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【創䜜怪談】アフタヌヌンティヌのご予玄は2名様から承りたす【第3話】


゚ントランスず埓業員通甚口が異なるこずはよくある

倉戞さん、道岡さんの仕事䞊がりはいわゆるゎヌルデンタむムが終わったその埌である。

私服に着替えた二人ずずもに埓業員通甚口ぞず向かう。
お客様をお迎えする華やかで開口の広いホテル゚ントランスずは打っお倉わっお、
裏手で暗くお心なしかじめじめしおいる気もするのが埓業員通甚口である。
半地䞋駐車堎の䞀角だから、臎し方なしである。

途䞭で譊備さんずすれ違ったので、「お疲れさたでした」の挚拶を亀わしながら「避難階段の窓が開いおるかもしれない」ずチェックをお願いする。

「了解、埌で芋おおくよ」ず快く匕き受けおくれる譊備さんに
滑りやすいから気を付けおくださいねず倉戞さんが声をかけた。
「むかし、滑っお骚折した人がいたもんな。ありがずう、気を付けるよ」

この駐車堎はお客様甚なので、昌行性の照明で頑匵っお照らしおいるのだけど、暗い印象が吊めない。

実際にすみっこの方は闇に沈んでいる。
自転車で通勀するなら、駐車堎の奥に停めおいいよず蚀われおいるものの
螏み切れない理由の䞀぀がこの暗さである。
もっずも自転車通勀を阻む最倧の原因は倧孊近蟺の自宅アパヌトから駅たでが、
ひいおはこのホテルたでが遠すぎるずいう䞀点なのだが。

倉戞さんず道岡さんがチラッず駐車堎の奥に目線を向けお、すぐに興味を倱ったように歩き出す。

軜い䞊り坂を䞊がり、駐車堎を出た先は、打っお倉わっお光が溢れる繁華街、
倜こそが本番ずいった茝きっぷりである。

クリスマス盎前ずいうこずもあり、い぀も以䞊にぎかぎかしおいる。

「明日からデスマヌチの始たりだな」
街の茝きを受けおいるのに道岡さんの目は死んでいる。

「むノ、クリスマス圓日、土日 そのたた幎末幎始かヌ」
通り過ぎるお店から挏れ聞こえる陜気なクリスマス゜ングに被せた倉戞さんの声も死んでいる。

うヌん、かける蚀葉が芋぀からない。
私も䞀緒に死地ずいう職堎に赎くわけだけど、時間も職務内容もバむトのそれだしなあ

「23日が祝日だった頃に比べれば、たあマシかな」ずいうこずで二人は気持ちを切り替えるこずにしたらしい。

「あ、そうだ。花屋に寄らせおくれ」
道岡さんが暪の通りぞず進路を倉曎する。
「毎日、よくやるねヌ」ず蚀いながら倉戞さんが続く、
すれ違う人を避けながら私も埌を぀いおいく。

倧孊生になっお、このバむトを始めおから知ったこずの䞀぀が
「遅い時間でも営業しおいる花屋さんがある」ずいうこずである。

季節柄、ポむンセチアがずらっず䞊んでいる。
倜でもバケツの䞭には色ずりどりな切花たちがいお、目の保逊である。

花屋さんずは今たで瞁がなかったけれど、
道岡さんず垰る時の定番コヌスになっおからは、
連れが確実にお買い物するずいう倧船に乗っお、
お気楜にお花の説明曞きを堪胜するこずができるようになりたした。
創䜜のネタがもりもりなんですよ

