シルバーウィークの四国|松山城と道後温泉、現存天守と3000年の湯
現存12天守のうち、4棟が四国にあります。
松山城、宇和島城、丸亀城、高知城。四国は、日本でもっとも現存天守の密度が高い島です。
そのうえ、松山には道後温泉がある。現存天守と、日本最古級の温泉が、路面電車で20分の距離にある。 この組み合わせは、全国を見渡してもここだけです。
11年ぶりの5連休で行く四国、その中心に松山を置いた旅を組みました。
松山城|山の上に、城がまるごと残っている
標高132メートルの、平山城
松山城は、市街地の中心にそびえる勝山という山の上に建っています。

麓からロープウェイかリフトで上がるのが一般的ですが、歩いて登ることもできます。所要20分ほど。連休で混雑する時期は、歩いたほうが早い場合もあります。
築いたのは加藤嘉明。関ヶ原の戦いの功により、この地を得た武将です。着工は1602年、完成までに四半世紀を要しました。
連立式天守という、完成形
松山城の天守は連立式です。
大天守を中心に、小天守と隅櫓を渡櫓でつないで四角く囲い、中央に中庭をつくる。攻め手はこの中庭に誘い込まれ、四方から攻撃を受けることになります。
姫路城と並ぶ、連立式天守の代表例です。
天守群のなかを歩き回るだけで小一時間かかります。渡櫓から中庭を見下ろすと、この構造が防御装置として設計されていることが実感できます。
なお現在の大天守は、安政元年、1854年の再建です。落雷で焼失した天守を建て直したもので、現存12天守のなかではもっとも新しい建築になります。
幕末に建てられた天守が、そのまま残っている。江戸時代最後の天守建築として見ると、また違った興味が湧きます。
見どころは、門の仕掛け
私が松山城でいちばん感心するのは、筒井門と隠門の組み合わせです。
登城路を進むと、正面に大きな筒井門が立ちはだかります。攻め手の意識は当然そこへ向く。

ところが、その脇に隠門があります。石垣の陰に隠れた小さな門で、正面からは見えません。筒井門に群がる敵の側面、あるいは背後へ、ここから兵が出る。
実際に歩いてみると、この仕掛けの意地の悪さがよく分かります。設計した人間の性格が透けて見えるようです。
登り石垣という、珍しい構造
もうひとつ、松山城には特徴的な遺構があります。
登り石垣です。

通常の石垣は水平に築かれますが、登り石垣は山の斜面を縦に登っていくように築かれます。山麓の居館と山頂の城郭を石垣でつなぎ、斜面からの侵入を防ぐ構造です。
この技術は、文禄・慶長の役の際に朝鮮半島で築かれた倭城に由来すると考えられています。加藤嘉明も朝鮮へ渡った武将のひとりでした。
日本国内で登り石垣が確認されているのは、松山城、彦根城、洲本城など、ごくわずかです。そのなかでも松山城の規模は最大級とされます。
海の向こうで得た技術が、日本の城に持ち帰られた。城の歴史が、東アジアの歴史とつながっている場所です。
現存12天守を巡るルート全体は【シルバーウィーク2026】5連休で巡る現存12天守にまとめました。
道後温泉|3000年の湯
本館は、また入れるようになりました
松山城から路面電車で20分。道後温泉です。
道後温泉本館は、明治27年、1894年築の木造三層楼。国の重要文化財に指定されています。

2019年から保存修理工事が続いていましたが、2024年7月に全館の営業が再開されました。いまは建物全体を見て、入ることができます。
屋上の振鷺閣には太鼓が据えられ、朝6時、正午、夕方6時に時を告げる刻太鼓が鳴ります。この音は環境省の「日本の音風景100選」に選ばれています。
館内には又新殿という、皇室専用の浴室が残されています。現存する皇室専用浴室としては唯一のものです。見学もできます。

夏目漱石が松山に赴任していた頃に通ったことから、「坊っちゃんの間」も設けられています。
3000年という時間
道後温泉の歴史は、日本最古級とされます。
伊予国風土記の逸文には、傷ついた白鷺がこの湯に足を浸して癒えたという伝説が記されています。少彦名命がこの湯で蘇ったという神話も伝わります。

聖徳太子が来湯したという伝承も残ります。
3000年という数字の厳密さはさておき、この土地の湯が、記録に残る限りずっと湧き続けてきたことは確かです。
湯はアルカリ性単純温泉。刺激が少なく、やわらかい。草津や蔵王のような強酸性泉とは対極にあります。このシリーズで強い湯ばかり紹介してきましたが、道後の湯はまったく違う性格です。
本館以外の選択肢
道後には別館 飛鳥乃湯泉と、椿の湯もあります。
飛鳥乃湯泉は2017年開業。飛鳥時代の建築様式を取り入れた新しい外湯で、館内には伊予の伝統工芸を用いた装飾が施されています。

