芋出し画像

恋の賭け、成立条件緩和䞭【第1章】


はじめに

note仲間の ã²ãŒã¡ã‚ƒã‚“ ã«ã‚€ãƒ³ã‚¿ãƒ“ュヌをしお、それを元に、小説を曞きたした。もちろん少し創䜜しおいたすが、しかし倧半はむンタビュヌで教えおいただいた゚ピ゜ヌドです。
固有名詞や幎代、幎霢、地名などは事実ず異なりたす

第1章 平成15幎2003幎

1小宮山ひたり 23æ­³

・4月6日

小さな公園の桜は満開だった。
私は、昚日ず同じベンチに座り、青い空を芋䞊げた。

青空を背負った゜メむペシノに、私は心を鷲掎みされた。心臓がギュっず収瞮したのだ。
矎しかった。それも最䞊玚の矎しさだ。

私は、幌銎染の仲間恵を連想した。女優、アむドル、モデルなどに、䜕床もスカりトされたその矎しさは、故郷の嘉手玍垂内の同䞖代で、知らない人はいないほどなのだ。

私は、元気に咲く、ハむビスカスや向日葵ひたわりが奜きだった。向日葵ひたわりが奜きなのは、私の名前に䌌おいるからずいう理由も加わっおいる。
東京の桜は「癜い」ず聞いおいお、䞀昚幎も、昚幎も、そう思っおいたが、もう誀魔化せない。

私は、ハむビスカスや向日葵ひたわりより、゜メむペシノが奜きになっおいる。芋惚みずれおしたう。たくさんの花びらを䞀気に咲かせお、明るく元気なのに、矎しいなんお。なんお玠敵なのだろう。

私は、この公園のすぐ近くにあるロヌ゜ンで、ランチパックず猶コヌヒヌ買っおあった。コンビニ袋から、それらを出しおベンチに眮いた。今日の朝食を、ここでず思い぀いた自分を耒めおあげたい気分になった。

携垯電話が鳎った。予想通り、恵からだった。携垯電話の小さなディスプレむに『メヌグヌ』ず衚瀺さおいる。

「おはよう」ず、私は蚀った。
「ひたり、誕生日おめでずう」ず恵は蚀った。

「ありがずう。メヌグヌは、私の誕生日に必ず電話しおくれるから、そろそろかなっお思っおたさ」
「ひたりに圌氏ができたら、1番を獲っちゃ悪いからさ、午埌になっおから電話する぀もりさ」
ず、メヌグヌは沖瞄のむントネヌションで蚀った。

「たったく、恋愛運の乏しい私に察しお、そんなヒドむこずを蚀う しかも誕生日に」
「たたそんなこず蚀っおぇ。恋愛運が乏しい ひたり、たくさんモテおたでしょよ。䜕回も蚀ったけど、ひたりのこず奜きな男子、いっぱいいたんだから」

「そんな慰めやお䞖蟞は、聞きあきたさ。あ、メヌグヌ。話倉わるけど、私、6月に垰省するっお決たったの」
「シンケン⁉ 嬉しい やっずひたりず䌚えるさ。䞞2幎䌚っおないんだからね」

「あの、そ、それがね。宮叀島ぞのツアヌでさぁ。嘉手玍には寄れないんだっおぇ」
「は 宮叀島⁉ ひたり、どういうこず」

私は思わず、携垯電話を耳から離した。10センチ以䞊も耳から離したのに、それでも興奮したメヌグヌの声がビンビン響いた。
満開の゜メむペシノが、たるでその声に呌応したみたいに、ザザッず揺れお、けっこうな量の花びらが舞った。

「どういうこず⁉ 沖瞄に垰っおくるのに、嘉手玍に寄らず、私にも䌚わずに東京に戻るっおワケぇ そんなの垰省っお蚀わないさ」

私は、メヌグヌの怒りを鎮めるために事情を説明した。

「だからさ。メヌグヌにはデゞ䌚いたいさ。旅行䌚瀟にもお願いしたんだけどね、私だけ那芇空枯からは別䟿にっお、それは出来ないっお蚀うのさ」
「あんた、実家にも寄らないワケ⁉ オカアにも䌚わないの」

メヌグヌが、私のこずを「あんた」ず呌ぶずきは、かなり怒っおいる。
私は、火に油を泚ぐこずのないように、かなりの泚意を払っお蚀葉を遞んだ。

「私、沖瞄の海が、恋しくお恋しくお、もう、我慢ならなくなったさ。そしたら、たたたた、チラシで栌安ツアヌを芋぀けたの」
「そりゃあ、6月は梅雚だから、安いに決たっおるさぁ」

「それがね、6月24、25日の2泊だから、たぶん、梅雚明けしおいるはずさ。あずね、私、今たで離島っお1床も行ったこずがなかったのよ。だからさ、メヌグヌ、沖瞄の海が芋れお、栌安で、初めおの離島で、っお、これっお䞀石䞉鳥なのよ。分る」
「ぜんぜん分からんさ。ひたり、匕越ししたばっかりなんでしょ」

「そうなの、今床はバストむレが別で床もフロヌリングの、デゞ玠敵なアパヌトなの メヌグヌ、い぀でも泊たりに来おむむからね。東京も、どこでも案内するからさ」
「匕越しもしお、さらに宮叀島に旅行だなんお、アンタ、よく、そんなにお金があったわね」

い぀ものこずではあるのだが、メヌグヌは、だんだんお姉さん口調になっおきた。私の方が、数ヶ月誕生日が早いのに、シッカリ者のメヌグヌは、ごく自然にお姉さんのポゞションを取っおしたう。実際、メヌグヌには効がいるので、ネ゚ネ゚口調は無意識に出おしたうのだず思う。ひずりっ子の私は、たぶん、無意識に甘えおいるし。

私は、「2幎間バむトで貯めた貯金がスッカラカンさ。だから今回は嘉手玍には寄れないの。那芇から別䟿にするず、远加で、メッチャお金がかかっちゃうの。メヌグヌ、あんたり怒らないで。今日は私の誕生日なんだしさ」ず、少し甘えた声で蚀っおみた。

「ふっ。東京に『ちょっず勉匷しおくる』が、もう䞞2幎だよ。ひたり、私ず䞀緒に仕事をするっお玄束、たさか、忘れおないよね」
「倧䞈倫 忘れおないよ。ただいたアルバむトを頑匵っお、接客業ずいうものを猛勉匷䞭さ。バむトリヌダヌだし」
ず、私は力説した。

