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シャドーイングが恥ずかしい人へ|無理なく声を出すための対処法


「シャドーイングをしているところを家族に聞かれたくない」

「外で英語をつぶやくのは恥ずかしい」

「自分の録音を聞くのがつらい」

こう感じるのは、決して珍しいことではありません。

恥ずかしいままでも、シャドーイングは進められます。無理に人前で大きな声を出す必要もありません。

口パク、モゴモゴとした小さな声、頭の中で音を追う方法にも意味はあります。ただし、それだけで仕上げず、別の場所で実際に声を出す時間も作る。この分け方が大切です。

私は英語コーチングスクールで250名以上を担当し、3000回以上、受講生のシャドーイングを聞いてきました。正確に集計した数字ではありませんが、私の感覚では3割ほどの方が、何らかの恥ずかしさを感じていたように思います。

恥ずかしさを気合いで消すのではなく、何が恥ずかしいのかを分け、その人ができる形を一緒に探す。私はその方が、結果として学習を続けやすいと考えています。

シャドーイングが恥ずかしくても、無理に人前で大きな声を出す必要はありません

以前、私の前でシャドーイングをすることを、非常に恥ずかしがる受講生がいらっしゃいました。

普段、私は実際のシャドーイングを聞きながら、音のズレや進め方を確認します。ただ、その方はどうしてもやりづらそうでした。そこで私が画面をオフにし、相手にも画面をオフにしていただいたところ、少し取り組みやすくなりました。

そのとき、私自身も改めて気づきました。

「シャドーイングを人に聞かれるのは、やはり恥ずかしいことなんだ」と。

私自身も、恥ずかしさと無縁ではありません。

中学校で英語を教えていた頃、遠方の英語カフェへ参加したことがあります。そのとき、自分の英語力に自信が持てず、「英語の先生なのに、この程度なのかと思われたくない」という気持ちから、中学校の英語教員ではなく「小学校の先生です」と自己紹介してしまいました。

今では外で英語を話したり、音声入力でAIを使ったりすることに、ほとんど恥ずかしさはありません。それでも、初級者の頃や自信がない時期に、人前で英語を話すことをためらう感覚はよく分かります。

学習の現場では、ときどき「せっかく本気で学んでいるのだから、恥ずかしがらずに大きな声でやりましょう」と言われることがあります。

ただ、私は少し強引な考え方だと思っています。

泳ぐことが怖い人に、「本気なら、いきなり深いプールへ入りましょう」とは言いません。まずは足のつく場所に入り、ビート板を使い、少しずつ泳ぐ距離を伸ばします。

シャドーイングも同じです。口パク、モゴモゴ、小さな声から始めて構いません。大切なのは、浅い場所から始めることではなく、浅い場所だけで終わらないことです。

恥ずかしさは3種類に分けると対処しやすくなります

「シャドーイングが恥ずかしい」といっても、何を恥ずかしいと感じているかは人によって違います。

私が受講生を見てきた中では、主に次の3つがありました。

家族や同居人に聞かれるのが恥ずかしい

家族に聞かれることを気にする方は、全体としてはそこまで多くありませんでした。ただ、一人で練習できる場所がない方や、同居人に英語ができる人がいる方は、強い恥ずかしさを感じることがあります。

特に初級者は、自分の声だけでなく、使っている音源を聞かれることにも抵抗を持ちやすいです。

シャドーイングは、少し簡単だと感じる音源から始めた方が、結果として効率よく進められます。しかし、周りに英語ができる人がいると、「こんなに簡単な英語をやっているのか」「こんなに遅い音源を使っているのか」と思われそうで、再生すること自体をためらってしまいます。

実際に、職場で誤って練習用の音源を流してしまい、周囲から「そんなにスローなの?」と言われたことが恥ずかしかった、と話してくださった方もいました。

ですが、遅い音源を使うことと、英語力が低いことは同じではありません。

ピアノでも、最初から本番と同じ速さで弾くとは限りません。難しい部分だけ速度を落としたり、片手ずつ練習したりします。外からその場面だけを見れば、簡単な曲をゆっくり弾いているように見えるかもしれません。

それは実力が低いからではなく、正しく弾くために練習を細分化しているからです。シャドーイングで簡単な音源や遅い音源を使うことも、同じように必要な練習です。

外で周りに見られるのが恥ずかしい

電車、駅、カフェ、散歩中など、外で英語をつぶやくことに抵抗を感じる方も多くいらっしゃいます。

イヤホンをしていると、お手本の音声は自分にしか聞こえません。周囲からは、一人で英語をつぶやいているように見えます。「何をしているのだろう」と思われそうで、恥ずかしくなるのは自然です。

一方で、以前よりは一人で話す姿も珍しくなくなりました。駅でもイヤホンで通話している人を見かけますし、私自身も記事を書いたりAIを使ったりするときに、外で音声入力を使うことがあります。