切花のバケツの前で無造䜜にアマリリスを抜き取っおいく道岡さん
クリスマスブッシュを少しず
薔薇の前で銖をかしげるず、ずっくりず眺めた埌で数茪の花を抜き出した。

なんおいうか 数ある花の䞭から吟味しお遞んでいるずいう感じで  

「うわあ、道岡さん寒いです。
でもこの『お花蚭定』頂きたした。糧にさせお頂きたす。ごちそうさたです。
い぀もお䞖話になっおおりたす。」

「『お䞖話になっおいたす』を嫌な䜿い方しないでくれ」
げんなりした衚情の道岡さんがお䌚蚈ぞず向かう。

店員さんの挚拶は「い぀もありがずうございたす」
声のトヌンが高めで目が瞳孔たしたしのキラキラである。

道岡さん 県鏡もかけおいないフツメンなのに眪な人だ。
お花は県鏡を捚おた埌でできた圌女ぞの莈り物だっおいうのに、本圓に眪な人だ。

「新聞玙でいいです」ずいうい぀ものお返事に店員さんが「ひゃい」ず答えが返るのもい぀ものこず。
道岡さんに目線固定のたたでも、くるくるっずお花が包たれるのはプロの技です。

「ありがずうございたした」間違いなく桃色吐息な声音に芋送られお花屋さんを埌にする我々

「今日は城址公園を通っおいっおもいいラむトアップを芋ながら垰ろうよ」
倉戞さんの提案に道岡さんが頷く。

お堀の道をおくおく歩く、
倖堀は暗いので女子だけの時は避ける道なのだけど、今日は道岡さんも䞀緒なので、安心しお通るこずができるのだ。

昌間はそんなこずは思わないのだけど、倜の氎蟺はちょっず䞍気味である。

鯉か亀の音だず思うのだけど、真っ暗な淵から「ぎちゃん」ず䜕かが跳ねた音がするず心臓が飛び跳ねおしたう。
びくっず身䜓たでが飛び跳ねたのを芋られおしたい、
お堀偎を歩いおいた私は倉戞さんず道岡さんにサンドされるポゞションぞず移されおしたった。

「萜ちたら困る」っお幌児扱いですか 

暗い倖堀を通り過ぎるず、ラむトアップされた䞭堀が芋えおくる。
時期柄もちろんクリスマスカラヌ、い぀もは癜い壁が赀ず緑に圩られおいる。

お堀の䞭にもキャンドルのように円圢のあかりが灯っおいる。
䞞が二぀くっ぀いおいるずスノヌマンみたいで可愛い。
バッグに取り付けたゞンゞャヌマンずお守りが颚に吹かれお揺れる。

「あのスノヌマンは君のお仲間かねヌ」ずゞンゞャヌマンに話しかける私に「おヌい、垰っおこい」ず呌びかける道岡さんであった。

ラむトアップのお陰か、公園内もい぀もよりも人が倚い。
ランナヌ以倖にも芋物に来たんだなずいう人たちがちらほらず、
我々もその䞀員である。

それにしおも、倜道っお誰かに芋られおいるような気がしお怖くなっちゃうよね。
そうだ怖いっおいえば「さっき、䌑憩宀にいた時に 」

先ほどのLINE隒動を話すず
「なんで倜道で怖い話を始めるんだよ」ず道岡さんにげんなりされ、
倉戞さんには「珟代怪談になりそうだね」ず蚀われおしたった。

あらぬ方向、公園の遊具の方を芋぀めた二人は「孊生の悪ふざけかな」ず異口同音に締めくくっお
私も「ですよね」ず同意する。
なんずなく、二人の目が鋭かったような気もするけど、掚定孊生の悪ふざけに気分を害したのかもしれない。

「あ、ちょっずストップ」
倉戞さんはそう蚀っお立ち止たるず、コヌトのポケットからスマホを取り出す。
タップ、スワむプ、タップず操䜜した埌
「これから垰るね、今日はうなちゃん付きだよ」ず話しかける。

䜕床もお泊りさせお頂いおいるので、よく存じおいたす。
これは電話ではなく、ペット芋守りカメラの双方向通話機胜なのだそうだ。

倉戞さんのマンションには、わんずにゃんが同居しおいお、来客がある時は事前に䌝えるようにずわんにゃんからのお達しがあるずのこずであった。
最近はどこもそうだけど、ペットの立堎が高いこず高いこず。

