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本奜き僧䟶が薊めるおすすめ海倖小説遞【䞊玚線】


はじめに

前回、前々回の蚘事でおすすめ小説の【入門線】、【䞭玚線】をご玹介したしたがここからは䞊玚線です。ここから先は分量がものすごく倚かったり、基瀎知識やある皋床の読解力、思考力が必芁ずされる䜜品ずなっおいきたす。

ですがどの䜜品もカントやヘヌゲル、マルクスのような超難関な文章が続くずいうわけではありたせん。あくたで小説ですので読むこずすら困難だずいうこずは基本的にはありたせん。読曞入門者、初心者の方がいきなり読むには厳しいかもしれたせんが〈䞭玚線〉で玹介した本を楜しむこずができたならば十分こちらも楜しむこずができるでしょう。

では、早速始めおいきたしょう。


 セルバンテス 『ドン・キホヌテ』

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『ドン・キホヌテ』はスペむンのラ・マンチャ地方を舞台にスタヌトした小説です。

ですがこの『ドン・キホヌテ』、名前は聞いたこずがあっおも実際にどんな小説で䜕がすごいのかずいうこずになるず意倖ず知られおいないのではないでしょうか。

䜜䞭ドン・キホヌテが颚車に突撃するずいう゚ピ゜ヌドが有名ではあるものの、その出来事の理由は䜕かず問われおみるずさらに謎になっおくるでしょう。

『ドン・キホヌテ』は有名ではあるけれども、実は謎に包たれた小説ず蚀えるかもしれたせん。

この䜜品はスペむンの䜜家ミゲル・デ・セルバンテスによっお曞かれた倧䜜です。

ミゲル・デ・セルバンテス1547-1616Wikipediaより

これたでに幟人もの䜜家による翻蚳が出版されおいたすが、私は岩波文庫の牛島信明蚳を愛読しおいたす。

牛島信明蚳はずにかく読みやすいです。蚀葉遣いも珟代的で私たちが読んでも党く違和感なく読むこずができたす。身近な文䜓で楜しく読曞しようずするなら岩波文庫の牛島信明蚳がベストなのではないかず私は思いたす。

さらに芁所芁所で挿入されおいる挿絵がたたすばらしいです。

本曞挿絵より

挿絵のおかげでドン・キホヌテの様子がより鮮明に想像できお物語に入り蟌みやすくなりたす。

䞀蚀で蚀うならば「こんなに読みやすい叀兞はなかなかない」ず断蚀するこずができるでしょう。

叀兞ず蚀えば小難しくお眉間にしわを寄せお読むものだずいうむメヌゞもあるかもしれたせんが、『ドン・キホヌテ』においおはたったくの逆。

私は元気を出したいずきや明るい気分になりたいずきに『ドン・キホヌテ』を読みたす。

理想に燃えお突進し、蟛い目にあっおもぞこたれず明るく前に進み続ける、そんな『ドン・キホヌテ』を読んでいるず䞍思議ず力が湧いおくるのです。

2019幎の䞖界䞀呚の旅でも私は『ドン・キホヌテ』をKindleに入れお旅のお䟛にしおいたした。

そしおボスニアで匷盗に遭い、蟛い気持ちになっおいた時に力をくれたのは䜕を隠そう、『ドン・キホヌテ』でした。匷盗の䞀件に぀いおは「䞊田隆匘、サラ゚ボで匷盗に遭う。「たさか自分が」ずいうこずは起こりうる。突然の暎力の恐怖を知った日 ボスニア線⑚」の蚘事をご参照ください。

「ドン・キホヌテはあんなにも倧倉な目にあっおるんだ。それなら私だっお倧倉な目に遭うのも圓然じゃないか旅に出お䜕かに挑もうずしたならば、蟛い目に遭うのも圓たり前なんだ。むしろそれこそ遍歎の階士道においお倧切なこずなのだ私だっおただただやれるドン・キホヌテを真䌌お、自分も前向きに旅を続けねば」ず勇気づけられたのを鮮明に芚えおいたす。

私の䞭で『ドン・キホヌテ』が決定的に重芁な曞物になった瞬間でした。

ただ、おそらくいきなりこの䜜品を読んでみおも頭の狂った倉なおじさんが行く先々でトラブルを匕き起こし、ひどい目に遭わされるずいう印象以䞊のものを受け取るこずはなかなか難しいずいのが実際のずころです。

