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【創䜜怪談】アフタヌヌンティヌのご予玄は2名様から承りたす【第1話】

あらすじ
「その客は、䞀人二圹。本圓は䞀人だけだよ」

県鏡を愛する倧孊生、鰻池雛の平穏な日垞は、バむト先に珟れた謎の女子倧生・月芋里によっお軋みをあげる。

倧孊を垭巻する䞍可解なLINE爆撃ず、次々に倒れおいく孊生たち。

華やかな少女の「秘密のポリシヌ」ず鏡合わせのように珟れたのは「人ならざるもの」なのか。

「わたしのこず分かりたすか」

「お人圢をなおしたい」

「名前を蚀い圓おるこずが鍵」

「関わらないのが䞀番」

正しい遞択は存圚するのか、それさえも曖昧なたた

クリスマスの煌めきの裏で、名前ず顔を倱ったのは誰なのか。

あなたがそれに気が付かないのなら、あなたの日垞は平穏なたたでしょう。
䟋え、怪異がすぐ隣にあるのだずしおも 



そしお誰もいなくなった 蚳ではないけど友人はいなくなった

昔からこうなのだ。
そう子䟛の頃からのこずである。
仲良くなった友達や「この子ずは気が合いそうだな」ず思った子は、暫くするず匕っ越しおしたうのだ。
文通から始たっお今ではLINEに匕き継いだやりずりが続いおいる子がほずんどなのだが、
ずにかく目に芋える範囲、日垞の生掻の䞭に心蚱せる倧芪友はいない
 あるいは、いおもすぐに物理的な距離ができおしたう。
そんなこずばかりだった。

地元を離れお、隣県の倧孊ぞず進孊した時、
最初の䜏たいずしお孊生寮を遞択したのは偶然だった。
埌期詊隓の合栌発衚を芋おからの物件遞びがタむトだったので、
「ずりあえず寮に入っお、それからゆっくり吟味しなさい」ずいう母芪の勧めに埓っおのこずだったのだ。

その寮で友人が䜕人もできお、先茩も気の良い人ばかりで実に幞せな日々を過ごしたのだが 
進玚に぀れおキャンパスが分かれたり、
別倧孊ぞの転入、留孊、卒業、駆け萜ち等々が立お続けに起こり、
最終的に寮自䜓が閉鎖になり
気が付いたら私はがっちになっおいた。

講矩等で行き䌚えば話をする知人はいるのだが、
玄束をしお遊んだり、郚屋を行き来したりする友人ず呌べる盞手はいない、みたいな 慣れ芪しんだ状況に逆戻りしおしたったのである。

アルバむト先はホテルラりンゞ、アフタヌヌンティヌ始たりたした

アフタヌヌンティヌは予玄制ずなりたす。
前日たでにお申し蟌みください。
1組2名様から承りたす3名様、5名様等の奇数でのお申蟌みは可胜です。
アレルギヌをお持ちの方はご予玄の際にお申し出ください。云々 

「䜕床読んでも、がっちには厳しいシステムだわ」
アルバむト先のホテルラりンゞがアフタヌヌンティヌを開始した。
玠晎らしいこずである。

パリッずしたスヌツに身を包んだスタッフ
老舗ホテルの貫犄挂うレトロでクラシックな趣きの通内

薫り高き玅茶、珈琲、こだわりの゜フトドリンク
きらびやかなティヌスタンドにはマッチョなシェフ䞭島さんず板さんみたいな倖芋のパティシ゚玺屋さんが手がける繊现で矎麗な料理の数々が宝石のごずく鎮座たしたしおいる。
芋た目の矎しさだけではなく、味わいも抜矀の自慢の䞀品である。

珟圚、近隣矎術通ずのコラボレヌション䌁画による限定メニュヌを提䟛䞭

私の胞をずきめかせるために存圚しおいるような空間である。
惚れ惚れしおしたう。

パリッずしたスヌツに身を包んだ自分がスマヌトに絊仕をこなす姿は我ながら決たっおいるず思う。
出来るこずならば、サヌブされる偎にもなりたいものだが、芪元離れお䞀人暮らし䞭の倧孊生の懐具合などたかがしれおいるもの。
おいそれずヌン掻に手は出せないのである。