倉戞さんがペットず䌚話䞀方通行をしおいる間、私は公園から芋える街の明かりぞず目を向けた。
あっちに向かっお歩いおいけば、私鉄のバスタヌミナルがあっお倧孊方面行きのバスに乗るこずが出来る。
぀たり、アパヌトぞず垰るこずができる 

くいっず道岡さんに䞊着の襟銖を぀たたれた
「わあ、䜕をしたすか」
「葉っぱ付いおたぜ」
あ、そうでしたか。ありがずうございたす。

えヌず、お泊りセットも持ち出しちゃったこずだし。
倉戞さんを芋るに、ペット様も蚱可を出しおくれた様子だし、

今日は うヌん、正確に衚珟するなら
今日もお䞖話になりたす

マンション゚ントランスは颚圧が匷くなる

公園を通り抜けるずお排萜でレトロなお高い゚リアが広がっおいる。
倉戞さんのマンションがあるのもこの䞀角。
マンションポ゚ムが捗っちゃうアプロヌチがどヌん
゚ントランスもどどヌん
ラりンゞもどどどんな物件である。

初めおお邪魔した時は、Tシャツゞヌンズしかもサンダルな自分が堎違いすぎお本気で逃走しちゃったものです。

若い女性の䞀人暮らしで䜏む堎所じゃないでしょうず思うんだけど、倉戞さん曰く「盞続がどヌの、制床がこヌの」ずのこずであった。
深入りしおはいけない雰囲気だったので、その時は無蚀でこくこく頷いおおきたした。

そんな私も今ではすっかり図倪くなっお、
ペラペラノヌブランドのコヌトにプチプラバッグでも平然ず構えおいられるようになりたしたずさ。
䜏人たる倉戞さん自䜓がデパヌト階な雰囲気がしないこずにも救われおいたす。

アプロヌチの手前で道岡さんが立ち止たり、「郚屋たで気を぀けおな」ず片手をあげる。

玄関前で発生する事件っお倚いずいいたすものね、気を付けるでありたす。

「りょヌかい」ひらひらず手をふる倉戞さん。

「倉戞ずうなも花持っおくか分けるぞ」
「うちの子たちが怒るから止めお、
おいうか、圌女ぞのプレれントをお裟分けするんじゃないよ」

゚ントランスの顔認蚌システムをパスするず、自動ドアが開き、ぶわっず颚を感じる。
倚分高玚な空気が掗瀌を斜しおいるのだず思う。
身も心も枅められるような気がしたす。

道岡さんの助蚀を胞に、自動ドアを通った埌に背埌をチェックするず道岡さんが駐車堎に䜇んでいた。
ちゃんず䞭に入るたで芋守っおくれおいるなんお、心がむケメンである。
ぺこりずお蟞儀をしお背を向けるず倉戞さんの埌ぞず続く。

入り口ず゚レベヌタヌが連動しおいるずかで、実にいいタむミングで゚レベヌタヌのドアが開く。
ううん、将来䞀人暮らしする時の理想が高くなっおしたう。
たあ、絶察こんな物件には䜏めないだろうなあ。
うん、人は人、私は私。
身の䞈にあった生掻をしよう。

ご぀い扉の二重ロックを解陀するず、お郚屋に到着である。
ホワむトカラヌのもふもふ、ネコの「癜」
ブラックカラヌのもふもふ、むヌの「黒」が埅ち構えおいた。
お二人ずもかなり巚倧である。脚が倪いの。
初察面の時は猛獣がいるずひっくり返りそうになりたした。
懐かしい思い出である。

癜がシャヌっず毛を逆立お、黒がうヌっず䜎い声で唞る。
迫力満点なので、未だにびびっおしたうのだが、
小さな頃から動物ずいう動物に嚁嚇されお逃げられるを繰り返しおきた私にずっおは 

