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欧州周遊⑥|マドリード編 🇪🇸

(前編の記事はこちら)
この記事から読み始めてもお楽しみいただけます。


1日目:美が宿る街 マドリード

バルセロナを後にし、高速鉄道で移動すること2時間。ついにこの旅の最後の目的地・マドリードに降り立つ。

早速タクシーに乗り込みホテルの場所を告げるが、ここにきて初めて「英語はわからん」と一蹴された。言葉の通じない不安が、旅の終わりを前にじわじわと押し寄せる。

だが、そんな不安に浸っている暇はない。次の目的地の予約時間は刻一刻と迫っている。ホテルでのチェックインを済ませるやいなや、僕らはプラド美術館へ向かってダッシュした。

「こいつ、いつも走ってるな」

本当に止まれない生き物すぎ。



走ること10分。



プラド美術館、現着。

かつて「日の沈まぬ国」として繁栄した、スペイン王室の栄華。その圧倒的な軍事力を背景にかき集められたコレクションは、実に3万点を超える。 じっくり全作品を見ようとしたら、当然1日では足りない。 滞在時間は120分。そう心に決め、要所を的確に射抜くルートを事前に構築した。
尚、僕の美術知識は、漫画『ブルーピリオド』と、河合塾で叩き込んだ世界史の残滓だけ。

「まあ、なんとかなるやろ(雑)」

淡い期待を胸に、スペインが誇る美の殿堂へと足を踏み入れる。

ベラスケス、ゴヤ、良かった。
センター試験でも見たような絵があったよ。

入館前に「ここまで来ると宗教画も見慣れてきたよね~笑」なんて抜かしていた自分を、本気でぶん殴りたい。ここで出会ったベラスケスの『キリストの磔刑』は、そんな傲慢さを一瞬で粉砕するほどの良さが宿っていた。予備知識なしだからこそ純粋に殴られる圧倒的美の暴力。

無知も時には大事ですね(全力の自己肯定)

館内撮影禁止なので皆、現地で見てくれ。



プラドを後にした僕らは、そのまま大通りを挟んだ「ソフィア王妃芸術センター」へ。
時刻は17:30。実はこの界隈の美術館、18時を過ぎると無料で一般公開される。


「あと30分待てばタダじゃん」


…はい。




違うんですよ。


課金と無料の境目。
これこそ最大の狙い目。
絶対空いてる(確信)。


ガイドブックには載っていない僕の仮説思考に基づいて導き出された雑な戦略。

さて、無料開放と同時に押し寄せるであろう無課金組(言い方)が来る前にメインデッシュから片付けるよ〜(^。^)

ピカソ『ゲルニカ』

コロナ禍ぐらいから撮影OKになったらしい。記憶力のNASAは折り紙付きなのでiPhoneのストレージに写真として残せるのはありがたい限り。Gracias


ゲルニカ本体のパワフルさもさることながら、その制作過程の記録がたまらなく面白かった。

中央には謎の手。馬、どこ。。。。?

馬、お前、ゲルニカのセンターを飾ってるけど新参者なんだな。ひとつ賢くなった。


尚、案の定ほどよく空いてた。作戦勝ちすぎる。
徐々に無課金組が増えてきたのでゲルニカ以外の館内展示もブラブラと。

ダリ『偉大なる自慰者』

エッチです(本当にエッチ)。フロイトの影響を受けてると聞いて激しく納得。大学1年の一般教養の授業を思い出すね。

ローマやプラドの「the・古典」とはまた異なり、現代アートが並ぶ空間は中々刺激的。

これほどまでに濃密な空間が、18時を過ぎれば国籍も年齢も問わず誰もが無料で享受できる仕組み。それは「アートはもはや一部の者の持ち物ではなく、市民の日常の一部である」という、この街の確固たる意思表示のようにも思える。
マドリードという街の、文化・芸術に対する底知れない懐の深さに、早々にして恐れ入った。

外観。外付けのエレベーターを見ると何故か大阪城を思い出す持病がここでも発症。


腹、減りました。
マドリードでの初の夕飯へGO。

じゃがいもとカリカリベーコン。
鳥貴族の某長芋料理を彷彿させるルックス。
ローストビーフとマッシュポテト。



うますぎんだろ。



それもそのはず。実はこのレストラン、日本在住のスペイン人の知人、カルロス(仮称)に教えてもらったガイドブックにも載っていないお墨付きのレストラン。日本在住なんだからそりゃ日本人好みのごはん屋さん知ってるよな。正直、今回のマドリード旅の飯要素は7割がカルロスの助言によるもの。ありがとう(ありがとう)。

