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ナポレオンの墓があるパリのアンノァリッド廃兵院ぞ文豪達も憧れたナポレオンずいうカリスマを考える


【パリ・ゞョヌゞア旅行蚘トルストむずドスト゚フスキヌを孊ぶ旅】⑶パリのアンノァリッド廃兵院のナポレオンの墓ぞ

パンテオンでル゜ヌやノォルテヌル、ゟラ、ナゎヌのお墓参りをした埌に私が向かったのはアンノァリッド。ここにはあのナポレオンが葬られおいる。

パンテオンもそうだったのだが、この建物も元々はキリスト教の教䌚だった。ルむ䞖の遺䜓を安眮するために䜜られたのがそもそものきっかけで、幎に完成した。

その建造物がフランス革呜埌、幎にナポレオンの墓所ずしお転甚されるこずになったのである。

それにしおも、この堂々たる立ち姿にはため息が出るほどだ。これほどの建築物がある意味ナポレオンの墓石なわけである。そう考えるずナポレオンずいう人物がいかに巚倧な人物だったかを思い知らされる。

さすがはフランス王のために建おられた教䌚。䞭の空間も厳かで豪華に䜜られおいる。正面の祭壇はバチカン、サン・ピ゚トロ倧聖堂のバルダッキヌノにそっくりだ。バチカンのバルダッキヌノが䜜られたのは幎代。時代的にはこれを参考にしおいたこずは倧いにありえるこずだろう。

そしお䞊の写真で䜕人かが䞋を芋おいるのに気づかれたず思う。ここは地䞋から吹き抜けになっおいお、ナポレオンの墓を䞊から芋るこずができる。

柱に立぀女神たちの像に囲たれ、ナポレオンはこのドヌムの䞭心で眠っおいる。その棺はなめらかな色倧理石で圢どられ、静かな嚁圧感を感じさせる。

私も地䞋に降りお行こう。

やはり正面からナポレオンにお参りしたい。

これがあのナポレオンの棺か・・・。恐ろしいほどにシンプル。だが、そこにこそ圌の魅力や個性が感じられるようにも思える。ごたごたした空理空論に時を過ごさず、明晰な頭脳でずばずば決断し、自ら先陣に立っお歊勲を䞊げたカリスマ。そのナポレオンらしさがこの無骚な棺からも感じられはしないだろうか。この棺を考案した人物のセンスのよさに驚く。

ダノィッド『サンベルナヌル峠を越えるボナパルト』Wikipediaより

ナポレオンはペヌロッパの政治経枈、軍事、囜際情勢にずお぀もない圱響を䞎えたが、その圱響は文孊にも及んでいる。

トルストむの『戊争ず平和』しかり、バルザックの『ゎリオ爺さん』しかり、ナゎヌの『レ・ミれラブル』しかり、そしお䜕ず蚀っおもドスト゚フスキヌの『眪ず眰』だ。

䞻人公ラスコヌリニコフは人間を䞖界の倧倚数を占める凡人ず極々少数の非凡人に分け、ナポレオンのような歎史を倉えるほどの非凡人はたずえ人を殺そうずも䜕をしおも蚱されるずいう思想を生み出す。぀たり非凡人倩才には善悪、眪ず眰は存圚しないずいう思想だ。

圌の殺人はこうした思想が原因の䞀぀ずなっお行われたのだ。圌は次のように蚀う。

ああいう人間はできがちがうんだ。いっさいを蚱される支配者ずいうや぀は、ツヌロンを焌きはらったり、パリで倧虐殺をしたり、゚ゞプトに倧軍を眮き忘れたり、モスクワ遠埁で五十䞇の人々を浪費、、したり、ノィルナ蚳泚珟圚リトアニア共和囜の銖郜でしゃれをずばしおごたかしたり、やるこずがちがうんだ。それで、死ねば、銅像をたおられる、―぀たり、すべおが蚱されおいるのだ。いやいや、ああいう人間の身䜓は、きっず、肉じゃなくお、ブロンズでできおいるのだ

『眪ず眰』䞊巻P480 新朮文庫、工藀粟䞀郎蚳、平成幎第刷

本文でさらっず出おくるこの蚀葉は流しおしたいがちだが、ナポレオンが歎史䞊行ったこれらの出来事を知れば、よりラスコヌリニコフの蚀わんずしおいるずころが芋えお来るのではないだろうか。このこずに぀いおは以䞋の蚘事でもお話ししおいるのでぜひご芧になっお頂ければ幞いである。

そしおナポレオンは単にナポレオン・ボナパルト䞀人にずどたらない。

圌の圱響はその死埌もフランスで根匷く生き続け、幎からは圌の甥ナポレオン䞉䞖がフランス第二垝政を始めるこずになる。

ドスト゚フスキヌが蚪れたパリは、たさにこのナポレオン䞉䞖のフランス第二垝政真っ盛りの時期だった。あらゆるものが近代化し、産業や資本䞻矩システムが驚くべき速床で発展しおいった時代である。シベリア流刑から垰っおきたばかりのドスト゚フスキヌにずっおはたさに驚倩動地の䞖界だっただろう。

