ITパスポート|SaaS・PaaS・IaaSの違いをやさしく解説
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SaaS(サース)とは、ソフトウェアをネット経由でそのまま使えるサービスのことです。ITパスポートでは、よく似た仲間のPaaS・IaaSとの区別が定番の出題ポイントです。
この記事では、「どこまで借りるか」というたった1本の軸で、SaaS・PaaS・IaaS・オンプレミスの違いをまるごと整理します。
「サース?パース?アルファベットが似すぎて、もう暗号にしか見えない…」となりますよね。わかります。でも大丈夫。住まい(持ち家・賃貸・ホテル)の例えに置きかえると、びっくりするほどすっきり見分けられるようになりますよ。
この記事でわかること
SaaS・PaaS・IaaS・DaaSの違いと覚え方
オンプレミスとクラウドの違い、パブリック/プライベートなどの提供形態
ハウジングとホスティングの区別、システムを「使い続ける」ための評価の考え方
この記事の要点(先に結論!)
SaaSとは、ソフトウェアをインターネット経由でそのまま使えるサービスのことです。
SaaS・PaaS・IaaSの違いは、事業者から「どこまで借りるか」の範囲の違いです。
オンプレミスとは、自社の設備にシステムを置いて自社で運用する形態のことです。
ハウジングは自社のサーバを事業者の施設に預けるサービス、ホスティングは事業者のサーバを借りるサービスです。
デジタルディバイドとは、ITを使える人と使えない人の間に生じる格差のことです。
1. この記事の範囲:システムは「作る」から「借りる」へ
会社のシステムは、昔は自社で作って自社で持つのが当たり前でした。いまは「必要な分だけ借りる」クラウドが主流になりつつあります。この記事では、その「借り方」のバリエーションをまるごと整理します。
ソリューションビジネス…顧客の困りごとをITで解決するビジネス(システムをまるごと請け負うSIなど)
クラウドサービス…SaaS・PaaS・IaaS・DaaSと、その提供形態(この記事の主役)
いろいろな借り方…ASP・ホスティング・ハウジング・マネージドサービス
活用促進と評価…デジタルディバイド・レガシーシステムなど
なお、この記事は本書『いちばんやさしいITパスポート』の第5章「システム戦略」に対応しています。第5章は範囲が広いので3つに分けていて、この記事はクラウドと活用促進の担当です。情報システム戦略やBPR・RPAは別記事(B05a)、要件定義やRFPなどシステムの調達はまた別記事(B05c)で解説します。
2. ソリューションビジネスとは?困りごとをITで解決する仕事
まずは入り口の言葉から。ソリューション(解決策)とは、顧客との信頼関係を築き、顧客の問題点を知り、解決案を提案して、問題解決を支援することです。「システムを売って終わり」ではなく、困りごとの解決までがセットなんですね。
解決の形(ソリューションの形態)は、いろいろあります。
自社でシステムを開発する
市販のソフトウェアパッケージを導入する
他社のサービス(クラウドなど)を活用する
2.1 SI(システムインテグレーション)とアウトソーシング
代表的なソリューションがSI(エスアイ。System Integration。システムインテグレーション)です。システムの企画から構築、運用までを一括して請け負うことをいいます。
イメージは、引っ越しの「おまかせパック」。荷造りから運搬、設置までまるごと任せられますよね。同じように、システムづくりの一部始終をプロにまるごと任せられるのがSIです。
あわせて、アウトソーシング(業務の一部を外部の専門業者に委託すること)もおさえておきましょう。「餅は餅屋」で、自社は本業に集中するという考え方です。
3. オンプレミスとクラウドの違い:自前か、借りるか
クラウドの話に入る前に、対義語の「オンプレミス」から見ておきましょう。ここが比較の出発点になります。
オンプレミス(on-premises。「自社の敷地内で」という意味)とは、システムを自社の設備に置いて自社で運用する形態のことです。サーバ(頼むと応えてくれる側のコンピュータ)も自社で持ちます。イメージは持ち家。自由に作り込めますが、購入も修理も管理も、全部自分でやります。
一方、クラウドコンピューティングとは、事業者が用意したサーバやソフトを、インターネット経由で必要な分だけ利用する形態です。雲(クラウド)の向こう側にある設備を、借りて使うイメージですね。

試験では「自社設備で自前運用=オンプレミス」とおさえます。まずこの対比を固めてしまいましょう。ここから先は「では、どこまで借りるか?」という、程度の違いの話になります。
4. SaaS・PaaS・IaaS・DaaSの違い(ここが主役!)
出ました、呪文のような4兄弟。でも安心してください。違いは「どこまで借りるか」、これだけです。
4.1 住まいの例えで一気にわかる
システムは、大きく3階建てでできています。上からソフト(アプリ)、それを動かす土台(OS〈オーエス。アプリと機械の間を取り持つ基本ソフト〉や開発環境)、いちばん下に機材(サーバなどの設備)です。
どこまで借りるかを、住まいに例えるとこうなります。
オンプレミス=持ち家…土地も建物も家具も自分の物。管理も全部自分
IaaS=更地を借りる…土地(機材)だけ借りて、家(OSやソフト)は自分で建てる
PaaS=内装OKの賃貸…建物(土台)までは大家さん持ち。部屋の中身(アプリ)は自分で
SaaS=家具付きホテル…体ひとつで住める。ソフトまで全部そろっている