「ああっ、ダバむ 私、リクずデヌトなの。準備しなきゃ。電話切るね」ず、メヌグヌは蚀った。

「誕生日に、叱られお、圌氏がいたす自慢たでされお、私っお可愛そうじゃない」ず、私は、䌚話を䞀方的に終わらされる流れにむラっずしお、少し絡んでみた。

「ハむハむ、もう時間がないから。たたね」ず蚀っお、メヌグヌは、あっさり電話を切った。

私は、ツヌず蚀った携垯電話に向かっお、「ハむは1回でむむさぁ」ずボダいた。

猶コヌヒヌを軜く振っお、プルトップを匕いた。そしお、私は猶コヌヒヌをひず口飲んだ。

「たヌさん」ず、蚀葉にしお蚀っおみた。

少しスッキリした。
矎味しいコヌヒヌの味っお、凄かったりするのだ。゜メむペシノの花を眺めながら、ランチパックも食べた。

やさしい矎味しさが口に沁み、ピヌナッツの濃厚な銙りが錻腔に広がった。

私は、メヌグヌに憧れながら育った。メヌグヌになりたいず、子どもの頃は本気で思っおいた。目が芚めたら、私ずメヌグヌの心が入れ替わっおいたならず、劄想したこずもあったのだ。

メヌグヌは、身長が165センチで、モデルのように矎しいスタむル。身長は私よりも10センチも高くお、䜕床も矚たしく思った。しかも、成瞟たで孊幎トップだった。どの教科も、3䜍を䞋回ったこずがないのだ。

芁するに、私ずメヌグヌは察照的なのだ。

私は、自分の倩然パヌマの前髪を匕っ匵っおみた。こんなクルクルのくせ毛では、倩䜿の茪ができるこずは絶察にないのだ。しかも、染めおいないのに、私の髪は少し茶色っぜい。
思わず、ため息が出おしたった。

たた颚が吹き、癜い花びらが舞った。
いや。
䞊品な、淡いピンク色の花びらたちが舞っおいた。


2䜐々朚韍圊 35æ­³

・6月24日

矜田を飛び立っお、もう30分は経ったハズだ。

僕の座る゚コノミヌ垭は、隣が空垭だった。那芇空枯を経由しお宮叀島たで飛ぶ。僕は、民宿に泊たる宮叀島ツアヌに参加したのだ。

りトりトしかけおは、埌ろの垭の若い嚘の声で、ハッず目芚めおしたう。それを僕は、䜕床も繰り返しおいた。20歳はたちずチョットず思われる若い嚘は、ずなりの老女ず楜しそうに䌚話をしおいた。そしお、その声はずにかく倧きかった。甲高く、良く響いた。

「あきさみよ〜 オバアは読谷村よみたんそんの人なの⁈ 私は嘉手玍さ」

圓人には、倧声ずいう自芚がない。
機内は、君の家ではなく公共の堎なのだず、説教の1぀でもしたいずころだが、今、の僕には、その気力がなかった。
本来なら、僕の隣の垭には矎しい女性が座っおいたハズなのだ。

母芪が倒れたっお、本圓かなあ り゜かなぁ。  たぶん、り゜だな。この前の誕生日プレれント。あれをケチったのが倱敗だったのかなぁず、僕は、考えおも仕方ないず知りながらも、その考えおも仕方のないこずばかりを考えおいた。

杏奈は、僕が今幎になっおから、月に23床行くようになったスナックのチヌママで、りむスキヌのCMの2代目の井川遥さんに良く䌌おいた。杏奈は、僕に䜕床も積極的なモヌションを仕掛けおきお、3月に男女の仲になったのだった。

今では、そのスナックのママずマスタヌの、公認の仲ずなっおいた。その杏奈が、今朝になっお、母が倒れたから行けない、ず電話しおきたのだった。

このドタキャンは、ひょっずしたら、神様からの譊告かもしれない。
ふず、そんな思考が浮かんだ。
浮かれおいるず、たた、あの地獄ぞ萜ちるかもしれない。

僕は瞌を閉じた。

急成長する販売䌚瀟で、僕は、ダントツのスピヌド出䞖を果たした。他人の2倍以䞊働いた自負があるし、結果は5倍以䞊出した。
僕の錻は、倩狗䞊みに高くなっおしたい、郚䞋2人を率いお独立起業したのだ。

そこからが地獄だった。
売䞊げが無くおも、郚䞋2人に20䞇円ず぀、蚈40䞇円が消えおなくなり、郚䞋は「これでは生掻できない」ず䞍満を蚎えた。郚䞋2人はアッサリ蟞めおしたい、3人で取り組もうずしおいた事業を、2人で始めおいた。

貯金は、たるで湯氎のように枛り、劻ずは顔を合わせるたびに蚀い争いになった。そしお、劻に離婚を宣蚀された。財産分䞎が無くならないうちに離婚しなければ、ずいう蚈算が、透けお芋えた気がした。

子䟛はいなかったので、離婚は拍子抜けするほど簡単だった。

久しぶりに喰らう、泣きっ面に蜂だなず苊笑いを浮かべ、霞のかかった脳で考えた結果、僕は、法務局ぞ向かった。営業コンサルタントずしおの、開業届を出しに行ったのだ。ハロヌワヌクぞ足を運ばなかったのは、100、芋栄だった。
僕は、䞀囜䞀城の䞻、ずいうポゞションを捚おるこずができなかった。

珟実は、実瞟もないコンサルタント業で食っおいけるワケもなく、深倜譊備のアルバむトも行なった。知人に、譊備員姿の自分を芋られたくなく、怯えながら生きた。

生掻費を極限たで䞋げ、アルバむト以倖の時間は、睡眠か、飛び蟌み営業か、営業コンサルを行なったのだ。
コンサルのり゚むトが、ほんの少しず぀、蝞牛の前進速床のように、埐々に増した。
アルバむトは晎れお、昚幎末、やっず完党に䞍芁になったのだ。

成果報酬ずいう契玄でのコンサルタントが、爆発的な売䞊げアップを成した。その報酬も倧きかったが、それ以䞊に、その実瞟が広告ずなりクロヌゞングずなったのが倧きかった。次の契玄を呌んでくれたし、決めおくれた。
ありがたいこずに数瀟が顧問契玄に応じおくれお、僕は、独立しお初めお、䌑日を取るこずができた。

そしお僕は、10日に1床、駅前のスナックで飲むようになり。杏奈ず出䌚った。

杏奈も、別れた劻ず同じなのだろうか。僕のこずを奜いおいるのではなく、僕が皌ぐお金が奜きなだけなのか。そしお僕には、䞀般的な経営者ほど、自由になるお金はない。
10日に1床のスナックでの支出でさえ、本来は、貯金すべきだず思う自分がいる。

そのケチ臭さが、䌝わっおしたい、幻滅されたのだろうか。宮叀島たで盎行䟿ではないツアヌだし、ホテルではなく民宿だ。
しかし、今の僕には、これでも倧盀振る舞いなのだ。

そしお今、神様から、眰を䞎えられおいるのではないか。

運転資金で苊劎をした経隓も、喉元過ぎれば熱さを忘れるで、さっそく浪費をするずは蚀語道断。ビゞネスの神様は、そのようにお怒りなのかもしれない。

「アキサミペヌ」ずいう倧きな声で、僕の思考は䞭断された。

那芇たでは、快眠はムリだなず、僕は思った。
元気な若い嚘は、隣の老女に、身の䞊話を語り出しおいた。

「ホテルじゃないのよ、民宿なのさ。あえおの民宿。そこがむむのさ。蟲業䜓隓や持業䜓隓があるんだよ。
 東京に行っおもう䞞2幎さ。うん、1床も垰っおないの。はじめおの垰省なんだよ。実家じゃなく、宮叀島に行くのだから『垰省』っお蚀わないかぁ 垰省じゃないっお、幌銎染に叱られたのよ。アハハハ」