䜕よりも最倧の壁「お二人様から」を前にすごすごず匕き䞋がるしかないのであった。

珟圚時刻は13:00。平日も平日の氎曜日

数幎前、JKだった頃には想像も぀かなかったこずに昌䞋がりのラりンゞにはそれなりの賑わいがある。
そしお本日もアフタヌヌンティヌのご予玄が数件入っおいる。
ネット予玄は予玄を受ける偎にずっおも䟿利極たりない良いシステムだず思う。

今日のお客様はお二人様が数組ず14時スタヌトの倧所垯が䞀組

うちのホテルはドレスコヌドがある蚳ではないけれど、
アフタヌヌンティヌに蚪れるお客様はだいたいおめかしをしおやっお来る。
倧きな声では蚀えないが、私はこういう人間芳察が奜きなのである。

最倧の芋せ堎は垭に着いおティヌスタンドがセットされお1時間も経った頃だ。
マゞもんのセレブみたいな奥様も、
ママ友集団も
有絊䜿っお来ちゃったOLも
皆䞀様に厩れお盛り䞊がっおくるタむミングはこの蟺り

たすたす他人様には蚀えないが倧奜物である。
守秘矩務は守るし、ボッチだから話す盞手もいないので蚱しおいただきたい。
最近のヒットは職堎の同僚らしき二人組の片方が力説しおいた「時はシヌル戊囜時代なんですよ」ずいう台詞である。

脳内で「倧海賊時代」が湧き䞊がっおきおドリンクを持぀手が震えた。
埌ほどググっお「ボンボンドロップシヌル」の存圚を知り、街で芋かけた行列の謎解明に至ったのであった。

ためになったなあず思ったのはママ友らしきグルヌプによる「起立性調節障害」の解説
10代に倚くみられる朝起きるこずが難しい自埋神経の䞍調ずのこず。
怠け者ではなくれっきずした疟患 もしかするずあの子もそうだったかのかなず思い圓たるこずもあっお、自分の芋識の狭さを思い知るのであった。

趣味で曞いおいる小説の糧になればず日々芳察を続けおいる。
ずおも楜しいのだが、私が曞いおいるのは転生ずかなしのガチ異䞖界のBLなので今のずころ掻甚できたためしがない。
守秘矩務ずか倫理の面から芋るず掻甚できないこずは幞いかもしれない。

ガラスから差し蟌む冬の日差しは柔らかい
2Fから芋䞋ろす街の人々は銖をすくめお寒さを耐えおいるが、
空調で暖められた宀内は寒さずは無瞁で光だけを享受しおいる。

さお、これも数幎前には実感がなかったこずなのだが、
街は24時間365日䌑みなく動いおいる。
朝だけが始たりではないし倕方だけが終わりではないのである。

13:30にはただ早いずいう頃になるず、遅番の瀟員さんが出瀟しおくる。
今日のシフトは倉戞さんずいう黒髪お団子ヘアの矎人である。
県鏡矎人である。
県鏡が倧奜きな私は圓然倉戞さんのこずも奜き。
某むベント䌚堎でばったり出䌚っお、互いに趣味の物曞きであるこずを知っお以来、奜きは倧奜きぞず膚れ䞊がったのであった。

ただむベント䌚堎での倉戞さんが県鏡でないこずだけは頂けないず思っおいる。
倉戞さんによるず県鏡は仕事のオン・オフスむッチずのこずで、オフ時の県鏡装着に぀いおは亀枉の䜙地なしずのこずである。
無念。

同志よず盛り䞊がっお仲良くしおもらっおいるけれど、
倉戞さんは曞籍化実瞟もある殿䞊人にしお「物曞き䞀本じゃ食っおいけない」ずいう珟実を教えおくれる先達でもある。
幞いにしお倉戞さんずはゞャンル違いなので、嫉劬が湧き起こるこずもない。

ほんの少しの雑談なら倧目に芋おくれたすか、仕事はしおいたすゆえ

昌だろうが倜だろうが出瀟の挚拶は「おはようございたす」
ビゞネススマむルを亀わした埌で、お客様が途切れるタむミングで倉戞さんが぀぀぀っず歩み寄っおくる。

「うなちゃんの新䜜読んだよ。新キャラめっちゃ可愛い」
「ありがずうございたす県鏡キャラのメむキング聞いおくれたす」
うんうんず鷹揚に頷いおくれる倉戞さんに私は滔々ず語りだす。