こじんまりとした店につき店名の記載は割愛。知りたい方はDM等いただければ✌️

ワインと料理の幸福感で、頭の中はすっかり夢心地。そのまま必要物資(水とコーラ)を買いにスーパーへ寄る。現地の生活感が滲む商品陳列棚を眺めるのは、旅の醍醐味。

野菜と冷凍品コーナーがオススメ。

みんな、スーパーは良いぞ。
商品をカゴにぶち込み、レジへと向かう。



👨「お前の発音悪すぎて、BagなのかBackなのか分からないよw」



唐突に始まるレジでの発音矯正。
発音矯正される時点で文脈で伝わってるだろ😡
公衆の面前で軽い辱めを受けて少し萎え。

まあアジア人ですし、こういうのは慣れてます。

でも、俺は日本語話せるんだからな!!!!(圧)

急に日本が恋しくなった。許せねぇよ。

1日目の最後に、レジ打ちの兄ちゃんへの怒りをコーラで流し込み、マドリードの夜に溶ける。明日、晴れるといいな。



2日目:威光と親近感。マドリードを歩く。

窓を開ければあいにくの曇り。マドリードは全体的に天気が悪かった。まぁ日差しがない分、体力ゲージの消費も少ないしこれもこれでヨシ!(๑˃̵ᴗ˂̵)و

今日はマドリード市内を遊び尽くす日。ホテルからテクテク歩き、まずはゼロkm地点を示すプレートがあるこの街の中心地Puerta del Sol(プエルタ・デル・ソル)へ。

テンプレ観光客ムーブメント。

トレードマークである18世紀に建造された旧郵便局は外壁工事中だったが、修復中の姿もレアだと思えばむしろ「アリ」である。

ハリボテ郵便局。

朝食は本場のチュロスを味わうべく、1894年創業の老舗Chocolatería San Ginés(チョコラテリア サンヒネス)」へ。運ばれてきたのは、揚げたてのチュロスと濃厚なホットチョコレート。

アチアチ贅沢dip。うますぎ。

行列は絶えないが、回転は驚くほどスムーズ。
まぁ、実質チュロスとチョコしかないもんな。

朝から良質な糖分を存分に摂取し、僕たちの脳は一気に覚醒した。 漲るエネルギーを携えて、次なる目的地、マヨール広場へと歩みを進める。

道中脱ぎ捨てられていたサンダル。
ただのゴミなのにヨーロッパだと謎にオシャレ。
脳内でLove so sweetを流せば恋の始まり。
曇天マヨール広場。

実はこのマヨール広場もバルセロナ同様、ゲーム『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の舞台であるパルデア地方の聖地。

パルデアウパー in マヨール広場
(Pokemon GO)

あらウパちゃん可愛いねぇ〜(◜ᴗ◝ )

ウパーって可愛いんだわ。

守りたい、この笑顔。

ふと思い出すのは、一年前の「志摩スペイン村」

ポケモンSVと期間限定コラボ。

本物を知ることで、改めて志摩スペイン村の努力を理解した。 みんな、志摩スペイン村に行こう。
ジェネリック・スペイン

マヨール広場でポケモン成分を吸収した僕たちはガイドブックお勧めの「Mesón del Champiñón」で昼飲みを決行。外国人観光客が多いためかタブレット注文対応。表示言語を変えられるから、僕みたいな語学弱者にはありがたい限りだね~(^。^)

さて、言語選択。日本語を選ばないt





YA★MA★TO(大和)


日本は大和らしいよ。
どこからこの翻訳持ってきたんだ。。。。
唐突なYAMATOに困惑しながらも名物であるマッシュルームとワインを注文。

マッシュルーム。うまい。
バルセロナでも食べた塩分の塊。
うまい。日本でも食べたい味。


とっても美味かった。
YAMATO。


昼飲みでいい気分になった僕たちは、その足でサン・ミゲル市場へ。 ここは観光客でごった返す、マドリードの「食」の巨大な集積地だ。

激混み。とっても人。
仕込み中のクソデカパエリア。
うまそう(うまそう)。
うまそう part2
でも高いんだよな。。。円安すぎ。


サン・ミゲル市場の熱気に当てられ、美食の誘惑と人混みの中を泳ぎきった僕たち。 「もうこれ以上は食べられん……」という胃袋の悲鳴と、次なる目的地・スペイン王宮の予約時間との間で、絶妙な空白の時間が生まれた。とりあえず目についた適当なカフェ(Café de Oriente Palacio Real)でお茶タイム。

