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SoFiで動き始めた3つの新たな成長領域(前編)―中小企業向け金融へ本格参入

2026年第2四半期決算では、売上や利益、会員数といった足元の業績だけでなく、今後の成長につながる新たな取り組みについても進展が確認できた。

そのなかで、今回注目したいのが、次の3つである。
・中小企業向け事業
ローンプラットフォームビジネス(LPB)の拡張
・SoFiUSD

中小企業向け事業は、個人向けに構築してきた金融サービスを法人領域へ広げる取り組みであり、LPBは対象を新たな融資商品へ広げる取り組み、SoFiUSDは新しい決済インフラへの挑戦である。

それでは、中小企業向け事業から見ていく。

【SoFiが中小企業向け金融へ本格参入】
SoFiはこれまで、個人向け金融サービスを中心に成長してきた。そして今、その対象を中小企業にも広げようとしている。

目指しているのは「中小企業向けローン」の提供だけではない。融資・預金・決済・給与支払い・送金などにもサービスを広げ、個人向けで構築してきた金融サービスを、中小企業にも提供していく構想である。

◆きっかけは2020年のコロナ禍
2020年のコロナ禍において、米国政府は中小企業の雇用維持を支援するため、PPP(Paycheck Protection Program)と呼ばれるローン制度を導入した。するとSoFiには、この制度を利用したいという会員からの問い合わせが殺到した。

このときSoFiは、会員の中に多くの中小企業経営者が存在し、事業資金に対する大きなニーズがあることに気付いた。

当時のSoFiはPPPローンを取り扱っていなかったため、申し込みを受け付ける簡易的なウェブサイトを急遽立ち上げ、実際に融資を行う金融機関へ申込者を取り次いだ。

つまり、SoFiのSMB事業は突然始まったものではない。2020年のコロナ禍をきっかけに会員からの強い需要を認識し、その後もこの市場の可能性を見続けてきたのである。

◆「借りにくいか、高すぎる」という市場の隙間
米国経済の重要な担い手であるにもかかわらず、中小企業経営者は十分な金融サービスを受けられていない。

銀行や信用組合では比較的低い金利で借りられるものの、審査に時間がかかったり、必要な資金を十分に調達できなかったりする。一方、オンラインを中心とした中小企業向け貸金業者は審査が速い反面、30%を超える金利を設定する業者も少なくない。

そこでSoFiが狙うのが、その中間である。既存の銀行より速く、デジタルで簡単に借りられる。一方で、高金利のノンバンクより大幅に低い金利を提示する。

この構図は、SoFiが個人ローンで成長してきた過程ともよく似ている。

SoFiは、金利が20~25%程度に達するクレジットカード債務を抱える優良な借り手に対し、より金利の低い個人ローンへの借り換えを提案することで、既存のクレジットカード市場からシェアを奪っている。

中小企業向け融資でも、高金利で資金を借りざるを得ない優良な事業者に、より低い金利を提示することで市場を開拓しようとしているのである。

個人ローンでSoFiが磨いてきた「より良い金利×スピード×シンプルなデジタル体験」を、中小企業向け金融でも再現しようとしている。

◆いきなり信用リスクは取らない
SoFiは、SMBローンについて、最初から自社のバランスシートで保有しない方針を示している。

まずはLPBを通じて融資を組成する。この段階では、パートナー企業が持つ既存の信用モデルと審査基準を利用してローンを組成し、それをLPBパートナーへ販売することで手数料を受け取る。そのため、SoFi自身は基本的に信用リスクを負わず、大きな自己資本を投入する必要もない。

その一方で、融資を通じて返済状況や貸倒実績に関するデータを蓄積する。こうして信用リスクや適正な金利水準を見極めたうえで、将来的にはSoFi自身のバランスシートでもローンを保有していく。

◆すでに30億ドル超の需要を確保
驚くべきことに、すでにかなり大きな需要が確認されている。

SoFiはBasePoint Capitalと3年間で30億ドルの契約を締結し、さらに別のパートナーとも数億ドル規模の契約を結んでいる。これは、SoFiが組成する中小企業向けローンに対して、事業開始直後から大きな資金需要が存在していることを示している。

◆SMBローンの先にある「中小企業版SoFi」
SoFiは、中小企業向けローンに続いて、預金・決済・給与支払い・送金へとサービスを増やしていく。これは個人向け事業で成功してきたFinancial Services Productivity Loopと同じ考え方である。

個人向けで構築してきた同じモデルを、中小企業にも展開しようとしているのである。目指しているのは、「中小企業版SoFi」である。

個人向け事業と同じようなクロスセルが成立するかは分からない。しかし成功すれば、これまで手つかずの新しい巨大な市場が開けることになる。

そして、SoFiで動き始めている新たな取り組みは、中小企業向け事業だけではない。

個人ローンを中心に成長してきたLPBでは、新たにSMBや住宅ローンへの拡張が始まった。そしてSoFiUSDも、発行そのものがニュースだった段階から、実際の利用先が広がる段階へと移り始めている。

次回は、この「LPBの拡張」と「SoFiUSDの進展」について見ていきたい。

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