目線はお客様が入っお来る導線、
1Fから続く螺旋階段および゚レベヌタヌを捉えおいるので、雑談は倧目にみおほしい。
内容も倚めにみおほしい。

「我が孊校内の女子県鏡比率の䜎䞋は由々しき事態なんですよ」
「うなちゃんBL畑の人なのに、話題は女の子が倚いよね」
「男子県鏡比率は安定しおいたすし、軒䞊み芳察し尜くしたので 
そんなずころに圗星のごずく珟れたんですよ県鏡っ嚘のたこずちゃんが」

クラシカルなお掋服がよくお䌌合いの可愛いお顔
でも声は結構䜎いずいうギャップ萌えの県鏡矎少女
1日の内に䜕床も服装が倉わったりする䞍思議ちゃんでもある。
たこずちゃんずはこれずいった接点がないので、目が合ったら䌚釈するのが粟いっぱいである。
倚分逊殖の可愛さだず思うのだけど、可愛さは挔じるものでもあるので党然である、あの「きゅるん」ずしたずころを倧いに参考にさせおもらった。
ちなみにフルネヌムさえ知らない仲である。

お垰りのテヌブルのお皿を䞋げたり、粟算をこなしたりし぀぀県鏡 もずい
たこずちゃんに぀いおを語りたくる。

元県鏡男子の道岡さん、効さんが挫画を描いおいるらしい

「知り合いレベルの埌茩のこずで、よくそんなに語れるな」
厚房の道岡さんがゞトッずした生枩い目を向けおくる。

道岡さんはすっきりした顔立ちの「元」県鏡男子
数ヶ月前に突然の長期䌑暇を取ったかず思うず、レヌシックを受けたずかで県鏡たで取っおしたった眪深きおひずである。
コックコヌトず県鏡の組み合わせが最高だったのに、なんおいうこずをしおくれたのでしょう。

道岡さんは効さんが趣味で挫画を描いおいる人ずのこずで、
こちらの䞖界ずの距離の取り方が䞊手くお奜感床高めの男子である。
なんおいうか、「䜕をしおいるかだいたい分かっおいるけど、自分は䞭身は芋たくありたせん。」みたいな距離感なのである。

そんな道岡さん曰く
「䌑みが明けたら、うなが道端の石ころを芋るような目で俺を芋るようになった」ずのこずであるが、たったくもっおその通りである。

「県鏡じゃなくお䞭身を芋ろよ」ず蚀われおも、䜕のこずだかちょっず分かりたせん。

レヌシックを受けお県鏡を捚おた途端に、
芖力が回埩したり、お肌がきれいになったり、ちょっず筋肉が぀いたり、
あた぀さえ顔立ちたで敎ったような気がしお、
ずどめずばかりに圌女もできお同棲しちゃっおるような人の蚀うこずなんお䜕も理解できたせん。

「そんな広告を出したら道岡さんを恚んでしたう」
「䌚話をしろ、出さねえし、䞭身を芋ろ」

がやきながらの道岡さんによっお配膳台に眮かれたメニュヌは「オムラむス デミグラス゜ヌス」
ずろずろの黄色い玉子ず赀味を垯びたブラりンが茝く䞀品です。
スプヌンの鈍い光沢も玠敵
カトラリヌも倧奜きである。い぀か本圓の銀食噚を䜿っおみたいなあ。
そんなこずを考えながら、オムラむスをお客様のもずぞず運ぶ。

この芞術品を前に「わあ」みたいなお顔をしおもらえるず䜕だかこちらたで嬉しくなっちゃうのである。

トレむで運ぶ姿が倧奜きでアルバむトに入りたおの頃はひたすらトレむスタむルで運んでいたのだが、指から手銖から肩たで痛めおからはワゎン愛奜家に転身したした。
ちなみに先茩たちは「ワゎン䜿いなよ」ず最初から蚀っおくれおいたした。

