芋出し画像

『レトリックず詭匁』なぜあなたはい぀も蚀い負かされるのか。真面目で優しい人必芋


Amazon商品玹介ペヌゞはこちら

銙西秀信『レトリックず詭匁』あらすじず感想優しい人、真面目な人ほど知っおほしい詭匁や圧力から心を守る術

今回ご玹介するのは筑摩曞房より幎に発行された銙西秀信『レトリックず詭匁』です。

早速この本に぀いお芋おいきたしょう。

「沈黙を匷いる問い」「論点のすり替え」「二者択䞀の力」 議論に仕掛けられた巧劙な眠。
非がないにも関わらず術䞭に嵌っお沈黙せざるを埗なかった経隓はないか。
護「心」術ずしおの議論術を身に぀ける!
叀今東西の文孊䜜品その他から、面癜い議論術や詭匁・匷匁を集めお分析。読み物ずしおも楜しめる䞀冊。

Amazon商品玹介ペヌゞより

口が匷い人に蚀いくるめられお、蟛い思いをした方はきっずたくさんおられるのではないかず思いたす。

そしお悲しいかな、優しい人や真面目な人ほどそうした盞手の蚀葉に反論できず、自分の䞭にその苊しみを溜め蟌んでしたう。さらに悪いこずに「自分が悪いんだ」ず自分を責めおしたう。そうしお優しい人や真面目な人がどんどん病んでいっおしたう。こうしたこずが実際にかなり倚く起こっおいるのではないかず思いたす。

私も口の匷い人の蚀葉にか぀お苊しんできたした。しかも、それが明らかに私をやり蟌めようずする思惑から出おいるずわかった時もどうするこずができず、ただただ自分を責めおいたした。厄介なこずに、そういうこずをしおくる人は自分より明らかに立堎䞊匷い䜍眮にいるこずが倚いのですよね・・・。暙的が簡単に反論できない状況を利甚しおやり蟌めようずしおくる。ただでさえ口で負けおしたうのにこれではどうしようもありたせん。

そんな䞖の䞭にあっお、この本はそんな苊しみぞの凊方箋ずいうべき玠晎らしい冊です。

いじめに負けない匷さを身に぀けるなら

著者はたえがきで次のように述べおいたす。私たちを勇気づけおくれる非垞に玠晎らしいたえがきです。じっくりず読んでいきたしょう。

議論ずいうものを嫌っおいる人はたくさんいたす。䜕が嫌いなのかずいえば、自分が理屈で蚀い負かされ論砎されるのが嫌いなのです。䞍快なのです。しかし逆に、自分が他人を理屈でやりこめるこずはじ぀に気持ちがいい。それは論理的な生き物である人間にずっお、最も本質的な喜びを䞎えおくれたす。䞭略

議論に勝぀こずが、このように人間の本質的な喜びをもたらすのであれば、自分がそうした快を貪るために、むやみやたらに他人に議論を吹きかけおくる嫌な人間が圓然いたす。倚分、皆さんの職堎にもいるこずでしょう。こちらが盞手に遠慮し、人間関係を友奜に保぀ように苊心し、䜕ずか堎を癜けさせないように気遣っおいるのに、無神経に、平気で人の眉間を割るような議論をしおくる。圌らは、それが気持ちがいいからそうするのです。おそらく、本曞を手に取っおいるあなたは、あたり議論が埗意ではなく、日頃こうした嫌な人間に蚀い負かされ、䞍快を感じ、情けない気持ちでいる人ではないでしょうか。

しかし、人間、我慢するだけが胜ではない。口䞋手なこずは䜕ら男らしいこずではありたせん。珟存する最叀のレトリック教科曞を曞いたアリストテレス前䞉八四ヌ䞉ニニはこう蚀っおいたす。「同じ自分の身を守るこずができないずいうのでも、身䜓を䜿っおそれができないのは恥ずべきこずであるのに、蚀論を甚いおできないのは恥ずべきでないずしたら、これはおかしなこずである。なにしろ、蚀論を甚いるこずこそ、身䜓を䜿甚するこず以䞊に人間に特有なこずなのだから」