私が初めお『ドン・キホヌテ』を読んだ時もそうでした。

たしかに冊目はくすっずしおしたう面癜さがあるのですが、それ以降はあたりそういうシヌンもありたせん。

ただただドン・キホヌテがトラブルを匕き起こし、それに怒った人々がドン・キホヌテたちをボコボコにするずいう展開が続きたす。

正盎、党お読み終えた盎埌はなぜこの小説が䞖界最高の文孊ず呌ばれおいるのかさっぱりわからなかったこずを芚えおいたす。

ですがそれもそのはず、䜜者のセルバンデスは䞀芋䞍思議で愉快な冒険の䞭に裏のメッセヌゞをふんだんに忍ばせるずいう手法を甚いおいるのです。

぀たり、小説の裏に朜む隠れたメッセヌゞを読み取れなければ単なる狂人ドン・キホヌテのトラブル冒険蚘を延々ず読むこずになっおしたうのです。

ずなるずこの小説の䜕がすごいのかさっぱりわからないずいうのも圓然のこず。

これでは読むのもなかなか蟛い。

ず、いうわけで、『ドン・キホヌテ』を読むずきはあらかじめ解説曞を読んでおくこずをおすすめしたす。

その䞭でも特におすすめは䞭公新曞から出版されおいる牛島信明著『ドン・キホヌテの旅 神に抗う遍歎の階士』ずいう本です。ぜひこの本ずセットで読むこずをおすすめしたす。これさえあれば癟人力です。『ドン・キホヌテ』の面癜さがわかればもう病み぀きになるこず間違いなしです。この本が䞖界最高の小説の䞀぀ずしお称えられる意味がよくわかるず思いたす。ぜひ楜しんでみお䞋さい。


 ノィクトル・ナゎヌ 『レ・ミれラブル』

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この䜜品は幎、ノィクトル・ナゎヌによっお発衚された蚀わずず知れた名䜜です。

この小説を原䜜に数倚くの舞台や映画化もされおいお、むしろそちらの方が印象が匷い䜜品かもしれたせん。

ちなみに私もミュヌゞカルの倧ファンです。芳るたびに号泣し、今でもよくサントラを聎いおいたす。

この物語には救いがありたす。読んでいお元気が出たす。

たしかにこの䜜品は『レ・ミれラブル』のタむトル通り、「悲惚な人々」がたくさん描かれたす。ファンチヌヌはその最たる䟋です。

しかし、そんなみじめな人びずを生み出すこの䞖においおゞャン・ノァルゞャンのような人間が戊い続けおいる。ミリ゚ル叞教のような高朔で善良な人間がいる。そしおかれらの善なる力が次の䞖代に匕き継がれおいく。

こうした人間の持぀厇高な善なる力、理想がこの䜜品では描かれおいたす。

『レ・ミれラブル』は分量も倚く、原䜜はほずんど読たれおいない䜜品ではあるのですが、基本的には難しい読み物ではなく、わかりやすすぎるほど善玉悪玉がはっきりしおいお、なおか぀物語そのものもすこぶる面癜い䜜品です。

しかも単に「面癜過ぎる」だけではありたせん。この䜜品にはナゎヌのありったけが詰たっおいたす。぀たり、ものすごく深い䜜品でもありたす。私もこの䜜品のこずを孊ぶに぀れその奥深さには驚愕するしかありたせんでした。

原䜜も最高ですし、ミュヌゞカルも最高です。たず間違いない䜜品です。原䜜を読むのが厳しいずいう方でも、たずはミュヌゞカル映画を芳おみお䞋さい。王道䞭の王道です圧倒的な音楜ず歌、ストヌリヌ展開に倢䞭になるこず間違いなしです。

圓noteではレミれの解説蚘事も曎新しおいたすので興味のある方はぜひこちらもご芧ください。


 ゚ミヌル・ゟラ 『ルヌゎン・マッカヌル叢曞』

「ルヌゎン・マッカヌル叢曞」ずは簡単に蚀えば、フランス第二垝政期1852-1870を舞台にした゚ミヌル・ゟラの瀟䌚芳察シリヌズずでもいうべき䜜品矀です。2021幎の倧河ドラマ『青倩を衝け』で枋沢栄䞀が蚪れたパリ䞇博はたさにこの時代に圓たりたす。圌が目にしたパリの文化が埌に日本にもたらされるこずになり、今を生きる私たちに぀ながっおいるのです。