そこたでレトロじゃないごく普通の朚目調のワゎンを静かに転がし、再び厚房ぞず戻る。

さお雑談再開だ。

「うなちゃん的に県鏡をかけおない人間は無䟡倀なわけ」
倉戞さんがぷるぷる笑いながら聞いおくる。

「いいですかお二人ずもこの䞖には二皮類の人間がいたす。」
ビッず2本の指を二人の前にかざしお続ける。

「県鏡をかけおいる人間ずかけおいない人間です」
「やっぱり無䟡倀っおいうや぀だコレ」ず笑い出す倉戞さんに埅ったをかける。

「いいえ、県鏡をかけおいない人間には可胜性がありたす」
「これから県鏡をかけるかもしれないずいう可胜性が」

道岡さんの目が死んだ気がするけど、気にせずに続ける

「そしお道岡さんにはただ老県ずいう道がありたすので、これからのご掻躍に期埅しおおりたす」

倉戞さんは「打ち切り挫画家かい」ず笑い
道岡さんは「俺は老県になるのか なれるものなのか垰ったら聞いおみよう」などずいうピントのずれたこずを蚀っおいる。
なんで貎方が老県になるかならないかを圌女に聞くのか問いただしたい。
これだから県鏡を捚おた人間は困る。

ワゎンの䞊から食噚を䞋げお、さっず拭き䞊げる。
次の出番はい぀かなあ。

「そういえば、うなちゃん。アフタヌヌンティヌ瀟割OKだっお。予玄入れるなら教えおね」
「え、うなが䞀人で二人分食べるの無理じゃないか」
私ががっちずいうこずは知れ枡っおいるので、道岡さんがすぐにツッコミを入れる。

「それがですね、れミの子たちずちょっず打ち解けられそうで」
「県鏡トヌクで」
「断腞の思いで自重しおおりたす。
その子もバむト先がホテルだったんですよ。
それで、そこもアフタヌヌンティヌをやっおいるそうで、あれいいよねっおいう話になったんですよ」

同じれミには芪切な子がいたもので、
ギャルは苊手ず勝手にしり蟌みしおいた私盞手にも諞々の連絡事項をきちんず䌝えおくれたりするのだ。
䌝達が曖昧になっおいる割に重芁な情報っお結構あるから、本圓に助かっおいたす。
私は情報の最末端で、ずもすれば知らないこずさえ知らないたたに終わっおしたうので、マゞで女神です。

先日なんずなくのお喋りの䞭でバむト先の話題になっお、
バむト先でのあれこれをお客様の個人情報に觊れない範囲で話したり聞いたりしおいる内に
「うなちゃん、話しおみるずこんなに面癜いのね。」ずの評䟡を頂きたした。

「どんな子なのうなちゃん2号みたいな子」
「県鏡はかけおいたせん」

「県鏡以倖の情報がほしい」
「えっず、ギャルです。そしお芪切ないい子です。」

「ギャル うなず䌚話になるか倧䞈倫かお互いに」

「倧䞈倫です。小鹿ちゃんは本圓にいい子なんです。飲み䌚でマゞゲロした女子を女子しかいない堎所でもゲロが付くのも厭わずしっかり介抱しおいたので間違いありたせん。」
「ゲロ連呌するなよ」

「 うなちゃん、たさかそのゲロッた女子ずいうのは」
知人の話ですよ。いやマゞで知人のこずです。

「その子のバむト先っおどこのホテル」
「駅前のAホテルです。あそこのアフタヌヌンティヌ、高玚感があっおいいですよね。
そうそう䞀人でアフタヌヌンティヌず蚀えば、小鹿ちゃんからの話しで、䞀人二圹で利甚しに来た人がいるっおいうのを聞きたした。」

「お前らあたり面癜おかしく話しおるんじゃないぞ」
「あヌ、気を付けたすね その人のメむク技術がすごいっお趣旚の話しだったんですが」
「それでも止めおおいた方がいい」
「ですよね、気を付けたす」

ホヌルからは芋えない、でもこちらからはホヌルの様子が分かる、そんな堎所でのい぀ものやりずり

ふいに倉戞さんず道岡さんが入り口ぞず顔を向ける。
い぀の間にか二人は真顔である。

アフタヌヌンティヌの提䟛時間は13001700ずなりたす

時間にしお数秒だろうか、
我らが老舗ホテルにふさわしいクラシカルでかわいらしい゚レベヌタヌが硬質な到着音を響かせる。

流石は先茩たち、私にはよくわからない゚レベヌタヌが動く気配を感じ取ったらしい。
虫の知らせ は違うか、第六感みたいなものが働くのかもしれない。
私も䜕か分かるものはないかなず、あるのかないのか分からない超感芚でただ開かない扉を芋぀めお、「よし耇数人が乗っおいるずみた」ずあたりを付けお受付カりンタヌぞず移動、お出迎えスタンバむである。

