好きな漫画10個あげると人柄がバレる:最新作編
「好きな漫画10個あげると人柄がバレる」
というタグをある方の記事から見つけて、ずいぶん前に別のSNSで熱心に投稿していた頃に同じ内容のことを書いていたことを思い出しました。
だから久しぶりに漫画のことを書いてみようと思い立ちました。
時々感銘を受けた漫画のことは定期的に書いていますが、単独作品の紹介がほとんどだったので、今回はまとめて書いてみたいと思います。
最近は英語ばかりだけど、わたしは活字が大好きな人間です。
でも漫画も同じくらいに読みます。
秀逸な漫画は「絵のある物語」、つまり私には
絵本
本以上に感動します
絵が物語るからです
美術館感傷が大好き自分ですから
なのです。
漫画は「絵が語る」物語。
絵があるからこそ、小説で分かりづらいことも
「図解されているのでよくわかる」
というのがわたしが漫画をとても高く評価する点です。
ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を小説で読んでも、19世紀初頭の風俗を知悉していないならば、小説の世界を理解できません。
だから映画も一緒にみないと本当に小説は理解できない。
また出版された1813年というのは、ベートーヴェンが活躍していて、皇帝ナポレオンの全盛時代。
あの時代の空気を知らないと、英国文学の粋であるオースティンは面白くない。
だから下手な翻訳でオースティンを読むくらいならば、漫画で「高慢と偏見」を読む方がずっと小説世界を理解できます(文章を読む楽しみも良い漫画はハイブリッドに取り入れることもできるし。オースティンの英語は名文なので特に)。

閑話休題(死語😓)
でも私のマンガ好きは、漫画でしかできない表現の漫画らしさが好きなマンガ好きではなく、絵があるがゆえに、歴史漫画などでは教えられることが多かったり、違う文化の風俗を学べたりするからという理由であることも多いのです。

ですので、わたしが本当のマンガ好きかどうかは不確かです。
手塚治虫のヒョウタンツギとか、漫画的なデフォルメとか、ギャグマンガとか、そういうのにはあまり興味がない。

には大笑いした
こんなユーモアがまさに「ザ・漫画」ですね。
手塚治虫「ブッダ」より
まあ、子どもだった昭和の終わりから、いつだって自分の身の回りには漫画があって、本当にたくさんの漫画を読んで半世紀も生きて来ました。
でも漫画は単なる娯楽であるよりも、読んで知識を得る「絵本」のような存在がわたしにとっての漫画。
活字の本では学べない何かを教えてくれる漫画を敬愛しています。
そして自分の好きなものを語ると語った人の人柄が見えてくるというのは真実です。
だから、好きな漫画10作品、その人を知るに最適な方法ですね(漫画を普段から全く読まない人には無意味ですが)。
人柄バレ10大漫画
この記事のタイトルにいきなり反するわけですが、そもそも10作品だけ選べなんて無理なことです。
それほどにたくさんの漫画を読んできて、たくさんの感動をもらってきたからです。
こちらに挙げたような世界文学が自分の血肉になったように、
私がこれまで読んできた漫画の数々も、私自身の一部です。
ですので、厳選10タイトルよりも、まずは
現在連載中で素晴らしいと思う漫画(いつも新刊が出ると必ず読む漫画)
を10作品、
これまでの人生の中でおそらく自分にとって最も大切な作品
を10タイトル、つまり全20タイトルを紹介してみたいと思いますが、長くなりすぎるので、今回は連載中作品(または最近連載終了の21世紀作品)を10タイトルのみ並べてみたいと思います。
あなたにも読んでいただけると幸いです。
現在連載中で新刊が出ると必ず読む漫画、そして深い感銘を受ける作品。
<1>
漫画は絵本!
この意味で美術的に素晴らしいなと思う作品の筆頭が
灰原薬「 応天の門」1~20
平安時代の在原業平と菅原道真が主人公で、平安京の闇にまつわる怪事件を次々と解決してゆく物語ですが、闇は次第に藤原一族の業の世界から人間存在の深みへと沈んでゆくのです。
日本史を深く学ばれた方はご存じでしょうが、平安時代初期の大事件だった
応天門の変
という大事件から作品のタイトルはとられています(事件発生までもう少し)。
貞観8年(866年)に起きた応天門の炎上(放火)事件は平安時代で最も重要な絵巻(伴大納言絵詞=伴大納言絵巻)にもなっていて、日本史上の一大事でした。
平安時代において、天変地異や放火のような反体制行為は天皇家の支配への反逆だったからです。