この「1本の軸」に乗せてしまえば、4つはもう別々の暗号ではありません。借りる範囲が広がるほど、自分で管理する範囲は狭くなる。この反比例の関係が見えれば勝ちです。
4.2 4つのサービスを正式な言葉で
例えのイメージのまま、正式な定義を重ねましょう。
SaaS(サース。Software as a Service)は、ソフトウェアをネット経由でそのまま使えるサービスです。Webメールやオンライン会計ソフトが身近な例。手元へのインストール(ソフトを機器に入れる作業)がいらず、すぐ使えます。
PaaS(パース。Platform as a Service)は、アプリを動かす土台(プラットフォーム。OSや開発環境)を借りるサービスです。自分のアプリは自分で作って載せます。アプリ開発をする会社向けですね。
IaaS(イアース。Infrastructure as a Service)は、サーバや記憶装置などの機材(インフラ)を借りるサービスです。OSから自分で入れるので、自由度はいちばん高め。そのぶん、自分で管理する範囲もいちばん広くなります。
DaaS(ダース。Desktop as a Service)は、パソコンのデスクトップ環境をネット越しに使うサービスです。イメージは、自分の机が「窓の向こう」にあること。手元の端末には画面だけが映り、データや処理はクラウド側にあります。
4.3 試験でねらわれるのは「管理範囲」
試験での問われ方は、大きく2パターンです。
説明文から名前を選ぶ…「ソフトウェアをネット経由で提供」→SaaS、など
利用者の管理範囲を比べる…自分で管理する範囲はSaaSがいちばん狭く、IaaSがいちばん広い
とくに2つ目は要注意。「OSの設定ができる(する必要がある)のはIaaS」が定番の引っかけどころです。迷ったら頭文字に戻りましょう。Software=ソフトまで全部、Platform=土台まで、Infrastructure=機材だけ。英語の意味から思い出せます。
5. クラウドの提供形態:パブリック・プライベート・ハイブリッド
同じクラウドでも、「だれが使うためのものか」で呼び名が変わります。こちらは乗り物の例えでいきましょう。
パブリッククラウド…不特定多数の利用者で共用するクラウド。乗り合いバスのイメージ
プライベートクラウド…自社専用に構築・利用するクラウド。自家用車のイメージ
ハイブリッドクラウド…パブリックとプライベートを組み合わせて使い分ける形態
マルチクラウド…複数の事業者のクラウドを併用する形態

大事なデータは自社専用(プライベート)に、それ以外は手軽な共用(パブリック)に。そんないいとこ取りがハイブリッドです。そして、1社のサービスに頼りきらず複数社を使い分けるのがマルチクラウド。「組み合わせ方の呼び名」だとわかれば、こわくありませんね。
6. ハウジング・ホスティング・ASP・マネージドサービス
クラウド以外にも、「借り方」の用語がいくつかあります。どれも試験で名前が出るので、一言ずつおさえましょう。
6.1 ハウジングとホスティング:カギは「機械がだれの物か」
まぎらわしい2つを先に片づけます。
ハウジングサービス…自社のサーバを、事業者の施設(データセンター)に置かせてもらうサービス。借りるのは場所・電源・回線
ホスティングサービス…事業者のサーバを借りて使うサービス
イメージは、トランクルームと家具付きの部屋。ハウジングは、自分の家具(サーバ)をトランクルームに預けること。ホスティングは、家具ごと大家さんの物である部屋を借りることです。