椿の湯は地元向けの共同浴場。素朴で、湯に浸かるためだけの施設です。

本館が混雑している時間帯は、こちらへ回るのも手です。
神社と寺も、歩いておきたい
道後温泉のすぐ近く、135段の石段を登った先に伊佐爾波神社があります。
社殿は八幡造。この様式で現存するのは、宇佐神宮、石清水八幡宮、そして伊佐爾波神社の三例だけとされます。国の重要文化財です。

朱塗りの社殿が鮮やかで、石段を登りきったところで振り返ると、松山の街並みが広がります。
もうひとつ、石手寺。四国八十八ヶ所霊場の第51番札所です。国宝の仁王門をはじめ、鎌倉期の建築が残ります。
連休に神社を巡るという過ごし方については、【シルバーウィーク2026】敬老の日と秋分の日の由来|連休に訪れたい神社5選にまとめています。四国では大三島の大山祇神社を挙げました。
道後の宿
道後温泉には、歴史のある宿がいくつも残っています。
ふなやは創業1627年。約400年の歴史をもち、広い日本庭園を備えています。川のせせらぎを聞きながら過ごせる宿です。
大和屋本店には、本格的な能舞台があります。宿のなかに能舞台があるというのは、なかなかありません。定期的に公演も行われています。
道後館は、建築家・黒川紀章の設計によるものです。城下町を意識した構成で、建築好きには興味深い宿でしょう。
本館に近い宿ほど、夜の散策がしやすくなります。刻太鼓を聞きながら浴衣で歩く。道後に泊まる理由は、そこにあります。
四国を、もっと巡るなら
5連休なら、松山だけで終わらせる必要はありません。
宇和島城へは車で1時間30分。縄張りが五角形でありながら、四角形に見えるよう設計された城です。藤堂高虎の築城。
高知城へは2時間30分。天守と本丸御殿の両方が現存する、唯一の城です。
しまなみ海道を北へ抜ければ、大三島の大山祇神社。樹齢2600年と伝わる大楠があります。
いずれも5連休こそ、遠くへ|シルバーウィークに行きたい温泉地10選や城記事で触れてきた場所です。
遠方から向かうなら
松山空港から市内までは車で20分ほど。空港アクセスの良さは、四国のなかでも群を抜いています。
航空券と宿をセットで手配する「楽パック」を使うと、別々に取るより総額が下がることがあります。連休は航空券が単体で高騰しやすいためです。
ただしセット商品のキャンセル規定は、宿単体の予約より厳しい傾向があります。日程が固まっている方向けの商品と考えてください。
車で向かう場合は、2026年のシルバーウィークは9月19日から23日の5日間すべてETC休日割引が適用されません。 本州から四国へは連絡橋も通ります。詳しくはシルバーウィークの渋滞・混雑を、どう避けるかをご覧ください。
宿は、いつ押さえるか
道後温泉は四国随一の温泉地です。11年ぶりの連休となれば、動きは早くなります。
ただし、今年はもうひとつ考えるべきことがあります。
9月4日、楽天スーパーSALEが始まる見込みです(例年どおりの日程であれば)。連休の約2週間前。ここで宿代が変わる可能性があります。
そこで有効なのが、キャンセル無料プランでまず押さえ、セールで取り直すという二段構えです。手順はシルバーウィークの宿を確実に押さえる|「仮押さえ」戦略にまとめました。
なお9月3日、セール開始前日には、直前ガイドを公開する予定です。 エントリーの手順から、狙うべきプランの見極め方まで扱います。宿をまだ決めていない方は、そちらもあわせてご覧ください。
まとめ
現存12天守のうち4棟が四国にある
松山城は連立式天守。現在の大天守は1854年再建で、現存天守では最も新しい
登り石垣は朝鮮半島の倭城由来。国内では3例ほどしかない
筒井門と隠門の組み合わせは、設計者の意地の悪さが見える仕掛け
道後温泉本館は2024年7月に全館営業を再開
湯はアルカリ性単純温泉。草津や蔵王とは対極のやわらかさ
伊佐爾波神社の八幡造は、国内3例のひとつ
城を見て、湯に浸かって、また城を見る。松山では、それが1日でできます。
明日は、ひとり旅の話をします。連休にひとりで出かけるとき、宿選びで気をつけたいことを整理します。
【関連記事】