この若い嚘も、同じツアヌに参加しおいるのかもず、僕は思った。


  


那芇空枯で飛行機を乗り換え、僕は宮叀空枯に着いた。初めおの宮叀島だ。

那芇からの機内ではシッカリず熟睡できお、僕は、杏奈がいない淋しさに慣れ぀぀あった。

宮叀空枯の到着ゲヌトでは、スケッチブックを頭䞊に掲げおいる青幎がいた。
『民宿島袋』ず、かなり䞋手な文字が倪いマゞックで曞かれおいる。

青幎は背が高かった。おそらく190センチ前埌だろう。長身で手足も長かった。スラッずした青幎が、長い腕を䌞ばしおスケッチブックを頭䞊に掲げおいるのだから、真っ先に目に぀いた。

眉ず目が近く、その県はクッキリパッチリの二重瞌で、顔は濃く、いわゆる゜ヌス顔だ。ハンサムな圌は、終始、満面の笑みを浮かべおいお、これには、若い女性は参っおしたうだろうず、僕は思った。

青幎の暪には、身長170センチ匱くらいの、痩せた老人がいた。顔がシワシワで、目は、その皺の䞭に埋もれおいる。1番濃く深いシワが、おそらくは目だ。老人もニコニコず笑顔を浮かべお、枩厚さを醞し出しおいた。

あの2人に声をかければ良いず、僕は、いずも簡単に理解できた。

僕の暪を、若い嚘がスキップで抜いお行った。ボブパヌマの髪の䞊に、癜い麊わら垜子が乗っおいた。ボブパヌマの髪は、楜しそうに跳ねおいる。
やや小柄で、身長は155センチ前埌か。スレンダヌなのに胞は小さくなかった。ブルヌのシャツは腰に巻き、シャツ姿になっおいた。デニムのホットパンツからは健康的な長い脚が䌞びおいお、腰の䜍眮が高かった。癜い厚底のアンクルストラップサンダルは、この南囜にピッタリだった。

むむ女だなず思ったが、僕には若すぎた。僕は、幎䞋にはたったく興味がない。
僕は、甘えたい人間なのだろう。

「私、小宮山です 䞋の名前はひたりです」
「小宮山ひたりさん、いらっしゃいたせ」ず、島袋民宿の青幎が応じた。

声を聞いお僕は、やはりず思った。
那芇たでの機内で、老女ず倧声で䌚話しおいた嚘だ。

「ササキさん、いたせんか」ず、青幎が倧きな声を出した。

僕は、あわおお名乗り出た。

「䜐々朚です」
「ササキさん、いらっしゃいたせ。長旅、お疲れ様です」

愛想良く、ニコニコず青幎は喋りたくる。隣の老人は、ニコニコしおいるが蚀葉は発しおいない。

「ササキさん、もう1人の方は」ず、青幎に問われた。
「あれ 矜田から旅行䌚瀟に電話したしたよ。連れは、今朝、母芪が倒れおしたっお、キャンセルなんです」ず、僕は答えた。

老人がニコニコ肯いおいる。
旅行䌚瀟からの電話を、きっず、老人が受けたのだろう。この民宿は、簡単な情報共有さえできないのか。僕は、この埌が少し心配になった。

「あず、田蟺さん」
「はい。田蟺です」

「わっ びっくりしたヌ 田蟺さん、い぀の間に 党然気づきたせんでしたよ」
「こんにちは。少し前から、ここにいたしたよ」

「こんにちは」ず青幎は、気を取り盎し挚拶をしおいた。

田蟺さんずいう老人は、民宿の老人より少し若く、少し背が䜎かった。そしお、同じように痩せおいた。品の良いシルバヌフレヌムの県鏡が顔になじんでいお、レンズの奥の目は、ずおも穏やかだった。

「オゞむ、皆さんそろったよ」ず青幎が蚀った。
「んん」ずオゞむは蚀った。

「みなさん 僕に぀いお来おください 海が良く芋えるルヌトを通っお、たずは民宿に向かいたす レッツゎヌです」

「レッツゎヌです」ず、小宮山さんずいう嚘が応じた。


  


僕たちは、倖に出た。

空気が、東京ずは違っおカラッずしおいる。倪陜は、ほが真䞊にいた。
青い空は、り゜のように雲1぀ない。矎しい青だった。濃い青に感じるが、それは玺色に近いずいう意味は党くない。青のたたで青く濃かった。

僕は、サングラスをかけた。
シャツを脱ぎ、Tシャツ1枚になった。昔、氎泳で鍛えた肉䜓には自信もある。Gパンが暑苊しかったが我慢した。

青幎が、小宮山さんに声をかけた。
「小宮山さんは可愛いだけじゃなく、元気なんですねヌ」ず。

「そんな、可愛いだなんお、お䞖蟞を蚀っちゃダメさ 元気っおのは、本圓に元気だからむむけどね 私には、それくらいしか取り柄がないのさ。あず、名字じゃなくお『ひたり』っお呌んで欲しいなぁ。私、自分の名前が奜きなの。ちゃんでも、さんでも、どっちでもむむからさ」ず、ひたりさんは蚀った。

僕にずっお、ひたりさんは少々鬱陶しかった。明るく玠盎で、屈蚗も食りもない。良い性栌なのは分かる。機内でうたた寝を邪魔されたこずず、若さず、明るすぎるこずが、僕の神経を逆なでしおいる感じなのだ。

田蟺さんは、花を芋かけおは立ち止たり、鳥を芋かけおは立ち止たった。
時々、深呌吞も行なった。
僕には、少々、芝居がかった動きに芋えた。もしかしたら俳優かもしれない。

青幎の案内で蟿り着いた車は、ワヌゲンバスだった。癜ずスカむブルヌのツヌトンカラヌで、南囜にピッタリだ。僕は、思わず芋惚みずれおしたった。

ひたりさんは、そのワヌゲンバスを芋お飛び跳ねた。

「なにい めっちゃカワむむんだけど」

こういうブリッ子も、僕はあたり奜みではない。


3ひたり 䞀生懞呜っお楜しい

バスの運転垭には、オゞむが座っお、私は少し驚いた。
背の高い青幎は、埌ろのドアを䞊げお、私たちの荷物を積んでくれた。

サむドにある埌郚座垭甚のドアは、なんず芳音開きだった。
「カワむむ」ず私は蚀っお、テンションが䞊がった。芳音開きのドアの車っお、初めお芋たし、それがメッチャ可愛いし。

このバスは自分で盎しお自分で塗装したのだず、青幎は、はにかみながら蚀った。自慢したい気持ちを抑えおいるのが分かっお、私は、可愛いなぁず思った。宮叀島に来おから、可愛いの連発だ。

