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「人生の扉」が染み入る年ごろ|フォーエバーヤング讀本 No.5|巻頭言

書き手:法政大学経営大学院教授/元いちよし証券(株)社長 山﨑 泰明

若い頃は、人生を足し算で生きていたような気がしますが、後半になった今、人生は引き算になってきたように感じます。

60代になると、不思議なことに「何かを得る」よりも「何かを失う」ことが増えてきました。『喪失感』です。現役としての立場や若さや体力、子育てなどの役割が失われ、生じる感情であり
「未来は無限にあると」
という感覚が減じてくることでしょう。

喪失感が続くと、人は次の問いにぶつかるそうです。
「肩書きがなくなったら、私は誰なのだろう」
「仕事がなくなったら、私の価値は何なのだろう」
といった『虚無感』です。

そして、その果てに
「残された時間で何を成し遂げられるのか」
という『焦燥感』にたどり着くのではないでしょうか。

この心の経路は誰しもが通ることのようですが、ここからが肝心です。決して『絶望感』へとつながらないことです。
「もう何もしたくない」
という絶望は道を閉ざしてしまいます。

こんなことを考えている時、テレビのCMで竹内まりやさんの曲が流れてきました。『人生の扉』です。

1番で幼い頃から50代までが謳われています。何となく活気に満ちた雰囲気です。曲の2番は60代から90代までが描かれ、過去を懐かしむとともに、落ち着いた今もいいじゃないかと言っているように聞こえました。

ふと気づきました。ギアを変えなければいけないんだ。以前と同じような心持ちで生きるのではなく、ステージに合った生き方をすべきなのかという考えが頭をよぎりました。

働き方改革や、数々のハラスメントなどが騒がれなかった昭和の「リゲイン世代」にとって、このギアチェンジはひと苦労な作業のように思います。また、時代の流れや年齢に合わせて自分を変えていくことに抵抗感もあります。『絶望感』への道は進みたくないという強い思いが抵抗を示しているのです。

ただ、『人生の扉』が染み入るようになった今、一度立ち止まり、自分の昔と今、そして未来を見つめ直しても良いのかなと思った昨今です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
シニア世代のQOL向上と経験値交流の「場」を目指し、フォーエバーヤング讀本を作成しております。5冊目となる『星月夜号』のはじめを飾る巻頭言を掲載いたしました。次回もお楽しみにしてくださいね🥰


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