ITパスポート|DX・BPRとは?業務プロセス改善をやさしく解説
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システム戦略とは、会社の作戦(経営戦略)をかなえるために「ITをどう使うか」を決める分野です。ITパスポートでは、情報システム戦略・DX・BPR・RPA・BYODといった用語がよく問われます。この記事では、そのアルファベットだらけの言葉を、リフォームやロボット社員の例えで1つずつ整理していきます。
「DX?BPR?RPA?略語が多すぎて頭に入らない…」と感じますよね。わかります。でも大丈夫。どれも「仕事のやり方を、ITでどう良くするか」という1つの話につながっています。スマホでスラスラ読めるように、かみくだいていきますね。
この記事でわかること
情報システム戦略が「何を決めるものか」と、経営戦略との主従関係
DXとIT化の違い、BPRとBPMの違い、RPAにできること・できないこと
業務を「見える絵」にする図(E-R図・DFD)と、BYODなどITの活用の言葉
この記事の要点(先に結論!)
情報システム戦略とは、経営戦略を実現するために、会社としてのITの使い方を決める戦略のことです。
DXとは、データとデジタル技術を活用して、製品・サービスや業務そのものを変革することです。
BPRは業務プロセスを根本から一気に作り直す手法で、BPMは業務プロセスを継続的に改善しつづける管理手法です。
RPAとは、人がパソコンで行っていた定型的な事務作業を、ソフトウェアのロボットに代行させて自動化する仕組みです。
BYODとは、従業員の私物端末を業務に使うことで、便利な一方、情報漏えいなどのセキュリティリスクがあります。
1. システム戦略ってなに?この章の全体地図
システム戦略とは、ひとことで言うと「会社としてITをどう使うか」の作戦と、その実行の話です。
新しいシステムを入れること自体は、目的ではありません。「会社の作戦(経営戦略)をかなえる道具」として、ITの使い方を考えるんですね。この分野は、次の3ステップの一本道でできています。
作戦を立てる…情報システム戦略・DX(この記事)
現場を良くする…業務プロセスの見える化と改善、BPR・RPA・BYOD(この記事)
道具を手に入れる…クラウドサービスの選び方や、システムの発注の段取り(別記事)
なお、この記事は本書『いちばんやさしいITパスポート』の第5章「システム戦略」に対応しています。第5章は範囲が広いので3つに分けていて、この記事は戦略と業務改善の担当です。クラウド(SaaS〈サース〉など)は別記事(B05b)、要件定義やRFPなどシステムの発注は別記事(B05c)で解説します。
2. 情報システム戦略:ITは経営の作戦をかなえる道具
まずは、いちばん上流の情報システム戦略からです。
情報システム戦略とは、自社の経営戦略・事業戦略を実現することを目的に、情報システムをどう構築・活用するかを定める戦略のことです。第3章で出てきた経営戦略が「会社の作戦会議」なら、情報システム戦略はその作戦を実現するためのIT版の作戦なんですね。
大事なのは順番です。経営戦略が先、ITはそれを実現する手段。「流行っているからAIを入れよう」ではなく、「会社の作戦に合うからこのITを使おう」の順で考えます。試験でも、この主従関係がよく問われますよ。
ちなみに、この戦略の責任者がCIO(シーアイオー。Chief Information Officer。最高情報責任者)です。第1章で出てきた「会社の○○大臣」でいうと、IT担当大臣にあたる役職ですね。

2.1 EA・SoR・SoE:戦略ででてくる3つの略語
情報システム戦略では、次の略語もセットで押さえておきましょう。
まずEA(イーエー。Enterprise Architecture。エンタープライズアーキテクチャ)。組織全体の業務とシステムを「あるべき姿」に向けて整理する設計手法です。イメージは、会社全体の「都市計画図」。ビルを1棟ずつ勝手に建てるのではなく、街全体の設計図に沿って建てていく考え方です。
次に、システムの2つのタイプです。
