見出し画像

【シルバーウィーク2026】5連休で巡る現存12天守|秋の城旅ルート3案

秋は、天守がいちばん美しく見える季節だと思っています。

夏のように陽炎が立たず、湿気で霞むこともない。冬ほど日が短くもない。空気が澄んで、白漆喰の壁も黒い下見板も、輪郭がくっきりと立ち上がります。

そして何より、9月下旬の光は角度が低い。正午でも天守の側面に陰影がつくので、写真が平板になりません。城を撮るなら、秋です。

というわけで今回は、11年ぶりの5連休を使って現存12天守を巡るルートを、3案考えてみました。移動2日、現地3日という前提で、無理のない範囲に収めています。


そもそも、なぜ12しか残っていないのか

本題に入る前に、少しだけ。

江戸時代の初め、日本には170を超える天守があったと言われます。それが今、江戸時代以前から建ち続けているのはわずか12。

減った理由は、いくつも重なっています。一国一城令による廃城。明治の廃城令と、その後の払い下げ。老朽化による自然倒壊。そして戦災です。名古屋城も、広島城も、岡山城も、水戸城も、空襲で焼けました。

つまり現存12天守というのは、偶然と誰かの執念が重なって残った12棟ということになります。丸岡城のように地震で倒壊しながら、元の部材を集めて組み直された城もある。弘前城のように、石垣を直すために建物ごと動かしている城もある。

そう思って見上げると、天守の見え方が少し変わります。

ルートA|中部・国宝天守をつなぐ3日間

松本城 → 犬山城 → 彦根城

現存12天守のうち、国宝に指定されているのは5棟。松本、犬山、彦根、姫路、松江です。このルートは、そのうち3棟を無理なくつなぎます。

1日目:松本城(長野県)

漆黒の下見板張りに、白漆喰の対比。堀の水面に映る姿は、何度見ても足が止まります。

建築的に面白いのは、構造の異なる部分が接続されている点です。大天守と乾小天守、渡櫓の部分は戦国期の実戦的な造り。一方、後から増築された辰巳附櫓と月見櫓は、平和な時代の建物で、月見櫓には壁がなく朱塗りの回縁がめぐらされています。

戦うための建物と、月を眺めるための建物が、ひとつづきになっている。時代の空気がそのまま形になっているようで、私はここが好きです。

平城に建つ五重天守として現存するのは、松本城だけです。

宿泊:浅間温泉、または美ケ原温泉

松本城から車で15分ほど。翌朝の開門前に城まで戻れる距離なので、朝いちばんの登城を狙うならこのあたりが便利です。浅間温泉は開湯1300年と伝わる古湯で、松本の奥座敷として親しまれてきました。

楽天トラベルで浅間温泉・松本市内の宿を探す

連休の松本は宿の動きが早い地域です。まだ日程が固まっていなくても、空室状況だけ先に見ておくと計画が立てやすくなります。


2日目:犬山城(愛知県)

木曽川を見下ろす崖の上。小ぶりですが、姿の良い天守です。

望楼型という古い形式で、下層の入母屋屋根の上に、望楼を載せたような構成になっています。この形式は関ヶ原の戦い前後までの天守に多く見られるもので、後の層塔型と比べると、どこか手作り感のある不揃いさが残ります。

天守最上階の回縁に出られるのですが、手すりが低い。木曽川がまっすぐ下に見えて、正直、少し怖い。この感覚も含めて、犬山城の体験だと思います。

宿泊:長良川温泉(岐阜市)、または下呂温泉まで足を延ばす

犬山から車で40分ほど。長良川沿いに宿が並び、部屋から金華山と岐阜城を望める宿もあります。鉄分を含んだ茶褐色の湯が特徴です。

▶ 楽天トラベルで長良川温泉の宿を探す

もう1時間走って下呂温泉まで進む手もあります。日本三名泉のひとつで、宿の選択肢は格段に増えます。

▶ 楽天トラベルで下呂温泉の宿を探す


3日目:彦根城(滋賀県)

琵琶湖の東岸、彦根山の上。

彦根城の見どころは、天守そのものよりも縄張り全体にあると私は思っています。登城路は意図的に折れ曲がり、天秤櫓へ渡る橋は有事に落とせる構造。廊下橋、堀切、そして登り石垣。攻める側の視点で歩くと、いちいち嫌らしい。

天守は三重三階と小ぶりですが、破風の種類が多く、装飾的です。切妻破風、入母屋破風、唐破風が組み合わされ、実物より大きく複雑に見えるよう計算されています。

そのまま帰路につくもよし、時間があれば長浜や近江八幡まで。

移動の目安:松本→犬山 約3時間/犬山→彦根 約1時間30分

ルートB|山陰から瀬戸内へ、石垣を味わう3日間

松江城 → 備中松山城 → 丸亀城

天守の造形よりも、石垣と立地の妙を楽しみたい方へ。

1日目:松江城(島根県)