適当に入ってこの内装。
流石ヨーロッパ。
洒落てる〜✌️


いい感じに時間を潰せたので、スペイン王宮へ。

いや、本当に良かった。これでもかというほどの圧倒的展示数。細かいところだけど、自分のスマホにアプリをDLして音声ガイドを聞くスタイルなので、使い慣れた自分のBluetoothイヤホンが使えて煩わしさがゼロだった。So Good。
ダン・ブラウンの『オリジン』の記憶を掘り起こしながらの観光は、これ以上ない贅沢。


王冠。かわいい。
食堂。スケール違いすぎ。
奥、見えんが?
玉座の間。ファンタジーの世界すぎる。


王宮の威光にたっぷり浸った後は、すぐ裏手にそびえるアルムデナ大聖堂へ。

この佇まいで、実は1993年(平成5年)に完成したという比較的「若い」教会だ。つまり、お前も平成一桁ガチジジイってこと?親近感を覚えます。

約110年かけて建造されたこの教会、計画当初はネオゴシック様式で建造計画が進められたものの、スペイン内戦等で中断し、最終的には正面の王宮のグレーと白のファサードに合うように、ネオクラシカル様式の外観へと設計変更をしたという。

いや、事前にわかるだろ。

王宮とのバランスなんて、事前に検討がついたはずだ。 そんな絶妙な計画性の無さ。もし自分が当時のプロジェクト現場にいたら、間違いなく頭を抱えていただろう。
古今東西、いつの時代も労働者は「上」の気まぐれな指示に振り回される生き物らしい。 そんな奇妙な、そして切実な親近感を、僕はマドリードの空の下で抱くことになった。

内部はネオゴシック様式。
色使いは比較的ポップ。


そんなどこか人間味あふれる聖堂の鑑賞を終える頃には時刻は既におやつTime。ここは迷わずカルロスおすすめのカフェ「Santa Eulalia Patisserieで小腹を満たすことに。ここでもカルロス。一家に一人置いておきたい。
彼はもう実質『地球の歩き方』です。

フランボワーズのケーキをチョイス。

かわいすぎ。


尚、トイレは過去最大級に詰まってた。

何も流れん。

とってもかなしい。

流れるのは、涙。


悲しみを腹に抱え、一度ホテルに帰還。


ホテルで用を足し、ようやく一息ついてベッドに倒れ込む。天井を眺めながらスマホで次なる目的地をチェック。「リリア宮殿」

カルロス曰く、「気持ちよくなれる場所」らしい。

なるほど。

なるほど?

マドリードで唯一、現在も貴族が暮らしている「居住宮殿」。そこにはスペイン王宮のような公的な威光とはまた異なる、「確かな生活の様相」が見える、らしい。

生活の様相、見に行きます。

正しい象牙の飾り方。

象牙って家だとこうやって飾るんだ〜。
参考にならなすぎる。

花のシャンデリア。かわいい。
観葉植物🪴の感覚で置いてくる甲冑。

うーーーーーん。

僕にはレベルが高すぎた。
いや、すごく良かったんだけど、カルロスが言う次元まで気持ちよくなれたと言える自信がない。

ごめんな、リリア宮殿。僕の文化レベルが高くなったらまた来るよ。

リリア宮殿の気持ちよさをより感じられるような漢(おとこ)になりたいと思いました。


外は明るいがもう時刻は19時。ここでもカルロスおすすめのバル「Matador」へ足を運ぶ。

うまい。

本当にスペインのご飯はお酒に合う。
アルコールと塩分で満たされる。気持ち良すぎ。

ごめんなカルロス。 僕は結局、酒で気持ちよくなるような人間なんだ。リリア宮殿で酔える漢(おとこ)への道は、まだ遠い。

ほろ酔い気分のまま夜のマドリードを散策。
昼とは違った姿が見えてまた乙です。

夜のマヨール広場。
真夜広場
ドラえもん。なんで?
日本のKAWAII(かわいい)をテーマにしたカフェ。
要するにKAWAII LAB.(いいえ)。

その後も夜のマドリードに点在する、混沌とした「今」の景色を堪能し、2日目は終了。 盛り上がる夜の街を尻目に、明日の旅に備え、早々にベッドへ潜り込む。深追いしすぎないのも旅の作法。