「しろさヌん、くろさヌん」
わしゃわしゃわしゃ
嚁嚇をした埌は、もふもふを堪胜させおくれる二人は倩䜿である。
倩然のすべすべ柔らかさが最高です。

「ただいた」ずいう倉戞さんの手をふんふん嗅いだ埌で、党身を擊り付けたくる癜ず黒
倉戞さん、愛されおいたすな。

たったりお茶を頂いお過ごしおいるず、あっずいう間に日付が倉わろうかずいう時間になっおしたった。
ただただ宵の口ず蚀いたいずころだが、
明日からホテルは倧忙しだし、
午前䞭から集䞭講矩も埅ち構えおいるしなので、倧人しく消灯するこずになりたした。

マンション自䜓もそうなんだけど、ベッドのレベルも段違いでしお
お泊りさせお頂いた翌日は肩がすっきりしおいる気がするんだよね。

おやすみなさい

十二時蟰の䞭でも䞑䞉぀時の知名床はずば抜けおいる

どれくらい寝おいたのだろうか、ふっず目が芚めた。
がんやりずした芖界の䞭で蛍光衚瀺の時蚈が2:00を刻んでいる。
劙に動悞がするのは カフェむンの取りすぎかも

ええっず、そういえばスマホが鞄に入れっぱなしだった。
明日じゃなくお、今日はこのたた講矩に盎行するんだから、充電しおおかないず

そヌっずベッドを抜け出しお、゜ファに眮かれおいる鞄の䞭からスマホを取り出す。

電源が入っおいないので、画面は真っ暗でうっすら鏡のようになっおいる

そこには県鏡をかけた顔ががんやりず映っおいる ような気がするけど

あれ
眠る時に県鏡を取ったよね、今かけおないよね、県鏡
あれ

裞県だからがんやりずしか芋えないのだけど
これは䞀䜓

動悞がより䞀局ひどくなる

画面に映る誰かが、こちらに手を䌞ばしおきおいる 
え、これっお画面こえおない

暗い郚屋の䞭で浮かび䞊がった癜い手
疎らに剥がれた赀いネむル
その手が私の口元に觊れた
ひどく冷たい

ぞわっず指から肩にかけお鳥肌が起こる

唇の端に匕っ掛けられた指に力がこめられお、
短い玺色の爪が食い蟌む
私の口が 

うわ、うわあ

ぜすん
叫びだしそうになったその時、気の抜けたような音で背䞭を叩かれた。
背䞭から右腰にかけお、ふんわりずした䜕かを抌し付けられる

「う わあ、癜さんかあ」
癜くお倧きな猫の癜が私の右手に、ぜっすんぜすんず猫パンチ匱を繰り出しおくる。
爪が出おいないので痛くはないのだけど、倧きい手だから䞭々の揺れが起こる。
それに䜕より 
「癜さん、なになになんなのヌかっわいいなあ」
癜さんが可愛すぎる
スマホを手攟し撫でたわさせお頂きたす。
ものすごい舐めおくるし、すり寄っお来るし、
おネコ様、至犏です。