埌郚座垭は、2列目が2人掛けのシヌトで、3列目は3人掛けのシヌトだった。私は、なんずなく2列目に座った。䜐々朚さんず田蟺さんは、3列目に離れお座っおいた。それぞれが窓偎に座った、ずいう感じだった。

青幎は、助手垭から身䜓を浮かせおひねり、私たちに顔を向け、笑顔で語り出した。

「みなさん、今回は僕たちの宿、『民宿島袋』を遞んでくださっお、ありがずうございたす。僕は、゚むショヌず蚀いたす。よろしくお願いしたす」

私は、「よろしくね、゚むショヌくん」ず蚀った。

「ひたりさん、ありがずうございたす。ええっず、たずは、運転しおいるのが、僕のオゞむです。宮叀島では、『オゞむ』っお、愛を蟌めお呌んでたすので、みなさんも『オゞむ』ず呌んでください」

「はヌい」ず、たた、私は蚀った。

このリアクションは、半分自然に行なっおいお、もう半分は蚈算でもあった。
私は、堎が暗くなるのが䜕よりも嫌いなのだ。このメンバヌず分かった瞬間から、盛り䞊げ圹は私しかいない。

゚むショヌ君は明らかに、私のリアクションをありがたがっおいる。田蟺さんも、蚀葉には出さないが、口元には笑顔が浮かんでいた。

䞍機嫌そうな䜐々朚さんも、ずきどき笑みを浮かべおいお、きっず根は良い人なんだろうず思った。恋人がキャンセルになっお、淋しいのだろう。

「さお、皆さん 民宿たでのこの車の䞭で、自己玹介を枈たしちゃいたしょう」ず゚むショヌ君が提案した。
私は、すかさず「む゚む むむぞ、゚むショヌくん」ず反応した。

「ひず回り目は、名前ず幎霢だけにしおくださいね。それ以倖の話題は、ふた回り目の自己玹介甚にずっお眮いおください。たず、僕は、島袋゚むショヌです。高校を卒業したばかりで18歳です。オゞむは75歳で、民宿には、オゞむずラブラブのオバアが埅っおいたす。お昌ご飯は、オバア特補の宮叀そばです」

「わい 宮叀そば、嬉しい お腹空いた」ず、私は本音を語った。沖瞄そばが食べたかったから、少し違うらしい宮叀そばが、デゞ楜しみなのだ。

「じゃあ次は、ひたりさん、どうぞ」

「どうぞっお、私から 聞いおないさ。ったく。ええっず、私、ひたりです。小宮山ひたりです。幎霢は、レディヌに聞いちゃダメなんですよ。゚むショヌ君より、チョピっずだけお姉さんです。よろしくお願いしたす」

「では、次は私が  。私は、田蟺憲䞀朗です。生粋の江戞っ子で、歳は55歳です。あ、江戞っ子っお蚀っちゃった、ごめんなさい」

「あきさみよ〜 ゎメンね、田蟺さん。私、もっず幎䞊っお思っおたさ」

「ひたりさん、私は幎霢を気にするレディヌではないので、安心しおください。それに、このシワの倚い顔ですから、よく幎䞊に芋られたす。慣れっこですから、倧䞈倫ですよ」

「わは 田蟺さんっお、玳士い やさしい」

「ええっず、最埌は私ですね。䜐々朚韍圊です。歳は35です」

「䜐々朚さん、めっちゃハンサムですよねぇ。俳優さんかず思ったさ」ず、これたた本音で蚀った。身長は、たぶん175くらいで、肩幅が広かった。ハンサムだからサングラスも良く䌌合っおいた。

私は、思わず叫んだ。

「海だ」

叫ばずにはいられなかった。
みんなも海を芋た。

これが、宮叀島ブルヌかず思った。確かに、嘉手玍の海ずは少し違うかもしれない。宮叀島の海の色は、空のパステルブルヌず、ほが同じブルヌだった。

海の青は、空のパステルブルヌを映しおいるのだろうか。

「ああ、最高
 沖瞄に垰っおきたんだ  。
 みなさん 海です」

私は、涙が溢れお、涙声になっおいた。

田蟺さんは号泣しおいた。
涙をガマンするずか、ぬぐうずか、そういう事を忘れおいるみたいだった。

䜐々朚さんも、声を発するこずなく海を芋぀めおいる。サングラスを倖しお、真剣な県差しになっおいた。

自己玹介は、ふた回り目には入らず、ごく自然に雑談ずなった。
゚むショヌ君ず私がしゃべりたくっお、ほかの3人は、それをニコニコず聞いおくれた。䞻に、゚むショヌ君がこのバスを、どんな颚に修理しお、どんな苊劎があったのかを聞いた。

時おり䜐々朚さんが、ツアヌのこずに぀いおの質問をした。

その結果、私も気になっおいた郚屋割りが分かった。圓たり前だが、ちゃんず各自に個宀が甚意されおいるず聞いお、安心した。

オゞむは、盞倉わらず䜕も喋らないけど、ずっず笑顔だった。私は、オゞむの真顔は笑顔なのだず思う。私も、真顔が笑顔のオバアを目指そうず思った。

バスが、舗装された道を曲がり、畑の䞭ぞず入っお行った。
そしお停車した。宿に着いたのだ。


   


これから、オバアの宮叀そばをいただく。
オバアは、背が私ず同じで䜎かった。髪は1぀にたずめお、おでこが党開で、たんが日本昔話のオバアに䌌おお、ずおも可愛かった。

食事は基本、庭で食べるず聞いお、私はテンションが䞊がった。宮叀島に来たのに、家の䞭にいたのでは「勿䜓ない」ず、゚むショヌ君は蚀った。

でも、宮叀島の日差しは危険だ。

鯉のがり甚のような倪い柱が、庭に4本あっお、倧きなシェヌドが枡しおあった。
庭の隅には、倧きなパラ゜ルが数本あるのが芋えた。日差し察策は䞇党だった。

シェヌドの䞋は、想像以䞊に快適だった。シェヌドが高い䜍眮にあるから、圧迫感は党くなく、それでいおチャント日差しを遮っおくれおいた。
その䞋に、屋倖甚のテヌブルずむスがあり、オゞむずオバアが仲良く宮叀そばを運んできおくれた。

「オバアの蕎麊は、矎味しいですよ」ず、゚むショヌ君が蚀った。心底、そう思っおいるのが䌝わっおくる真顔だった。

宮叀そばは、沖瞄そばず違っお、具が麺の䞋に隠れおいた。
私は、スヌプを確かめおから、勢いよく麺をすすった。

「たヌさん」

倧きな声で本音を叫んだ。本音を叫ぶ快感がクセになっおきおいた。

麺は平麺で、スヌプは懐かしい味だった。沖瞄そばず完党に同じではないものの、基本は同じなのだろう。

デザヌトの、島バナナの゜フトクリヌムも矎味しかった。南囜の味だ。

「さっそく、蟲業䜓隓に行きたしょう」ず゚むショヌが蚀った。

「やったヌ これ、楜しみだったのさヌ」ず、私は蚀った。

オゞむが゚むショヌ君に、䜕かを䌝えた。オゞむの蚀葉は、小さかったし、たぶん、幎季の入った宮叀島の蚀葉で、聞こえたずしおも分からなかったず思う。

゚むショヌ君は、オゞむの発蚀に驚き、そしお、少し抵抗を瀺しおいた。
枋々いう感じになり、こちらに向き盎った。

「え、実はおずずい、台颚が宮叀島の近くを通過したしお、うちの畑のビニヌルハりスが、ホンの少し傟いちゃいたした」

「あきさみよ〜 じゃあ、蟲業䜓隓はできないの」ず、私は聞いた。

「倧䞈倫です。こういうのはショッチュりヌですから、僕やオゞむは慣れっこです。そういうわけで、リアル蟲業䜓隓です。これからみんなで力を合わせお、ビニヌルハりスを立お盎したしょ」

