【子育て卒業ママが語る】小学5年生の勇気ある選択 ー 失敗から立ち上がる
次男は、失敗から立ち上がる力が強い子だと思う。
今は大学生で、海外留学中。
先日、「これはまずい……」という出来事があった。
詳しいことは書けないけれど、状況次第では留学が打ち切られ、帰国になってもおかしくない。
本人にとっても、かなり「やばかった」状況だった。
この件、私に届いたのはすべて事後報告。
「マジで、かなり焦った」
「一瞬、終わったかと思った」
そんな言葉が混じるものだった。
それでも次男は、起きてしまったことから目をそらさず、関係者に状況をきちんと伝え、自分にできることを精一杯やったようだった。
その話を聞きながら、私はふと思い出した出来事がある。
それは、次男が小学5年生だった時のこと。
次男はサッカー少年だった。
ある日、私は英会話の仕事の合間に、用事があって一度家に戻った。
家に入ると、次男はリビングのソファに座り、テレビを見ていた。
何気なくソファの横を見ると、一枚のメモが置いてあるのが目に入った。
そこには、私の知らない電話番号が書いてあった。
「これ、何?」
そう聞くと、次男は一瞬、動きを止めた。
「あ……それは……あとで話す」
明らかに、様子がおかしかった。
「気になるから、今教えて」
「でも、もうすぐ仕事に戻るんでしょう?」
「だから、今聞きたい、気になる!」
「……実はね」
先週、友だちと公園でボールを蹴っていた。
ボールが、公園の近くにある家の物置のドアに当たり、ガラスにひびが入ってしまった。
その場には、ほかに誰もいなかった。
友だちと二人で相談して、
「誰にも言わないことにしよう」と決め、そのまま帰ったこと。
けれど、数日後。
次男は一人で、その家を訪ねた。
事情を話し、謝ると、その家の方は、静かに話を聞いてくれたという。
「おうちの人から、電話をもらえるかな」
電話番号を書いた紙を渡してくれたということ。
私は、言葉を失った。
なぜ、すぐに言わなかったのか。
なぜ、一人で抱えたのか。
動揺した。
頭の中が真っ白になり、しばらく何も言えなかった。
でも、話を聞いた以上、すぐに動こうと思った。
仕事の段取りをどうしたのか、覚えていない。
そのときの私の最優先事項は、そのお宅へ行くことだった。
次男と一緒に、家を訪ねた。
「今、話を聞いて伺いました。」
そう伝えると、その家の方は、落ち着いた様子で話をしてくださった。
公園の近くなので、ボールが当たって窓が割れることは、今回が初めてではないこと。
時間差はあったけれど、一人でも謝りに来たことは、きちんと受け止めていること。
窓は、いつもお願いしている業者で修理するので、修理代を支払ってもらえればよいこと。
ただし、校区の学校にはすでに連絡を入れてあるので、そちらには申し出てほしいこと。
淡々と、事実だけを伝えてくださった。
私は、学校に連絡を入れ、担任の先生と話をした。
「ちゃんと謝りに行けた、その勇気を、褒めてあげてください。
正直、自分だったらできないと思います」
……確かに。
私も、できない。
子どもの頃の自分を思い返しても、大人になった今でも、それは簡単なことではない。
誰にも言えず、数日間、その出来事を抱えたまま過ごしていた。
その時間を思うと、胸の奥が、少しぎゅっとした。
私が気づかないうちに、この子はこんなに成長していたんだ。

次男は、どちらかというと甘え上手な子だ。
家ではよく話し、よく笑い、困ったら素直に頼ってくる。
でも、その時、困難に出会い、どうするかを自分で考え、勇気をだして動くことができてた。
誰に教わったのだろう?
私が何か特別なことを教えた記憶はない。
あのとき、逃げたままにしなかったこと。
時間が経ってからでも、一人で謝りに行ったこと。
その選択は、今回、留学先で「やばかった」状況を立て直したことにつながっているように思う。
親が見ている子どもの世界って、実は限られている。
その外側で何を経験しているのかは、わからないことの方が多い。
でも、そういう見えない経験も含めて、子どもは育っていくのだと思う。
親が全部を把握できないということ。
それを知っておくのって、案外大事なのかもしれない。
見えない経験は、親からすると、やっぱり少し怖いし、不安にもなる。
「大丈夫かな」と心配になる。
それでも、子どもはいつまでも、親の枠の中だけで育つわけではない。
親ができるのは、すべてを管理することではなく、安心して戻れる場所でいることだと思う。
子どもは、失敗しないように育てるものではない。だって、誰だって失敗はする。
失敗を、人生の終わりみたいにしないこと。
「そんなこともある」と受け止めて、また次に進めること。
それを信じて、見守ること。
それが、親にできることなのだと思う。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
~ARYA~
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