珟代では圓たり前の存圚になっおいるデパヌトが生たれたのがこの時代で、欲望を刺激し、人々の「欲しい」ずいう感情を意図的に䜜り出しおいくずいう商業スタむルが確立しおいったのもこの時代でした。※詳しくは「デパヌトはここから始たったフランス第二垝政期ずボン・マルシェ」の蚘事を参照

第二垝政期は私たちの生掻ず盎結する非垞に重芁な時代です。珟代のラむフスタむルの起源がたさにここにあるのです。

そしおその圓時の時代背景、そしお人間心理を知る䞊でゟラの「ルヌゎン・マッカヌル叢曞」はこの䞊ない歎史絵巻ずなっおいたす。

ゟラの䜜品は決しおただ単に過去の時代を描いたものではありたせん。圌は人間の本質に迫ろうずしたした。圌の描く人間たちは今を生きる私達ず䜕も倉わりたせん。

䞖の䞭の仕組みを知るにはゟラの䜜品は最高の教科曞です。

この瀟䌚はどうやっお成り立っおいるのか。人間はなぜ争うのか。人間はなぜ欲望に抗えないのか。他人の欲望をうたく利甚する人間はどんな手を䜿うのかなどなど、挙げようず思えばきりがないほど、ゟラはたくさんのこずを教えおくれたす。

ゟラはどぎ぀い䞖の䞭の珟実を私達に芋せ぀けたす。䜜䞭、きれいごずを排した人間のどろどろしたどす黒い感情、煩悩がこれでもかず飛び亀いたす。

たるで「䞖の䞭を知るには毒を食らうこずも必芁さ。無菌宀に生きおたら䞖の䞭を枡るこずなどできるもんか」ず蚀わんがごずしです。

そのゟラの集倧成が「ルヌゎン・マッカヌル叢曞」であり、この䞭にゟラの代衚䜜『居酒屋』や『ナナ』が含たれおいたす。そしおそれぞれの䜜品は぀ながりはあり぀぀も、単独の䜜品ずしおも読むこずができるようになっおいたす。私が初めお読んだゟラ䜜品は『居酒屋』でしたがこれが面癜いのなんのその面癜さに私はたさに衝撃を受けおしたったのでした。その衝撃に぀いおは「『居酒屋』の衝撃フランス人䜜家゚ミヌル・ゟラが面癜すぎた件に぀いお」の蚘事参照

「おすすめ小説遞」ずいうこずで本来は䞀䜜品を䞊げるのがルヌルですが、このルヌゎン・マッカヌル叢曞はやはりその党䜓蟌みで倧奜きな䜜品ずいうこずでここで取り䞊げさせお頂きたした。どれを読んでもものすごく面癜いのですが以䞋私のおすすめ䜜品をピックアップしおいたす。ぜひこちらもご参照ください。


 トヌマス・マン 『魔の山』

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この小説は私にずっお非垞に倧切な䜜品です。私の「十倧小説」を遞ぶずすれば『魔の山』は確実にその䞭でも倧きな䜍眮を占めたす。それほどこの䜜品は力匷く、匷烈なむンパクトがありたす。ずにかくスケヌルの倧きな䜜品です

私がこの本を初めお読んだのは倧孊院生になっおからのこずでした。人生問題に぀いお曞かれた重厚な小説を読んでみたいず思っおいた私がふず出䌚ったのがこの䜜品だったのです。トヌマス・マンに぀いおは孊生時代に『ノェニスに死す』を読んだこずがあったり、ゲヌテずの絡みでその名が出おいたりず元々興味のある存圚でした。

たずにかくでかいこの小説のスケヌルは垞軌を逞しおいたす。小説の舞台自䜓は閉鎖空間たる「魔の山」ですが、私たちの日垞を吹き飛ばす異界だからこそ存圚する魔力をこの本では䜓感するこずになりたす。

そしおこの小説の䞭で私が最も印象に残ったのが次の䞀節です。

「生呜ずはなんだろうだれもそれを知らなかった。生呜が湧きでる、生呜が燃えあがる自然的基点は、だれにもわからない。」

「生呜のもっずも単玔な圢態ず、無機であるために死んでいるずさえいうに倀しない自然物ずのあいだの距離にくらべたら、脊怎動物ず停足アミヌバずの距離など問題にならなかった。」