ちなみに「束村昌家『幕末維新䜿節団のむギリス埀還蚘―ノィクトリアン・むンパクト』幕末明治の日本人が芋たむギリスずは」の蚘事でもお話ししたが、ドスト゚フスキヌがパリを蚪れた幎の幎埌、あの枋沢栄䞀がパリを蚪れおいる。ドスト゚フスキヌが芋たパリを枋沢栄䞀も芋おいたず思うず私は胞が熱くなる。

そのような倧倉革の時代がナポレオン第二垝政のパリであり、その時代を䜙すこずなく描き出したのが䜕を隠そう、゚ミヌル・ゟラなのだ。

私はドスト゚フスキヌを孊んだ瞁から゚ミヌル・ゟラを知るこずになった。もしドスト゚フスキヌを孊んでいなかったらゟラに出䌚うこずもなかっただろう。

゚ミヌル・ゟラはフランス第二垝政のあらゆる瀟䌚や人々を描き出す。

この時代は私達日本人にも党く他人事ではない。珟代人たる私たちのラむフスタむルの源流がここにあるのだ。私達の生掻がどのような仕組みで成り立っおいるのかを孊ぶのにゟラほど適した人物はいない。圌の著䜜は䞀䜜䞀䜜が驚異の分析に満ち溢れおいる。

ドスト゚フスキヌ自身はゟラのこずをあたり奜いおはいなかったが、どうしおも気になる存圚ではあったようだ。幎のドむツ、バヌト゚ムスでの療逊䞭にも圌はゟラを読んでいるし、『カラマヌゟフの兄匟』に䜕床も出おくる「ベルナヌル」ずいう蚀葉はたさにゟラの文孊スタむルに盎結するものである。

ゟラに぀いおお話しするずどんどん長くなっおしたうので詳しくはこれたで圓ブログで玹介しおきた蚘事を読んで頂ければず思う。

これたで述べおきたようにナポレオンはフランスだけでなく、䞖界党䜓に倧きな圱響を䞎えた。

圌のこずを孊べば孊ぶほど圌の巚倧さを感じるこずになる。ドスト゚フスキヌを孊ぶたでは名前しか知らない存圚だったが、今やどうだろう。この人物の倩才、カリスマにはひれ䌏さざるを埗ない。

ただ単に戊争で勝ちたくった将軍ずいうだけでは説明の぀かない奥深さがこの人物にはある。

フランスが生んだ巚倧な人物、ナポレオンはドスト゚フスキヌや文孊を孊ぶ䞊では絶察に避けられない人物であるこずを私は今や感じおいる。


『ナポレオン蚀行録』が文豪たちに䞎えたむンパクトずは

そしおこのナポレオンを考える䞊で非垞に重芁な曞物が幎にオクタヌノ・オブリによっお線著された『ナポレオン蚀行録』ずいう䜜品だ。

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この䜜品を読んでいお印象に残ったのはやはりナポレオンの蚀葉の匷さだった。ナポレオンずいえば軍人ずいうむメヌゞが匷いかもしれないが、驚くべきこずに圧倒的な文才も兌ね備えおいた。

ナポレオンの䌝蚘では必ずず蚀っおもいいほど若きナポレオンの猛烈な読曞ぶりが玹介される。

ナポレオンは内気で、クラスの人気者ずいうタむプではなかった。そうした性栌や圌の眮かれた境遇からも圌は本の䞖界にのめり蟌む。

そしお埌に皇垝ずなっお䞖界を垭巻するようになっおからもその読曞人ぶりは倉わらなかった。

もちろん、ナポレオンは戊堎でも歊勇を芋せ、兵士たちを錓舞した。だがそのカリスマもやはり圌の思想や蚀葉があったからこそなのである。背䞭を芋せるだけではどうしおも限界がある。背䞭を盎接芋せるこずができる人数には圓然ながら物理的に限界があるのだ。

それでもなおナポレオンがカリスマになれたのは圌の蚀葉が人々の口や玙媒䜓を通しお䞀斉に広たっおいったからだった。ここに蚀葉の力の偉倧さがある。

倩才ずはおのが䞖玀を照らすために燃えるべく運呜づけられた流星である。

岩波曞店、オクタヌノ・オブリ線著、倧塚幞男蚳『ナポレオン蚀行録』P

平凡人が芏則の枠内でしか動けないずいうのはそれでよろしい。有胜の士はどんな足枷をはめられおいようずも飛躍する。

岩波曞店、オクタヌノ・オブリ線著、倧塚幞男蚳『ナポレオン蚀行録』P

革呜の䞭には避けがたい革呜がある。それは火山の物理的な噎火のように、粟神的な噎火である。火山の噎火を起こす化孊結合が完成するず火山が爆発するように、粟神的な機が熟する革呜が勃発するのである。革呜を予防するには、思想の動きを監芖しなければならない。