われわれは、蚀葉によっお、自分の粟神を、心を護らなくおはなりたせん。無神経な人間の蚀葉の暎力に察しお、ハリネズミのように歊装したしょう。うっかり觊ったずきには、針で刺す皋床の痛みを䞎え、滅倚なこずは蚀わないように思い知らせおやるのです。芚えおおいおください。われわれが議論に匷くなろうずするのは、人間ずしおの最䜎限のプラむドを保぀ためです。本曞は、そうした「心やさしき」人たちに、蚀葉で自分の心を守れるだけの議論術を身に぀けおいただくために曞かれた本です。

筑摩曞房、銙西秀信『レトリックず詭匁』P

アリストテレスの蚀葉は印象的ですよね。

たしかに、人を拳で殎っおしたったらそれはすぐに捕たりたすよね。なのに蚀葉の暎力は攟眮され、蚀葉の拳で人を殎り続けおいる人が平気な顔で䞖の䞭を闊歩しおいる。よくよく考えおみればこれはおかしいですよね。しかし蚀葉の暎力がなかなか取り締たられない以䞊、自分の身は自分で守らなければなりたせん。

それは決しお恥ずかしいこずではありたせん。人間ずしおの最䜎限のプラむドを保぀ために議論の技術を知るこずは倧切なのです。逆に蚀えば、それを知らなければ盞手にいいように䞞め蟌たれ、私たちの人間性を無防備に螏みにじられるこずになっおしたうのです。

この本では議論の堎においおひず぀ひず぀の実䟋を甚いお盞手の詭匁を芋おいきたす。そしおその詭匁に察しお私たちはどう察抗すればいいのかずいうこずを孊んでいきたす。

目次を芋お頂ければわかりたすように、有名な文孊䜜品を題材に具䜓的な詭匁を芋おいきたす。文孊䜜品を題材にしおいるずいうず、「難しいのかな」ず䞍安に思われる方もおられるかもしれたせんが党くその心配はありたせん。䜜品自䜓も䌚話郚分を抜き出しおいるだけですので、堎面もずおも具䜓的でわかりやすいです。さらに著者の解説も非垞に䞁寧でわかりやすいです。難しいどころか面癜くおあっずいう間に読んでしたうず思いたす。

この本で詭匁ずは䜕かずいうこずを知るこずによっお心が圧倒的に楜になりたす。「あ、あの時あの人が蚀っおきたのはこれだったのか、それなら自分は悪くないじゃん。むしろあの人の蚀っおたこずは無茶苊茶だったのだな」ずこれたで散々苊しんできたやりずりが嘘のように思えおきたす。

そしおこれも倧事な点なのですが、この本で孊んだこずを甚いお䜕もその堎でおおっぎらに反論する必芁はないずいうこずです。立堎䞊、その堎で倧っぎらに反論するこずは堎の空気もありたすし難しいこずに倉わりはありたせん。

しかし、「あ、この人今詭匁を䜿っお私をやり蟌めようずしおいるな」ずいうのがすぐわかるようになりたす。そうなればその人の蚀うこずはたいしお気にする必芁がないずいうこずがわかっおきたす。そしおこの人は「そういう人」なんだなず防埡線を匵るこずができたす。これがあれば党くうろたえるこずもなく堂々ずしおいるこずができたす。いくら蚀葉で殎り付けられようが、ダメヌゞをかなり軜枛するこずができたす。

そうなっおくるず散々打っおも動じないこちらの様子に向こうは逆に驚くこずになりたす。そうすれば自ずず攻撃は止みたす。「こい぀には効かない」ずわからせるこずが倧事なのです。こちらから打ち返さずずも撃退するこずは可胜なのです。

これは私たちの心においお倧きな自信になりたす。心の䜙裕が䞀気に倧きくなりたす。

これが著者の蚀う「人間ずしおの最䜎限のプラむド」なのだず思いたす。「最䜎限のプラむド」のいかに倧きなこずか。私たちは自分でそれを守るこずができるのです。それができたならばやられっぱなしの時ず党く違った人生です。これはずお぀もなく倧きなこずですよね。

たた、これは䞀察䞀の察人関係だけではなく、瀟䌚ずの関わり方にも圱響しおきたす。

「僧䟶掚奚おすすめ小説遞入門から䞊玚たでレベルごずにおすすめ䜜品をご玹介」の蚘事で玹介したゞョヌゞ・オヌりェルの『動物蟲堎』はたさにこうした詭匁による瀟䌚のディストピア化がテヌマの䜜品でした。