「わっ メッチャ面癜そう」

「ええっず、本気で蚀っおいるの」ず、䜐々朚さんが発蚀した。

私は、䜐々朚さんに、ずっず抱いおいた違和感にハッキリず気づいた。䌚ったこずなど無いはずなのに、どこかで䌚った気がするのだ。誰かに䌌おいるのだろう。

その䜐々朚さんの、本気かずいう問いに、「はい 本気の本気です これぞ、本物の蟲業䜓隓 滅倚にできる䜓隓じゃありたせん」ず、゚むショヌが笑顔で答えた。

「たあ、確かに『リアル蟲業䜓隓』だろうけどね。でも、郜合よくタダ働きさせられおいるようにも感じるんだけど」ず、䜐々朚さんは蚀った。

゚むショヌ君はすかさず、「そヌなんですよ。さっき僕、オゞむに同じこずを蚀ったんです。それじゃあタダ働きさせるみたいじゃないかっお。でもオゞむは、『バヌベキュヌだっお自分で肉を焌くだろ』ずか『陶芞䜓隓も自分で茶碗ずか䜜るだろ』ずか蚀うんですよ」ず、困った顔で説明した。

私は、どちらの蚀い分にも䞀理あるず思った。

「私は、ぜひ、䜓隓させおほしい。ビニヌルハりスの修繕なんお、なかなか出来ないですからね」ず、田蟺さんが蚀った。

私も、「盎しおみたヌい」ず、あえお無邪気に蚀っおみた。

私は、䜐々朚さんに少し近づいお、「䜐々朚さん、ぜひ䞀緒にやりたしょう。ね 私は力が無いし、田蟺さんも力持ちには芋えないし。䜐々朚さんがいるずいないずでは、きっず倧違いだず思うんです」ず、お願いしおみた。

「分かったよ。倚数決には埓いたしょう」ず、䜐々朚さんは腰を䞊げおくれた。

「やったヌ ゚むショヌ君、党員参加です」

「では、レッツゎヌですね。みなさん、僕に぀いお来おください」

「ちょっず、これを被っお行きなさい」ず、オバアが蚀った。
人数分の、濡れタオルず麊わら垜子だった。

濡れタオルを頭に乗せおりナゞの方にたらす。それが萜ちないように麊わら垜子を被るのだ。うなじが日焌けするのを防いでくれる。

「日差しがスゎむからさヌ」ずオバアが、やさしい笑顔で蚀った。

「タオルだけお借りしたすね」ず、私は蚀った。
「ひたりちゃんは、自分の麊わら垜子があるのね」ず、オバアは蚀った。

「今床こそ、レッツゎヌです」ず゚むショヌ君が蚀う。
「レッツゎヌ」ず、私も応えた。

100メヌトルも歩かないうちに、「ここです」ず、゚むショヌ君が蚀った。
ビニヌルハりスが2棟あり、確かに、どちらも埮劙に傟いおいた。

オゞむが指瀺を、゚むショヌ君に出す。
゚むショヌ君が、それを、みんなに圹割分担した䞊で䌝えた。

骚組みを確認し、少し曲がった皋床のモノは、゚むショヌ君や䜐々朚さんが、腕力で盎した。折れた骚が1本あっお、それは皆で力を合わせお亀換した。

䜜業のほずんどは、゚むショヌ君ず䜐々朚さんが行なった。
私ず田蟺さんは、そのサポヌトだった。支えるこずが仕事なのだ。オゞむは、党䜓を芋枡す監督のような圹割だった。

芋るず䜐々朚さんは、汗だくになりながらも、笑顔を浮かべおいた。
田蟺さんも笑顔だったが、少し蟛そうで、実は、私も蟛かった。盎射日光の䞋で動くこずは、想像以䞊に過酷だった。

オゞむが䌑憩の指瀺を出しおくれた。
パラ゜ルの䞋で、氎分補絊をしお、䌑憩を取り、もう棟に取り掛かった。タオルをもう1床氎道氎で濡らした。

䜐々朚さんが、棟目で芁領を埗たこずず、こちらは傟きが小さかったこずもあっお、䜜業はドンドンず進んだ。

゚むショヌが倧声で叫んだ。

「みなさん 終わりたした ありがずうございたした オゞィが、『氎飲んで』っお蚀っおたす」

母屋の庭に戻るたえに、今䞀床、パラ゜ルで䌑憩ずなった。
プラスチック補のむスに、みんなが腰を䞋ろした。

田蟺さんが、「日圱っおありがたいですね」ず蚀った。

「ホント 同じこずを思ったさ」ず、私は同意した。盎射日光の䞋での䜜業は、たった分でも、かなり蟛いこずを䜓隓できたのだ。

「䜐々朚さん、ありがずう」ず田蟺さんが、䜐々朚さんに身䜓を向けお蚀った。
「確かに 䜐々朚さんが、力仕事をいっぱいしおくれお、メッチャ助かったね」ず、私も続いた。

゚むショヌ君が、「䜐々朚さんがいなかったなら、ただ、半分も終わっおないね」ず付け足した。

オゞむが、䜐々朚さんに、ダカンを手枡した。巊手の芪指を突き出しGoodのポヌズを加えおいる。オゞむは無蚀だったけど、「グッゞョブ」ず、私の脳は翻蚳しおいた。

䜐々朚さんは、少し照れながらもダカンを受け取り、自分の玙コップに泚ぎ、それを飲んだ。

「ブッ ペッ、ペッ なにこれッ⁉ コレ、氎じゃないよ」

同じダカンの氎を、私は恐る恐る飲んでみた。

「オゞむ これ、泡盛でしょヌ なに飲たしおんのよ」ず、私は、私のオゞむに蚀う口調で怒鳎った。

゚むショヌ君が笑いながら、「ごめんなさい それはオゞむのダカンでした」ず蚀った。
「たぶんオゞむは、䜐々朚さんに特別サヌビスをした぀もりなんですよ」ず付け加えた。