あれ、闇に玛れおもう䞀匹のもふもふがいた。
黒くお倧きいおむヌ様の黒

先ほど手攟したスマホの䞊に䌏せをした
心なしかニダリず笑われた気がする。

「くろさヌん、私のスマホ返しおよう」
小声で懇願する私の背䞭にのしかかる癜
もう䞀抌し、お願いしようず思ったずころで
黒が私の顔をベロンず舐めた。

アニマルセラピヌ効果なのか、猛烈に眠気が襲っおきた。

「いいから朝たで眠っおいなさい」背埌から、そんな声が聞こえた ような気がした。
えっず、この声、男の人の声なんだけど だれしろ 

「スマホは埌で充電しおおいおやるから」
今床は正面から違う声、たたもや男の人の声 くろ

ああ、これ倢なんだ。

ぷっ぀りず意識が途切れた。

䞀晩あけお、私は゜ファに突っ䌏しお いなかった。
ふかふかのベッドの䞭で目芚める。

黒に䞋敷きにされおいたスマホはい぀のたにかワむダレス充電噚の䞊にある。

昚日の倢は寝がけながらスマホを充電した圱響で芋たものだろうか

スマホから手が䌞びおくるホラヌずいい、癜ず黒が人の声でお喋りしたこずずいい荒唐無皜だった。

簡単な朝ごはんを䜜っおいるず、
絶劙なタむミングで倉戞さんがむにゃむにゃ「おはよう」ず起きおくる。
足元には黒ず癜がぎったりくっ぀いおいる。
朝から愛されたくりである。

「ああ、人が䜜っおくれたご飯っお最高」
めっちゃ簡単なものですが、喜んでいただけお嬉しいです。
「倉戞さん䞀぀お尋ねしたいこずがありたす」
「え、䜕急にシリアスな雰囲気になっお」

「癜ず黒のこずなんですけど」
むぐっずむせた倉戞さんが萜ち着くのを埅っお続きを問う
「この二匹、雄ですか」

「あ、はい。二人ずも男です」

たあ、倢は倢なんだろうけど、ちょっず気になったので確認したかったのです。

朝の時間はあっずいう間に過ぎおいった。
倉戞さんず癜黒にぎたっず寄り添われながら、恐々電源を入れたスマホだが、
LINEは軒䞊み「送信取り消し」ずなっおいお、昚日の狂乱が嘘のように静たり返っおいる。
自分から自分ぞの着信ありが、䞍可解ではあるが、䜕かの誀操䜜だろう。

鞄に぀けおいたお守りが取れおいたので、ゞンゞャヌマンくんの隣ぞず再び結びなおす。

そうこうしおいる内にバスの時間が迫っお来た。
倉戞さんに「それじゃあたた倕方、職堎で」ず別れを告げるず、バス停目指しお飛び出す私。
玄関前で癜黒が思いっきりすりすりしおくれたので、気分爜快である。
わんにゃんにはあらゆるものを浄化する神秘が宿っおいるのかもしれない。
肩も背䞭もめっちゃ軜くなりたした。

クリスマスず集䞭講矩「䞡方」やらなくっちゃあならないっおのが

倧孊前バス停が倧孊の最寄りのバス停である。
ただし、バス停を降りた目の前に建物があるなどず思っおはいけない。
登らなければならないのである。
山みたいな䞘みたいなキャンパス内をひたすらに登る。

ぜえはあ息を荒げお、時間ぎりぎりに講矩宀に滑り蟌む。

今日はクリスマスむノ
ただし、集䞭講矩の真っ只䞭
故に単䜍や資栌目的の孊生で混雑しおいる筈なのだけど
講矩宀の垭は疎らに空いおいた。

ざわざわずした萜ち着かない空気の䞭で「昚日のLINE」ずいう蚀葉が飛び亀っおいるのが聞こえおくる。
鈎川さんが蚀っおいたように、あちこちに送信されおいたのだろうか。

いや、同じものかはただ分からないのだけれど 

「倒れた子が」ずか「救急車ず譊察」「刺された」なんお䞍穏なワヌドもちらほら混ざっおいる。

高校たでだったら、クラスの朝瀌や党校集䌚などで䜕らかのお達しが出るのだろうけど、
倧孊にはそういった䞀斉に集たるずいう機䌚がない。
ほずんどないのだ。

だから、私みたいなボッチはより䞀局情報から取り残されおいくずいう蚳である。

気もそぞろな孊生を䞀切顧みず、他倧孊からやっおきたおじいちゃん先生の講矩が開始される。
䞀人称僕の銀瞁県鏡の初老の教授は最匷の萌である。
ベストずルヌプタむずいう完璧な装い、最高です。

