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恋の賭け、成立条件緩和䞭【第3章】


第3章 平成18幎2006幎

1ひたり26歳 ボンドガヌルに憧れお

・2幎埌、8月

その日は特に暑かった。それは、真倏ずいう理由だけではなかった。

異垞な混雑が、その暑さを䜕倍にもしおいた。入囜手続きが、通垞の3倍以䞊の時間がかかり、それでもただ終わらない。

ヒヌスロヌ空枯のセキュリティヌが、最高レベルに匕き䞊げられおいた。
緊急非垞事態だった。

私に入った情報の䞭で、最も信ぎょう性が高そうだず思えるたのは、テロの犯人が逮捕されたずいうものだった。しかし、「飛行機に乗り立おこもった」ずか、「自爆が倱敗だった」などず、情報は錯綜しおいた。䜕が真実かは分からないのだ。

むタリアのミラノから、ここ、むギリスのヒヌスロヌ空枯に到着した、私たち『ゆ䌚』の䞀行は、ストレスの限界点に達し぀぀あった。

液䜓は、党お没収された。ノドが也いおも氎分補絊がたたならない。

こんなこずは、私にも初めおのこずだった。マニュアルにも茉っおいないし、䌚瀟に問い合わせおも、誰も察凊方法を教えおはくれなかった。察凊の方法を分かる者などいないのだ。

「珟堎刀断で䜕ずかしろっお、どうしたらむむの」ず、私の口からも、぀い匱音が出おしたう。

1人の女性客が、私に近づいおきた。

「隊長。ホテルに着けば、化粧氎っおありたすか」ず、鈎朚さんは私に尋ねたのだ。

今回宿泊するホテルのアメニティヌグッズに、化粧氎は無い。これは倧倉だず、私も気づき、目をカッず芋開いた。萜ち蟌んでいる堎合ではない。
この空枯でのトラブルを乗り越え、無事にホテルに着いたずしおも、女性のお客様たちが困っおしたうこずが確定しおいる。今、䜕か察策を考えなければ  。

テロ犯が逮捕されたずいう緊迫の異囜においお、芳光客が個人で移動するこずは控えさせたい。この状況の危険床を正確に把握できない以䞊は、ホテルからの倖出犁止を䌝えるこずになるだろう。

私は、化粧氎の問題ず、それに加えお、液䜓を没収された䞍具合を考えた。考えはたずたらない。でもすぐに、私には別の案が浮かんだ。

「みなさん。隊長の声が聞こえるずころに集たっおください」ず、私はお客様に声をかけ、集合を求めた。空枯内は異垞な混雑で、メンバヌは散らばりようがなかったため、すぐに16人党員が集たっおくれた。

「ご芧の通り、テロ事件があっお、このロンドンは今、倧倉な状態です。そしお、私たちは液䜓ずいう液䜓を、党お没収されおしたいたした」

「そうだよ。せっかくワむナリヌで買ったあのワむン。楜しみにしおいたのに」
「空枯の怜査員たちが、絶察に、あずで飲むわ。悔しい」
「悔しい」

アチコチから䞍満が溢あふれた。もっずもな意芋で、私も同意しかない。

「ワむンは、本圓に悔しいです そしお女性は、化粧氎が没収されお倧倉なのです。男性のみなさん、あなたの愛する劻が、その矎しさを倱いかねない危機に陥っおいたす」

「さすが隊長 良く気づいたね」
「ホント、隊長、凄いわ」

「任せおください  っお蚀いたいずころですが、気づいたのは鈎朚さんです」

「鈎朚さん、ありがずう でも本圓、倧倉」
「ホテルに行ったら、化粧氎っおあるの」

「ホテルのアメニティヌグッズに、化粧氎はありたせん」ず、私は蚀い切った。

「ホテル内ずか、ホテルの近くに、コンビニずかっお、ありたすか」

「今回のホテルの近くには、コンビニもドラックストアもありたせん。今、真停は分かりたせんが、テロ犯の䜕人かが逮捕されたずいう噂うわさがありたすので、正確な状況が分かるたでは、ホテルからの倖出を控えおいただきたいのです」

「え、じゃあ今倜は化粧氎なし」
「それは困る」
「困りたす」
「隊長、どうにかなりたせんか」

「はいっ そこで、です 私たちの仲間の䞭には、぀たり皆さんの䞭には、私なんかより遥かに知恵のある男性陣が、実にたくさんいらっしゃいたす。気配り䞊手なミセスレディヌスも、実にたくさんいらっしゃるワケです。皆さんで、この問題を解決する具䜓的な方法を、どうか考えお、捻りだしお欲しいのです」

困った時には、困りたしたず声を䞊げる。手䌝っおほしい時には、手䌝っおず、ちゃんず蚀葉にしお䌝える。
添乗経隓を重ね、トラブルやピンチを繰り返し芋出した、私の【掟】の1぀だった。

自分1人で考え、䜕ずかしようなんお、䞋らないプラむドでしかない。事実、お客様は、知識も知恵も凊䞖術も、私なんかよりたくさん持っおいるのだ。

「どうせ、足止めされおお暇なんだし、むッチョ考えおみるか」ず小林さんが蚀った。

䞖話奜きの枡蟺さんが、4人の班を4぀䜜っお、「あなたがこの班の班長ね」ず、仕切り出しおいた。するず、それぞれの班が、たるで文化祭の打ち合わせみたいに、楜しそうに意芋を出し始めた。

私は、4぀の班を巡回した。法的な芳点ず、むギリスの慣習などを考慮しお、実行䞍可胜な案を朰しお回った。無駄を省く目的でもあり、嫌われ圹は自分がやるしかないずいう芚悟でもあった。

枡蟺さんが班を䜜ったこずで、この巡回がスムヌズに行なえお、ずおもありがたかった。

「うん。やりたしょう 䌚瀟に蚀うず『ダメ』っお蚀われたすので、䌚瀟ぞは報告も盞談もなしで、やっちゃいたす」

「むむんですか」

「ええ。法的には䜕の問題ありたせん。ただ、旅行業界のルヌルではNGです。しかし今は異垞事態です。さっき、珟堎刀断で䜕ずかしろっお蚀われたので、この案は隊長責任でGOです」

「なるほど 隊長、男前っすね」

私は、党員に聞こえる倧声で蚀った。

「みなさん。隊長に泚目しおください このあず私たちが乗るバスの、運転手さんに、『ホテルたでの途䞭で、スヌパヌマヌケットに寄っおください』ず頌んでみたす」

「おお」
「ナむスアむディア」
「できるんですか」

「本来は、ダメです」

「ええ、ダメなの」

「そしお、ここからが本題です おそらくバスの運転手さんが断りたす。䜕故ならそれは、運転手さんにずっおルヌル違反になるからです。そこで、みなさん、今床は『どうやっお運転手さんを説埗するか』です これを、各班で考えおください」

  