『レトリックず詭匁』ではたさにこの『動物蟲堎』を題材に詭匁の手口ずそれによっお瀟䌚がディストピアぞず向かっおいく過皋を解説しおいたす。

ゞョヌンズ氏の所有する荘園蟲堎で、酷䜿されおいた動物たちが、豚のスノヌボヌルずナポレオンの指揮によっお反乱を起こし、ゞョヌンズ氏を远攟したした。圌らは荘園蟲堎を動物蟲堎ず改め、その䞃戒を定め、「すべおの動物は平等である」ずいうスロヌガンのもず、自分たちの理想郷を䜜ろうずしたした。

だが、その翌日から、早くも様子がおかしくなりたした。雌牛から搟られたばかりの牛乳が、い぀の間にかどこかに消えおしたったのです。これは、結局、豚たちがこっそりず自分たちのえさにしおいたこずがわかったのですが、圌らは牛乳のみならず、颚で萜ちたリンゎたでも独り占めしようずするに及んで、さすがに他の動物たちの間から䞍満の声が出始めたした。そこでナポレオンは、ロの達者な豚のスクィヌラヌをスポヌクスマンずしお掟遣したす。

「同士諞君よ」ず圌は叫んだ。「諞君は、たさか、われわれ豚が、がりがり根性で、特暩颚を吹かしお、ミルクやリンゎをひずり占めにするのだ、などずはお考えにならないだろう実をいえば、われわれのほずんどが、ミルクもリンゎも倧嫌いなのだ。わたしも倧嫌いだ。そんな倧嫌いなものを、なぜ食べるのか、ずいえば、その目的はただひず぀、健康を保持するためなのだ。ミルクずリンゎは同志諞君、科孊がちゃんず蚌明しおいるのだが、豚の犏祉にぜったい欠くこずのできない成分を含んでいるのだ。われわれ豚は、頭脳劎働に埓事しおいる。この蟲堎の運営ず組織は、すべおわれわれの双肩にかかっおいる。われわれは、日倜、同志諞君の犏祉に心をくだいおいる。したがっお、われわれがあのミルクを飲み、あのリンゎを食べるのも、ひずえに同志諞君のためなのだ。もしわれわれ豚が、その矩務を果たすこずができなくなったずしたら、いったいどういう事態が起こるか、諞君はわかるかゞョヌンズがもどっおくるのだそうだ、ゞョヌンズがもどっおくるのだぞそれでいいのか、同志諞君」スクィヌラヌは、右に巊に跳ねたわり、しっぜを忙しくふり立おながら、ほずんど嘆願するような調子で絶叫した。「諞君の䞭で、ゞョヌンズに垰っおきおほしいなどず願っおいるものは、ひずりもいないだろう、ええ」

この決め台詞は効きたした。「動物たちにずっお、ぜったいに確信できるこずがひず぀あるずすれば、それはゞョヌンズに垰っおきおもらいたくない、ずいうこずだった。それをこんなふうにいわれおみるず、圌らは、もう䜕もいえなかった」からです。

スクィヌラヌは、この論法の成功に味をしめたした。その埌、暩力争いでナポレオンが革呜の功劎者スノヌボヌルを远攟し、動物たちが動揺したずき、圌は再床掟遣されお同様の論法で恫喝したした。「同士諞君、芏埋だ、鉄の芏埋だこれこそ、今日のわれわれの合蚀葉だ。もし䞀歩誀れば、われわれの敵は、たちたちわれわれを襲うだろう。いいか、諞君の䞭には、ゞョヌンズに垰っおきおほしいず願うものは、ひずりもいないだろうどうだ」―「今床もこの議論には、だれもぐうの音も出なかった」

筑摩曞房、銙西秀信『レトリックず詭匁』P

『動物蟲堎』の特城が䜙すこずなく解説された文章です。豚ず動物たちの関係は最初から最埌たでこのようなものです。いかがでしょうか、段々恐ろしさを感じおきたせんかこれはフィクションではなく実際に゜連であったこずであり、さらに蚀えば今だっお䞖界䞭どこにおいおもこれはありうるのです。いや、今私たちを取り巻いおいる環境もたさしくこれず同じなのかもしれたせん。

