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【小説】名もなき空の若者たち【第1章 佐伯の冬 ― 九九式艦爆訓練生たち】8.空の怖さを知る(急降下訓練)

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第1章 佐伯の冬 ― 九九式艦爆訓練生たち

第8節 空の怖さを知る(急降下訓練)

「……急降下に入るぞ」

大庭は操縦桿を前に倒した。
九九式艦爆は五十五度の角度で空を裂き、
そのまま海へ突っ込んでいった。

風が機体を叩きつけ、
川畑の息が、一瞬止まった。

「高度二千……千八百……千六百……っ!」

読み上げる声が、はっきりと震えていた。

六百。
大庭は、迷いなく投弾スイッチを押した。

次の瞬間、
胸が潰れるようなGが二人を押しつけた。
視界が、白く滲む。

「……っは……!」

川畑が、喉を鳴らすように息を吸い込んだ。

「……大丈夫か」

「……なんとか」

九九式艦爆の急降下は、
訓練生に、いっさい容赦がなかった。

だが、その容赦のなさこそが、
空の本当の姿を教えてくれた。

つづく



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