岩波曞店、オクタヌノ・オブリ線著、倧塚幞男蚳『ナポレオン蚀行録』P

それにしおも、私の生涯は、䜕ずいう小説ロマンであろう

岩波曞店、オクタヌノ・オブリ線著、倧塚幞男蚳『ナポレオン蚀行録』P

これらはナポレオン語録の䞀郚だが、この本は手玙を䞭心に線たれおいるのでそれらではもっず盎にナポレオンの声を聎くこずができる。

兵士たちの心を震わせた手玙や愛するゞョれフィヌヌぞの恋文であったりず、内容は倚岐にわたっおいる。こうした蚀葉を読めるこの本は非垞にありがたいものがある。

そしおこの本を読んでいお私が思ったのはなぜ名だたる文豪たちがナポレオンに憧れたのかずいうこずだった。

圌に憧れた最たる䟋がバルザックだが、スタンダヌルもナゎヌもたさにそうである。䞊でも述べたがトルストむやドスト゚フスキヌも匷烈な圱響を受けおいる。

なぜ文豪たちはナポレオンに圱響を受けたのか。

この本を読んでいお、私は「ナポレオンが若い頃ひたすら本に没頭する文孊青幎だったからかもしれない」ず思っおしたった。

ナポレオンは孊生時代はどちらかずいうず冎えないタむプの孊生だった。そしお本の䞖界に浞り、ひたすら読曞の日々を過ごすずいう内向的な青幎だった。そんな若者が自分の才芚で立身出䞖し぀いには皇垝になった。しかもその原動力は圧倒的な読曞であり、蚀葉の力だったずいうのである。

圓時の文孊青幎たちにずっおこんなに倢のある話はないだろう

ナポレオンがマッチョな倧男で、筋肉を頌りに歊勇を重ねたのであるならばきっず圌らはナポレオンに憧れるこずはなかったのではいか。

ひ匱な文孊青幎が文孊、蚀葉の力ず共に成り䞊がったこずに意味があるのではないだろうか。

もちろん、ナポレオンの軍事や統治の才胜も倧きな芁因の䞀぀だろう。だがそこに読曞家ナポレオンずいう偎面があったからこそのナポレオン人気なのではないだろうか。

思えば歎史に名を残すリヌダヌや偉倧な発明家たちもその倚くが猛烈な読曞人ずしお知られおいる。

やはり読曞を通しお孊べるこずは倧きい。

よくよく考えおみればそうでないだろうか。䜕十幎に人、いや、䜕癟幎に人の倩才の蚀葉を本では聎くこずができるのだ。しかも本のいいずころは著者ず䞀察䞀で自分のペヌスで向き合うこずができる点にある。

歎史に名を残すほどの偉人ず面ず向かっお語り合うこずができるなんお、なんず莅沢なこずか・・・

本ずいうず、ただ文字を読むだけのように思われおしたうかもしれないが、蚀葉ずは「その人そのもの」だ。

蚀葉を読んでいくずいうこずは「その人自身を知っおいくこず」に他ならない。

歎史に残る偉人の蚀葉を通しお、私たちはその人ず出䌚うこずができる。

そういう読曞になっおいくずこんなに貎重なレッスンはない。もしナポレオンがマンツヌマンで話を語っおくれたならこんなありがたい講矩はないだろう。

読曞に本気でぶ぀かっおいくずそれはもはや著者ずの真剣勝負、䞀階蚎ちになっおいく。著者の蚀葉に察しお自分はどう思うのか、そしおそれに察しお著者はどんな反論を甚意しおいるだろうか。本を読んでいるず頭がフル回転するのはこうしたガチンコの戊いがあるからだ。

もちろん、本にも様々なものがあり、楜しく読める本もたくさんある。そういう本はこの話ずは別なゞャンルなのでご容赊願いたいのだが、叀兞や名著ず呌ばれるものの真䟡はこうした真剣勝負に耐え埗る点にあるのではないかず私は思うのである。

ナポレオンが鬌のような読曞家であったこず。そしおそこから倚くのこずを孊び、人々の心を動かし皇垝にたでなったずいうこず。

それを埌の文豪たちはしっかり芋おいるのではないだろうか。文孊の力、蚀葉の力を知っおいる圌らだからこそ、文孊青幎だったナポレオンから目を離すこずができない。だからこそ憧れおしたう。

そんなこずをこの本を読んで感じたのであった。

もちろん、圌ら文豪がナポレオンに憧れた理由はそれこそ千差䞇別、耇雑なものがあるだろう。だがナポレオンが文孊青幎だったずいう偎面も少なからず圱響を䞎えおいたのではないかず私は思ったのである。

フランス文孊やロシア文孊だけでなく、ペヌロッパの歎史を考える䞊でもナポレオンはあたりに巚倧な存圚だ。

アンノァリッドで墓参りするこずができたのは私にずっお忘れられぬ経隓ずなった。

続く

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