伴一族と藤原一族の権力闘争はこの事件において極められるのです。
さて漫画「応天の門」。
筆を使って書かれたような細い線画に繊細な水彩が施されていて、オールカラーで読めたらどんなに最高だろうと思うこともしばしばです。
暗い闇の物語になっても不思議ではない内容ですが、狂言回しのコミカルなキャラたちもたくさんいて、業平と道真もいろいろと弄られて光と闇と怨霊に彩られた平安ドラマ。
源氏物語や枕草子を読んでも、平安時代の美しい部分しか見えてきませんが、今昔物語などで描かれる汚らわしい平安時代のありのままの世界を垣間見ることが出来る秀逸な作品。
きっと連載終了後の二十年後でも名作として古典として語り継がれてゆくのでは。
<2>
名作中の名作。
いずれは21世紀の漫画古典、漫画世界遺産に認定されることでしょう(笑)。
知識とは他人に語って見せて、初めて自分の血肉となる
という主人公エウメネスの成長物語は何度読んでも感動的。
やがては史実通りにマケドニアの書記官となって、その後はアレクサンドロス大王の大遠征の後に帝国解体すると、ディアドコイ戦争という大王の後継者争いで大事な役割を演じる主人公ですが、この作品もまたあまりの遅筆ゆえに、作者存命中に作品が終了しそうにはありません。
最新刊13巻までで描かれているのは、アレクサンドロスの父王フィリッポス二世が暗殺されて、フィリッポス妃となっていた、エウメネスと相思相愛で契りを結んだ間柄だったエウリディーチェの死まで。

エウリディーチェの死はあまりに非情で悲しく、涙なしには読み切れません。
書き込みの少ない単純な絵の世界。
絵の空白の部分が本当にたくさんのことを語るのは、
音楽とは音符と音符の間の休符にこそ存在する
という有名な言葉を思い出させます(モーツァルトが言ったといわれますが、出典不明の謎の言葉)。
たくさん絵を書き込むことがすごいというわけではない、余白の雄弁さに圧倒される作品です。
<3>
山崎育三郎主演のドラマをご覧になられた方も多いと思いますが、わたしはテレビドラマになる前からずっとこの作品を読み続けています。
題名のリエゾンはフランス語の
Liaison
という意味から、人と人を繋ぐ児童精神医の物語。
わたしは発達障害に縁が深いので、この作品に心から共感し、生きにくさについて考え続けていますが、この作品には生まれ持った個性ゆえに社会に適応できない問題が静かに取り上げられるのです。
生きにくさを誰よりも知るゆえに、志保先生のように、生きづらい人に優しくありたいといつも願っています。
発達デコボコな人生は大器晩成します。
周りに支えてくれる人さえいてくれるならば。
そんな社会で会ってほしいといつも思っています。
<4>
美麗な絵を描くことが漫画の必要条件ではないということを知らしめてくれるのが、昭和時代を舞台とした独特な作品と作風で素晴らしい存在感を放っている池田邦彦先生です。
鉄道漫画などでも知られていますが、徹底した昭和テイストを平成令和の時代に蘇らせる池田氏の作品、わたしはどれも大好きです。
とくにこの
国境のエミーリャ
という作品。
もし日本が旧ドイツのベルリンように東西に分断されていたら、という設定で戦後日本が描かれている漫画。
旧ソヴィエト文化が日本に生かされていて、あの東西冷戦時代が懐かしく回顧されます(コミックスの表紙は意図的にソヴィエト風)。
政治的に東西に分けられて合えないという世界は、グローバルな世界しか知らない若い人には理解しがたいものかもしれませんが、現代の南北朝鮮然り、パレスチナとイスラエル然り、政治は人々の人生を分断するものです。
なんともいえぬレトロな冷戦ロマンがこうして21世紀の漫画として現役作品として連載されていることがなんともたまりません。

とエミーリャは行列して
配給を受け取ろうとしている人民に語ります
この決まり文句、最高!