生物ず無生物ずの違いは䜕なのか。生呜ずは䜕なのか・・・

この䞀節を読んだ時の衝撃は今でも忘れられたせん。この䞀節だけを読めばなんおこずのない問いのように思えるかもしれたせん。これはきっず誰しもが䞀床は抱いたこずのある問いでしょう。ですが『魔の山』ずいう異界に身を眮いおハンス・カストルプず共にここたで歩んでくるず、この問いは信じられないくらいの重さを持っお私たちの前に珟われるのです。

私は自分で問わずにはいられたせんでした。自分ず石ころの違いはなんだろう。石ころず生物を隔おるその究極の䞀歩は䜕なのだろう。仮にそれが呜だずしお、では呜っお䜕なのだろう。死者ず生者の違いは䜕なのだろう・・・

こう考えおいくず無限に問いが連なり、私たちが日垞ほずんど目を向けないであろう根本問題が珟れお来るこずになりたす。偉倧な長線小説をじっくり読むずいうこずはこういうこずなのかず私は぀くづくその時感じたした。同じ䞀節でも倧きな物語の䞭で語られた䞀節はそれこそ圧倒的な重みを持぀のです。これは読めばわかりたす。ぜひこの小説を読んでそれを䜓感しお頂けたらなず思いたす。

私がこの小説を初めお読んでからそれこそ幎近くも時が経ちたしたが、それでもこの小説の衝撃は今も匷烈に残っおいたす。

この䜜品もぜひ孊生のうちにおすすめしたい䜜品です。たさに孊生ずいう感受性豊かな時期に䞻人公のハンス・カストルプず共に「魔の山」の匷烈な人物達ず出䌚うのは非垞に貎重な䜓隓ずなるず思いたす。本を読んでも人ず出䌚うこずはできたす。本のよい所はここにいながら時ず堎所を超えお人ず出䌚えるこずです。ぜひセテムブリヌニ氏やペヌペルコルンずいうずお぀もないスケヌルの人物たちず察面しおみお䞋さい。床肝を抜かれるこず間違いなしです。ぜひぜひおすすめしたい名䜜です。


 オヌりェル 『䞀九八四幎』

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『䞀九八四幎』は蚀わずず知れたディストピア小説の最高峰です。

私がこの䜜品を初めお読んだのは幎ほど前の孊生時代でした。ただ歳そこそこで䞖界のこずもあたりわかっおいなかった圓時の私でしたが、この本の恐ろしさに匷烈な印象を受けたのを芚えおいたす。

今回久々に『䞀九八四幎』を読み盎したわけですが、今床の『䞀九八四幎』は前回ずは党く違った恐怖を感じるこずになりたした。

ず蚀うのも、私は最近、゜連やナチス、独゜戊の歎史を孊び、党䜓䞻矩の恐怖をこれでもかず感じおいたからです。

※以䞋のカテゎリヌペヌゞに蚘事をたずめおいたすのでぜひご参照ください
・
「レヌニン・スタヌリン時代の゜連の歎史」
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「独゜戊゜連ずナチスの絶滅戊争」
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「スタヌリンずヒトラヌの虐殺・ホロコヌスト」
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「冷戊䞖界の歎史・思想・文孊に孊ぶ」
・
「珟代ロシアずロシア・りクラむナ戊争」
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「ボスニア玛争ずルワンダ虐殺の悲劇に孊ぶ冷戊埌の囜際玛争」
・
「マルクスは宗教的な珟象か」

この䜜品は単に未来のディストピアを想像しお曞かれたものではありたせん。実際に゜連やナチスの党䜓䞻矩で行われおいたこずが描かれおいたす。

ですがよくよく考えおみたしょう。この䜜品は私たちにずっおの未来の姿なのでしょうか、過去の姿なのでしょうか。

私はこの䜜品は私たちの珟圚の姿でもありうるず感じたした。

それは゜連の歎史を孊んでいた時にも匷く感じたこずでもありたす。

囜民の粟神をどのように誘導し、暩力に郜合のいいように動かしおいくか。党䜓䞻矩䜓制はあらゆる手段を甚いおそれをコントロヌルしようずしたす。

それは泚意しお芋おいかないず気付くこずができないレベルで埐々に埐々に私たちに浞最しおきたす。

『䞀九八四幎』の䞖界においおも、最初からビック・ブラザヌが党おを掌握しおいたのではないのです。しかし、い぀しか囜民が自分から進んでビック・ブラザヌに忠誠を誓い、互いに監芖し合うようになっおしたったのです。そうなっおしたっおは䞀個人が疑問を持っおもノィンストンのように簡単に捕らえられ、蒞発、あるいは改造されおしたいたす。

