見出し画像

自由に生きたい、自分を生きたい、心の旅物語「カオル21歳 ~風と旅する頃~」⑩21歳、風が吹く頃 ー最終章ー

※見出し画像の人物イラストは自作です。(色鉛筆)


世間体や常識に縛られて、少々疲れ気味のアナタへー
「自分の人生もっと楽しんでいいんだよ」
「つまらない毎日の中でも、"自分だけのハッピー"を見つけられるよ」
そっと静かに背中を押せるようメッセージを込めて、
「カオル21歳~風と旅する頃~」最終章10章を公開いたします。
※物語は終わる、そして風に乗って旅は再び始まるー

※ Tales小説家になろうでも公開中!

****************************************************************************************

🍃第10章🍃
~21歳、風が吹く頃~ 最終章


久しぶりに、横浜そごうの地下で食材を物色していた。
尚樹君と再会して、数時間を過ごして以来、すっかり抜けになっていた。そんな時は、おいしいものを作って、たらふく食べるのが一番。

平日昼間でも、ここはいつも人だらけ。
その人混みの中で、ひときわ目立つ女性がいた。
金髪の長い髪、真っ白な肌、長い手足。金ラメのシャツに黒のミニスカート、そしてサングラス。誰もが振り向く。

見覚えがある。

「チエコ?」

「カオルじゃないの!何してるの?」

「食材買い込んでるの。チエコは?」

「横浜でポスターの撮影。モデル料が高くて嬉しくなっちゃって、早速買い物よ」

 両手には、いくつものショッピングバッグ。

「リュウ君、元気?」

「今、ロンドンに行ってる」

「旅行?」

「それがさ、ロンドン・フィルのオーディション!」

「すごいじゃない!さすが養ってるだけあるわ」

「まぁね」


 喫煙所で話は続いた。

「合格したら、あたしもロンドンに行く。モデルエージェントには話はつけてある。捨てられてもいいの」

 チエコは本気でそう思っているようだった。
煙をふーっと吐き出す姿は、満ち足りていて— 菩薩ぼさつさまのように見えた。

「素敵よ。いつもより数百倍キレイ!」

 チエコの手を握った。熱く、しっかりと。

「結果が分かったら、すぐ知らせてね。お祝いしよう!」

 喫煙所で手を握り合って抱き合った。



 チエコと別れ、駅へ向かった。 

 生きていると、楽しいことはたくさんある。
 つまらないことも、つらいことも、寂しいこともある。
 でも、同じくらい楽しいこともある。

 宇宙は、バランスよくできている。
 まだ21年しか生きていないけれど、あたしはハッピーに生きていると思う。
 「シアワセ」― 心からそう思える瞬間を、絶対に見逃さない。
 小さなシアワセも、目ざとく見つけるんだ。


 石川町で電車を降りた。秋風が気持ちがいい。風に長い髪がなびいた。

 カラダの内側から、天然水が溢れ出すような感覚がした。
 ビタミンやカルシウム、鉄分、マグネシウムも勝手に放出されているような感じ。

 垂れ流しはもったいない。おすそ分けは大切だ。

 あたしは思う。遠い昔から命が命を繋いで、今の自分が存在している。「生かされている」ということ。
 何か偉大なものに動かされている。
 時代が変わっても、空間を越えても、切れることのない根元が流れている。

 人との出会い、本や映画、食べ物、全ての出会い、どんなものでも、この宇宙の中で、巡り会うべくして巡り会っている。

 そう思えると、不思議な気持ちになる。
 宇宙の暗闇に、プカプカ自分が浮かんでいるような感じ。
 それが、心地よかったりする。

 そんな風に思う自分に気づき、いつの間にか、あたしは大人になったんだな、なんて思う。


 元町商店街は、いつ歩いても気持ちがいい。
 独特の匂いと雰囲気が、楽しい気分にしてくれる。
 天気もいいし、秋の風も心地いい。
 色々なことがいい感じ。
 これからも、いいことが続くといい。


 ウチキパンでバゲットを買うのを忘れた。
 まぁいいか。そんな時もある。

 目標の300万円まで、あと50万円。
 21歳で250万円貯めたなんて、すごいと思う。

 もう少しで、世界放浪の旅に出るんだ。

 旅に出る前に、オサムに手紙を書こう。
 「世界放浪の旅に出ます」そう挨拶しなくちゃ。

 尚樹君が待っていてくれるといい。
 待っていてほしいな。それが正直な気持ち。

 ヒロシが遺産を使い果たして貧乏になったら、面倒をみてあげよう。

 あたしみたいな人間に、何ができるかなんて分からない。
 だけど、とりあえず、あたしはハッピー。
 それをおすそ分けしたい。いつもそう思っている。

 ハチャメチャかもしれないけど—、
 ハッピーに生きられる自分が好き。


                 ― 完 ―

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

ーおわりにー


ここまで読んでくださった方、
斜め読み、チラ見、一瞬でも立ち寄ってくださった方、

みなさんへ心より感謝申し上げます。

毎週土曜日の風にのせて、カオルの物語をお届けしてきました。
子供の頃からの書きたい衝動、自由に生きたい気持ち、ただそれだけで書き続けてきました。
静かに一人で書き続け、編集作業は終わりが見えず、心が折れそうになったこともありました。
それでもなんとかここまでたどり着けたのは、「書きたい衝動」「自由に生きたい気持ち」この2つの原動力が背中を押し続けてくれたからでした。
2つの小さな灯りが消えることはなく、折れそうになった心を温めてくれたのです。
最終章を載せることができた今、カオルが語ってくれた言葉の一つ一つが、私自身をいっぱいに満たしてくれています。

この物語が、ほんの少しでも、一瞬でも、誰かの心にそっと静かに吹き込む風になりますように。

あらためまして、ありがとうございました。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

※ Tales小説家になろうでも公開中!


~全10話 URL~

第1章ープロローグ "嘘と自由” 
第2章 銀縁メガネに百万ボルト 
第3章 鏡の中のユディト 
第4章 18歳ー心地よい共犯者
第5章 19歳ー季節が終わる頃
第6章 階段の上のヒロシ
第7章 オトナへの道
第8章 「死」は、すぐそこに
第9章 めぐり会う魂
第10章 21歳、風と旅する頃 
~あとがき~投稿を終えてー

◆マガジン



~最後まで読んでくださった方へ~
心よりありがとうございました😊



◆Insta
Artwork
https://www.instagram.com/arles1988/
お問合せはこちらをクリック♪

いいなと思ったら応援しよう!