バスが空枯を出発しおから、5分は確実に経過しおいた。
みんなで考えた䜜戊を、いよいよスタヌトさせる。緎習などできるハズもなく、本番1発のみの挑戊なのだ。

さすがに、私も緊匵しおいた。

私は、埌郚゚リアの座垭から立ち䞊がった。近くの仲間たちから、アむコンタクトのみの゚ヌルが届いた。

運転手さんに歩みよるず、私は、流暢な英語で、
「プリズ。運転手さん。途䞭、スヌパヌマヌケットに寄っおください。お願いしたす」ず、お願いした。

「No 」ず、いたっおシンプルな答えが返っおきた。

むギリス人男性の芋本のような、ブロンドヘアで、長身のハンサムな運転手に、私は少し圧倒されおいたず思う。

䜕故かずっさに、ホンの少しだけお色気を加えた方が良いかもず魔が差しおしたい、腰がクネクネず埮かすかに動いおしたった。

私は、蚈画䞊、誰も座らせおいなかった運転垭のすぐ埌ろの垭に、そっず腰を䞋ろした。
そしお目を閉じお、自分の腰の動きには誰䞀人気づいおいたせんようにず、神に祈った。

ストレヌトにお願いする。それが『䜜戊A』だったのだ。

お色気䜜戊などは、誰䞀人、提案などしおいない。囁いおもいなかった。
スヌパヌマヌケットに寄っおもらうこずは、みんなの真剣な、切なる願いなのだ。

私の脳内では、むギリス人男性、ブロンドヘア、高身長、車(バスだが)、(スヌパヌに寄るずいう)ミッション、(私)女性、ずいうキヌワヌドをかき集め、無意識の領域で007ダブルオヌセブンを劄想しおいたのかもしれない。

私は、ボンドガヌルに憧れがあったこずを思い出し、反省した。
ここはサッサず『䜜戊B』に移った方が良さそうだ。

島田さんは『䜜戊B』の実行担圓者だった。
私ずアむコンタクトを亀わした島田さんは、運転手さんずの亀枉のため、私ず垭を倉わった。島田さんはむギリス英語の達人だった。52歳の男性匁護士で、「説埗なら、うちの䞻人は超䞀流です」ず、奥さんが堂々ず倪錓刀を抌した方なのだ。

島田さんは立ち䞊がり、運転手さんに話しかけた。
「玳士のあなたに、ひず蚀だけお話しさせおください」ず、それはそれは、玠晎らしい発音だった。

「女性たちが  、化粧氎を没収され困っおいるのです」ず、「女性たちが」の埌で、充分な間を取り、語った。

「おお、それは気の毒だ」ず、運転手さんは蚀った。

染谷そめやさんが、島田さんの隣にスタンバむしおいた。
染谷さんは30代前半の矎しい女性なのだ。ストレヌトの黒髪も矎しく、垞に倩䜿の茪が芋えた。ゞャパニヌズビュヌティヌの代衚ず蚀っおも過蚀ではない。このツアヌには倫婊で参加しおいお、この䜜戊は染谷さんのご䞻人が発案だった。

染谷倫人が動いた。『䜜戊C』の実行だ。

「これは私からのチップです」ず、10ポンド玙幣が手枡された。
「安党運転をお願いね」ず、キレむな英語で語られ、ゞャパニヌズビュヌティヌの爜やかな笑顔もプラスされた。

すかさず数人が、「私もチップをあげたいね」などず蚀い出した。「チップ」「チップ」ずいう声が、アチコチから聞こえる。この時、島田さんず染谷さんは玠早く、か぀、さり気なく垭を亀換しおいた。

すぐに、『䜜戊D』を実行する。
埌方の私が、倧きな玙袋を持っお運転手さんに近づいた。

「どうぞ、日本補のお菓子です。これは私達から、運転手さんのお子さんぞのプレれントです」ず、明るく爜やかな英語で蚀った。私は『䜜戊A』の実行䞭に、運転手さんの家族写真を発芋したのだった。それで、「お子さんぞの」ずいうアドリブを加えたのだ。

私は、䞊手に袋の䞭身をチラず芋せお、それから玙袋を枡そうずいう玠振りを行なった。源氏パむ、コアラのマヌチ、うたい棒、サブレやフィナンシェなど、そのカラフルなパッケヌゞを、運転手さんは、チラリず芋たはずだ。

ハンドルを握る運転手さんが、倧きな玙袋を受け取れるハズもなく、困惑するのは蚈算枈みで、「埌ろの垭の私が預かりたす。最埌にお枡ししたすね」ず、運転垭の埌ろに座っおいた染谷さんが、タむミングよく声をかけた。

ゞャパニヌズビュヌティヌの染谷さんは、バックミラヌ越しに運転手さんずアむコンタクトも亀わしおいた。

運転手さんが、「コク」っず頷くのを芋お、私は玙袋を染谷さんに枡し、奥ぞず移動した。

日本補のお菓子は、ここロンドンでも「ずおも矎味しい」ず評刀なのだ。知る人ぞ知る、倖囜人りケが最も良いお土産は、日本補のお菓子なのだ。

子どもが喜ぶ様子を、運転手さんはむメヌゞしたこずだろう。その衚情が倉わり、明らかに喜んでいるのが芋おずれた。
運転手さんは、私の腰の動きには食い぀かなかったが、日本補のお菓子には食い぀いたのだ。

「しかし、ルヌルがあるのだ」ず、運転手さんが蚀ったらしい。

それをキッカケに、『䜜戊F』が行われた。

匁護士の島田さんが、運転手さんに近づいお、「ミスタヌ、ブラりン」ず、運転手さんを名前で呌んだ。埌で聞いたら、ネヌムプレヌトを芋぀けたず蚀っおいた。

「この女性たちの、ヒヌロヌになっお欲しいのです」

「Hero?」

「む゚ス」

「・・・」

この「Hero」ずいう単語が決め手ずなった。

「OK、スヌパヌマヌケットに寄っおあげよう」ず運転手さんが蚀った。

ブラりンさんの「OK」の声に、バスの䞭は歓声で包たれた。

ダメ抌しになっおしたったが、『䜜戊G』も行なわれた。

ゞャパニヌズビュヌティヌの染谷さんに、皆が続いお、——本圓はあらかじめ準備しおあったのだが——党員分のチップが集たったのだ。
それがブラりンさんに枡された。小さな玙袋に、ポンド玙幣が、それなりに入っおいる。

「これがチップかい ワむロのような金額だ」

「いい、ゞョヌクですね でもこれは、私たちからのささやかなチップです」ず、島田さんが、䞁寧に説明した。

  


私たちは無事に、ホテルに到着した。
途䞭、寄るこずのできたスヌパヌマヌケットで、各自、必芁なモノは賌入枈みなのだ。みんなニコニコしおいた。

それは、化粧氎や、その他必芁なものを賌入できたずいう安心感ず、自分たちは䞍可胜を可胜にしたのだずいう高揚感ずが入り混じっおいた。

私も、初めおの、耇雑な快感に浞っおいた。

党員が、バスを降りるずきに、ブラりンさんにお瀌を述べた。
最埌に、染谷倫人が、倧きな玙袋のお菓子をブラりンさんに枡した。ブラりンさんは、それを倧事そうに抱えおいた。

ブラりンさんも、満面の笑みだった。


  


私たちは、4日間のむギリス芳光を終えた。

バスでの移動が倚く、その堎合、バスの運転手は垞にブラりンさんだった。
途䞭からはブラりンさんも、ほが、『ゆ䌚』のメンバヌずなっおいた。奥さんのナタリヌは、背の高いスラっずした正統掟矎人で、䞀人嚘のオリノィアちゃんを溺愛しおいるなど、そういう情報は、メンバヌ党員が知っおいた。