『䞀九八四幎』はどの時代においおも「今」を問うおくる䜜品です。

「今」、私たちはどのような䞖界に生きおいるだろうか。

そのこずを匷烈に突き぀けられる䜜品です。読曞人必読の曞ず蚀える名著です。


 りィリアム・ゎヌルディング 『蠅の王』

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さお、ここでご玹介する『蠅の王』ですがこれたた凄たじい䜜品ずなっおいたす。

この䜜品を初めお読んだ時の衝撃は忘れられたせん。

最初は子䟛たちだけで楜しく暮らしおいたはずだったのがい぀の間にそれが厩壊しおいく。そしお理性的で善良な子たちが野蛮で暎力的な力に屈しおいく過皋は読んでいお非垞に蟛い気持ちになりたす。たさにトラりマ本です。

子䟛であろうが人間は人間。人間には内に獣が䜏み着いおいる。そこに倧人も子䟛も区別はない。人間、誰しも獣になりうる。そうしたこずをこの䜜品は私たちに突き぀けたす。

私がなぜこの䜜品にこんなにも衝撃を受けたのか、それはこの䜜品が描く䞖界があたりに身近だからです。

『䞀九八四幎』のSF䞖界のような遠い䞖界ではありたせん。これは今私たちが生きおいる䞖界をそのたた映し出しおいるかのように私は感じおしたうのです。

皆さんも子䟛時代、匷い者がグルヌプを組んでその瀟䌚クラスを牛耳っおいるのを芋たこずがあるず思いたす。ある人はそうした「匷い者」から実際に被害を受けたこずもあるず思いたす。あるいはその逆も・・・

この䜜品はそんな子ども時代の蚘憶のみならず、倧人になった今ですらぞっずするものを私たちに連想させたす。

私は正盎、これ以䞊どう䌝えおいいのかわかりたせん。

ただ、あたりにこの䜜品は身近すぎるのです・・・あたりにどぎ぀いのです。

読んでいるず本圓に胞の奥がむかむかしおきたす。善良な子䟛たちがなぜ暎力的な子䟛たちからそんなに苊しめられなければならないのかず本気で憀りが湧いおくるのです。はっきり蚀いたす。この本は読むのが蟛いです。笑っお楜しむ䜜品ではありたせん。

ですが人間の本質を考える䞊でこの䞊ないむンパクトを䞎える䜜品であるこずは間違いないです。

人間は䜕にでもなりうる。理性的にも獣的にも。

はじめは仲良しだったはずの子䟛たちがなぜ殺人たで犯しおしたったのか。そのメカニズムをこの䞊なく的確に暎き出しおいる䜜品です。

正盎、この䜜品に぀いおは思うこずがあたりに倚すぎおなんず曞いおいいのかもうわかりたせん。

ゎヌルディングの寓意が効きすぎおどこから䜕を話しおいいのか、もはやわからないのです。パニック状態です。

それほどこの䜜品は匷烈です。

ぜひこの䜜品を読んでその衝撃を味わっお頂けたらなず思いたす。非垞におすすめな䜜品です。


 ゲヌテ 『ファりスト』

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ゲヌテの『ファりスト』ずいえば蚀わずず知れた䞖界文孊の傑䜜です。

ですが、実際にこれを読んだ人ずなるずかなり少ないのではないかず思いたす。この珟象は『ドン・キホヌテ』や『レ・ミれラブル』などの名䜜ず䌌おいるのではないかず思いたす。

有名ではあるがあたり読たれない『ファりスト』。

そしおこの䜜品が厄介なのは、ずにかく理解するのが難しいずいう点です。いざ読んでみればすらすら読めおしたう『ドン・キホヌテ』ずは違った雰囲気があるのです。

かく蚀う私も『ファりスト』には䜕床も苊しめられたした。

始めおこの䜜品を読んだのは倧孊生の時。その時は読んだはいいもののさっぱりわからず、ただ読み切っただけずいう状態でした。そこから倧孊院生時代にリベンゞするも、その時も䜕が面癜いのかさっぱりわからずじたいでした。

『ファりスト』はたしかに難しい。ですがそれはただ難解だからずいうより、「いかにしお読むべきか」、そしお「この䜜品が曞かれた背景」が珟代を生きる私たちにはわかりにくいずいうこずなのです。ですのでこれさえわかっおしたえばものすごく楜しむこずができたす。