3日目:健脚の古都 トレド

朝7時半、まだ夜の静寂が残るアトーチャ駅へ。 スペインの朝は遅い。

これで朝らしい。嘘だろ。

そこから列車に揺られること約1時間。
ついにトレドへ到着。

ここは中世ヨーロッパの面影をそのまま残す街。

バルセロナの「未完成の熱量」や、ローマの「完成された正解」とはまた一味違う。まるで歴史がある一瞬で静止したまま固まったような、巨大なスナップショットの世界だ。

駅から歩くこと20分、ついに古都の入り口・アルカンタラ橋が見えてきた。

「この橋を渡れば、いよいよ中世……!」

期待に胸を膨らませた僕の前に、一人の男が立ちはだかる。

🧔‍♂️「映画の撮影中だから、迂回してくれ」

不運。あまりにも不運。
僕の中世への旅は、開幕早々出鼻をくじかれた。

「俺の旅、こんなことばっか。。。。。」

10分の追加移動を強いられ、渋々迂回する僕の横で、日本人がスッと撮影隊の言葉を無視して橋を渡っていくのが見えた。強い。

撮影スタッフのおっさんも横転しかけてた。
僕もそれ見て横転したから多分仲良くなれそう。
世界共通文化、横転(OH-TEN)。

撮影セットくん。

なんとか橋の向こう側にたどり着いた。
しかし眼前に聳え立つ


坂。


階段。


坂。


トレド、健脚の街です。

Googleマップが無かった時代ならツアー組まないと絶対迷子。文明に感謝。

坂と階段で疲れ果てたところで観光トラムを発見。

座席に空きもあるとのことでいざ乗車。
しかも日本語の解説音声付きときた。
異国で触れる母国語の優しさが身に染みる。
日本語って素敵だね。

トラムは約1時間かけて城壁の内外を巡った。

ミラドール デル バイエと呼ばれる丘で一時停車し、撮影タイム開始。

「もしスペインに一日しかいられないなら、迷わずトレドへ行け」

なんて言葉があるぐらいだが、その意味を噛みしめるほどの絶景。さすが街そのものが世界遺産に認定されているだけのことはある。

トラムでの旅を終え、小腹が空いた僕たちは通りがかりのBAR RESTRURRANTE LUDENAで昼食をとることに。トレドの郷土料理Carcamusas(カルカムサス)にトライ。

豚肉、トマト、グリーンピースを煮込んだ、ボルシチとビーフストロガノフの間の子みたいな感じ。うまい。


腹を満たした後は、街の象徴であるトレド大聖堂(カテドラル)へ。

ステンドグラス、綺麗すぎ。

かつてガウディはゴシック様式を「不完全だ」と評し、その構造を補うための支柱を「松葉杖」と揶揄したけれど、僕はゴシック様式特有の逃げ場のないような重っ苦しい感じもたまらなく好き。

サグラダ・ファミリアが天に向かって軽やかに伸びる「光の植物」なら、ここは大地に沈み込むような「石の権威」。一歩足を踏み入れれば、数百年の歴史が凝縮された「圧」で満たされていた。

細かすぎる聖歌隊席の背もたれの彫刻。
レコンキスタが終結したグラナダ征服が彫られている。


さて、旅に便意はつきものである(断言)
僕は意を決し、有料の公衆トイレへ駆け込んだ。
予想に反して清潔な空間。スッキリした気分で個室を出ようとした、その時だった。

👵「ドアを閉めるな」

個室の前で待ち構えていた老婆に、鋭い声で制止される。 呆気に取られる僕を尻目に、彼女は僕が出たばかりの個室へ、ドアが完全に閉まる「寸前」で滑り込んだ。

なるほど、合点がいった。

完全に閉まるとロックがかかり、再び1ユーロが必要になる。だから、前の人間が出る瞬間の「隙」を突いて、バトンのように個室を使い回しているのだ。 その後も続く、見事な寸止めリレー。
#つながれトイレのバトン

セコすぎん……?

1ユーロをケチって我慢できる便意は、果たして本物の「便意」と言えるのか。そんなの便意じゃないやい。
旅の終盤、中世の美しい街並みの片隅で、見知らぬ人々の便意にケチをつけることになるとは思わなんだ。俺は今でも根に持ってるぞ。


その後もひたすら便意について高説を垂れながら街を徘徊。我ながら最悪すぎる観光客。

エル・グレコ『オルガス伯の埋葬』
@サント・トメ教会
坂道レベル3
ここまで来ると慣れたもんです。
ユダヤ教施設。
キリスト,イスラム,ユダヤ教が共存したトレドならでは。


最後にお土産として、マジパンなる現地のお菓子を購入。

餃子🥟みたいな形でカワイイ。

「博多通りもん」からしっとり感を一段階抜いて甘さをコテコテにした感じ。好きなもの。帰国後に知ったが、ここObrador Santo Tomeは1856年創業の名店らしい。イートインもできるので皆さんもトレドに訪れた際はぜひ。