試験では「サーバがだれの物か」で見分けます。自分の物を預けるならハウジング、事業者の物を借りるならホスティングです。
6.2 ASP・マネージドサービス・SOA(+α)
残りの3つも、さらっといきましょう。
ASP(エーエスピー。Application Service Provider)…ネット経由でアプリを提供する事業者のこと。SaaSの「先輩格」で、試験でも同じ文脈で登場します
マネージドサービス…システムの運用・監視・保守までまとめて任せられるサービス。管理人さん付きの物件のイメージです
SOA(エスオーエー。Service Oriented Architecture)…業務の機能を独立した部品(サービス)にして、レゴブロックのように組み合わせてシステムを作る考え方
なおSOAは、現行シラバスの用語例には載っていませんが、過去問で名前が出たことのある「+α」用語です(2026年7月時点)。名前と「部品を組み合わせる考え方」だけ、頭の片すみに置いておけば十分ですよ。
7. システムは「使われてこそ」:活用促進と評価
最後は、システムを入れたあとの話です。システムは作って終わりではありません。使ってもらう工夫と、元が取れているかの定期健診が必要になります。
7.1 使ってもらう工夫:デジタルリテラシーとゲーミフィケーション
デジタルリテラシーとは、コンピュータやアプリなどのデジタル技術を理解し、効果的に活用する能力のことです。せっかくのシステムも、使う側にこの力がないと宝の持ちぐされ。だから教育や普及啓発が大事になるんですね。
その工夫の代表がゲーミフィケーションです。ポイントやランキングなど、ゲームの仕組みをゲーム以外に応用して、やる気と継続を引き出す手法のこと。イメージはラジオ体操のスタンプカード。スタンプがたまるから、つい続けたくなるわけです。
7.2 デジタルディバイドとレガシーシステム
普及の裏側で問題になるのがデジタルディバイドです。ITを使える人と使えない人の間に生じる格差のこと。ネット予約限定のチケットを「取れる人と取れない人」の差を想像してください。情報の格差が、そのまま損得の差になってしまうわけです。
そして、システム側の老化がレガシーシステム。古い技術のまま長年使われ、改修が難しくなったシステムのことです。イメージは、増改築を重ねた古い旅館。図面がなく、直せる大工さんも引退していて、手の付けようがない状態ですね。
システムには、企画から廃棄までの一生(システムライフサイクル)があります。だから運用中も、費用対効果分析や利用者満足度調査で「まだ元が取れているか」を点検します。そして、安全性や効率が下がったレガシーシステムは、廃棄・刷新を決断する必要があるんです。

ちなみに、「次のシステムをどう手に入れるか」という段取り(要件定義や調達)は、別記事(B05c)でくわしく解説します。
8. まとめ:3行でふりかえり
SaaS・PaaS・IaaSの違いは「どこまで借りるか」。ソフトまで全部がSaaS、土台までがPaaS、機材だけがIaaSです。
オンプレミスは自社設備での自前運用。ハウジングは自社サーバを預ける、ホスティングは事業者のサーバを借りるサービスです。
システムは使われてこそ。デジタルディバイドに配慮しつつ費用対効果を点検し、レガシーシステムは刷新を判断します。
いかがでしたか?呪文に見えた4兄弟も、住まいの例えなら見分けられそうですよね。まずは「持ち家→更地→賃貸→ホテル」の1本の軸を、自分の言葉で説明できるようにしてみましょう!
9. よくある質問(FAQ)
Q1. SaaSとは何ですか?具体例を教えてください。
A. SaaS(サース)とは、ソフトウェアをインターネット経由でそのまま使えるサービスです。Webメールやオンライン会計ソフトが具体例です。手元へのインストールが不要で、すぐに使い始められるのが特徴です。
Q2. SaaSとPaaSとIaaSの違いは何ですか?
A. 事業者から「どこまで借りるか」の違いです。ソフトまで全部借りるのがSaaS、OSや開発環境という土台まで借りるのがPaaS、サーバなどの機材だけ借りるのがIaaSです。自分で管理する範囲は、SaaSがいちばん狭く、IaaSがいちばん広くなります。
Q3. オンプレミスとクラウドの違いは何ですか?
A. オンプレミスは、自社の設備にシステムを置いて自社で運用する形態です。クラウドは、事業者の設備やソフトをインターネット経由で必要な分だけ利用する形態です。持ち家(オンプレミス)と、借りて住む(クラウド)の関係で覚えましょう。
Q4. ハウジングとホスティングの違いは何ですか?
A. サーバがだれの物かで区別します。ハウジングは、自社のサーバを事業者の施設(データセンター)に置かせてもらうサービスです。ホスティングは、事業者のサーバを借りて使うサービスです。
おすすめ教材(PR)
クラウドの用語は、計算のいらない「意味の区別」の分野です。1本の軸で整理してしまえば、覚える量は少なく、得点源にしやすいところです。
とはいえ、iパスの過去問は公式サイトや無料サイトでも解けます。参考書は必ずしも必須ではありません。
それでも1冊ほしいなら、この記事とそのまま並走できる、こちらがおすすめです。この記事は、次の本の第5章「システム戦略」に対応しています。
『【令和8年度】いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集』
章立てがこのシリーズ(B01〜B15)と対応しているので、記事と本を行き来しながら進めやすい1冊です(2026年7月時点)。くり返しますが、これがなくても合格はできます。でも、あると近道になりますよ。
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【シリーズの目次】:ITパスポートの出題範囲 全体地図
この記事を書いた人
simic(IT資格ノート)。文系・非エンジニアの視点で、つまずきやすいIT用語を「たとえ」でかみくだきながら、資格の勉強ノートを書いています。→ くわしい自己紹介:https://note.com/simic_0531/n/n5ed7f56f1ab9
最終更新:2026年7月
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