2015年に国宝へ指定された、比較的新しい国宝です。指定の決め手は、築城年を裏付ける祈祷札が発見されたことでした。

黒い下見板張りの、実に堂々とした天守です。装飾は少なく、無骨。最上階の望楼は開放的で、宍道湖が一望できます。

そして地下に井戸がある。籠城を本気で想定した造りです。

松江まで来たなら、玉造温泉(👈詳細はこちらから)に泊まるのが自然な流れです。日本最古の美肌の湯とも呼ばれる湯で、城下から車で20分ほど。出雲大社まで足を延ばすなら、この宿泊地が起点になります。

宿泊:玉造温泉

松江城から車で20分、出雲大社へも1時間圏内。山陰を回る拠点として、これ以上ないほど動きやすい立地です。

▶ 楽天トラベルで玉造温泉の宿を探す

美肌の湯として知られる分、この温泉地は連休の競争率が高めです。行くと決めているなら、早い段階で押さえておいたほうが選択肢が残ります。

2日目:備中松山城(岡山県)

標高430メートル。現存天守のなかで唯一の山城です。

正直に言うと、ここは登ります。ふいご峠の駐車場から天守まで、徒歩20分ほどの山道。ただしこの登り自体が、山城を体感する時間でもあります。

天守は二重二階と小さいのですが、道中の大石垣が圧巻です。天然の岩盤の上に石垣を積み上げた「岩盤と石垣が一体化した」造形で、これを見るために来る価値があります。

雲海に浮かぶ姿で有名になりましたが、雲海が出るのは晩秋から冬にかけての早朝が中心です。9月下旬に狙うのは難しいと考えておいたほうがいいでしょう。

宿泊:湯原温泉、または倉敷市内

湯原温泉は備中松山城から車で1時間半。旭川の河原にある露天風呂「砂湯」が有名で、川底から湯が湧いています。混浴の無料露天なので、好みは分かれるかもしれません。

▶ 楽天トラベルで湯原温泉の宿を探す

翌日の丸亀行きを考えるなら、倉敷市内に泊まって美観地区を朝に歩くという組み立ても悪くありません。

▶ 楽天トラベルで倉敷の宿を探す

3日目:丸亀城(香川県)

天守は現存12天守で最小クラス。三重三階、高さ15メートルほどしかありません。

ですが、その足元が違います。総高60メートルを超える、日本一高い石垣。扇の勾配と呼ばれる、下は緩やかに、上へいくほど垂直に近づく美しい曲線を描きます。

小さな天守と巨大な石垣。このアンバランスさが、丸亀城の個性です。石垣を見上げてから天守を見ると、天守がやけに慎ましく見える。

移動の目安:松江→備中松山 約3時間/備中松山→丸亀 約1時間30分

ルートC|四国、3つの天守と道後の湯

松山城 → 宇和島城 → 高知城

現存12天守のうち4棟が四国にあります。そのうち3棟を巡る、密度の高いルートです。

1日目:松山城(愛媛県)

標高132メートルの勝山の上に建つ、連立式天守

大天守、小天守、南隅櫓、北隅櫓を渡櫓でつないで四角く囲い、中央に中庭をつくる形式です。姫路城と並ぶ代表例で、天守群のなかを歩き回るだけで小一時間かかります。

見どころは、筒井門と隠門の組み合わせ。正面の筒井門に気を取られて進むと、脇の隠門から背後を突かれる。実際に歩いてみると、この仕掛けの意地の悪さがよく分かります。

そして城のふもとには道後温泉。明治27年築の木造三層楼、道後温泉本館があります。城と湯が路面電車で20分の距離にあるという、なかなかない組み合わせです。

宿泊:道後温泉

松山城から路面電車で20分。現存天守と3000年の湯が、同じ一日に収まります。この距離感は道後ならではです。

▶ 楽天トラベルで道後温泉の宿を探す

本館に近い宿ほど早く埋まる傾向があります。夜の本館周辺を歩きたいなら、立地優先で選ぶ価値は十分あります。

2日目:宇和島城(愛媛県)

現存12天守のなかでは、地味な部類に入るかもしれません。三重三階、装飾も控えめ。

ですが、この城の面白さは縄張りの形にあります。上から見ると五角形。一見すると四角形に見えるように設計されており、攻め手が地形を読み違えるよう仕組まれていたと言われます。