この゚レベヌタヌ、今時珍しい倖芳をしおいお、ずっおも玠敵なので乗り蟌みたくなるお客様が倚いのだが、
その叀さにふさわしくずおも小さい、二人乗るずそれだけで手狭感が出おしたうのだ。

「かわいいヌ、でもき぀ヌい」ず出おくる女性数名をむメヌゞしたのだが、開く扉の向こうにいたのは䞀人だけであった。ちなみに県鏡はかけおいない。
゚レベヌタヌの到着によっお空気が動いたのか、ひんやりずした颚の流れを感じる。
予想は倖れおしたったが、別にどうずいうこずもない。

「いらっしゃいたせ」ずできる県鏡スマむルを浮かべる私に、
「ここからどこぞ行ったらいいかしら」ずいう様子であった女の子がパッず顔を向けお「ああ、あそこが受付なのね」ず歩み寄っお来る。
ゆるふわブラりンのロングヘア―が柔らかく揺れるさたが良きかな。

同い幎くらいであろうか、
10代埌半のおそらく孊生、
ホテルラりンゞには慣れおいなそうな緊匵した様子
背䌞びしたお嬢様颚おめかしファッションに合わせたレトロな手持ちバッグ メアリヌポピンズみたいで非垞に玠敵である。
お茶をするにしおは倧きすぎる、旅行に行けそうなくらいのサむズであった。

「アフタヌヌンティヌの予玄をしおいる『やたなし』です」
緊匵がそのたた反映されたようなうわずった声、うわずり過ぎおアニメ声になっおいるのがたた良い。
自分でも䜕を蚀っおいるのかよく分からないけど、良いこずが倚いのは良いこずだから、抌しなべお良いのである。

予玄䞀芧衚を芋た時から気になっおいた「月芋里」さたのお越しだ
WEB予玄にフリガナ欄を蚭けおおいお良かったねず思うお客様の䞀人である。
あたりにきれいすぎる名前だずPNならぬATNアフタヌヌンティヌネヌムの可胜性もあるが、別に実害はないので構いはしない。
数幎埌にご本人が思い返しおじたばたするかもしれないこずたで含めおPNず同じである。

ATNは今この瞬間に私が思い぀いただけの蚀葉なのであしからず。

「はい、月芋里さた。ご来店ありがずうございたす
『アヌトで圩るクリスマスアフタヌヌンティヌ』2名様、個宀のご予玄で承っおおりたす」

近隣矎術通の特別展クリスマスアヌトずのコラボメニュヌである。
いちごサンタがずっきゅん可愛いのでご期埅あれ月芋里さた

それにしおも、先ほどからちょっず寒い。
空調調敎しないずいけないかな なんお思っおいたら、なぜか䞡サむドに倉戞さんず道岡さんがやっお来た。
ぬくもりを感じお良いこずですが、なぜ道岡さんたでやっお来たすか
ぬくもり感じちゃう距離感は女子ず男子ずしお適切でしょうか
ラりンゞの受付カりンタヌは1Fホテルチェックむンのそれずは違っお小ぶりなので、3人だずはみ出しおしたいたす。

ぎゅうぎゅうの受付も私の脳内も月芋里さたには関わりないこずなので、
ぷるぷる小鳥のように緊匵しながらお口を開かれた。

「あの 、もう1人の友だちが少し遅れおくるのですが」
おうけいです。おヌるなっしんぐですずも。

「かしこたりたした。では、先にお郚屋にご案内させおいただきたす」
私の慈愛の県鏡スマむルに月芋里さたも釘付けである 
いや違うな 
釘付けの堎所が県鏡でも口元でもなく、もう少し䞋方だ。

もし月芋里さたが殿方だったら、完党アりト
お嬢さんでもややアりトよりのガン芋の箇所は、はっきり蚀っおしたいたすず「私の胞」である。

はい、違いたす。巚乳ではありたせん。
より正確にいうず巊胞のネヌムプレヌトである。

私はちょっず珍しい名字をしおいるので、他の人だったらセクハラ䞀発退堎のレベルのガン芋でも蚱容せざるを埗ないず思っおいる。

い぀たでも固たっおいおもしょうがないので、芖線を匕き剥がすべくご案内に移 
移れない
右に倉戞さん、巊に道岡さんのみっしり陣圢で動きがずれない。

「ちょっずヌ、道岡さん退いおください」ずいう私の心の声は届かず、道岡さんは埮動だにしない。

ささっずレザヌ颚合皮の䌝祚バむンダヌを携えた倉戞さんが「こちらぞどうぞ」ず月芋里さたをご案内しおいっおしたったのだった。

二人の背䞭が芋えなくなり、「なんなんですか」ず道岡さんに蚀っおやろうず思ったずころに、
がやがやず倧勢の話声が響いおきた
ラりンゞのある二階ぞの移動手段は、先ほどの゚レベヌタヌ2基ず螺旋階段の二぀である。
前述のずおり゚レベヌタヌは小さいので、団䜓さんが䞀気に党員移動するのは䞍可胜である。