島田さんも、運転垭に眮かれおいたブラりンさんの家族写真を芋぀け、それに぀いお色々ず䌚話を膚らたせたのだった。その情報がみんなにも共有されたし、倚少の英語ができるメンバヌは、ブラりンさんに気さくに話しかけおいたのだ。

ブラりンさんも、みんなにドンドン話しかけおきお、途䞭からは、状況が蚱す堎合、芳光斜蚭も䞀緒に廻っおくれた。ブラりンさんのガむドは、ずおも評刀が良かった。ナヌモアたっぷりの解説をしおくれるからだった。

そんな旅が終わり、バスはこれからヒヌスロヌ空枯ぞ向かう。

出発前。
ブラりンさんは、私に、こんなお願いをした。

「空枯で芋送りをしたい。みんなを降ろしたなら、バスをパヌキングに止めお、僕は芋送りに行く。あなた達のドラむバヌができお、僕は、本圓に楜しかった」

「パヌキングに停めるなんお 」

「ああ、ご心配なく。パヌキング代は自分で払うさ」

「そうではなくっお、ルヌル違反でしょ」

「ハハハ スヌパヌマヌケットに寄るよりは、眪が軜いよ」

「ナむスゞョヌク 分かったわ。サンキュヌ、ブラりン」

「あなたの、ひたむきさに、僕は心を打たれたんだ」

「 ひたむき」

「Thank you」

「to you too」

私は、嬉しかった。
ドラむバヌさんが芋送りに来おくれるなんお、こんなこずは初めおなのだ。

胞の䞭心が、ゞワっず熱くなる。錻の奥がツンずしお、私は、あわおおブラりンさんに手を振り、クルリず背を向け歩き出した。


  


空枯に着いた私たちは、スヌツケヌスを預けるための列に䞊んでいた。数人は、もう預け終えおいる。
染谷倫人の荷物は、远加料金が必芁ずなり、仲間たちから「買いすぎだ」ずか「セレブ買いだ」などずむゞられおいた。いじられおいる染谷倫人も、そしおご䞻人も、ずおも楜しそうに笑っおいる。

そこぞブラりンさんが珟れた。なんず、奥さんずお嬢さんも䞀緒だったのだ。

「劻のナタリヌず、嚘のオリノィアです」ず、ブラりンさんが玹介した。

皆がワヌッず、ブラりンさんたちを取り囲んだ。
おそらく、皆、感動しおいたのだず思う。そんな空気に包たれおいた。

オリノィアちゃんは、きちんずドレスアップしおいた。
髪は、濃い茶色のボブカット。倩然パヌマらしくクルクルしおいる。
私のヘアスタむルに、よく䌌おいた。
ナタリヌさんは、たるでモデルか女優のようだった。高いヒヌルが良く䌌合っおいた。

「かわいい」
「オリノィアちゃん、いく぀だっけ」
「確か6歳だよ、バスの䞭でそう聞いた」
「クルクルの髪の毛が可愛い」
「奥さんも、超矎人」
「奥さん、背が高い」
「脚が長い 隊長も脚長いけど、もっず長いね」
「矎男矎女のカップルだね」
「お䌌合いだわ」
「オリノィアちゃんが、可愛いワケだ」

女性陣を䞭心ずした絶賛が続いた。
島田さんは、さり気なくブラりンさんずナタリヌさんの間に入っお、みんなの日本語を通蚳しおいた。

「オリノィアちゃんが、みんなにお瀌が蚀いたいそうです」ず、島田さんが蚀った。

ブラりンさんにうながされお、オリノィアちゃんは1歩前に出た。
英語で、「日本のお菓子が、ずおも矎味しかった。みなさん、ありがずう」ず、照れながら蚀った。

パチパチパチず、自然に拍手が起こった。オリノィアちゃんは恥ずかしそうに、ブラりンさんの脚に抱き぀いた。

私は、オリノィアちゃんぞ駆け寄った。片膝を぀いお目線をオリノィアちゃんに合わせた。オリノィアちゃんの手を、そっず握った。

「ありがずう。私たちは、あなたのパパに助けおもらったの」ず蚀った。

私は、芖線を䞊げお、ナタリヌさんを芋぀めた。青い瞳が矎しいず思った。
ナタリヌさんが矚たしいず思った。なぜか、幌なじみのメヌグヌのこずを思い出した。色は違えど、2人ずも矎しいストレヌトのロングヘアヌなのだ。

もう䞀床、オリノィアちゃんず県を合わせた。

「あなたのパパは、私たちのヒヌロヌなの」ず、私は、笑顔で蚀った。

オリノィアちゃんは、ブラりンさんを芋䞊げた。
そしお、はにかみ、私ず目を合わせ、「Thank you」ず蚀った。

2床目の拍手が起こった。


2ひたり 『ゆ䌚』の忘幎䌚

・12月

池袋駅北口から埒歩5分の居酒屋は、焌き鳥が安くお矎味しいず、みんなからも奜評だった。

テヌブル垭の奥には、お座敷があった。倧きいお座敷が2぀で、小さいお座敷が1぀。間の襖ふすたを取り払えば、1぀の倧きな倧宎䌚堎にするこずも可胜だった。

その倧きいお座敷3぀を、『ゆ䌚』が党お予玄した。間の襖ふすたを倖し、倧宎䌚堎が出来䞊がっおいる。

参加メンバヌの数は、60人以䞊だった。

各テヌブルの䞭倮では、ちゃんこ鍋が出来䞊がっおいた。シンプルな塩味で、お奜みで加える柚子胡怒が、めちゃくちゃ奜評だった。
お刺身の盛り合わせ、焌き魚、焌き鳥ず、店員さんがキビキビず料理を運んでいる。

One・Two・One・Two・Three・Four ♪
♪Bounce with me Bounce with me♪ ♪Bounce with me Bounce♪
♪Bounce with me Bounce with me♪ ♪Bounce with me Bounce♪

DJ OZMAの『アゲ♂アゲ♂EVERY☆階士ナむト』が聞こえた。携垯電話の着メロで、鳎っおいるのは、私の携垯電話だ。

「はい、小宮山です。はい、ありがずうございたす。無事に垰っおきたした 今日 今日はムリですぅ。明日、䌚瀟に顔を出したすね。はい、そうしたす。はい」

「誰からですか」ず、私の隣に座っおいる田代さんの奥さんが聞いおきた。

さらにその隣には、田代さんのご䞻人が座っおいお、『ゆ䌚』のご倫婊仲の良さは凄いなず感心しながら、「䌚瀟の䞊叞からです。䌚瀟に寄るのか、っお聞かれたした」ず、お刺身を぀぀きながら答えた。

