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「三体」レビュー:当時高校生の私が読者として感じたこと(ネタバレなし!)

劉慈欣「三体」(早川書房)書籍情報

受賞と評価
・中国国内で2000万部以上を売り上げ
・2015年アジア初のヒューゴー賞受賞(英訳版)。オバマ元大統領やマーク・ザッカーバーグも絶賛。
・日本では早川書房から刊行され、翻訳SFとしては異例の売れ行きを記録。

あらすじ
文化大革命で父を惨殺され、人類に絶望した科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。彼女がスカウトされた軍事基地では、人類の運命を左右するプロジェクトが進行していた。数十年後、科学者の連続自殺事件を追って謎の学術団体に潜入したナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)を、怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う!そして、汪淼が入り込むVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?
全世界でシリーズ累計2900万部を売り上げたエンタメ小説の最高峰!(Amazonサイトより引用)

Review

SFはスケールが大きいのは重々承知だが、ここまでスケールの大きい作品は初めて読んだ。「ここまで広げるか!」と驚きながら読んだ記憶がある。どんなにスケールが大きくなっても人間は人間として〝人間らしさ〟をちゃんと持っており、ただの絵空事だ、と読者が置いていかれないまま遠い未来へ旅をさせられるのが良い。読者は読了後、まるでタイムスリップしてきたかのような不思議な感覚とともに現実に戻ることになるだろう。

これはただの地球人vs異星人の戦争ではない。ヒューマンドラマがあり、現在の社会と地続きの未来が描かれており、この「宇宙」という広大な空間が狭く感じるほど「宇宙」が使い込まれている(実際に〝この〟「宇宙」だけでは収まらなかったようだ!)。そして転換点となるような出来事が起こるたびに、『三体』序盤でボタンを押した彼女がこれを見たら、何を思うだろう……と考えてしまう。特に読者の間で評価の高かった『三体Ⅱ 黒暗森林 下』ではヒューマンドラマが非常に生きており、人類の未来という重い責任と自分や仲間たちの重い命を天秤にかけ、宇宙や人類社会、運命に立ち向かう登場人物たちの勇敢さと切なさにはぐっと来るものがある。個人的にも好きな巻だ。この巻に限らずすべての巻で、人類社会の時代ごとの混沌や個人個人が抱く選択への葛藤が深く書き込まれており、三体文明のもたらしたものがいかにして、そしてどのような未来に人類を向かわせたのか、目が離せないものとなっている。どの時代の人類にも現在の人類と通じるところがあると感じるのも、おそらくそれは私たちが納得を持って個人の変化や人類の変化を受け入れられているからであり、外的要因含め時代が変化する過程を緻密に描いているからこそ感じる感覚なのではないだろうか。

『三体』シリーズではSF要素がふんだんに使われており、〝SFテクノロジー百科事典〟のようだ。科学が好きならぜひ手に取ってみてほしい。『三体』では序盤から〝現在の科学の正しさ〟を根本から疑う事態が起こっているので、科学が好きなら、登場人物の科学者たちに共感できる部分があるかもしれない。



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