SoR(エスオーアール。Systems of Record)…記録のためのシステム。会計や在庫管理など、会社の土台を支える記録の仕組み(基幹システム)。いわば守りの台帳
SoE(エスオーイー。Systems of Engagement)…顧客とのつながりのためのシステム。アプリやSNS連携など、いわば攻めの接客窓口
Recordの「記録」か、Engagementの「つながり」か。英単語の意味で見分けられます。
2.2 エンタープライズサーチ:社内専用の検索エンジン
もう1つ、エンタープライズサーチという言葉もあります。
イメージは、社内専用の検索エンジンです。会社の中には、文書やデータがあちこちの部署に散らばっていますよね。それらを横断して一発で検索できるようにする仕組みのことです。
3. DXとは?「IT化」との違いがポイント
次は、ニュースでもおなじみのDXです。2026年7月時点でも、試験・実社会の両方で頻出のキーワードです。
DX(ディーエックス。デジタルトランスフォーメーション)とは、データとデジタル技術を活用して、製品・サービスやビジネスモデル、業務そのものを変革することです。
ポイントは、単なる「IT化(デジタイゼーション。アナログ作業をデジタルに置き換えること)」より一歩深い、という点です。
イメージは、カーナビで考えるとわかりやすいです。紙の地図をカーナビに置き換えるのがIT化。いっぽう、カーナビがある前提で、配送ルートも商売のやり方ごと変えてしまうのがDXです。道具を置き換えるだけでなく、仕事や商売の形まで変えて初めてDX、と覚えましょう。

3.1 第4次産業革命とSociety5.0
DXの背景として、次の2つの言葉も名前と意味を押さえておきましょう。
第4次産業革命…AI・IoT(モノがネットにつながる仕組み。B04bで解説)・ビッグデータ(人の手には余るほど大量のデータ)による産業の変革のこと
Society5.0(ソサエティごーてんぜろ)…サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させた、日本が掲げる未来社会像
Society5.0の「5」は、狩猟→農耕→工業→情報社会の次の5番目、という意味です。番号の由来ごと覚えると忘れませんよ。
3.2 レガシーシステム:DXの足を引っぱる古いシステム
DXとセットで出てくるのが、レガシーシステムです。古い技術のまま長年使われ、改修が難しくなったシステムのこと。イメージは、増改築を重ねた古い旅館です。図面が残っておらず、直せる大工さんも見つからない状態なんですね。
「こうした古いシステムを放置するとDXが進まず、大きな損失につながる」——そんな警鐘として「2025年の崖」という言葉も話題になりました。試験では、レガシーシステムは「安全性や効率が下がったら、廃棄・刷新を検討すべきもの」と押さえておけば十分です。この評価の話は、別記事(B05b)でもう少しくわしく扱いますね。
4. 業務プロセスのモデル化:仕事の流れを「見える絵」にする
ここからは、現場の改善の話です。まずはモデル化から。
仕事の流れは、頭の中にあるだけでは直せません。「見える絵」にして初めて、ムダや詰まりが見つかるんですね。業務プロセスを視覚的に表すことをモデル化といい、試験では代表的な図が3つ出ます。
E-R図(イーアール図。Entity Relationship Diagram)…データの「実体」と「関係」を表す図(例:顧客と注文の関係)
DFD(ディーエフディー。Data Flow Diagram)…業務の中でデータがどう流れるかを表す図
BPMN(ビーピーエムエヌ。Business Process Model and Notation)…業務プロセスを統一記法で描くための国際的な表記法
4.1 E-R図は「相関図」、DFDは「川の流れの地図」
とくに問われるのが、E-R図とDFDの区別です。
E-R図はドラマの登場人物の相関図。「顧客と注文」のように、もの同士の関係を描きます。いっぽう、DFDは川の流れの地図。データという水が、どこから来てどこへ流れるかという流れを描きます。
試験では、図の説明文から名前を選ばせる形で出ます。「関係の図=E-R図、流れの図=DFD」で見分けましょう。