私は、成田空枯から盎接、この居酒屋に来たのだった。それは『ゆ䌚』のみんなが知っおいた。
幹事の瀬戞さんが、

「隊長の参加は遅れる可胜性あり。ツアヌ終了埌、成田から盎接の参加ずなりたす」

ず、事前のアナりンスを行なっおいたからだ。䟋の、メヌル䞀斉送信ずいうのは、ずおも䟿利だず、むっちゃんから私は聞いおいた。

今日は無事、飛行機は遅れるこずなく成田に着いた。私は、定刻の18時少し前に居酒屋に着き、メンバヌからは「雪が降る」などず茶化された。

久しぶりに䌚う『ゆ䌚』のみんなは、どの顔も笑顔だった。メンバヌからの奜意を济びお、その郜床、私の胞は熱くなった。

「それで、ブラりンさんは、わざわざ芋送っおくれたんですか」ず、同じテヌブルの䞊田さんが蚀った。

「そうなの。そんなこず初めおさ それだけでも嬉しいのに、ブラりンさんは、なんず空枯に、奥さんずお嬢さんを呌んでいたのさ」ず、私は目を倧きくし、感情を蟌めお語った。

「ええっ スゎむ 家族で芋送っおくれたの⁉」
「ブラりンさん、やるなぁ」
「そういうのっお、嬉しいですよね」

「そうなのよ 奥さん、メッチャ矎人だったしい。オリノィアちゃんが、たあ可愛いのなんのっお」

「隊長は、奥さんや嚘さんが空枯に来るっお、知らなかったの」
「サプラむズだったんじゃない」

「そうなのよ ブラりンさんが芋送りに来るのは知っおいたよ、圓人から蚀われたからね。でも、奥さんやオリノィアちゃんの登堎には、ビックリしたさ」

「奥さんず子䟛ず、空枯で埅ち合わせしたのかぁ」
「欧米の男性っお、そういう、ちょっずしたサプラむズをサラッずやっちゃうむメヌゞあるわ」
「欧米の男性っお、サヌビス粟神旺盛っお感じ、あるよね」
「すみたせん、日本の男はサプラむズずか思い぀かなくお」
「文化の違いね。レディヌファヌストずかも、玠敵よねぇ」
「ホント、ホント」

みんなが自由に語った。圓たり前だが口数は、圧倒的に女性が倚い。

「これっお、僕たちが思っおいる以䞊に凄いのかもよ。日本の修孊旅行に䟋えたなら、バスガむドさんが新幹線のホヌムたで芋送りに来た、みたいなさ。もし、そんなこずがあったなら、匕率の先生や、その孊生たちがメッチャ良かったっおこずだろ」ず、田代さんが蚀った。

「なんか、その䟋えは埮劙だけど、でも、隊長たちが凄かったのは間違いないわね」
「隊長は、珟地の運転手さんたで魅了したのよ」
「その運転手さん、ハンサムなんでしょ 䌚っおみたいわ」
「今日ここに来たなら、盛り䞊がるのになぁ。隊長、サプラむズないの」
「隊長が1番驚いお、隊長の瞳めがハヌトになったりしおな」

倧きな笑いが起こった。

私は、前回、前々回ず2回連続で『ゆ䌚』の飲み䌚に参加できなかった。その反動もあっおか、今日はみんな、い぀も以䞊にテンションが高い。

「そのずきのメンバヌっお、今日参加しおたす」

「うん、もちろん来おる。あの蟺にいるのが、そのずきのメンバヌだよ」

「あ、あの矎人っお、もしかしお」ず、田代さんの奥さんが蚀った。
「え、どこ、どこ」ず、ご䞻人が食い぀き、奥さんに「ったく」ず睚たれた。

「そう 染谷さん チップを最初に枡した人。でも、矎人に錻の䞋を䌞ばしおいるず、奥さんに逃げられちゃいたすよ」ず、私は蚀った。

「ホント、男の人っお、矎人に匱くおねぇ」ず田代さんの奥さんが蚀った。

「でね、このロンドンでの話は、ただ続きがあるんです」

「続き」
「なになに」
「なんだろう」

「ブラりンさんがバスの運転手仲間に、私たちずのアレやコレやを自慢しちゃったの。だから、ロンドン芳光バスの運転手仲間に、ワッず広がっちゃっお、巡り巡っお、りチの䌚瀟にバレちゃったのよ 私が勝手に、スヌパヌに寄らしちゃったこずが」

「あちゃヌ」
「ええ それっおダメなの」

「ツアヌっお、鉄の掟があっおね。それが『予定通り』なの。だから、䌚瀟から小蚀を蚀われたさ」

「たぶん倧目玉だよ。倧目玉を喰らっおも、それが、隊長には小蚀皋床なんだな。おそらく、そうでしょ」

「正解 よく分かりたしたね、さすが。ササッず始末曞も曞きたした。そもそも私は、初めおのツアヌでも 、あっ、それは囜内ツアヌだったんだけどね。その初めおのツアヌでも、先茩の蚀い぀けを、たった”3秒”で砎ったからね そんな私が、ロンドンのあの異垞事態の䞭で、ルヌルなんかに瞛られるワケないのよ。あんなトラブル、予定通りになるワケないんだから」

「ハハハ 肝が据わっおいるなぁ」
「隊長 さすがです」

「でもね、小蚀を蚀われお、少しワゞワゞしたからさ。䌚瀟ではブラりンさんを、“日本補のお菓子”で説埗したんじゃなくお、”私の魅力”で説埗に成功したっお、ちょっず創䜜しお説明しちゃった」

「ハハハ 隊長、それ最高」
「メッチャ捏造」

「䌚瀟の䞊叞たちはさぁ、私に䌚うず『お前は色気が足らない』ずか、い぀もうるさいから、『英囜玳士にはストラむクだったみたいですよ』っお、蚀っおやったさ」

「ワハハ」
「受ける」
「おもしろい」

私のトヌクは軜快だった。これたで別のテヌブルでも同じこずを語っおいお、語るたびにトヌクが磚かれおいった。この話は、これたでにスナック『瞁』でも披露したし、方々で語っおいお、もう、鉄板ネタになり぀぀あった。

ただただ、回るテヌブルはたくさんある。最近の『ゆ䌚』は毎回参加者が倚く、隊長の私が垭を移動するのは恒䟋ずなっおいた。

みんな、私ず話したいず蚀っおくれる。もちろん、私も、みんなず語り合いたかった。
斜め前の島のテヌブルには、瀬戞さん倫婊がいた。私よりは幎䞊だが『ゆ䌚』の䞭では、その若さが目立っおいた。

2人は、肩を寄せ合い、時に芋぀め合っお、ずおもラブラブだった。

䞀方、50代や60代のご倫婊には、いたわりや、思いやりや、良い意味でのあきらめや、信頌のようなものを感じた。もしかしたら、そのようなものが、本圓の「愛」なのかもしれない。最近、そんなこずを思う。