さすが作者のツイートだけあって
超高画質
昭和やソヴィエトの漫画のような作風(あえてこのような作風が選ばれています)。
昭和レトロを楽しみたい方、政治的悲劇とは何かに興味ある方には是非手に取っていただきたい忘れがたい作品です。
<5>
きっともう誰もが知っている「フリーレン」。
超人気作品で私がいまさら上げるまでも必要ない作品かもしれませんが、今作品のドイツ語名と名言特集をしたほどに好きな作品なので、やはりここにあげておきます。
アニメは大変に美麗ですが、漫画はさほど美術的に興味深いものではありません。
けれども、それを補って余りある深い
おもいやり
にあふれた作品。
大司教となった老いたハイターの
「あなたには褒めてくれる人がいますか」
という言葉に心打たれました。
大人になると、褒めてくれる人がいなくなる。
ましてや千年も生きているエルフのフリーレンには。
一緒に生きてくれる人さえもいない。
別の名作魔法ファンタジー「ダンジョン飯」にも同じテーマが描かれますが、フリーレンの物語のいろんなところには、ハイターの言葉のような
やさしさ
が溢れているのです。
若い人にウケそうな魔法バトルシーンなどもたくさんありますが、物語の本質は、ほとんど永遠の命を持っているエルフ族のフリーレンが有限の生を享けて早々とこの世から退出してゆく人間を本当に理解する旅。
長い長い旅の物語です。
なんだかロードムービーのような漫画。
<6>
片山ユキヲ先生は多作家ではありませんが、わたしはどの作品も大好きです。
朗読を題材にした
「花もて語れ」
などにも深い感銘をうけました。朗読って音楽の楽譜の演奏みたいなものなのです。音楽家の端くれの自分にはしみじみと感動しました。
オーディブルなどの朗読も芸術なのですね。
さて片山ユキヲ先生はの最新作、ネタバレしたくないので多くは語りませんが(全五冊と短いので)、
米倉夫婦のレシピ帳
にはさらに深い優しさと愛情と思いやりが詰まっています。
わたしは料理が好きで、家族のためにご飯を作り続けて20年以上の主夫でもあるので、料理作りのお話は楽しく共感できるので、こういう家庭料理を題材にした漫画はなんとも身近で英語でいうところの
Intimate
な作品です。
大切な家族は失くしてから、本当に大切なものを理解するかもしれないと思うとあまりに切なくなる作品です。
<7>
料理つながりで次はこれ。
食事って場所を変えると味が変わるのです。
そして特別な場所で料理ってホントに面白い。
山ご飯って、準備が大変で本当に知的な活動。
都会に住んでいる人は是非ハイキングしてみてください。
本作を読んだらきっと日帰りの山登りがしたくなりますよ。

最新刊より
<8>
つぎはスポーツ漫画、
けれどもいわゆる昭和漫画や少年ジャンプ的な「スポ根」とは全く違う。
2024年にアニメにもなったのでご存じの方も多いかもしれません。
わたしは全くゴルフなどしないし、ゴルフの知識もこの作品を読むまでは全く持ち合わせていませんでしたが、心からこの作品を堪能しました。
南西諸島のトカラ島が舞台というのもとても興味深かったし、ゴルフはいかにしてボールを曲げたりスピンをかけたり打つ角度を変えたりして、頭脳的にプレイするのだということを知り、
ゴルフは心の格闘技
という言葉にも感銘を受けました。
何でゴルフクラブってあんなにも種類があるのかなんてことも知らなかったほどゴルフに無知な自分でしたが(クラブごとに飛距離が変わるから)、親の形見の3番アイアン一本でいろんな打ち方を工夫して、いろんな球を打ち分けてコースを回る主人公とんぼに
ゴルフってこんなものだったのか!
と目から鱗が落ちました。
お金持ちの道楽でも、賞金稼ぎでもなく、
ゴルフはゲームだと理解すると、
ゴルフってほんとにおもしろそう、やってみたいかも
と思ったけれども、ピアノを弾くのに忙しい自分は、ゴルフをまだ本気でやってみようとは思わないのです(笑)。
いろんな人生があり、いろんな人生に出会える漫画。
本当に読んで良かった!
アニメ原作となった最初の15巻だけでも読んでみてください(最新刊は55巻という長期連載なので、お好きになった方だけ全巻読破してください)。
<9>
次は政治漫画!
「昭和の今太閤」と呼ばれた贈賄政治家としか自分は認識していませんでしたが、悪徳政治家の代表(とみなされている)田中角栄が漫画になるとは思いもよりませんでした。

