SoFi 2026年第2四半期決算 ―過去最高業績を更新、それでも未来への投資を優先―
先日は速報という形での掲載となったが、改めて詳細データとともに、SoFiの2026年第2四半期(2026年Q2)の決算を振り返る。
今回の決算を簡潔に表すなら、「過去最高業績を更新し、それでも未来への投資を優先した四半期」と言える。
【決算ハイライト】※主要KPIは軒並み「過去最高」を更新🚀
✅売上は12億ドル(前年比+40%)
✅EBITDAは3.6億ドル(利益率30%)
✅会員数・商品数ともに過去最高
✅クロスセルの加速
✅ローン実行額は148億ドル
✅預金残高は455億ドル(前期比+53億ドル)
◆売上・EBITDAは過去最高を記録
売上は12.1億ドル(前年比+40%)、EBITDAは3.6億ドル(前年比+44%・利益率30%)、純利益1.6億ドル(前年比+65%)、EPS 0.12(前年比+50%)となっている。

※2026年Q2のEPSは想定を上回る税率により、約0.5セント押し下げられた
◆会員数・商品数ともに過去最高
2026年Q2終了時点で、会員数は1,581.4万人(前年比+34.6%)となった。私自身は2026年Q2を前年比+34.5%増と予想していたため、想定通りの推移となっている。

ローン契約数と金融サービス事業の利用商品数は、合計2,438.1万件(前年比+42.2%)となった。

◆クロスセルの加速
最近のSoFiでは、商品数の伸びが会員数の伸びを上回ることが多く、その結果、会員あたりの利用商品数も1.54まで伸びてきた。SoFiは、2030年までにこの会員あたりの利用商品数を「3」にする目標を掲げている。

2026年Q2において商品数222.2万件増、会員数110.8万人増(それぞれ前期比)となり、商品増加数が初めて会員増加数の2倍を超えた。これは、2026年3月31日以降に実質的な有料会員制度へ移行したSoFi Plusの効果も大きい。
なお、SoFi Plusの加入者は2026年Q2に20.6万人に達し、1年後に100万人を目指している。これが実現すれば、年間売上1億ドル規模の事業となり得る(100万人×月額10ドル×12か月=1.2億ドル)。
◆融資実行額は過去最高を記録
融資実行額は148億ドル(前年比+68.9%)と過去最高を更新した。また、その内訳となる個人ローン・学生ローン・住宅ローンもすべて過去最高を更新しており、融資事業全体の勢いが際立つ結果となった。


◆預金残高も過去最高の455億ドル(前期比+53億ドル)
SoFi Plus会員向けの高い預金金利などを背景に、預金残高は過去最高を更新し続けている。2026年Q2だけでも前期比で1割以上増加しており、非常に力強い伸びである。豊富な預金は低コストの資金調達源となるため、融資拡大を支える原動力となり、さらなる収益成長へつながる好循環を生み出している。

【EPSガイダンス据え置きの理由】
売上ガイダンスを47.5億~48.5億ドルへ引き上げる一方、EBITDA約16億ドルとEPS 0.60ドルは据え置いた。その主な理由は、以下の4点である。
◆将来への投資をさらに加速
大きな理由の一つは、将来の成長に向けた投資を積極的に継続しているためである。
ノトCEOは決算説明会において、「短期的にEPSやEBITDAを最大化することよりも、将来の大きな成長機会へ投資することを優先する」と繰り返し説明している。
実際、2026年だけでも
・SoFi Big Business Banking(大企業向け金融サービス)
・中小企業向け融資(Small Business Loans)
・SoFiUSD
・SoFi Crypto
・SoFi Plusのリニューアル
・SoFi Smart Cardのリニューアル
・SoFi Coach(AI金融アシスタント)の正式提供開始
・Composer(AI投資プラットフォーム)の買収
・Peach(ローン実行後の管理プラットフォーム)の買収
・PrimaryBid(投資プラットフォーム技術)の買収
など、新サービスの投入から既存サービスの強化、戦略的買収まで、将来の成長に向けた施策を矢継ぎ早に実行している。
これらは短期的には各種費用の増加につながるものの、法人向け事業の拡大に加え、個人向けサービスにおける利用商品数や利用頻度の向上にもつながる。さらに、生涯価値(Lifetime Value)の向上を通じて、中長期的な収益拡大へ結び付くことが期待されている。
つまり、今回のEPS据え置きは、業績悪化によるものではない。過去最高の利益を上げながら、その利益の一部を将来の成長へ再投資するという、極めて戦略的な判断である。
◆前提となる金利見通しを保守的に変更
年初は「2026年に2回の利下げ」を前提としていたが、現在は「2回の利上げ」を想定したガイダンスへ変更している。そのため、仮に2回の利上げが実施されても、経済環境に大きな変化がない限り、現在のガイダンスは維持される見通しである。
◆実効税率の上昇も利益を圧迫
年初ガイダンスでは実効税率を「10%台半ば」と想定していたが、現在は「22%」を前提としている。会社側によれば、もし税率を当初想定と同じ水準で計算した場合、EPS見通しは0.60ドルではなく「0.65ドル」になっていたという(残念…😱)。
税率上昇の背景には、株価下落に伴い株式報酬に係る税務上の控除額が想定を下回ったことなどがある。
株式報酬では、会計上の費用と税務上の控除額の計算方法が異なる。例えばRSU(一定の条件を満たすことで株式を受け取れる報酬制度)では、会計上の費用は基本的に「付与時の株価」を基準とする一方、税務上の控除額(税務上、費用として認められる金額)は「権利確定時の株価」に左右される。
そのため、付与時より株価が上昇すれば税務上の控除額が大きくなり、実効税率を押し下げる要因となる。逆に株価が下落すれば、税率を押し上げる方向に働く。
参考として、実効税率の推移は以下の通りである。
・2025年Q1 10.9%、Q2 13.3%、Q3 6.2%、Q4 6.4%:通期8.5%
・2026年Q1 16.4%、Q2 23.4%:上半期19.9%
※2025年は株式報酬に伴う税効果が通期の税率を12.7%相当押し下げており、2025年後半の株価上昇も税率低下に寄与した可能性がある。
◆利益見通しには一定の余裕を織り込む
ノトCEOは決算説明会などにおいて、利益見通しには「一定の余裕(クッション)」を持たせていると説明している。達成可能性を重視したガイダンスと捉えられる。
【今回の決算で最も評価したい点】
今回の決算で最も評価したいのは、「利益面の前提が厳しくなったにもかかわらず、EPSガイダンスを維持した」点である。
・新規事業への投資を継続
・金利前提は悪化
・実効税率は想定以上に上昇
このように利益を押し下げる要因が重なったにもかかわらず、会社は売上ガイダンスを引き上げ、EPSガイダンスを維持した。これは本業の収益力が着実に強まっているからこそ可能な判断である。
短期的な株価がどう動くかは分からない。しかし、決算資料や決算説明会、経営陣のインタビューまで確認した限り、企業価値の観点から悲観すべき内容は見当たらない😎

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