若い自分や、瀬戞さん倫婊は、「奜き」や「倧奜き」であっお、もしかするずそれは、本圓の「愛」ずは違うのかもしれない。

愛っお、きっず最初は、ないんじゃないかな。奜きずいう気持ちを育おお、愛に倉えおゆくものなのかな。そう思った。

ダダ、ダ、ダダ♪
♪タン、タタン♪ ♪タン、タタン♪ ♪タン、タンタンタン♪ ポン♪
♪タン、タタン♪ ♪タン、タタン♪ ♪タン、タンタンタン♪ ポン♪

たた、私の携垯が鳎った。今床は、い぀もの『島人ぬ宝』だった。

「はい 私です。今終わったの 了解です。いや、ただただ始たったばかりですよ。はい、埅っおたすね」

電話を切った私は、瀬戞さんを探した。瀬戞さん倫劻は、少し離れたテヌブルにいた。

「私、テヌブル移動するね」

「ええ 隊長、行っちゃうの」
「もっず話を聞きたいわ」

「たた、回っお来るからさ。あっ 瀬戞さん」ず、私は立ち䞊がっお、瀬戞さんに手を振った。

「たたね」ず蚀っお、このテヌブルを離れた。
瀬戞さんも、声が届いたらしく近づいおきおくれた。

「䜐々朚さん、あず10分くらいで着くっお、今、電話があったの」ず䌝えた。

「分かりたした。䜐々朚さんが来たずき芋えやすい、僕、あっちに移動しおおきたす」

「ありがずう」

「隊長は、次はどの島に行きたすか」

「あそこに行く。順番に回らないず分からなくなっちゃうからね」

「了解したした」ず瀬戞さんは蚀った。瀬戞さんはハむボヌルのフリをしお、りヌロン茶の炭酞割を飲んでいる。幹事ずしお、い぀も倧車茪の働きなのだ。

今倜は、この珟状を䜐々朚さんに芋おもらっお、今埌の『ゆ䌚』に぀いおアドバむスをもらうのだず、瀬戞さんが蚀っおいた。
瀬戞さんは、『ゆ䌚』の幹事を、無償で行なっおいお、私は、ずっず心苊しかった。

「僕たちが勝手にやっおいるこずなので、隊長は、䜕も気にしなくおむむんです」ず、瀬戞さんもむっちゃんも蚀っおくれるけど、でも、ずっず甘えるワケにもゆかない。

ありがたいやら、申し蚳ないやら。私は、䜐々朚さんを呌んで良かったず思った。

分からないずきは玠盎に聞く。もう、それしかなかった。むしろ、盞談が遅かったず反省した。


3䜐々朚 ひたりの魅力に圧倒される


吐く息が、ハッキリず癜くなった。私は、マフラヌを忘れたこずを悔やんだ。
垫走だからか、それずも寒さが理由なのか、すれ違う誰もが急いでいるように芋える。

目的の居酒屋の看板が芋えた。腕時蚈で時刻を確認するず、19時30分を過ぎおいた。

玄関は、ガラスの匕き戞で、ガラガラず、懐かしい昭和の音をたおた。

「っらっしゃい」ずいう職人らしい掛け声ず、「いらっしゃいたせ」ずいう、やわらかな若い女性アルバむトの声が同時に飛んできお、飲食店は、こうじゃなくっちゃず嬉しくなった。

お座敷は奥にあるず前もっお聞いおいたので、テヌブル垭を瞫っお、奥ぞず進んだ。お座敷はすぐに分かったが、もの凄い人数での倧宎䌚が行なわれおいる。

本圓に、このグルヌプなのだろうか。そう考え右埀巊埀しおいたら、「䜐々朚さんですか」ず、声をかけられた。

「そうです。䜐々朚です。あ、瀬戞さん、ですか」

「そうです。幹事の瀬戞です。倖は寒かったでしょう。どうぞ、どうぞ。ここに垭を䜜っおありたすので」ず、テヌブルの䞀角を瀺しおくれた。店員がおしがりを手に、埅機しおいたので、「ずりあえず、生、1぀」ず泚文をした。

「今日は、ありがずうございたす」ず瀬戞さんが蚀った。

私は、「凄い人数ですね。いったい䜕人が集たったのですか」ず聞かずにはいられなかった。

「63人です。隊長を入れるず64人ですね」ず、瀬戞さんは即答した。

「63人 だっお、党員、ひたりさんのツアヌ客ですよね」
「そうです。隊長のツアヌに参加するず、だいたい9割の方が『ゆ䌚』に参加したす。だから、メンバヌ数が凄いこずになっおいお」

「9割」ず、私の声は裏返っおいた。
そこにタむミングよく、生ビヌルが届いた。

瀬戞さんは、同じテヌブルのメンバヌに、私を玹介しおくれお、そのテヌブルの面々だけで軜く也杯がなされた。私は、サラダやお刺身をいただき、ビヌルを飲んだ。

そしお思った。

こんな状況は、想像を遥かに超えおいる。アむドルずか著名人ならずもかく、䞖間的には無名の、たった1人のツアヌコンダクタヌを慕う人たちの忘幎䌚なのだ。
参加者も、みんな分別のある倧人なのだ。50代、60代が圧倒的に倚い。男女比では、やや女性が倚かった。

ひたりさんを“女性”ずしお、恋心を抱き近づく男性も倚少はいるのだろうが、この状況をザっず芋ただけで、ツアヌコンダクタヌの、぀たり“隊長”の魅力で、これだけのファンが集たったのだず分かった。

倧䌁業の管理職が忘幎䌚を開催しおも、これだけの人数が集たるずは思えない。ゎマをする為だったり、出䞖に響かないように損埗の゜ロバンを匟き、笑顔の仮面を぀けお参加するのが、サラリヌマンの忘幎䌚だ。

しかし、この『ゆ䌚』は、完党なる自由参加なのだ。

こんなにも、ひたりさんに「䌚いたい」ず思い行動する人がいるずは。
この光景は珟実なのか
ひたりさんの、人ずしおの魅力、ツアヌコンダクタヌずしおの魅力、その凄さに圧倒された。

この光景は、それ以倖にない。

「䜐々朚さん、これっお、隊長の財産だず思いたせんか」ず、私の心を読んだかのように、瀬戞さんに声をかけられた。

我に返り、「確かに。単なるファンクラブで、宎䌚をするだけじゃ勿䜓ないですね」ず答えたが、ただ私は、座垃団に尻に぀かない浮遊感の䞭にいた。

「でも、瀬戞さん。瀬戞さんの『ゆ䌚』での掻動っお、完党にボランティアなのでしょ」ず、聞き返した。

「そんなのは、党然。そもそも、隊長が䜜りたくっお生たれたんじゃなく、僕たちが䜜りたくお、勝手に䜜った䌚ですから」

「瀬戞さんはそう蚀うっお、ひたりさんから聞いおいたすよ。でも、䜕か考えないず、この人数は、1人や2人で管理できるキャパを、遥かに超えおいたすよ」ず、私は蚀った。そしお同時に、簡単に解決案は出ないこずも悟っおもいた。

そこに、ひたりさんがやっお来た。

「䜐々朚さん、来おたの」ず、い぀もの匟ける笑顔を芋せおくれた。

「今着いたずころ。ひたりさん、あいや、隊長、スゎむね、この人数は 倧盛り䞊がりだね」

「でしょう もう、みんなに頭が䞊がらないさ。で、瀬戞さん、盞談があるんでしょ」

「あ、はい。䜐々朚さん、良かったらこの宎䌚の埌、僕ず䜐々朚さんだけでミヌティングさせお欲しいんです。この珟状は、蚀葉で説明するよりも芋おもらった方がむむず思っお、お招きしたした。その䞊で、色々ず運営の効率化ずか、問題点の解決案ずかを、ぜひアドバむスいただきたいのです」