1918-1993
ウィキペディアより
政治家田中角栄の生涯を漫画化したものですが、戦前から戦後の復興、高度成長の時代をしっかりと書きあげている点が素晴らしい。
漫画らしく、デフォルメされて、「貧乏人は麦を食え」の池田隼人や主人公角栄なども少年漫画的に理想化されていますが、この作品を読むと戦後日本史がとことんよくわかる。
昭和戦後時代もまたこうして歴史漫画になる時代になったのですね。
戦後史(占領時代から高度成長時代の政治)をこのように描き出した漫画に出会えたのは初めての体験でした。
太平洋戦争に負けて、マッカーサー率いるGHQに日本は支配されて、独立を失うのですが、我々現代人はあの時代のことをどれだけ知っているのでしょうか。
GHQは
Go Home Quickly
愛国主義ってホントはこんな風なのですよね。
わたしは恥ずかしながら、これまで戦後史のことをほとんどまともに理解していませんでした。
あの頃の政治家たちは誠に国益のために死ぬ気で生きていたのだという熱い思いが伝わってくる作品(かなり理想化されているにせよ)。
角栄は、豊臣秀吉がそうであったように、大変な
「ひとたらし」
どこかメンタリストみたいな感じのカリスマで
コミュ能力の化け物みたいな感じかも
とにかく人に取り入るのが上手
でした。
今太閤
百姓から天下人になった太閤秀吉に擬えて
という言葉が腑に落ちます。
角栄が生涯に議員立法で成立させた建築法などの法律の数は空前の30。この記録は今後も破られそうにない。
日本は官僚が優秀な国だと評されますが、官僚は法律を徹底して墨書する。
官僚を動かしたければ、法律を書き換えればいい。それが政治家の仕事。
角栄は政治の作り方を誰よりも知っていた。
日本経済や文化があまり元気のない時代の現代、わたしたちは昭和とは何であったかを考えてみるべきです。
この漫画に出会えてよかった、昭和という時代を再評価したくなりました(昭和史の本を活字で読んでもこんなにも興味は湧かないものですから。漫画ならではの醍醐味です)。
政治家とは?
を考えてみましょう。
そして政治とはどうあるべきかを。
<10>
最後はSF。
あまりにひどいDV(ドメスティックバイオレンス・子供虐待)の物語で始まり、目もそむけたくなりますが、

やがて物語は急転換して、宇宙人登場!
そして
少女の世界は変わる!

ネタバレなし。
二巻まで読み終えたら、ほっこりしますよ。
読んでみて!
まだ二巻までしか出ていなくて、そこで第一部終了ということですが、家族を本当に好きになるってことの素晴らしさを改めて知ることが出来る作品です。
上記9作品よりも、ハチャメチャな作品で、より普通の漫画らしいかも(笑)。
SFは未来を語る物語。こんな世界になったならば、人はどう対応できるだろうか、どう変わってゆけるだろうかと問うフィクション。
新しい世界を切り拓く人たちは誰もがSFを読むものです。
だから自分も
SiFi
SF(エスエフ)ではなく
SiFi(サイファイ)と呼ばれます
できる限り読んでゆこうと思っています。
以上10タイトルでした。
まだまだ面白い作品はありますが、自分らしさを伝えてくれる作品としては上記の10作品、というか、わたしの学びの最前線に位置する作品たちでしょうか。
のちの世に名作と呼ばれるようになる傑作ばかりだと思いますよ。
次回、往年の名作10選!

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