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大河ドラマ感想記『豊臣兄弟!』北庄城の別れ


大河ドラマ感想記「豊臣兄弟!」
第三十一回:これで、お別れにございます
第三十二回:賤ヶ岳の決闘
第三十三回:北庄城の別れ
第三十四回:最強のライバル
第三十五回:秀長誕生



嘘が得意の秀吉と苦手な勝家


お市はエンターテイナーとしての秀吉が好きだったけれど、配偶者として見るならば、生真面目な勝家が心地良く感じられたのかもしれない。

羽柴兄弟が必死にお市を助けようとしていたが、お市が死を選ぶことをわかっていたのだろう。秀吉は本陣で戦いの行方を見守り、小一郎は天守閣まで駆け上がったが、お市の命を救うことはできなかった。



浅井三姉妹のその後


豊臣兄弟を主人公とする大河ドラマなので、浅井三姉妹の生涯が最期まで描かれることはない。

のちに羽柴秀吉の側室となった茶々は、淀君として豊臣秀頼を産み、江は佐治一成、豊臣秀勝との婚姻を経て、徳川二代将軍となる徳川秀忠の正室となった。

史実では二人とも気の強さをうかがわせるエピソードが伝えられていて、ドラマにおいても気丈な人物として描かれている。織田と浅井の血を引く女性としての誇りをお市から立派に受け継いだのだろう。



物議を醸した中川清秀の裏切り


制作陣は炎上を予見していたのかもしれない。そうでなければ、清秀の嫡男・中川秀政をわざわざ登場させる必要はなかったはずだ。

前回の賤ヶ岳の戦いにおいて、中川清秀は史実と異なる裏切り者として描かれた。制作陣は史実の改変に後ろめたさを感じていたのかもしれない。中川家の汚名返上のために、不自然に差し込まれたであろう1シーンを見て大きな違和感を覚えた。それなら最初から史実通りに展開して差し障りはなかったように思う。物語の流れから、前田利家が中川清秀を討ち取る必然性は大してなかったはずだ。

いくらフィクションとはいえ、歴史ファンだけでなく地方自治体まで巻き込む事態となってしまったのは誠に残念であった。



豊臣家の命運を分けた寧々と茶々


もしも豊臣秀頼を寧々が育てていたら歴史は大きく変わっていたことだろう。

寧々は数々の名将を育てた女性である。淀君が秀頼を高台院に預けていたら、豊臣家が滅亡することはなかったかもしれない。そう思えるほどに寧々は偉大な人物であった。もちろん、これはあくまで結果論である。淀君にとっては大事な子息であり、豊臣家の跡継ぎでもあるからこそ、手元に置きたかった気持ちは痛いほど理解できる。

織田信長が「秀吉にはもったいない妻だ」と称賛したように、寧々は強くて優れた女性であった。



大徳寺といえば千利休


「大徳寺の茶面ちゃづら」と皮肉で呼ばれるほど、大徳寺は茶の湯文化と縁が深い京都の寺院だ。小一郎がそこに引きこもったということは、大徳寺にいる千宗易と出会うのは必然となる。

小一郎が割った国宝級の茶碗。それを修復した宗易。彼は日本の伝統技法である「金継ぎ」という手法を用いたと思われる。

現代の茶道は権威的な存在と捉えられがちだが、そもそも千宗易の茶道は、新しい価値観を創造するものであった。だからこそ、秀吉をはじめ、聡明な武将たちが宗易を慕った。甘いお菓子を引き立たせるために苦いお茶を合わせるという千宗易の合理主義こそが、強大な影響力を持った根源だったのかもしれない。



むすび


小一郎が覚悟を決め、秀吉が天下人となることを配下へ伝えた。今回の話は羽柴兄弟にとってのリスタートとなった。

それにしてもよくもまあ、優秀な人材を多く揃えたものである。最初は兄弟二人きりの小さな船出であった。漕ぎ手がたくさんいなければ天下一統を成し遂げることはできない。

次回は「最強のライバル」ということで、徳川家康との決戦が控える。畿内・北陸を制圧し、圧倒的な兵力を誇る秀吉軍に対して、家康の軍勢は心もとない。二人の実力者がどうぶつかり合うのか、次回も楽しみだ。




《了》

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