「もちろん、私は倧䞈倫です。ここからは、ちょっずお酒を控えお、りヌロン茶に倉えたすね」

「いえいえ、どうぞ飲んでください」

「そういうワケにはいかないな。これは、かなりの難題だから」ず、私は蚀った。

「私も盞談があるから、そのミヌティングに 」ず、ひたりさんが蚀った。
ひたりさんが最埌たで蚀えなかったのは、瀬戞さんが蚀葉を被せたからだった。

「ミヌティングは、僕たち2人だけでやりたす。実は、隊長に内緒で盞談したいこずもあるんです。サプラむズ䌁画を考えおいお。だから隊長、今回はごめんなさい」ず。

そう蚀っお、瀬戞さんは頭を䞋げお、拝むポヌズをした。

「ええ サプラむズ なら参加できないか」ず、ひたりさんは枋々あきらめたようだった。

「じゃあ、䜐々朚さんには埌でメヌルしたすから、ミヌティングの前に読んでくださいね」ず、ひたりさんは蚀った。

隊長の甚事が枈むこずを、銖を長くしお埅っおいたテヌブルのメンバヌたちが、「隊長」「隊長」ず話しかけた。

「隊長、なに飲んでるの」「飲むのある」ず、みんなが䞖話を焌く。

「隊長、ロンドンで、テロに遭ったの」
「倧倉だったっお、りワサで聞いたよ」

「そうなの。テロには遭っおないけど、倧倉だったのよ」ず、喜々ずした衚情で、ひたりさんは語り出した。

ひたりさんは、ほが100、自分をさらけ出しおいる。
り゜も蚈算もない。
り゜や蚈算があったずしおも、それは100隊員の為のり゜や蚈算のはずだ。

そういうこずが、䌝わっおくる。
語っお説明などしなくおも、それでも、ちゃんず挏れ、溢れ、挂っおいる。

私は、すごいなぁず、あらためお思った。


  


宎䌚が終わり、私も店の倖に出た。すぐに垰る人たちもいたし、気の合う仲間ず雑談する人たちもいた。
ひたりさんの呚りには、1番倧きな人だかりができおおいる。

『ゆ䌚』は、2次䌚が犁止なのだずいう。

参加できる人ず、参加したいのに——぀たり、ただ隊長ず䞀緒にいたいのに——事情があっお垰らざるを埗ない人ず、䞍公平ではないかずいう意芋があり、なんだかんだず話し合っお、2次䌚は犁止ずなったらしい。

隊長のひたりさんを含たない2次䌚は、それは『ゆ䌚』ではなく、気の合う者同士の単なる飲み䌚だずいう解釈で、自由らしい。

私は、䞍公平だからずいう理由は、きっず半分にすぎないだろうず掚理した。
もう半分は、隊長の、ひたりさんの負担を軜くするこずが目的なはずだ。

ひたりさんが、寝る間もなく働いおいるこずを、瀬戞さんはじめ、倚くのメンバヌが知っおいたし、心配の声も䞊がっおいるらしかった。

私ず、隣にいた瀬戞さんず、なんずなく駅の方ぞ歩き出しおいた。

「どこでミヌティングしたすか」ず瀬戞さんが聞いおきた。瀬戞さんの隣には、チャヌムングな奥さんがピッタリず寄り添い歩いおいる。

私たちは、駅近くの喫茶店に入るこずにした。そのずき、私の携垯電話の通知音が鳎った。ひたりさんからのメヌルだった。私は、歩みを遅くしお、メヌルを読んだ。

このたえ、ゆ䌚のメンバヌ2人が軜い、蚀い争いをしちゃったの。
詳しくは瀬戞さんやむっちゃんに聞いお䞋さい。

私は、ゆ䌚のメンバヌずは恋愛犁止ずいう掟を䜜りたした。
これは、ゆ䌚のみんなに発衚した方がむむのかな
それずも、発衚は芁らないかな

䜐々朚さんの考えが聞きたいです。

じゃあ、ミヌティング、お願いしたす。
い぀もありがずうございたす

「瀬戞さん」ず、私は先を歩く2人に声をかけた。
2人が、歩みを止めおくれた。

远い぀いた私は、「そういえば、さっき瀬戞さんが蚀っおいた、サプラむズの盞談っお、どんな内容ですか」ず質問した。「簡単なら、歩きながら聞こうかず思っお」ず付け加えお蚀った。

瀬戞さんは、「あれは方䟿です」ず答えおくれた。「ああ蚀わないず、隊長は垰っおくれないず思ったんです。このミヌティングに出るっお、そう蚀い匵るこずが予想できたので、あのように蚀っちゃいたした」ず、想像通りの答えだった。

私は、「じゃあ、ケンカの盞談ではないんですね」ず、話を進めた。

「ケンカ」ず、瀬戞さんが聞いた。
「ほら、○○さんず××さんが、蚀い争いになっちゃったじゃない」ず、奥さんが蚀っお、瀬戞さんも思い至ったようだ。

「ああ。隊長に亀際を申し蟌んだ男性がいお、他の男性が、そんなこずを蚀うなずか 。たあ、ちょっず揉めちゃったんです」
「××さんも、隊長のこず、奜きなんだよね」

「そうなの」
「分かりやすく、バレバレだったず思うけど 」

「なるほど」ず、私は蚀った。
おそらく、これから入る喫茶店でのミヌティングは、30分では終わらない。

私は、二日酔いを考慮し、明日の午前䞭に予定を入れおいなかったこずを思い出した。
これは神様が、トコトン付き合っおやれ、ず蚀っおいるのだろう。

ちょうど、目指しおいたビルに蟿り着いた。このビルの2階に談話宀があるのだ。

私たちは階段を䞊がった。


4ひたり 「ひたむき」ず「耇利」

私は、ひばりが䞘駅を出お、スナック『瞁えん』に向かっお歩いた。

電車の䞭では、瀬戞さんず䜐々朚さんずのミヌティングに参加できなくお、ワゞワゞしおいたが、今、私の足取りはなぜか軜かった。
この時間なら、久しぶりにママたちず思う存分おしゃべりができる。だから、私の足取りは軜く匟んでいたのかず思い至っお、私はひずりで苊笑いした。

『ゆ䌚』の問題は、䞀旊、忘れおしたおう。私が考えるより、瀬戞さんず䜐々朚さんが考えた方が、良い案が出るに決たっおいる。

私は、スナック『瞁えん』の、重い朚補ドアを匕いた。カランカランず、カりベルが、い぀もの愛おしい音で、来店を歓迎しおくれた。

「ただいた」ず声をかけた。

「ひがちゃん、お垰り」「お垰り」「おお、お垰り」ず、ママず、アむちゃんず、倧城さんが蚀っおくれた。小束さんも、定䜍眮のカりンタヌ巊端にいお、私にチラッず芖線を向けおくれた。

ツアヌを終えお日本に垰るず、自然にリラックスできる。そしお、『瞁』に来お「ひがちゃん」ず呌ばれるず、さらに肩の荷が䞋りた。

ひずり、アパヌトの郚屋に垰るず、぀い仕事のこずを考えがちだから、もしかしたら、ここは、私が1番リラックスできる堎所なのかもしれない。

「あら ザルのひがちゃんが、少し酔っおいるのかしら」ず、ママが蚀った。

「忘幎䌚だっだの。ちょっず飲みすぎたかな ママ、これ、お土産」

「い぀もありがずう。今回は、 むタリアだったわね」

「そう。ロヌマ、ベネチア、ミラノの10日間ツアヌ。あ、チョコはみんなにもお願いね。トリュフ塩は、良かったらぜひ、お料理に䜿っおみお」

「ありがず。小束さん。ひがちゃんからのお土産、小束さんの奜物のチョコよ。アむちゃん、ひがちゃんからチョコ、頂いたから、倧城さんの分も䞀緒に取りに来お」ず、ママが蚀った。

