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おっちゃんが呟く「盛り場語録」ナ行

noteをご覧の皆様、能勢義介です。

連載、おっちゃんが呟く「盛り場語録」 今回はナ行(なにぬねの)をお届けします。

厳しい現実社会で戦う大人たちにとって、夜の街は戦士の休息所です。
そこには、エリートの世界とは違う、傷ついた者を優しく包み込む懐の深さがあります。

温かい人情と、自分のルーツを見つめ直すナ行の言葉たちです。

盛り場語録 ― ナ行 ―

な(馴染み):「お帰り」と迎えてくれる、馴染みの店が心の港や
(自分のダメな所も全部知ってくれてて、それでも「しゃあないな」って笑って受け入れてくれる。そんな港が一つあれば生きていけるんや。)

鉄工所という煤まみれの原点があったからこそ、私は医学博士への険しい道を登り切ることができました。
馴染みの店は、私のそんな泥臭い不器用な生き様をそのまま受け入れてくれます。
そこに、人間の本当の器の大きさと優しさが表れています。

に(逃げ場):現実のしんどさから、ちょっと「逃げる」ことも立派な戦略や
(孤独な作業に向き合う執筆時間も大事やけど、たまには誰かに甘えて逃げ込むことも必要や。逃げ場があるからこそ、また戦えるんやで。)

定時制高校で睡魔と戦っていた夜も、研究室で孤独に顕微鏡を覗いていた夜も、私には盛り場という「逃げ場」がありました。
逃げることは決して負けではありません。
そこでエネルギーを充電して、また明日から打席に立てばいいのです。

ぬ(温もり):人の温もりに感謝できる、懐の深いシニアにならなアカン (自分一人の力で生きてきた気になったらアカン。たくさんの人に支えられた温もりを、今度は下の世代に黙って返していくんや。)

孤独で冷たい夜を知っているからこそ、盛り場で触れる人の温もりが骨身に染みます。
歳を重ねたら、今度は自分がその温もりを周囲や若い世代に分け与える番です。
盛り場での何気ない労いの会話も、その温もりを伝える大切な手段なのです。

ね(ネオン):ネオンの光に、人生の青白い火花を重ねるんや
(体は丸くなっても、心の中の青白い火花は消したらアカン。ここぞっちゅう時は、腹くくって勝負に出る気概を持っとくんやで。)

十五歳の頃、鉄工所で毎日見つめていた溶接の青白い火花。あの強烈な光は、私の青春の情熱そのものでした。
夜の街に瞬くネオンの光は、あの時の熱い火花を私に思い出させてくれます。
82歳になっても、心の中の闘争心とロマンは決して消してはなりません。

の(暖簾):暖簾をくぐれば、肩書きのない一人の人間に戻れるんや
(両手が荷物でいっぱいやったら、新しいもんは掴めへん。過去の自慢話や名刺なんか捨てて、身軽になって暖簾をくぐるんやな。)

馴染みの店の暖簾をくぐる時、外の世界での肩書きは一切意味を持ちません。
15歳の溶接工、定時制高校の生徒、そして医学博士。
いくつもの世界を行き来してきた私は、この暖簾をくぐって「ただの能勢義介」という一人の人間に戻れる瞬間が、何よりも好きなのです。

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次回は「盛り場語録」ハ行をお届けします。

現在創作大賞2026に、2作品応募しております。
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1)創作大賞2026 応募作品 エッセイ部門

 
2)創作大賞2026 応募作品 恋愛小説部門


今までの連載語録の総集編です。是非ご覧下さい。


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