藤堂高虎による築城。石垣づくりの名手が、地形そのものを罠にした城です。

天守までの登城路は静かで、人も少ない。私はこういう城が好きです。

宿泊:宇和島市内、または高知へ移動して四万十方面

宇和島は宿の総数が限られる地域です。連休となれば選択肢はさらに狭まるので、ルートCを選ぶならここを最初に押さえておくのが安全です。

▶ 楽天トラベルで宇和島の宿を探す

翌日の高知城を朝いちばんに狙うなら、思い切って高知市内まで進んでしまう手もあります。移動2時間半を前日のうちに消化しておくと、3日目がかなり楽になります。

▶ 楽天トラベルで高知市内の宿を探す

3日目:高知城(高知県)

最後は高知城。ここには、他の城にないものがあります。

天守と本丸御殿の両方が現存する、唯一の城です。

御殿というのは藩主の生活と政務の場で、天守とは役割が違います。ほとんどの城で御殿は失われており、天守だけが残った。両方が揃った状態で残っているのは、全国で高知城だけです。

天守から御殿へ、そのまま歩いて移動できる。この動線を実際に体験できるのは、ここだけの贅沢です。

石樋

石樋(いしどい)という排水設備も見どころ。雨の多い土地ならではの工夫で、石垣を雨水から守るために設けられました。

移動の目安:松山→宇和島 約1時間30分/宇和島→高知 約2時間30分

遠方から向かう場合|交通と宿をまとめる方法

ここまで3案を挙げてきましたが、ルートBの山陰、ルートCの四国は、関東や関西から車で向かうにはかなり遠い。現実的には飛行機で飛んで、現地でレンタカーというのが一般的な形になります。

その場合に検討したいのが、航空券と宿をセットで手配する方法です。

楽天トラベルには「楽パック」という交通と宿の組み合わせ商品があり、航空券と宿泊を個別に予約するより総額が下がるケースがあります。とくに連休は航空券が単体で高騰しやすいため、差が出やすい。出雲空港、高松空港、松山空港、高知龍馬空港といった地方空港が絡むルートでは、一度比較してみる価値があります。

▶ 楽天トラベルの楽パック(航空券+宿)を見る

どう選ぶか

3案を並べてみると、性格がはっきり分かれます。

そして連休中は駐車場が9時から10時頃に埋まります。8時台に着いてしまえば、待ち時間もありません。混雑の避け方についてはシルバーウィークの渋滞・混雑を、どう避けるかにまとめましたので、あわせてどうぞ。

【番外編】2026年、弘前城は「動いて」います

青森の弘前城は、本丸の石垣に膨らみが見つかったため、2015年に天守を丸ごと移動させました。曳家(ひきや)という工法です。建物を解体せず、持ち上げてレールの上を滑らせ、そのまま動かす。約78メートル離れた仮天守台の上で、この10年あまり公開されてきました。

そして2026年、いよいよ元の位置へ戻る「曳戻し」が始まっています。開始は7月、完了予定は11月中旬。

つまりシルバーウィークは、その作業の真っ最中ということになります。

ただし注意点があります。曳戻しの準備に入った関係で、天守内部の見学は2025年11月をもって休止されました。その後も耐震補強と保存修理が続くため、内部に入れるようになるのは2032年度以降の見込みです。

現在は外観のみの見学となります。

それでも、私は見る価値があると思っています。数百年動かなかったはずの建造物が、レールの上を移動していく。この光景を目撃できる機会は、そうありません。動いている最中の天守という、極めて特殊な姿です。

まとめ

  • 秋は空気が澄み、光の角度も低く、天守を見るのに最も適した季節

  • 2026年の弘前城は「曳戻し」の真っ最中。外観のみ見学可

  • ルートA(中部)は国宝天守3棟、建築を味わう

  • ルートB(山陰・瀬戸内)は石垣と立地、山城の登りあり

  • ルートC(四国)は3天守+道後温泉、移動距離は長め

  • どのルートも、開門直後の登城が最も気持ちいい

11年に一度の5連休です。3日間まるごと城に使うという贅沢、一度やってみる価値はあると思います。

次回は、神社の話です。秋分の日という祝日がなぜ秋の彼岸と結びついているのか。その由来と、この連休に訪れたい神社を5社紹介します。

次の旅行、もっとお得に予約しませんか?

当マガジンでは、主要旅行サイト(楽天トラベル・Yahoo!トラベル・じゃらん等)の最新セール情報や、ポイント還元率を最大限に高める攻略法を随時更新しています。
クーポン争奪戦のコツや「実質3〜4割引」で泊まる裏ワザなど、知っておきたい情報を凝縮!旅費を賢く節約したい方は、ぜひフォロー&チェックしてみてください。
👇 最新のセール・ポイントアップ情報はこちら


いいなと思ったら応援しよう!