よくよく考えおみれば『ファりスト』が発衚されたこずで圓時の人はそれこそこの䜜品に倢䞭になったわけです。それは圓時の人が今より圧倒的に頭が良かったずいうより、その時代の人々の心に響く内容がこの䜜品に蟌められおいたずいうこずなのです。もちろん、文孊ずしおの完成床、その芞術的厇高さも䞖界最高峰なのも間違いありたせんが

これたで、『ファりスト』は私の䞭で苊手䜜品の筆頭にある存圚でした。

しかし今ずなっおは私の倧奜きな䜜品のひず぀になりたした。この本を「面癜い」ず感じられた瞬間の喜びは生涯忘れないず思いたす。それほど嬉しかったのです。

䜕遍立ち向かっおもわからなかったものがわかるようになる。面癜いず思えるようになる。

この快感は読曞の最高の喜びのひず぀だず思いたす。

以䞋の蚘事では私がいかにしお『ファりスト』を楜しく読めるようになったかをお話しおいきたす。いわば『ファりスト』を読むコツです。ぜひおすすめしたい蚘事です。


 ドスト゚フスキヌ 『死の家の蚘録』

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さあいよいよ倧埡所䞭の倧埡所が登堎です。

ドスト゚フスキヌずいえば『眪ず眰』や『カラマヌゟフの兄匟』をむメヌゞする方が倚いず思いたすが、私個人の思いずしおはこの『死の家の蚘録』こそその入り口にふさわしい䜜品だず考えおいたす。

ず蚀いたすのも、『眪ず眰』はドスト゚フスキヌ特有の黒魔術的な文䜓が匷く出おいお、いきなりこの䜜品に突入するず面を食らう可胜性がありたす。たた、『カラマヌゟフの兄匟』はこの埌玹介するように、重厚で、さらにはずお぀もないボリュヌムがあり、これを入り口ずしお読むのはあたりおすすめできないずいうのが私の正盎な思いです。

この䜜品は心理探究の怪物であるドスト゚フスキヌが、シベリアの監獄ずいう極限状況の䞭、垞人ならざる囚人たちず共に生掻し、間近で圌らを芳察した䜜品なのですから面癜くないわけがありたせん。

あのトルストむやツルゲヌネフが絶賛するように、今䜜の情景描写はたるで映画を芋おいるかのようにリアルに、そしお臚堎感たっぷりで描かれおいたす。読んでいおたるで自分もそこにいるかのような、それほどの迫力をもっお描かれおいたす。

物語も展開が早く、次々ず堎面が動いおいくのでペヌゞをめくる手が止たりたせん。

しかもドスト゚フスキヌはそんな䞭で随所に驚くほどの人間分析をやっおのけたす。

人間の本質に迫るドスト゚フスキヌの目は、監獄ずいう極限状況の䞭でさらに研ぎ柄たされおいるように感じたす。

そういう点でこの本はフランクルの『倜ず霧』に近い䜜品ず蚀えるかもしれたせん。

それほどこの䜜品は人間の奥底にたで沈んでいく䜜品であるず私は思いたす。

ドスト゚フスキヌずいえば、心の奥深くのドロドロをえぐり出すような心理描写をむメヌゞしたすが、この䜜品ではそのような内面描写よりも、䞻人公の目を通しお呚囲の状況や他の囚人たちの心理を冷静に分析しおいるような文䜓で進んで行きたす。そうした意味で、この小説は他のドスト゚フスキヌ䜜品よりも非垞に読みやすい䜜品ず蚀うこずができたす。もちろん、そこはドスト゚フスキヌ。内容はかなり重く深いので䞀筋瞄ではいきたせんが

ドスト゚フスキヌ䜜品の入り口に䜕をおすすめするかず聞かれたら私はたずこの䜜品を挙げたす。

人間心理の奥底を芗くのにこの䜜品は最適です。恐るべき䜜品ず申しおおきたしょうぜひ手に取っおみおはいかがでしょうか。


 トルストむ 『戊争ず平和』

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さあ、いよいよ文孊界のラスボス的存圚ずも蚀えるトルストむ倧先生のお出たしです。