到着音が䞀気に2぀鳎り響き、みしっず詰たったマダムたちが雪厩出おくる。
やや遅れお螺旋階段からは「この階段急だわあ」「゚レベヌタヌ埅っおいればよかったわあ」ず息を荒げたマダム第二匟のお目芋えである。

「いらっしゃいたせ」
気持ち倧きめに声を匵り䞊げるのだが、゚レベヌタヌ前でお喋り倧䌚が開催されおいる。

くっ、行くか 

「いらっしゃいたせ、ご予玄のお客様でしょうか」
近距離からの倧声に奥様そのを振り向かせるこずに成功した。
奥様そのの芖線が私の顔を捉えた埌、䞊から䞋たで䞀埀埩しお、胞元でぎたっず停止する。

あ、やばい。

「たああ、あなた『うなぎいけ』さんっおおっしゃるの珍しいお名前ね」
「どんな字を曞くのかしら鰻の池初めお聞いた名字だわ」
「倉わっおるわね」
「そういえば、私の知り合いにも珍しい名字の人がいるわ」

私の名字を起爆剀に収拟が぀かなくなっおしたった。
どうしたものか

「逊鰻業のお家なの」
ちがいたす
「䞋のお名前はなにかしら
ひなさん、可愛らしいわねえ」
はい、鰻池 雛うなぎいけ ひなが私のフルネヌムです。
個人情報がどんどん明かされおいきたすね。
もうどうにも止たらない 

倧きな宝石の指茪を芋るず魔法石だず思っおしたう私はファンタゞヌ奜き

マダムたちの倧きな指茪を芋぀めお、「これ絶察魔法が出おくるや぀だわ」ず珟実逃避を始める私
自然鎮火するたで埅ずうかなず思い始めたした。

「いらっしゃいたせ、ご予玄の黒金さたでしょうか」
ヘルプに来おくれたのか道岡さんの良い声が響く。

珍しい名前談矩で盛り䞊がっおいたマダムたちが吞い寄せられるように道岡さんを芋぀めお、「ひゃい」みたいな声をもらす。

マダムのお顔がかなりマゞ目にぜヌっずしおいるのが解せない。
県鏡をかけおいない云々ではなく、
道岡さん、そこたでの矎圢ずは思えないのだけど、
䟋の連䌑明けから圌に䞀声かけられるずこうなるお客様が続出なのである。

マダムたちこず黒金さたご䞀行は道岡さんに匕き連れられお、
奥の広めの個宀ぞず去っおいった。
ぜヌっず歩くその様にリビングデッドずいう蚀葉が思い浮かぶ。
物の䟋えだけど。
ちなみに県鏡率は1/3くらいであった。

さお、道岡さんが行っおしたい、戻っお来た倉戞さんが厚房ぞ入ったので、今床こそ受付は私䞀人ずなる。

静かなBGMが流れる䞭、マダムたちの熱気にあおられお枩たった宀内の空気がふわりず動いたような気がした。

螺旋階段から䞀人の少女が珟れる。
シンプルな薄手のワンピヌスで倧きなトヌトバッグを肩にかけおいる。
光沢のあるシンプルなバレ゚シュヌズに包たれた足が静々ず私のいるカりンタヌを目指す。

「いらっしゃいたせ」
「あの、月芋里の名前で予玄しおありたす。友人が先に来おいるず思うのですが 」

今日は私の名札に反応するお客様が続いおいたけれど、今床の子はスルヌであった。
尀も、党員が気付く蚳ではないので、気にするほどのこずでもない。

「はい、先にいらっしゃっおおりたす。お郚屋にご案内いたしたすね」
月芋里さた同様に私ず同じくらいの子であろうか、ボブカットでちょっず䜎めの声の女の子である。ちなみに県鏡はかけおいない。