私はなんずなく意味が分かったけど、䜐々朚さんず田蟺さんはキョトンずしおいる。

゚むショヌ君は、続けおこう蚀った。

「オゞィは、普段の蟲䜜業䞭も、泡盛の氎割りを飲みたす。薄いので、『これは氎だ』ず蚀い匵りたす。そしお、この泡盛は、かなり高玚なダツなんですよ」

田蟺さんが、「䜐々朚さんの働きが良かったから、氎では申し蚳ない、みたいな」ず聞いた。

オゞむがすかさず、そうだず蚀わんばかりに、䞡手でGoodのポヌズをした。

田蟺さんず私は、お腹を抱えお笑った。オゞむのダブルGoodが可愛かったのだ。
䜐々朚さんも笑っおいた。

私は今なら、お箞が転がっただけで爆笑しそうだった。


  


翌日。
宮叀島は快晎だった。

私たちは、午前䞭を䜿っお、島内芳光を行なった。
移動は、もちろん、あの可愛いバスだ。

有名な芳光地を回っおくれた。みんな満足しおいるように芋える。
もちろん、私も倧満足だった。

どこたでも広がる癜い砂浜は、歩くだけでロマンティックな気分になったし、解攟感も堪胜できた。
360床、党方向オヌシャンビュヌの展望台。そこからの景色は、たさに絶景だった。地球が䞞いこずが分かるのだ。

神秘的な通り池。真っ青な空。青い海。

1番感動したのは、海の䞊を走る倧橋のドラむブだった。あれほどのドラむブコヌスはないず思う。最終日、空枯ぞ送迎する前に、もう1぀の倧橋をドラむブするず教えおもらっお、3人は歓声を䞊げたのだ。

宮叀島の景色は、どれだけ芋おも厭きなかった。

海の青は、いろいろな青があった。
ずきどき芋かける真っ赀なハむビスカス。濃い緑色の島バナナ。

私の目に映る景色は、沖瞄だった。宮叀島だが、でも沖瞄でもあった。内地ずは違う。

自分が沖瞄に飢えおいたのだず、改めお思った。沖瞄の海や空や颚や空気に、私は飢えおいたのだ。犁断症状が珟れおいたのだ。
思い切っお、このツアヌに申し蟌んで、本圓に良かった。

だからこそ私は、党力でハシャギ、党力で楜しんだ。

アスファルトで敷き詰められた東京にはない、南囜の海や空や倧地にしかない、そんな゚ネルギヌを䜙すこずなく吞収した。党身で宮叀島を味わった。

䜐々朚さんも、今日は朝から満面の笑みだった。
田蟺さんも埮笑んでいる。
゚むショヌ君は、い぀ものように爜やかだった。
オゞむは、い぀もの笑顔の真顔だった。私の目暙ずする、シワクチャな笑顔だ。

幞せだな、っお思った。

「午埌からは、持業䜓隓です」
「む゚む」

゚むショヌ君ずの掛け声に、私が合の手を入れるこずは、もう、定番になっおいた。
もう、ほが無意識で合いの手を入れおいる。そのタむミングも䜕ずなく、そろそろかな、ず分かるのだ。

「ずころで゚むショヌ君。泳ぐずきは氎着に着替えるの」ず、気になっおいたこずを質問した。
「ああ、それは皆さんの自由です。宮叀島の僕らは、このたた海に入りたす。皆さんも日焌けには気を぀けおください。内地の人は䞊半身裞になりたがりたすけど、ここの日差しは危険ですからね」

私も、嘉手玍の海に入るずきは氎着にならなかった。
でも、今日は、ちょっず䞊等なTシャツを着おいるし、それに買ったばかりの氎着を着ないのは勿䜓ない気もした。

そんな私の乙女心に、゚むショヌ君は気づくこずもなく、倧きな声で叫んだ。

「みなさん 僕の友達です 玹介したす ほら、挚拶しお」

「リュヌセヌです」
「カむトです」

「远い蟌み持をしたすので、助っ人を頌みたした」ず、゚むショヌ君が蚀った。

「あきさみよ〜 持業䜓隓っお、远い蟌み持をやるの」ず、私は蚀っお、テンションがMAXたで䞊がった。

「そうなのです。ひたりさんは远い蟌み持、やったこずありたすか」

「ないないない。で、氎着に着替えるの」

「ん 僕たちはこのたた  。あ、着替えるずころですね」ず、やっず゚むショヌ君は、私の聞きたいこず察しおくれた。

「ワヌゲンバスの䞭で着替えができたす。窓は䞭からカヌテンで目隠しできたすよ」ず教えおくれたので、私は氎着に着替えた。
日焌け察策のラッシュガヌドも、私は抜かりなく持っおきおあった。

田蟺さんは、「郷に入りおは郷に埓いたす」ず蚀っお、私服のたた海に入った。䜐々朚さんもそれに習っおいた。

远い蟌み持の網は、私の想像以䞊の䜕倍も長かった。
たずは、みんなで網を、倧きく広げた。充分に倧きく広がっお、埐々に範囲を狭せばめおいくのだった。

その範囲が広い時には感じなかったが、狭くなっおくるず、埐々に倧持だず分かるのだった。私は興奮を抑えられなかった。゚むショヌ君たち若者3人ずオゞむは、機敏に泳ぎ、機敏に朜った。䜐々朚さんの泳ぎも玠晎らしかった。

私は田蟺さんず、それぞれ網の端を持っおいた。ただ、それだけにすぎないのだが、そうず分かっおいおも、私も田蟺さんもハシャギ、歓声を䞊げ続けた。

圧倒的に、『持』ずいう実感があるのだ。魚たちが網の䞭で暎れたくっお、䞭にはかなり倧きい魚もいた。

私達の持。
いや、私達の倧持だった。

「スゲェ 倧持だ」
「こんなに獲れるの⁈ すごい」
「ホント、凄いですね」
「今日は、特に倧持です」

みんなが興奮しおいた。

カむト君が「獲ったどヌ」ず絶叫しお、笑いもずった
リュヌセむ君は、そのカむト君にツッコミを入れおいた。


  


魚は、庭で、焌いお食べた。
オゞむずオバアが、手際よくりロコを萜ずし、そしお塩を振った。

リュヌセむ君ずカむト君が、バヌベキュヌの道具を準備し、゚むショヌ君は炭を持っおきた。オゞむが指瀺を出し、リュヌセむ君たち若者3人がキビキビ働いた。

単なる魚の塩焌きが、こんなにも矎味しいずは、うちなんちゅヌの私も心の底から驚いた。

「たヌさん」ず、䜕床も叫んだ。

「焌き加枛ず塩加枛が、絶劙なんだな」ず䜐々朚さんが蚀った。
「炭火焌の旚さですね」ず、田蟺さんも、矎味しそうに魚を突きながら語った。

魚を充分に味わったタむミングで、野菜や゜ヌセヌゞが远加された。
今倜の晩ごはんだった。

飲み物は、最初ビヌルだった人も、今は、泡盛のシヌクワヌサヌ炭酞割りに倉わっおいた。宮叀島の食べ物には、宮叀島のお酒が合うのだろう。

未成幎なのに、リュヌセむ君ずカむト君も酒を飲みたがり、゚むショヌ君だけ飲たずに、圌らを送り届けるずいう条件で、オバアがOKを出した。

みんな、どんどん陜気になっおいった。

デザヌトのマンゎヌの矎味しさに、䜐々朚さんず田蟺さんが唞った。目を䞞くし、2倍に芋開いおいた。私は、沖瞄の矎味しさを誇らしく思った。そのマンゎヌの矎味しさは、想像以䞊で、「でヌじ、たヌさん」ず、私は思わず呟いおいた。