もちろん、周囲への音量や場所への配慮は必要です。それでも「一人で声を出しているだけで変に思われる」と、必要以上に決めつけなくてもよいと思います。

自分の発音や録音を聞くのが恥ずかしい

他人に聞かれるのではなく、自分の声を聞くことが恥ずかしい方もいます。

録音を聞くと、思っていたより発音できていない。音源についていけていない。自分の英語が下手に聞こえる。こうしたズレが一度に見えるため、つらくなるのだと思います。

ただし、録音は最初から毎回行わなくても構いません。

まだ音源にほとんどついていけていない段階では、録音を聞いても「ついていけていない」という大きな問題しか見えません。その段階なら、まずはいろいろな音源についていく練習を優先した方が効率的です。

これは、ダンスの練習に少し似ています。

振り付けをほとんど覚えていない段階で毎回録画しても、確認できるのは「まだ踊れていない」ということだけです。振り付けを覚え、ある程度踊れるようになってから録画することで、手の高さやタイミングなど、細かなズレを直せるようになります。

シャドーイングの録音も同じです。ある程度ついていけるようになってから、語尾、リズム、音のつながりなど、確認する点を一つに絞って使います。

録音の目的や基本的な使い方は、「シャドーイングは録音した方がいい?」で詳しく整理しています。

恥ずかしさを消すより、声を出しやすい条件をつくります

恥ずかしさが完全になくなるのを待つ必要はありません。

先に変えたいのは、気持ちよりも練習の条件です。

たとえば、自宅で一人になれる時間だけ声を出す。家族がいる時間はイヤホンを使い、口パクやモゴモゴで進める。外では小さな声で音を追い、録音は自宅で行う。このように役割を分けます。

私が一つの目安として考えているのは、モゴモゴや無音の練習を6割ほど、しっかり声を出す練習を4割ほど残す形です。

もちろん、この割合がすべての人に当てはまるわけではありません。ただ、9割が無音で、実際に声を出すのが1割だけになると、なかなか仕上がりを確認できません。少なくとも3割ほどは声を出す時間を作れると、前に進めやすいと感じています。

口パクや無音を認めたことで、シャドーイングに使える時間が増えたり、それまで消極的だった方が前向きに取り組めたりした例も多くありました。

理想的な形を毎回できないからと、学習をゼロにする必要はありません。

人前ではできる工程だけ進め、別の場所で声を出して仕上げます

人目のある場所でシャドーイングをしても構いません。学習時間を確保するために必要なら、むしろ活用した方がよいと思います。

ただし、通勤中や外出中に、シャドーイングの全工程を終わらせる必要はありません。

人前では、イヤホンで音声を聞く。口パクで追う。モゴモゴと小さな声を出す。頭の中で少し遅れて英語を追う。

そして、声を出せる場所へ移動したら、実際の声でついていけるかを確認する。必要な段階まで進んでいれば録音も行う。

声を出せない時間は準備に使い、声を出せる時間で仕上げます。

声を出さない練習でできることと、できないことは、「シャドーイングは声を出さなくても効果ある?」で分けて説明しています。

また、学習全体のバランスも大切です。外でシャドーイングをするより、そこで単語やフレーズの暗記を進めた方が効率的なら、別の学習へ時間を使っても構いません。

「外でもできるか」だけでなく、「今、この場所で何をするのが一番よいか」で考えてみてください。

恥ずかしさが強すぎるなら、別の学習に変えても大丈夫です

恥ずかしさを乗り越えることが、英語学習の目的ではありません。

シャドーイングがストレスになりすぎて、英語学習そのものが嫌になってしまうなら、その時間はフレーズ暗記や瞬間英作文など、別の方法へ変えても構いません。

私は、シャドーイングがどうしても合わないと感じる受講生がいれば、いったん別の学習へ変更します。暗記がどうしてもつらい方には、別の覚え方を一緒に探します。

我慢して苦しい状態を続けることと、良い学習を続けることは同じではありません。

恥ずかしさのためにシャドーイングが続かなくなっている方は、「シャドーイングが続かないのはなぜ?」も参考にしてみてください。

明日からは「場所・声量・仕上げる時間」を決めてみてください

いきなり恥ずかしさをなくそうとしなくて大丈夫です。

最初に決めたいのは、次の3つです。

  • どこなら口パクや小さな声で進められるか

  • どの程度の声量なら無理なく始められるか

  • いつ、どこで実際の声を出して仕上げるか

この3つが決まるだけでも、シャドーイングはかなり始めやすくなります。

私が目の前の学習者から「恥ずかしくて声を出せません」と相談されたら、最初にこう伝えます。

「そうですよね。やっぱり恥ずかしいですよね。口パクやモゴモゴ、小さな声でもできることはあります。どの形なら進められそうか、一緒に考えていきましょう」

恥ずかしさは、気合いで消すものではありません。

今できる形へ小さく変え、声を出せる時間で仕上げる。その設計ができれば、恥ずかしいままでも学習は前へ進められます。

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