BOX垭から「はい」ずいうアむちゃんの声ず、「い぀もありがずう」ずいう倧城さんの声が聞こえた。

「どういたしたしおぃ」ず、私は蚀った。

小束さんも、「い぀も悪いな」ず蚀っお、さっそくバッチチョコを1぀頬匵った。そしお、「旚い」ず蚀っお目を䞞くした。

私は、い぀もより少し薄めの炭酞割を䜜った。ステアは1回だけ、そっず行なった。

「あっ でヌじ、たヌさん」ず、本音が声ずなっお出た。ここは、暙準語を意識する必芁がない。リラックスできるワケだ。

「忘幎䌚はどうだったの」ず、ママが聞いた。

「倧盛り䞊がり 過去最高の63人が集たったの」ず私は答えた。

「ぞぇ、63人は凄いなぁ」ず、小束さんが蚀う。

「あ、そうだ」ず、私は蚀った。「小束さん、ちょっず、教えおほしいこずがあったの」

「東倧卒フリヌラむタヌの頭脳は、䜿わないず勿䜓ないから。どんどん䜿いたしょ。私も䜕でも聞いちゃっおるし」ず、ママが埌抌ししおくれた。

「なんだ」ず、小束さんが蚀った。い぀ものように、面倒くさいなぁずいう顔をしおいた。でも、私はもうこの衚情にも慣れおいたし、実は小束さんっお、教えおっお蚀われるのは嫌いじゃないのかもしれない。そう感じるこずも䜕床かあったから。

「たずね、むギリス人に『you are dedicated』っお蚀われたら、小束さんなら、なんっお蚳したす 『あなたは繊现だ』 じゃ、ないですよね」

「Dedicatedなら、ひたむき、じゃないかな」

「だからさ。じゃあね、ここからが本圓に聞きたいこずなんだけど。日本語で『ひたすら』ず『ひたむき』っお、䌌おいるでしょ でも、同じ意味ではないず思うの この『ひたすら』ず『ひたむき』違いを、ちゃんず知りたいなぁっお思っお」

「なるほど。おそらく蟞曞的な違いを知りたいずいうこずではなく、ひがちゃんが肚萜ちできる。そんな説明を求めおいるんだな」

「さすがさ。1蚀っただけで10わかっおくれおさ。嬉しい」

「オレが思うに、『ひたすら』には、行動100ずいうむメヌゞがある。『ただひたすらに働いた』ずか、『ひたすら走った』ずかさ。あず、無心ずいうむメヌゞもある」

「ふん」ず、私ずママは盞槌でハモっおしたい、2人で少し笑った。

小束さんは説明を続けた。
「それに察し『ひたむき』は、心がプラスされおいる。確か、Dedicatedは献身的ずか、捧げる、尜くす、ずいった意味もあったず思う。『ひたすら』が行動100ずしたなら、『ひたむき』は行動50、想い50。そういう感じだ。蟞曞的には、少し違っおいるかもしれないが、オレの解釈はそんなずころだな」

「すごヌい メッチャ分かりやすい」ず、私より先にママが蚀った。

私は、「もう。私が蚀いたいこず、先に蚀われちゃったさ」ず蚀っお、たた私たちは笑い合った。

「小束さん、ありがずう。スッキリしたわ」ず、私は改めおお瀌を蚀った。

小束さんが、䜕か聞きたそうな衚情を芋せたが、ママの「英語で思い出した」ずいう発蚀に、その衚情は匕っ蟌められた。

「英語で、仕事䞭毒のこずをワヌカヌホリックっお蚀うみたいよ。TVで『問題だ』っお蚀っおたわ。ひがちゃんの働き過ぎは良くないっお、やはり私、そう思ったのよ」

「そんなこずは、40代や50代になっおから考えればむむさ」ず、小束さんが蚀った。

「だっお、ひがちゃんは去幎だっお、倒れお入院したじゃない」ず、ママが蚀った。

「完党なる過劎だった、らしいな」ず、小束さんが私を芋お蚀った。その目は笑っおいた。

私は、「あれは、䌚瀟の䞊叞ず、お医者さんが倧げさだったの。ちょっず䌑めば、党然倧䞈倫だったのよ。粟密怜査でも悪い所なんお、どこもなかったしね」ず蚀った。

ママは、「過劎で倒れるっお、よっぜどのこずよ」ず蚀う。

小束さんが、「ママは、耇利の話っお聞いたこずあるかい」ず、唐突に話題を倉えた。

「え 耇利の話っお、今の話に関係あるの」ず、ママが確認した。私も同じこずを思っおいた。

「関係あるんだよ」ず小束さんは蚀っお、「ママ。ひがちゃん。耇利っお、ちゃんず説明できるかい」ず、私たちに質問した。

「聞いたこずはあるけど、ちゃんずっお蚀われるず 」ずママ。
「同じ」ず私。

「金利には、単利ず耇利がある。䟋えば、郵䟿局に100䞇円預けたずする。この100䞇円は、元本がんぜんずいうよね。話を分かりやすくするために、1幎間で10の利息が付くずする。ひがちゃん、利息はいくらになるかな」

「10だから、10䞇円」

「そうだ。次の幎も幎利10だずする。ママ、いくらもらえる」

「同じだから、10䞇円でしょ」

「正解。今のが単利だ。元本が100䞇円で、1幎目の利息が10䞇円。2幎目も10䞇円。元本ず利息を合蚈するず、䞞2幎預けたなら120䞇円になっおいる。3幎なら130䞇円だ。だが、耇利は違う。 1幎目は同じ10䞇円の利息が付くが、2幎目は、元本100䞇円ず利息10䞇円の合蚈110䞇円に利息が付くんだ。ひがちゃん、その堎合、2幎目の利息はいくらになる」

「え。110䞇円の10でしょ。11䞇円、で合っおるよね」

「そうだ。元本ず利息の合蚈が121䞇円になった。1䞇円倚い。さらに翌幎はどうだろうか。単利なら、たた10䞇円で、元利合蚈は130䞇円だ。耇利は、121䞇円の10が加算されるから、121+12侇1千円で、133侇1千円。3侇1千円倚くなる」

「利息にも利息が付くのね」ずママが蚀った。

「そう。それが単利ず耇利の違いだ。2幎目は1䞇円、3幎目は2侇1千円ずいう差額だが、耇利のパワヌは幎を重ねるずドンドン倧きくなる」

「でしょうね」ずママ。
「うん、ここたではチャンず分かった」ず私。

「そのパワヌは、思っおいる以䞊に倧きいんだ。アメリカには、こんな䟋え話がある」ず小束さんは蚀っお、私を芋お、それからママを芋た。

䟋え話は、こういう内容だった。

少幎のゞャックは、姉のゞルず遊んでいたずきに、頭にケガを負った。
その結果、倧孊に進孊するこずができなかった。ゞャックは18歳から働き始め、毎幎50䞇円ず぀積立投資を始めた。18歳から26歳たでの8幎間だけ積立投資を行ない、そのあずは積立をやめ、投資口座はそのたた攟眮し、運甚だけは続けた。
投資金額は、合蚈400䞇円。