5. BPRとBPM:一気に作り直すか、改善を続けるか
業務を絵にしてムダが見つかったら、いよいよ改善です。ここで出るのがBPRとBPM。この2つの区別は頻出ですよ。
BPR(ビーピーアール。Business Process Reengineering)とは、業務プロセスを根本から見直し、抜本的に再設計する手法です。イメージは、間取りごとのフルリフォーム。「そもそもこのやり方でいいの?」と、壁を壊してゼロから組み直します。
BPM(ビーピーエム。Business Process Management)とは、業務プロセスを継続的に分析・設計・実行・改善しつづける管理手法です。イメージは、住みながらの模様替えをずっと続けること。PDCA(計画→実行→評価→改善のくり返し。料理の味見と改善のイメージ)を業務の流れに対して回しつづける、と考えるとつながります。

見分け方はシンプルです。BPR=一気に作り直す(抜本)/BPM=ずっと改善しつづける(継続)。「抜本」か「継続」か、説明文のキーワードで選びましょう。
5.1 ワークフローシステム:はんこリレーの電子化
改善の道具として、ワークフローもよく出ます。
ワークフローとは、申請→承認のような業務の流れのこと。そして、その流れを電子化した仕組みがワークフローシステムです。イメージは、はんこリレー(回覧板)の電子化。紙をもって上司の机を回る代わりに、画面上で申請と承認が流れていきます。
6. RPAとは?定型作業をこなす「ロボット社員」
業務改善の言葉で、いま最もよく出るのがRPAです。
RPA(アールピーエー。Robotic Process Automation)とは、人がパソコンで行っていた定型的な事務作業を、ソフトウェアのロボットに代行させて自動化する仕組みです。
イメージは、コピペ・転記が得意な「ロボット社員」。毎日同じ画面を開いて、同じ場所に数字を写す。そんな決まりきった作業を、文句も言わず正確にこなしてくれるんですね。
6.1 RPAとAIの違い:ロボット社員は「判断しない」
ここで注意が1つ。RPAは、自分で考えたり学習したりはしません。
得意なのは「決められた手順のくり返し」だけ。判断が必要な非定型の仕事は苦手です。自分で学習・判断するAIとの違いとして、試験で問われるポイントです。なお、AIを使った「顧客の行動や感情の分析」「ビジネスプロセスの自動化」も、ITの活用例として名前が挙がります。AIそのものの解説は、第4章の記事(B04b)を見てくださいね。
RPAのキーワードは「定型」「くり返し」「事務作業」。この3語が出たらRPAです。

7. ITの有効活用:BYOD・テレワーク・情報銀行
最後は、業務でITを活用するときの言葉たちです。名前と一言の意味を押さえていきましょう。
7.1 BYOD:マイスマホ出勤の便利さと怖さ
BYOD(ビーワイオーディー。Bring Your Own Device)とは、従業員の私物端末(自分のスマホやパソコン)を業務に使うことです。
イメージは、マイ箸ならぬ「マイスマホ」出勤。使い慣れた自分の端末で会社のメールも見られたら便利ですし、会社は端末代を節約できます。でも、そのスマホを落としたら? 会社の情報ごと落とすことになりますよね。
つまりBYODは、便利さと情報漏えいリスクのセットで問われる言葉です。「私物端末」「セキュリティが課題」がキーワードですよ。

7.2 M2M・テレワーク:機械同士の会話と、場所を選ばない働き方
あと2つ、活用のキーワードです。
M2M(エムツーエム。Machine to Machine)…機械同士が人を介さず直接通信すること。モノがネットにつながるIoT(B04bで解説済み)と、セットで登場します
テレワーク…ITを活用して、オフィスから離れた場所で働く働き方。業務効率化の取組例として挙げられます
7.3 ライフログ・PDS・情報銀行:個人データの新しい流れ
個人のデータをめぐる3点セットも、まとめて覚えましょう。
ライフログ…行動や生活の記録データ(移動履歴・購買履歴など)
PDS(ピーディーエス。Personal Data Store)…個人が自分のデータを自分で管理し、提供先を選ぶ仕組み
情報銀行…個人から預かったデータを、本人の同意の範囲で企業に提供する事業
