授業は、考察探究型の発展形になります。

「考察探究型の道徳授業」は、教材との関係を踏まえて整理され体系化された授業展開群なのです。


考察探究型では、様々なタイプの思考方法を経験することができます。

さらに、考察探究型の4分類17種類の授業類型には、
・教材内容の抽出・整理
・抽出した内容の考察
・考察した内容の俯瞰・探究

という、共通した授業展開がありますが、

それぞれの授業類型で行われる「思考活動」は、それぞれに全く異なります。

考える対象が異なり
考える方法が異なり
価値に迫る方法
が異なり
価値の立あがり方
が全く異なるのです。

「整理して考察する展開群」の思考活動の内容

様々な思考方法を経験するのは、整理して考える展開群でも同様です。

さらに、考察探究型の「応用形」の授業類型では、広く深く、様々な思考方法を経験することになります。

「分類3 発展させて考察する展開群」の思考活動

「分類4 現実社会を考察する展開群」の思考の質の違い

考察探究型では、教材の特徴を捉え、その内容や特徴にふさわしい授業展開で授業を行いますが、そこで行われる思考活動は、「戦略的」に考えられ、「綿密に構成」されたものになっています。

考察探究型の「様々なタイプの授業類型」を経験することで

児童生徒は、
・出来事に応じた思考方法を学ぶことができ
・その場合、どのように考えたらよいかを考えることができ

起こりうる様々な現実の事象に対して
・適切に判断する力が身に付き
・適切に対応する力を養うことができる
ようになるでしょう。

考察探究型の授業を数多く経験した子どもたちは、
様々な場面において、ふさわしい思考方法を用いて事象を考え、適切な対処の方法を考え、乗り越えていける「力」を養うことができるのです。

考察探究型は、訪問指導、研究授業にも耐えられる授業展開になっています。

考察探究型の道徳授業は、

・重層的な構造をもつ三段階の学習過程
①教材内容の抽出・整理、
②抽出した内容の考察、
③考察した内容の俯瞰・探究の三段階の学習過程

・価値のブレをなくし、価値を自分ごととして捉える授業構成
導入、課題提示、展開前段(考察探究型)、展開後段、終末(学習課題を踏まえた主題発問)、学びの振り返りという学習過程

・教材の特徴を捉え、意図を想像して授業構成を考える授業設計方法
教材に合わせて利用する4分類17種類の授業類型

・「考え、議論する」授業展開
前の活動が次の活動の材料となり、次の活動がその次の活動の材料となるという「考えが深まる授業構造」

・ざっくりとした発問による多様な意見の引き出し
意見が否定されず、自信をもって意見を出せる授業構造
「考える材料の準備」と「発問構成」による「語らずにはいられない」構造

・教材に合った多面的・多角的な考察活動
教材の特徴に合った戦略的で綿密な発問構成・授業構成、授業類型(展開パターン)ごとに全く異なる思考活動と発問構成

・鋭い発問による価値の深い探究
人間の「心の弱さ」や「心の強さ」に迫る授業展開
関係性、変化の様子、未来の見通し、選択の妥当性などの詳しい検討

・考察した内容を俯瞰し、立ち上がってくる価値を話し合う活動
話合いによって、ねらいの価値が教材の中から立ち上がる授業構造
因果関係、教訓、関係性の大切さ、広がりの大切さ、時間的な深まり、感情を含んだ実感などとして、多面的理解の必要性、ねらいの価値が立ち上がる

・価値に基づいて、現実の世界をリフレーミングする活動
自分自身を考え、現実社会を考え、価値を実現する方法を考える

などによって、
ねらいに真っ直ぐに向かい、
価値について広く、深く考え、
自分のこれからの生き方を考えていく

という授業展開になっています。

そのため、指導主事等による訪問指導、各種発表会での研究授業にも、十分に耐えられる構成になっています。

考察探究型の授業を、日常的に実践し続けるなら、日々の授業が充実したものとなり、児童や生徒が心待ちにする時間となるでしょう。

そして、授業での学びを大切にし、それを現実の生活に活かして、「よりよく生きていこう!」と考える子どもたちが育つと思います。

考察探究型の道徳授業を学び、深い学びのある道徳授業を自在に設計する手法を身に付け、すばらしい道徳授業を実践してみてください。


考察探究型は、現在、開発途上、発展途上にある授業方法です。
考察探究型の授業を、共に作り上げていきましょう!