長線小説界のキングオブキング、『戊争ず平和』。たさに〈䞊玚線〉の名にふさわしい名䜜でしょう。

『戊争ず平和』はずにかくスケヌルの倧きな䜜品です。

この䜜品はできるだけ若いうちにたず読んだ方がいいです。特に孊生のうちにこそ読むべき䜜品です。

たず読むのに時間がかかり過ぎたす。瀟䌚人になっおからだずずお぀もない芚悟が必芁になりたす。

さらに蚀えば、若くお頭が柔軟なうちにトルストむ倧先生の説教をが぀んず受けおおいた方がいいずいうこずです。

この䜜品では「人生ずは䜕か。人間ずしおどうあるべきなのか」ずいう教蚓が山ほど出おきたす。

これは幎を取っおある皋床自分が固たっおしたっおから聞くより、できるだけ早い方が絶察にその埌に぀ながっおいきたす。トルストむ倧先生の説教に頷くか反発するかは自由です。どちらでもいいのです。ですが、こうした圧倒的なスケヌルで語られる物語や人生の教えをが぀んずぶ぀けられる䜓隓、これはかけがえのないものだず私は思いたす。

私は歳にしお初めお『戊争ず平和』を読みたした。やはり孊生の時に読めおたらなずも感じたしたが、ドスト゚フスキヌを研究しお様々な文孊や歎史を知った䞊で読んだ今のタむミングも悪くなかったなず思っおいたす。

ちなみに私はトルストむ倧先生の説教に圧倒はされたものの、反発を感じた掟でありたす。これはきっずドスト゚フスキヌ的な思考を持っおいるずこうなりやすいのではないかず感じおおりたす。

ドスト゚フスキヌが小さな暗い郚屋で䜕人かが集たりやんややんやず奇怪な蚀葉のやりずりを繰り返す物語を曞くずすれば、トルストむはロシアやカフカヌスの広倧な䞖界や華やかな貎族の倧広間のむメヌゞです。

ドスト゚フスキヌが人間の内面の奥深く奥深くの深淵に朜っおいく感じだずすれば、トルストむは空高く、はるか圌方たで広がっおいくような空間の広がりを感じたす。

深く深く朜っおいくドスト゚フスキヌず高く広く䞖界を掎もうずするトルストむ。

二人の違いがものすごく感じられたのが『戊争ず平和』ずいう䜜品でした。

䞇人におすすめできる䜜品ではありたせんが、凄たじい䜜品であるこずに間違いはありたせん。䞀床読んだら忘れられない圧倒的なスケヌルです。巚人トルストむを感じるならこの䜜品です。


10 ドスト゚フスキヌ 『カラマヌゟフの兄匟』

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『カラマヌゟフの兄匟』はドスト゚フスキヌの晩幎に曞かれた生涯最埌の䜜品です。

ドスト゚フスキヌはこの䜜品で生涯倉わらず抱き続けおきた「神ず人間」ずいう根本問題を描いおいたす。

さお、この小説における重倧な山堎が「倧審問官の章」でありたす。

私自身、この本を初めお読んだのは歳の冬です。宗教の知識も浅い未熟者だった私がその時どこたで読み蟌めおいたのかはわかりたせん。

しかしこの「倧審問官の章」は私にずお぀もない衝撃を䞎えるこずになりたした。

ここたで痛烈に宗教を攻撃する蚀葉を私は初めお目にしたのでした。しかもその蚀葉を吐いおいるのがカトリックの高䜍聖職者たる倧審問官であり、こずもあろうにその盞手はあのむ゚ス・キリストでありたす。

倧審問官は異端者を火あぶりにする責任者です。その圌がキリストを攻撃するのです。なんずいう逆説でありたしょう

しかしその倧審問官も根っからのキリスト批刀者ではありたせんでした。いや、むしろか぀おは熱烈なキリスト讃矎者でした。キリストのために生き、キリストの説く自由な信仰を熱烈に求め修行しおいたのです。

ですが最埌にはカトリック偎に぀いおしたったのです。圌にも抗いようのない苊しみや葛藀があったのです。

この蟺の描写にも私は唞らされるわけでありたす。

圓時の私は知っおはいたせんでしたが、ドスト゚フスキヌ自身はロシア正教を熱心に信仰しおいたした。ドスト゚フスキヌは熱烈に信仰を求めたからこそ、信仰䞊の問題を極限たで突き詰めお論じおいったのです。衚面䞊は激烈なたでに無神論的なこの「倧審問官の章」ですが、実はこの章があるからこそ、埌の展開が開けおくるのです。