情報銀行のイメージは、データの銀行預金です。お金の代わりに自分のデータを銀行に預け、本人が同意した範囲で運用してもらう。データの持ち主はあくまで本人、という点がポイントです。
このほか、Web会議・チャット・SNS・電子掲示板といったコミュニケーションツールの活用も範囲に入ります。シェアリングエコノミーは第4章の記事(B04c)で解説済みなので、そちらをどうぞ。
8. まとめ:3行でふりかえり
情報システム戦略は「経営戦略が先、ITは手段」。EA(都市計画図)・SoR(守りの台帳)・SoE(攻めの接客窓口)もセットで覚えましょう。
DXは「IT化より一歩深い変革」。業務改善はBPR(一気に作り直す)とBPM(改善を続ける)、RPA(定型作業のロボット社員)で押さえます。
E-R図は「関係の図」、DFDは「流れの図」。BYODは「私物端末の便利さと情報漏えいリスクのセット」です。
いかがでしたか?略語は多いですが、どれも「仕事をITで良くする話」の登場人物です。まずはBPRとBPM、RPAの3つから覚えてみましょう!
9. よくある質問(FAQ)
Q1. BPRとBPMの違いは何ですか?
A. BPR(Business Process Reengineering)は、業務プロセスを根本から見直して一気に再設計する手法です。いっぽうBPM(Business Process Management)は、業務プロセスを継続的に分析・改善しつづける管理手法です。「抜本(一発の大改革)」か「継続(改善の習慣)」かで見分けます。
Q2. RPAとAIの違いは何ですか?
A. RPAは、決められた手順の定型的な事務作業(転記・集計など)を自動でくり返す仕組みで、自分で判断や学習はしません。いっぽうAIは、データから学習して判断や予測を行います。「決まった作業の代行=RPA、学習と判断=AI」と区別しましょう。
Q3. DXとIT化(デジタル化)の違いは何ですか?
A. IT化(デジタイゼーション)は、紙の書類を電子化するなど、いまの仕事をデジタルに置き換えることです。DXはその先で、データとデジタル技術を前提に、製品・サービスやビジネスモデル、業務そのものを変革することを指します(2026年7月時点でも試験頻出のテーマです)。
Q4. BYODとは何ですか?何がメリットですか?
A. BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員の私物のスマホやパソコンを業務に使うことです。使い慣れた端末で働ける、会社の端末コストを減らせるといったメリットがあります。いっぽうで、紛失や情報漏えいなどのセキュリティリスクが課題になります。
おすすめ教材(PR)
システム戦略は、BPRやRPAなど、用語の意味と「見分けのキーワード」を知っていれば解ける分野です。計算がないぶん、教科書で用語を反復すれば得点源にしやすいところです。
とはいえ、iパスの過去問は公式サイトや無料サイトでも解けます。参考書は必ずしも必須ではありません。
それでも1冊ほしいなら、この記事とそのまま並走できる、こちらがおすすめです。この記事は、次の本の第5章「システム戦略」に対応しています。
『【令和8年度】いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集』
章立てがこのシリーズ(B01〜B15)と対応しているので、記事と本を行き来しながら進めやすい1冊です(2026年7月時点)。くり返しますが、これがなくても合格はできます。でも、あると近道になりますよ。
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この記事を書いた人
simic(IT資格ノート)。文系・非エンジニアの視点で、つまずきやすいIT用語を「たとえ」でかみくだきながら、資格の勉強ノートを書いています。→ くわしい自己紹介:https://note.com/simic_0531/n/n5ed7f56f1ab9
最終更新:2026年7月
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