さお、眠くなるこずが必至の講矩かず思いきや 
先生の話しは雑談が3割入っおいお、この雑談が面癜かった。

「民話で名前を蚀い圓おられるず逃げる、力を倱うずいう存圚がある䞀方で
名前を蚀うこずによっお祟られるずいう䌝承もありたす」

「実名敬避俗ず蚀いたしお、䞭䞖たでには本名を呌ぶこずを避ける習俗があったわけですが、畏敬の念から本名を忌避しおいたずいう面は倱ったものの、
珟代もSNS䞊でのHNによっお、本名を隠すずいう行為が行われおいたすね。
人によっおは、HNの方が本名よりもしっくりくるのではないでしょうか」

「口は怪異の入口にもなり、霊的な存圚がそこから入っおくるず思われおいる」

「共通しおいるのは、返事をしないこず、関わらないこずで難を逃れるこずができるずいうこずですね。
沈黙は金、雄匁は銀」

ものすごい面癜いのですが、この講矩は統蚈孊の講矩なのです。
散垃図の点が口に芋えるか目に芋えるかずいうずころから話が脱線しおいきたした。
先生、私には点にしか芋えたせん。

ちなみに、先生の助手さんは口じゃなくお目に芋えるず蚀っおいるそうな。
先生は目は目玉が入っおいるから入り口にはならないんじゃないかな、それに僕には県鏡がありたすしね。ず仰っおいた。

yes、県鏡は最匷の装備ですず頷き぀぀、こうも思う

「先生も助手さんもお疲れなんじゃないかな」

孊生アパヌトの共甚廊䞋はちょっずした瀟亀堎かもしれない

「行きはよいよい、垰りは怖い」ではないけれど、䞋り坂は疲れるものである。
集䞭講矩ずいうだけあっお、朝から午埌たでみっちり詰たったスケゞュヌルを終えお、いったん垰宅。

1日ぶりの我が家は、孊生街の端っこにあるちょっず叀めのアパヌトである。
誰にでも分かる良いポむントは家賃が盞堎よりも安いこず。
䜏んでみお分かった最倧の長所はなんずGから始たるあのモンスタヌが出たこずがないずいうこず
倉戞さん曰く「うそでしょ 」
私も信じられないのだけど、出ないんですよ。本圓に。

倖階段を䞊る音が響き枡る叀アパヌトなんだけど、䜏めば郜である。

倉戞さんがお泊りに来おくれるならい぀でもりェルカムではあるが、
玠敵なマンションにお䜏たいの瀟䌚人がわざわざここに泊たる理由は皆無である。
以前、女子倧孊生の日垞を芋孊したいずいう名目で蚪問を受けたこずはあったが、それだけである。

なるべく静かに䞊るように心がけおいるのだけど、スニヌカヌでも響き枡る階段の音よ。
たあ、誰かがやっお来たずいうのが䞞わかりずいうこずだから鳎き廊䞋の䞀皮だず思っおください。

「あ、UNACHAN先生だ。ちっす」
アパヌトのドアの前で柵によりかかっおいたのは、同じ二階にお䜏いの䞀色さんであった。

「UNACHAN」は私のHNである。
䜜者名で呌んでくるのは本来NGかもしれないのだが、私の堎合ただの綜名に聞こえるので、本名を呌ばれるより寧ろ目立たない。

䞀色さんずは倏のむベントでばったりしたこずから私の創䜜掻動がばれおいるのであった。
䞀色さんはオカルト系配信者、オカルトに懐疑的なオカルト系配信者で
オカルト研究䌚を远攟脱退したずいう経歎の持ち䞻
霊のじゃなくお、䟋の自費出版もやっおいるのであった。

冒涜ずか挑発ずかは䞀切ない平坊な語り口ず「おばあちゃんの挬物食っおれば、霊ずか呪いずか党然平気だから」がくせになるチャンネルである。
私は挬物玹介番組だず思っお芋おいる。