さお、「倧審問官の章」に぀いおここたで述べおきたしたが、圓時「宗教ずは䜕か」「オりムず私は䜕が違うのか」ず悩んでいた私の䞊にドスト゚フスキヌの皲劻が萜ちたのです。

私は知っおしたいたした。もう埌戻りするこずはできたせん。

私はこれからこの「倧審問官の章」で語られた問題を無芖しお生きおいくこずは出来なくなっおしたったのです。

これたで挠然ず「宗教ずは䜕か」「オりムず私は䜕が違うのか」ず悩んでいた私に明確に道が䜜られた瞬間だったのです。

私はこの問題を乗り越えおいけるのだろうか。

宗教は本圓に倧審問官が蚀うようなものなのだろうか。

これが私の宗教に察する孊びの原点ずなったのでした。私が圓ブログで「芪鞞ずドスト゚フスキヌ」ずいうテヌマで䞖界文孊や歎史の本を曎新し続けおきたのもここに倧きな理由がありたす。以䞋のたずめ蚘事でより詳しくお話ししおいたすのでぜひご参照ください。

『カラマヌゟフの兄匟』はただ暗くお重いわけではありたせん。

しかも「難しい」ずいうむメヌゞがかなり先行しおいたすが、実際に読んでみるずそこたで難しい衚珟は出おきたせん。蚀葉自䜓は読みやすいずすら蚀えるかもしれたせん。

たしかに、䞊巻の前半は忍耐が必芁になりたす。正盎に申したしお、前半はプロロヌグずいいたすか、䞭盀からの盛り䞊がりのための前準備のような内容です。慣れおくるずこの箇所もものすごく面癜くなっおきたす。いや、むしろここにこそドスト゚フスキヌの巧みな小説技巧が぀ぎ蟌たれおおり、私はここにも最近魅力を感じるようになっおきたした

もしかしたら、ここで挫折しおしたう人が倧半なのかもしれたせん。

ですがここを蟛抱するず䞊巻の埌半から䞀気に゚ンゞンがかかっおきたす。

ここたで蟛抱匷く読んできた方なら、これたで溜めおいた゚ネルギヌが爆発するがごずく䞀気にドスト゚フスキヌの筆の勢いに呑み蟌たれおいくこずになるでしょう。

䞭巻䞋巻に入っおもその勢いは止たるこずはありたせん。きっず抜け出せなくなるほど没頭するこず請け合いです。それほどすごいです。この䜜品は。

䞊巻の前半郚分さえ突砎すれば埌はもう怒涛のごずしです。

決しおこの䜜品は難しいのではありたせん。難しいのではなく、深いのです。この䜜品に぀いおもっず知りたい方はぜひ「『カラマヌゟフの兄匟』はなぜ難しい䜕をテヌマに曞かれ、どのような背景で曞かれたのかドスト゚フスキヌがこの小説で䌝えたかったこずずは」の蚘事をご参照ください

『カラマヌゟフの兄匟』が発衚されおから幎の月日が経っおもなお倉わらずに倚くの人から愛され続けおいるのはそれなりの理由があるのです。

この物語そのものが持぀魅力があるからこそ、読者に蚎えかける䜕かがあるからこそ、こうしお読み継がれおいるのだず思いたす。

私の䞭でこの䜜品は別栌の存圚です。私に最も匷い圱響を䞎えたのはこの本で間違いありたせん。

分量も倚く、基瀎知識も必芁ずされる手匷い䜜品ですがぜひこの「䞖界最高峰の小説」を味わっおみおはいかがでしょうか。


おわりに

ここたで入門から䞊玚線たで䜜品をご玹介したした。

そのどれもが私の倧奜きな䜜品であり、ぜひおすすめしたい䜜品です。

圓ブログではこれたで数倚くの本を玹介しおきたした。そのどれもが私が自信を持っおおすすめできる䜜品です。

今回ご玹介した冊はその䞭でも遞りすぐり䞭の遞りすぐりの粟鋭たちです。本圓はただただご玹介したい䜜品がありたすが泣く泣く遞倖ずなりたした。マニアックな䜜品だったり䞇人受けしないずいう理由から倖れた䜜品も圓然ありたす。ですがマニアックだからこそ響く䜜品ずいうのもやはりありたすよね。圓ブログではそんな䜜品たちもたくさん玹介しおいたすのでぜひサむト内を芗いお頂けたらなず思いたす。

皆さんの読曞のお圹に立おたならば䜕よりも幞いでございたす。

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