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ここからは、考察探究型への案内になります。
目的に応じて、読み進めてください。

(1)概要を知りたい方
(2)授業案集に興味のある方
(3)授業実践に取り組みたい方
(4)専門的に学びたい方
(5)考察探究型の”秘密”を知りたい方
(6)道徳教育をより深く考えたい方
(7)授業効果を確かめたい方

(1)概要を知りたい方

☆考察探究型の概要を知りたい方は、次の記事にお進みください。
 考察探究型の概要は、この記事から順に読んでいくことができます。

「概要編」は、授業類型、活用法など、考察探究型の全体像を、簡潔に提示することを目的にしています。
概要提示が優先のため、内容の「解像度」は低くなっています。


(2)授業案集に興味のある方

☆考察探究型の道徳授業には、授業案集があります。

どんな授業なのか?
まず、体験したい方も多いと思います。

授業案集では、授業の三大要素である、発問、板書、主要指示が掲載され、教材を一読し、本授業案を手元に置けば、考察探究型を手軽に実践できます
どのような授業案集があるのか、次の記事をご覧ください。

なお、これらの授業案集に掲載された授業は、「授業づくり編」の「知見」を用いることで、さらに精度の高い授業へとリファインすることができます。

次のサイトでも、授業案を紹介しています。
 各記事の最後からは、授業案のPDFをダウンロードできます。

なお、これらの授業案は、「いじめ対策授業」「命にかかわる授業」「情報モラル授業」「キャリア教育授業」などに分類したマガジンからもご覧いただけます。

*次は、いじめ対策授業をまとめたマガジンの例です。

各種マガジン(記事の集まり)を探したい方は、次からお進みください。
下にスクロールすると「もっとみるのボタンがあります。表示されたものだけではありませんので、「もっとみる」から、さらにお進みください。


(3)授業実践に取り組みたい方

授業の基本的な「流し方」、各授業類型(17種類)の「授業のポイント」などを知りたい方は、こちらをご覧ください。

この書籍は、「概要編」を基にして考察探究型に対する「解像度」を高めたものです。各授業類型の仕組みを理解して、授業実践がスムーズに行えるようにしました。

このマガジンは、「基本編」の記事を分割して提示したものです。
必要な授業類型の部分だけを読むことができます。
文末からは原稿をダウンロードできます。

次の記事から順に読み進めることができます。


(4)専門的に学びたい方

☆授業構造やその設計方法など、考察探究型を専門的に学びたい方は、こちらをご覧ください。

授業類型ごとに大きく異なる発問構成やそこで行われる思考活動を詳細に検討するなど、授業づくりへの「解像度」を高めた内容になっています。

この書籍は、考察探究型を詳細に解説した内容になります。
授業の焦点、授業の流れ、各授業類型に見られる派生型の分岐点などを詳しく説明しています。

そのため、考察探究型に対する解説も、概要編や基本編とは異なる方法で行っています。かなり深い視点から授業構造を捉え、ねらいの価値への焦点化をより精密に考えているために、各授業類型の学習過程が基本編と異なる部分があります
こうしたことを踏まえ、多くのページを「見開き2頁」の構成にして、「文章」と「図表」を往還しながらじっくりと理解を深めていただけるようにしました。

この書籍は、分割して必要な部分だけを読むことができます。
これを掲載しているのが次のマガジンです。

各記事(教材ごとの授業の作り方)は、文章末からダウンロードできます。

次のマガジンは、具体的な教材を取り上げて授業づくりの方法を詳しく解説した記事が集めてあります。
ここで紹介するのは、「授業の流し方」ではなく「授業の作り方」です。
各授業類型ごとの授業設計の手順を、具体的な教材を例に挙げて詳しく解説しています。
文章末からは記事をダウンロードできます。


(5)考察探究型の”秘密”を知りたい方

考察探究型の道徳授業には、授業類型のバリエーション、授業構成の仕方などでは分からない「秘密」がたくさんあります。
子どもたちをやる気にさせる仕組み、ねらいに真っ直ぐに向かう理由、発達段階との関係、教育学や心理学との関係などです。
トピックに分けて解説してあり、はじめから順に読み進めることができます。

はじめの記事はこちらです。簡単な内容から解説しています。


(6)道徳教育をより深く考えたい方

☆道徳教育について、大きく四つのトピックを取りあげ、連載形式で読み進められる内容です。これまでの道徳科では語られることが少なかった内容、ほとんど考えてこられなかった内容を掲載しています。

連載1:従来型授業に隠された不都合な真実!
 従来型の授業による「認知の罠」「思考エラー」の発生
連載2:これからの道徳授業の在り方!
 
「自我関与先行モデル」と「価値理解先行モデル」を統合する
連載3:道徳授業を思考方法を学ぶ場に!
 
17種類の授業方法による思考方法のトレーニングとその影響
連載4:道徳授業の見方を変える!
 
「ざっくり発問」の効果、コントロールを手放す、見方を変える!

こちらが、これらをまとめたマガジンです。

連載1:従来型授業に隠された不都合な真実!のはじめの記事はこちらです。

連載2:これからの道徳授業の在り方!のはじめの記事はこちらです。

連載3:道徳授業を思考方法を学ぶ場に!のはじめの記事はこちらです。

連載4:道徳授業の見方を変える!のはじめの記事はこちらです。


(7)授業効果を確かめたい方

☆道徳授業の授業効果を確かめたい方は、次の記事にお進みください。

論理的、客観的に「道徳授業の効果を評価」できる方法を紹介しています。
授業効果を確認することによって、授業精度を高めることができます。
道徳科感想分析法は、授業評価の方法であると共に、PDCAサイクルに基づいた授業改善の方法です。
なお、「道徳科感想分析法」には、多様な応用方法があります。

*この内容は、月刊誌「道徳教育」(明治図書)に一年間連載されました。

書籍としてもまとめています。
紙版と電子版があります。


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