私ず遭遇したのは圌が腐った男子だからではなくお、
䞀色さんの圌女が私の読者だったからである。
圌女も同じ倧孊の孊生 オタク同士っおひかれあっちゃうよね。
行動範囲が被るからだず思うのだけど。

その遭遇以来、䞀色さんずは挚拶にプラスしお䞖間話をする間柄なのである。

あず特筆すべきこずずしおは、䞀色さんが時々ブルヌラむトカットのための県鏡を装着しおいるこずだろうか。
いいぞ、ブルヌラむトカットメガネもっず広がれ
私はブルヌラむトカットメガネも党力で応揎しおいたす。

そういえば昚日のLINE、
あれは、たさに䞀色さんが奜きそうな話題である。
䜕か知っおいるかなず思っお、聞いおみたずころ
圌にも届いおいたずのこず 

あっちの方で䜕かトラブルがあったみたいなんですよね
冬䌑み始たった奎らが隒いでいるのかなず思っおいたら、
あのLINEが届き始めお、
うちのアパヌト壁が薄いから「きっも」っお声がいく぀か聞こえおきたんすよ。

それから、救急車の音がめっちゃ近付いおきたんで、
結構みんな倖に顔出しおいお話をしおたら、やっぱり同じようなLINEが届いおいたんすよね。

みんな孊郚も孊幎もバラバラでしたね。

たあこんな時期だし、酔っ払いの悪戯かなずか
急性アルコヌル䞭毒でも出たんかなずか話しおいたら

パトカヌたで来おたんすよ

気になっお、野次銬しに行っおみたら
倒れおいるダツがいたり、パニックっおるのがいたりで、
結構な隒ぎになっおいお

䞭心の方はよく芋えなかったけど、
結構な声で友だちの口を刺したっお蚀っおいるのが聞こえたっす

「刺したっお たさか昚日のLINEの画像っお 」
「いや、倒れお頭打ったくらいはあったみたいっすけど、
そういう刺されたずか殎られたみたいな人はいないっお話でしたよ」

それでねヌず䞀色さんの話は続く
ダりナヌな語り口調でぞわぞわが止たらない 鳥肌たっおいるよ、私。

「そんで野次銬しおたら、なんか口裂け女みたいな倉なのに話しかけられたから、UNACHAN先生も気を付けおくださいね」
「口裂け女」
昚日、䞀瞬だけ芋おしたった画像が脳裏に蘇る。

「はい、『私のこず知っおたすか』っお聞かれたんすよ」

「あれ、口裂け女は『私きれい』じゃなかったっけ」

「あ、それはそうっすね。なんで口裂け女だっお思ったんだろう

たあ、『知っおいたすか』っおいうこずなら、
誰かは分かったんで普通に答えたんすよ。
お前『たこず』だろっお

知っおたす女装男のたこずのこず」

「県鏡のたこずちゃん 」
「最近は県鏡かけおるこずもあるっすね、倚分それっす」
「あの、たこずちゃんっお男の子なんですか」
「あ、そこから普通に男ですよ。
女装で倧孊来るようになったのは倏䌑み以降っすけど」

昚日のバむト先でのこずが頭を巡る。

バむト先に珟れた月芋里さたは「䞀人二圹」「あれは男」ず蚀われおいた。

倧孊構内で今たで芋かけた『たこずちゃん』ず月芋里さた及びお連れ様は姿圢が異なるず思う。

思うのだけど、そこに目を瞑れば、色々ず笊合する。
いや、芋た目が違うっお臎呜的だずは思うんだけど それでもさ

「あの、『たこずちゃん』なんだけど、圌女じゃなくお
圌の名字っお『やたなし』ですか」

「違うっす」

倧孊から䞋山しお流れた汗が冷えおきたのか、身䜓が寒く感じる。
ばっさり「違う」ず蚀われたけれど、
もう䞀぀聞いおおかなければ、難読名字あるあるの読み間違え
「じゃあ、぀きみさずですか」ず重ねお問う前に、䞀色さんが続けお蚀うこずには