帰る頃には撮影も終わっており、アルカンタラ橋を渡ることに成功✌️

とっても絶景。
駅舎。綺麗すぎ。

高速鉄道に乗ること1時間。マドリードに戻り、沈みゆく夕日に照らされた街を歩く。 建物が徐々にオレンジ色に染まり、長く伸びた影が石畳を這う。この「黄金色のスペイン」を最後に脳内へ焼き付けるように、一歩一歩、その歩みを噛み締めた。

遂にこの旅行最後の夕食。優柔不断な僕たちが選んだのは、何でも食べられるタパス屋「TAPATAPA」。パエリアから生ハムまで、テーブルの上は実質「スペイン美食トーナメント」状態。

スペイン tear 1
相変わらず美味すぎ。
アチアチアヒージョ。
とてもアチアチ。
王道 is 正義。


うますぎ。

約2週間を超える海外滞在で、一度も「日本食が恋しい」と思わないまま旅を終えるのは、人生で初めての経験かもしれない。 恋も旅も、結局は胃袋を掴むのは大事ってことね。

トレドの坂道でパンパンに浮腫んだ脚と、塩分で満たされた胃袋。 ホテルに戻り、それらと同じくらいパンパンになったスーツケースを整理する。名残惜しさと、語り尽くせないほどの思い出を詰め込んで、スペイン最後の夜は更けていった。




4日目:終わりゆく非日常。さらば、スペイン。

最終日の朝。 締めくくりもやはり、カルロスのおすすめから始まる。La Primeraでのモーニング。オーダーしたのは、鮮やかなグリーンのアボカドトースト。

国は違えど、『プラダを着た悪魔』に出てきそうなバリキャリ風のビジネスマンたちが、新聞を片手に颯爽と朝食を摂っている。その洗練された光景を見つめながら、僕の意識も少しずつ、旅人から日常へと引き戻されていった。

最後のマドリード散策。
奥に見えるのはマヨール広場。

ホテルでチェックインを済ませた僕たちはタクシーを捕まえ、アドルフォ・スアレス・マドリード=バラハス空港へ。

無事に離陸✌️
ドイツまで約2時間のフライト。

飛行機のトランジット(乗り換え地点)として選んだドイツ・フランクフルト空港は大雨。当初は少しフランクフルト市内も探索する予定だったが、この荷物と雨では仕方ない。窓を打つ雨音を聞きながら、空港内でぼんやりと時間を潰す。もはやこの「何もしない空白の時間」さえ、今は愛おしい。

更にそこから12時間のフライトを経て、ついに日本の地を踏んだ。

空港を出て、最初に吸い込んだ空気は、スペインの乾いた風とは違う、どこか懐かしい湿り気を帯びていた。

振り返れば、怒涛の2週間だった。

移動開始早々、飛行機で隣り合わせたイタリア人・ロベルトによって展開された神学講座

完成された歴史の重みを見せつけられたローマ

混沌としたエネルギーに圧倒されたナポリ

人が持つ美しさと残酷さに感嘆したヴェネツィア

そして、未完成の熱量に魂を揺さぶられたバルセロナを経て、

最後に脈々と受け継がれてきた至高の美と、それらを日常として享受する人々の活気に満ちたマドリード。

イタリアとスペイン。 似ているようで全く違う二つの国を歩き通して、僕の中に残ったのは「知識」よりも「実感」だ。

ベラスケスの絵画に言葉を失ったことも、スーパーのレジでの発音練習に萎えたことも、1ユーロをケチる老婆の執念に呆れたことも。そのすべてが、僕自身の足で稼いだかけがえのない財産になった。

不思議と、帰国後にも関わらず「白米」や「出汁」への執着はない。

僕の細胞のひとつひとつが、まだ現地の濃いめの塩分と、あの抜けるような青空を記憶している。

パンパンに膨らんだスーツケースと、iPhoneのストレージ。

そこにあるのは、ガイドブックが語る「理想」ではなく、僕自身の胃袋で感じ、僕自身の五感で切り取った、泥臭くて美しい僕だけの旅路だ。

明日からはまた、仕事と向き合う日常が始まる。 けれど、ふとした瞬間に思い出すだろう。 ナポリの喧騒やトレドの坂道、そして、幾星霜もの時間を経て人が遺した、揺るぎない歴史の矜持を。

次はどこへ行こう。

とりあえず、今日だけは湿り気を帯びたこの日本の空気の中で、深く、深く眠りにつくことにする。


Ciao, Italia.
Gracias, España.




おわりに

全6回にわたるイタリア・スペイン旅の記録はこれにて完結です。お付き合いいただきありがとうございました。

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それでは、みなさん、良い1日を。

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