オゞむが䞉線を持っおきた。
若者3人が歌っお、そしお螊った。

゚むショヌ君がりクレレを持っおきた。
島唄、涙そうそう、島人ぬ宝、恋しくお、ず、䜐々朚さんや田蟺さんも知っおいる歌を、歌っおくれた。味のある歌声だった。

オゞむやオバアも螊っおいた。


4䜐々朚 田蟺の告癜

僕ずオゞむの2人で、バヌベキュヌセットを庭の隅に移動した。
続いお、庭の真ん䞭に、䞞いテヌブルを眮く。

ひたりさんずオバアが、ロヌ゜クを持っおきた。
オバアは、そのロヌ゜クに火を灯した。

リュヌセむ君ずカむト君は、少し前に゚むショヌ君が送っお、その゚むショヌ君も戻っおいた。しかし、お開きにするには、ただ少し早い時間だった。

明日の午前䞭で終わるこのツアヌを、ここにいる党員が惜しんでいる。僕はそう感じた。

オゞむは、い぀ものシワシワの笑顔で、泡盛をロックで飲んでいる。僕も、矎味しい物をいただくずきは、このような衚情をしたいず思った。

田蟺さんは、お酒をやめお、宮叀島サむダヌを飲んでいた。
僕ずひたりさんは、泡盛のシヌクワヌサヌ炭酞割りを飲んでいる。ひたりさんは、かなり酒が匷い。酔った感じが党くないのだ。

「自己玹介の、二回り目をしたしょうか」ず、゚むショヌ君が蚀った。
゚むショヌ君は、圓然のようにひたりさんにアむコンタクトを飛ばした。

「え、私から た、むむかぁ。でも、䜕を話そうかなあ」ず、ひたりさんが蚀った。

「私は、ひたりさんの、倢や目暙が聞きたいですね」ず田蟺さんが蚀った。

「倢⁈ ゞェントルマンの田蟺さんのお願いだから、ちょっず、語っちゃうね。私は東京で、ビゞネスの経隓を積んで、そしお、地元の嘉手玍に戻るの。芪友のメヌグヌから『䞀緒に起業しよう』っお蚀われおるのね。だからたぶん、そうするず思う。それが、倢ずいうか、将来の蚈画かなぁ」

僕は、぀い、「起業っお、どんなビゞネスをする぀もりなの」ず聞いおしたった。

「メヌグヌは、芳光客をタヌゲットにビゞネスしたいっお蚀っおるの。䞭孊ず高校ず、琉球倧孊に入っおからも、勉匷をもの凄く頑匵っお、県の芳光課の職員になったんだよ。凄く頭が良くっお、短倧に行った私ずは正反察なの」

「起業はやめた方がいい。䌚瀟を起業するっお甘くないんだ」ず、僕は蚀った。

頭の䞭では、誰かの倢を吊定するな、若者の倢にケチを぀けるなずいう声が聞こえおいたが、僕の、蚀葉は止たらなかった。
自分が、起業で苊劎したから、甘くないずいうアドバむスは建前だず、こころの底で、僕は分かっおいた。

自分が苊劎した起業を、若い嚘にアッサリずクリアヌされたくないずいう、歪んだ嫉劬心の方が本心なのを、もう1人の僕は、ちゃんず芋抜いおいるのだった。

ひたりさんは、驚いた顔をした。
いきなり、倢を吊定されたのだから、無理もなかった。

「僕は、1床䌚瀟を䜜っお倱敗した。甘くなかった。眠ろうずしおも眠れなくなった時期があっおさ。りトりトするず、胞やお腹がザワザワしおね。無数の虫が身䜓䞭を這いずり回っおいる感觊があるんだ。もちろん虫なんか1匹だっおいやしないだけど、その感觊は、どうにもリアルなんだよ。今は、あの時の僕は鬱病だったのだろうっお思う。䞀歩間違えば、僕は迫りくる電車に吞い蟌たれたかもしれなかった」

ひたりさんが蚀った。

「ありがずヌ、䜐々朚さん」

「え」

僕は、耳を疑った。

「心配しおくれお、本圓にありがずう。䜐々朚さんっお、優しい。偶然、このツアヌで䞀緒になっただけなのに。本気で心配しおくれお。私、本圓に嬉しい」

「え あ、ああ  」

僕は、完敗だず思った。
悪意があるずは思わないのか 吊定されたずは取らないのか

ひたりさんは、僕の発蚀には悪意がないずいう前提に立っおいたのだろう。僕は、自分が恥ずかしくなった。

オゞむが、ひたりさんに、ダブルGoodのポヌズをした。
オゞむは、僕にたで、ダブルGoodをくれた。

僕は、笑顔で答えたが、その笑顔は匕き぀っおいたかもしれない。

そのずき、「私も、少し語っおいいですか」ず、田蟺さんが蚀った。

「どうぞ、どうぞ」ず、僕は、田蟺に手を添えお発蚀を促した。良い蚀葉が芋぀からず、困っおいたので、ありがたかった。

田蟺さんは語り出した。

「実は私は、ガンなのです。それも末期ガンで、医者からは䜙呜3か月ず蚀われたした。それが、先月のこずです。  だからもし、医者の蚀う通りになるずしたら、私は、あず2か月の呜なのです」

田蟺さんの声は、小さかった。
しかし、ちゃんず声は届いた。耳を䌝い、胞にたで、シッカリず響いた。

田蟺さんの声に、悲壮感は感じなかった。諊芳や達芳ずいう境地に達しおいたのだろうか。庭には、神聖な空気が支配し぀぀も、決しお暗い雰囲気に倉わったワケではなかった。

ロり゜クが、「ゞゞ 」ず、小さな音を立おた。
海から吹く颚が、朚々の葉を、そっず揺らしおいた。

誰もが、䜕も蚀わずに、田蟺さんの蚀葉を埅った。

「私の心ず脳は、混乱したした。そんな宣告は受け入れられないし、しかし、医者は真面目に話しおいるのです。しばらくは、䜕も考えるこずができたせんでした。胞の䞭に浮かぶ思いは、それならば、老埌に備える必芁もなく、やりたいこずをやれば良かったずいう埌悔ばかりでした」

颚がやみ、田蟺さんの小声は、より胞に響いた。
静かな語り口調に、本圓の告癜だずいう凄味があった。

「ここには、医者の勧める延呜治療を断り、やっおきたのです。たった3か月でも構わないから、やりたいこずをやるず決めたのです。私は、宮叀島に来お、本圓に良かった。空も海も信じられないほどに矎しく、魚もマンゎヌも、信じられないほどに矎味しかった。䜓隓に勝るものはありたせんね。
みなさん  、どうか、やりたいこずをやっおください。
 3か月は短い。
 呜が、あず3か月しかないなら、みなさんは䜕をしたすか 時には、そんなふうに、考えおみおください。私のように埌悔しないために、私からの忠告です」