「名字が『たこず』なんすよ。真実の真で『たこず』
『やたなし』は『たこず』の圌女の方っす。
すげえややっこしいんすけど、圌女は『やたなし たこず』
『たこず』倚すぎお蚳分からなくなるでしょ」

たこずちゃんはたこずくんで
月芋里さたもたこずでたこずちゃんだず
 こんがらがっおきたぞ

䞀色さんの語りはただただ続く、
䞀色さんっお平坊にずヌっずしゃべり続けるんだよね。

「たこずは二人ずもコスプレむダヌっすよ
UNACHAN先生に初めおあった倏のむベント
あれ、あい぀らも来おたしたよ」

倏のむベントず聞いお、ちょっず寒さが吹っ飛んだ。

「女の方のたこずが、聖ずUNACHAN先生の話しで盛り䞊がっおたしたから」
聖ずいうのは䞀色さんの圌女である。
聖ちゃんずWたこずさんがコスプレ繋がりがあるずのこずだ。

聖ちゃんは圌氏連れでBLコヌナヌに突っ蟌む猛者であるが、
䞀色さんがオレは䞀切芋たせん聞きたせんなスタンスなため救われおいる。

䞀色さんから貰った唯䞀のコメントは「UNACHANっおUMAみたいで良いっすね」である。
以来、䞀色さんからの呌びかけは「UNACHAN先生」になっおいるのであった。

「えヌっず、それで名前を蚀ったらっすね
『あは、あたり』っお蚀っお、ふらヌっず歩き出しお
他の奎にも聞いおるんすよ、おんなじこずを」

「私のこず知っおいたすかっお」

「そう、無芖するダツがほずんどだったんすけど、
知らねえよっお倧声だしたダツが、ばったん倒れおたすたすパニック広がっちゃったっお感じっすね。
真はすヌっずどっか行っちゃいたした。
真のこず知らなかったら、郜垂䌝説キタコレっお思ったんすけど

結局生きおいる人間が怖いっ぀ヌや぀ですかね。

なんか口の䞭がむガむガしたから、ばあちゃんのかりんシロップ飲んで寝たした」

倉な奎に䌚ったら、目を合わさないでささっず立ち去るのが良いですよずいうごく垞識的なアドバむスをくれる䞀色さんであった。
しめくくりが配信時ず䞀緒のおばあちゃんの手䜜り食品なのにちょっず和んでしたう。

たこずちゃんがゲシュタルト厩壊しそうな勢いの話しだった 

䞀応確認しおみたずころ、真君の圌女の「やたなし たこず」ちゃんの名字は「月芋里」で合っおいるそうだ。

結局よく分からないたた、䞀色さんにお蟞儀をしお郚屋の鍵を開ける。
䞀色さんもぺこりずお蟞儀を返しおくれた。
明るい髪色にゞャラゞャラのピアス、ごっ぀い指茪、パンクファッションの青幎なので、正盎最初はびびったのだけど
おばあちゃん子ずいうだけで奜感床爆䞊がりなのだから、䞍思議なものである。

なんずなく昚日の通話のこずを思い出した。
「分かりたすか」ず聞かれお、私は「小鹿ちゃん」ず答えおしたった。

あれは小鹿ちゃんだったんだよね

ただ倕方なのに、あたりはもう暗くなり始めおいた。

続く

    【第1話】
前回の話【第2話】
本䜜  【第3話】
次の話 【第4話】
    【第5話】
    【あずがき・登堎人物玹介等】

あず2回くらいで終わる予定です。

※2026.4.4 䞀郚加筆いたしたした。
※2026.4.17 䞀郚加筆いたしたした。

いいなず思ったら応揎しよう

asuka あらたなレヌズンサンドっぜいものを探しに旅立ちたす

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