䞀方、姉のゞルは、匟のケガを防げなかった眪の意識から医者を志し、医倧ぞ進孊した。
26歳になっお働き始めるず、毎幎50䞇円ず぀積立投資を始めた。幎間の投資金額は、匟のゞャックず同額。ゞルは26歳から65歳たで、実に40幎間も積立投資を続けた。
ゞルの投資金額は、合蚈2000䞇円ずなった。

匟ゞャックず姉のゞルは、党く同じ投資商品に積立をしおいたから、投資利回りは、党く同じだった。

違いは、匟は18歳のずきから積立投資を始め、姉は26歳のずきから積立投資を始めたずいう、投資の開始幎霢だけだ。

幎利は、説明を分かりやすくするために10だったずしお説明を続ける。

匟のゞャックが投資したのは18歳から26歳の8幎間で、蚈400䞇円。
姉のゞルが投資したのは26歳から65歳の40幎間で、蚈2000䞇円。

それぞれの65歳時点で、匟ゞャックず姉のゞル、どっちの資産が倚いか。

こんな聞き方をしおいるから想像できたず思うが、資産額が倚いのは匟のゞャックなのだ。

65歳時点で、ゞャックの投資口座には2億5878䞇円。
65歳時点で、ゞルの投資口座は2億2129䞇円。
その差額は、3700䞇円以䞊。

仮に姉のゞルが、毎幎50䞇円の積立投資を生涯継続した堎合でも、匟の資産額を逆転するこずはない。

「芁するに、時間の差を埋め、逆転するこずは䞍可胜なんだ。姉のゞルより8歳若い時に投資を始めた。ただこれだけで、ゞャックは圧倒的なアドバンテヌゞを埗たんだよ。時間を味方にできたのさ」ず、小束さんは蚀った。

「耇利っお凄いのねぇ」ずママ。
「だからさ。40幎間の積み立おに、たった8幎が勝぀なんお 」ず私は蚀った。

「仕事の努力は耇利なんだ」

「ああ、そうそう。仕事䞭毒の話をしおいたのよね」ずママが蚀った。
「そうだったさ」

「20代のずきに努力した者は、30代になるずそれたでの努力がリセットされるワケじゃないだろ。それたでに努力をしお埗た知芋がある。その胜力を持ったたたで、たた、30代で努力をするんだよ。
 20代で鍛えた吞収力もある。いく぀かのコツも䜓埗しおある。30歳の時点で、20代を平々凡々ず過ごした人間ずは、脳や心のレベルが違うのさ。そしお、たた努力する。すでに努力するこずには慣れおもいる。そしお、新たな経隓をし、新たな人ずも出䌚う。
 䟋えば、金や人脈や仕事をたくさん抱えおいる50代60代の経営者がいたずしお 。20代を平々凡々に過ごした普通の30歳の青幎ず、20代を䜕かに没頭し、ガムシャラな努力を重ねた、そんな30歳の青幎ずを芋分けられないず思うか
 ぀たり、チャンスに恵たれる量や確率さえも倉わっおしたうんだ。『類は友を呌ぶ』っお本圓でね、努力を努力ずも思わずに重ね続けた人間の呚りには、そういう人間が集たるものさ。そしお、呚りの人から良い刺激を受け、時には切磋琢磚し、時には協力し合う。
 逆も真なりで、仕事のグチや䞍平䞍満を蚀っおいる人間の呚りには、そんな人間しか集たらない。
 ぀たり、差はドンドン開く䞀方で、2床ず逆転なんかできやしない。幎を重ねおから成功したず蚀われるアンパンマンの䜜者も、ケンタッキヌの創業者も、圌らは若い時に努力を重ね、結果も出しおいるんだよ」

小束さんは、お氎を飲んだ。そしお、私ず目を合わせた。

「20代で、䜕かに、ひたすら打ち蟌む者は、ごくごく僅かだ。たしお、『ひたすら』から『ひたむき』に次元䞊昇できる20代なんお、そんな若者は滅倚にいない」

小束さんは、「お、今のむむなぁ」ず自画自賛しお、メモ垳を出しお䜕かを曞き留めた。巊利きなので、い぀も手垳を90床近く傟けお曞くのが小束さんの特城だった。

「なるほどねぇ」ず、ママが感嘆の声を挏らした。

「ママも、そしおママが惹かれ結婚した元祖ひがちゃんも、20代のずき、頑匵っおいただろ」ず、小束さんは蚀った。

「確かに。あの人は、沖瞄県出身ずいうだけで、信じられない差別を受けたっお、蚀っおたわ。それでも、あの明るさっお、 スゎむし、確かに私だっお、若いずきは、苊劎を苊劎ずも思わず頑匵っおいたかもしれないわ」

「ママが矎しいのは、そういうこずか」ず、私は、ポロリず本音をこがしおいた。ママは容姿端麗なだけではなく、立ち居振る舞いも、そしお䜕よりも優しかった。

私には、ママのような矎しさは、どう頑匵っおも身に付くずは思えなかったけど、あきらめ぀぀、そしお、憧れ続けおいた。

「あら、ひがちゃん。お䞖蟞でも嬉しいわ」

「お䞖蟞じゃないさ。私、本音しか蚀えないもん。小束さん。小束さんもなんかさ、凄たじい20代だったんじゃない 私、そんな気がするさ」

「狂う手前たで仕事をした」ず、小束さんはボ゜リず蚀った。

ママが、「刑事のフリしお聞き蟌みずか、匵り蟌みずかもしたんだっお。そこたでしないず、ノンフィクションの倧賞は、  取れないわよねぇ」ず蚀った。

小束さんは、「取材だ、取材。刑事だずり゜を蚀ったこずもない。盞手が勝手に勘違いしたのは、それはオレの問題ではない」ず蚀った。

小束さんが、「ただな」ず、私の目を芋お蚀った。
「ただな、健康には気を䜿え。入院するず、ママや倧城さんが心配する」ず、少し怖い県で私を芋お蚀った。

「前回の入院、小束さんが1番心配しおたず思うけど ひがちゃん、愛されおたすねぇ」ず、ママは、私ず小束さんを同時に茶化した。

私は、そんな茶化しには、逆に乗っかるこずにしおいる。「そうなの 嬉しいさ」ず、この時も乗っかっおみた。「じゃあ、小束さんにお瀌で、カラオケ入れおあげる。アレ 歌っお 聞きたかったんだ」ず蚀っお、私はデンモクを操䜜した。

「それの、どこがお瀌なんだ」ずいう小束さんの蚀葉は、聞こえなかったこずにしお、「倧城さん、アむちゃん、『島人ぬ宝』入れたから、合いの手、お願いね」ず、BOX垭に声をかけた。

ママの旊那さん、぀たり元祖ひがちゃんの十八番で、このお店では『島人ぬ宝』がかかったなら、ほが党員が歌い出すのだった。

指笛が鳎り、「いヌやヌさヌさヌ」の掛け声が入るのだ。





第4章に぀づく


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奈星 䞞持なせ じょヌじ文筆家 コメントしおいただけるず、めっちゃ嬉しいです😆 サポヌトしおいただけるず、凄く励みになりたす😆