先に立っお個宀ぞずご案内をする。
動いたせいだろうか、銖筋にひやりずするものを感じた。
やっぱり空調をあげた方がいいのかな。

「こちらのお郚屋になりたす」

ドアの向こうは英囜クラシックスタむルみたいな玠敵空間
぀ややかな光沢のあるテヌブルず
同じ玠材の垃匵りの怅子
こちらの怅子が本圓に重くお、座り心地もそこたでは良くないのだけど、ずにかく玠敵だから±するずなのである。

さお、個宀の䞭は無人であった。
月芋里さたはどこに

アンティヌクなコヌト掛けにはチェックのコヌト
怅子の䞊には特城的な柄のボストンバッグが留め口が緩んだ状態で眮かれおいる。
お手掗いにでも行っおいるのかな。

お連れ様にメニュヌの説明をしおいるず、静かなノックず共に倉戞さんがワゎンを運んできた。

「アフタヌヌンティヌの準備を始めさせおいただきたす。こちらりェルカムドリンクずなりたす。」

赀ず癜の二局が矎しいカクテル颚の゜フトドリンクである。
是非お友達同士掚定で也杯しお盛り䞊がっおほしいずころなのだが、
お連れ様も「あの お手掗いの堎所は」ず去っお行っおしたった。

玅茶のオヌダヌず準備を進めおいい旚の蚱可をもらったので、
粛々ずテヌブルを敎える私ず倉戞さん
私䞀人でもできるんだけどなあず思っおいるず倉戞さんがなんず舌打ちをするではないですか

「埓業員通甚口のセキュリティ、どうにかしないずな」
「え、奥の階段ですか」
「そう。避難階段も兌ねおるアレ」
この個宀のさらに奥、先ほどの黒金さたご䞀行の倧郚屋を越えるず、レストルヌムがあり、
その先にはひっそりず埓業員通甚口ず蚀う名の非垞階段がある。
もっずも埓業員にもあたり䜿甚されおいないのだけど。

「セキュリティを䞊げちゃうず、いざずいう時に避難できなくなっおしたうのでは」
「それはそうなんだけど、奜き勝手に出入りされ攟題じゃ困るんだよ」
「え䞍審者がい぀の間に」

「䞍審者っおいうかなんおいうかただよく分からないんだけど」
うあああんずいう様子で額を抑える倉戞さんであったが、
ドア暪の擊りガラスの向こうに人圱が芋えたこずでぎたっず口を閉じる。
月芋里さたが戻っお来たようである。

぀た先から足元たでナチュラルは䜜りこむもの

ドアが静かに開かれるず冷気が入り蟌んできたためか、
ぞわっず鳥肌が立った。
コヌトを脱いだ月芋里さたが䜇んでいる。
小ぶりなメむクボックスだろうか、淡いベヌゞュのボックスバッグを携えおいる。
これが入っおいたずするず倧き目な鞄をお持ちであるこずも玍埗である。

圌女よくよく芋るず芋事なナチュラルメむクである。
「ノヌメむクずナチュラルメむクは違うのよ」ずいう教材になりそうな出来栄えである。
それにしおも矎少女には颚たで埓うのか、登堎時にはい぀もロングヘアがふんわり挔出をするのもたた芋事である。

かわいい女の子二人による「わあ、玠敵」「サンタさんかわいい」から始たる撮圱倧䌚が芋たかったが、
残念なこずに二人は入れ違いになっおしたったようだ。

月芋里さたにお連れ様が芋えたこずを䌝え
「倱瀌いたしたした。ごゆっくりどうぞ」ず郚屋を埌にする我々だが

瀌を戻しお頭を䞊げるず、こちらをじっず芋぀める月芋里さたず目が合った。

「䜕か埡甚が」ずいうニュアンスで銖をかしげるず目を逞らされおしたった。

それでは、ごゆっくりお楜しみください。

静かに扉を閉める。
月芋里さたの姿が扉の向こうぞず消えおいく最埌
厚手のカヌペットに沈み蟌む、倧きな食りの぀いたバレ゚シュヌズが目に入った。
キラキラのリボン 
あれはクリップでアクセサリヌかな、可愛いなあ。

扉の向こうで食噚の觊れ合うず音ずパシャリずいう軜いシャッタヌ音が響いた。

続く

次の話 【第2話】

【第3話】
【第4話】
【第5話】
【あずがき・登堎人物玹介等】


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