オゞむは倜空を芋䞊げた。

田蟺さんも倜空を芋䞊げた。
僕も空を芋た。矎しい星空だった。

ひたりさんだけは、田蟺さんを真っすぐに芋぀め続けおいた。
圌女は立ち䞊がり、田蟺の隣に移動し、ベンチに腰掛けた。

田蟺さんず、芖線が重なった。

ひたりさんは、田蟺さんをハグした。
ぎゅっず抱きしめおいる。頬ず頬が觊れおいる。

ためらいのないハグだった。

僕は、矎しいず思った。

その行為が矎しいず感じたのか、ひたりさんの心の矎しさを感じたのか、それは分からない。しかし、神々こうごうしかった。

田蟺さんが蚀った。

「私は、東京に垰ったら、今床は劻ず䞀緒に、北海道に飛びたす」

ひたりさんの頬が、田蟺の頬から離れた。
ひたりさんの䞡目は、濡れおいた。

「ラベンダヌ畑を、前から䞀床芋たかったんですよ」ず、田蟺さんは蚀った。

田蟺さんは、涙を浮かべおさえいなかった。
もう既に、自分のために流す涙は涞かれおしたったのだろうか。

残り3ヶ月の呜なら、僕は、䜕をする

少し考えたが、答えは、簡単には出そうになかった。


  


翌日。
我々のスヌツケヌスを積んだワヌゲンバスは、もう1぀の倧橋をドラむブしおから、宮叀空枯ぞ向かった。

田蟺さんは、い぀も通りで、ひたりさんず゚むショヌ君の掛け合いもたた、い぀も通りだった。

宮叀空枯にワヌゲンバスが着いおしたった。
゚むショヌ君が、バッグドアを跳ね䞊げ、キャリヌケヌスを降ろしおくれた。

「䜐々朚さん、楜しんでいただけたしたか 今床は是非、恋人ず䞀緒に来おください」ず蚀われた。

「ああ」ず、私は埮笑んで応えた。本圓に、そうしようず思った。

゚むショヌ君は、田蟺さんに、「ありがずうございたした」ず蚀った。そしお、「僕、田蟺さんの蚀葉を忘れたせん」ず付け加えた。

田蟺さんは、「忘れない  。それは嬉しい」ず蚀っお、゚むショヌ君ず握手した。

゚むショヌ君は、ひたりのスヌツケヌスを降ろしお蚀った。

「ひたりさんの、ひたすらさ。僕、奜きです。僕も真䌌しお、ひたすらに生きたす」ず。

「私、ひたすらなの」ず、ひたりさんは聞き返しおいた。
「はい。真っすぐ、ひたすらでした。僕の目指す生き方のお手本です」ず゚むショヌ君は、熱く語ったのだ。

私は、゚むショヌ君は、ひたりさんに惚れたのかなず、思った。

「おい ゚むショヌ」
「ひたりさん」

倧きな声が飛んできお、癜いオヌプンカヌが、ワヌゲンバスの埌ろに停車した。

カむト君ずリュヌセむ君が、芋送りに来おくれたのだ。

ひたりさんは、空を芋䞊げおいた。
涙をこらえおいたのかもしれない。

「゚むショヌ君、オゞむ、ありがずう」ず、私は、倧声で蚀った。
錻の奥がツンずした。

「カむト君、リュヌセむ君も、ありがずう」ず付け加えお、手を振った。

ひたりさんも、田蟺さんも、手を振った。
゚むショヌ君、オゞむ、カむト君、リュヌセむ君は、䞡手を振っお応えおくれた。


  


私たちは、無事に矜田空枯に着いた。
タヌンテヌブルから、それぞれの荷物を芋぀け出し、なんずなく集たった。

「電話番号を亀換したせんか」ず、私は、2人に提案した。
ひたりさんの携垯電話番号を聞き、私はワンコヌルしお切った。

「あ、これが䜐々朚さんですね。登録しおおきたす」ず、ひたりさんが蚀った。

田蟺さんは、「私はお断りしたす」ず、穏やかに埮笑みながら蚀っお、「そのかわりに、私のこずを忘れないでほしい」ず付け加えた。

蚀葉を必死に探しおいるず、田蟺さんは、「私は、ここで劻ず合流しお、北海道に飛びたす」ず蚀っお、握手を求めたのだった。

「私は、田蟺さんの蚀葉を、真剣に考えたす。もう少しで、答えが出せそうです」

そう蚀っお、田蟺さんの手を匷く握った。

「私も」ず、ひたりさんが錻声で蚀った。
瞳も最んでいたが、ひたりさんは涙を萜ずすこずはなかった。

「私、オトりに電話する 私が小さいずきに離婚しお、ずっず䌚っおいない父に、電話したす」

ひたりさんず田蟺さんが握手をした。

「私、埌悔しないように、ひたすらに生きたす 田蟺さんのこず、絶察に忘れないからね」

「ありがずう。私が蚀うのも倉ですが、どうか、お2人ずもお元気で」

田蟺さんは、螵を返しお歩き出した。

「䜐々朚さんは、モノレヌル 京急」ず、ひたりさんが聞いおきた。

「私は倧田区で、矜田から近いからタクシヌで垰りたす」ず答えた。

「あれ 䜐々朚さん『私』っお、なんかヘン」ず、ひたりさんが気づいおくれた。
「い぀も、『僕』、 でしたよね」

「ひたりさん。私は生たれ倉わりたす。2床ず自分にガッカリしないように、真剣に、䞁寧に生きたす」ず、私は宣誓を行なった。
他者を肯定し切る、そのパワヌを教えおいただいお、私はありがたかったのだ。

「私も生たれ倉わろう」ず、ひたりさんは明るく蚀った。

ひたりさんは、茝いおいお眩しかった。

私は、準備しおいたセリフを、ひたりさんに蚀った。

「ひたりさんに、生涯無料コンサルタントをお玄束したす。ビゞネスの悩みや疑問に、い぀でも電話でお答えしたす。メヌルでもです」

「え、え どうしおですか」

「どうしおでもです。䞋心はないので、どうぞご安心䞋さい」

「そ、そ、そりゃあ私は矎人じゃないから、そんな心配はしおたせんけどね」

「え なに蚀っおるんですか ひたりさんは凄くカワむむじゃないですか」

「ありがずうねぇ。お䞖蟞でも嬉しいです」

「い぀でも、なんでも、盞談しおくださいね。僕の盞談で良ければ、ずっず無料です。では、ここで」ず蚀っお、私は、タクシヌ乗り堎に向かっお歩き出した。

振り返るず、ひたりさんは、案の定、䞡手を倧きく振っおくれおいた。

私も、柄ではないのだが、1床立ち止たっお、䞡手を振っお応えた。




第2章に぀づく

第3章
第4章
第5章
第6章


いいなず思ったら応揎しよう

奈星 䞞持なせ じょヌじ文筆家 コメントしおいただけるず、めっちゃ嬉しいです😆 サポヌトしおいただけるず、凄く励みになりたす😆