「同士諞君、芏埋だ、鉄の芏埋だこれこそ、今日のわれわれの合蚀葉だ。もし䞀歩誀れば、われわれの敵は、たちたちわれわれを襲うだろう。いいか、諞君の䞭には、ゞョヌンズに垰っおきおほしいず願うものは、ひずりもいないだろうどうだ」

この蚀葉の䞭の「ゞョヌンズ」の箇所に色々な蚀葉を圓おはめおみお䞋さい。ぞっずする珟実が芋えおきたせんか

これはい぀、どこでも起こりうるから怖いのです。

匕き続き解説を芋おいきたしょう。

あるいは、豚たちが䞃戒の四に違反しお、べッドで寝おいるのが露芋したずき、圌は再びこれを繰り返したした。豚にずっお、べッドで寝るこずは健康䞊必芁なのだ。われわれがぞずぞずに疲れおしたっお、矩務が果たせなくなっおもよいずは誰も考えおいたい。「諞君の䞭に、ゞョヌンズにもどっおきおほしいず願っおいるようなひずは、ぜったいにいるはずはないんだからね」―こう蚀われるず、動物たちは、たた䜕も蚀い返せたせんでした。

スクィヌラヌがここで甚いた論法のおかしさは明らかでしよう。圌は、「諞君は、ゞョヌンズに垰っおきおほしいず願っおいるのか」ず動物たちに問いかけたした。無論、圌らの答えは「いいえ」に決たっおいたす。だが、この意思衚瀺が、そのたた、豚がミルクやリンゎを独り占めしたり、戒埋に反しおべッドで寝たりするこずぞの、あるいはナポレオンが独裁者になるこずぞの承認ずなっおしたうのです。

それずいうのも、スクィヌラヌが、豚がミルクやリンゎを独り占めしたり、べッドで寝たり、ナポレオンが独裁制を敷いたりするのを認めなければ、ゞョヌンズが再び垰っおくるずいう因果関係を前提ずしお問いを出したためです。だから、頭の足りない動物たちは、぀い煙に巻かれおこの前提を認めおしたったのですが、もし、ゞョヌンズが垰っおくるこずは望たないが、かずいっお豚たちの特暩階玚的振る舞いも認めないすなわち、豚たちの䞀連の特暩階玚振りずゞョヌンズが垰っおくるこずずの因果関係に玍埗できない者がいたずすれば、圌は先のスクィヌラヌの問いに、「はい」ずも「いいえ」ずも答えようがありたせん。ゞョヌンズが垰っおくるこずは望たないのだから、もちろん「はい」ず答えるはずはない。しかし、もし「いいえ」ず答えたら、それによっお豚たちの行動を承認したこずにされおしたうのです。

筑摩曞房、銙西秀信『レトリックず詭匁』P

銙西秀信の『レトリックず詭匁』は、タむトル通り「詭匁」ずはいかなるものかを解説した本です。

その詭匁の代衚的な䟋の䞀぀ずしおこの『動物蟲堎』が玹介されおいたのでした。この本ではこの埌も具䜓䟋を甚いお詭匁の手口ずその察凊法を孊んでいきたす。

『レトリックず詭匁』は生きにくいこの䞖の䞭においお非垞に力匷い味方になっおくれたす。

真面目で優しい人ほど蟛い目に遭う䞖の䞭なんおやはりおかしいず思いたす。

たしかに、人類の歎史䞊それは延々ず繰り返されおきたした。「それが珟実だ」ず蚀われたらそれたでです。

ですが、著者が述べるように、私達にもできるこずはありたす。自分たちの心を守るために実践できるものがあるのです。それを知れただけでも倧きな力になりたす。私もこの本には救われたした。

この本はぜひおすすめしたい䜜品です。この本で孊べる護心術は自分の身を守るだけでなく、瀟䌚を守るこずにも぀ながるこずでしょう。䞀人でも倚くの方にこの本が届くこずを願っおいたす。

たた、口の匷い人にどうしおも勝おず悩んでいる方にはさらに以䞋の蚘事もおすすめです。

これらの蚘事でも自分の身を守るための技術やおすすめ本を玹介しおいたすのでぜひ参考にしお頂けたした幞いです。

以䞊、「『レトリックず詭匁』真面目で優しい人必読なぜあなたは口で負けるのか」でした。

関連蚘事


いいなず思ったら応揎しよう