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シャドーイングとディクテーションの違い|リスニングにはどっちが効果的?


シャドーイングとディクテーションは、どちらもリスニング力を伸ばすために使われる練習です。

ただ、同じように英語を聞く練習でも、役割はかなり違います。

シャドーイングは、英語の音を聞きながら処理する力を鍛える練習。

ディクテーションは、自分が何を聞き取れていて、何を聞き取れていないのかを確かめる練習です。

そのため、「どちらか一方を選ばなければいけない」と考える必要はありません。

普段はシャドーイングを軸にしながら、聞き取れない箇所を細かく確認したいときだけ、ディクテーションを入れる方法もあります。

ただし、毎回すべての英文を書き取ると、かなり時間がかかります。

細かい確認までは必要なく、音の流れに慣れたいだけなら、ディクテーションよりもマンブリングの方が効率的なこともあります。

3つの練習の違いを、短く整理すると次のようになります。

シャドーイング:英語の音を止めずに追い、処理する力を鍛える

ディクテーション:聞こえた英語を書き、聞き取れていない箇所を特定する

マンブリング:小さな声で音を追い、負荷を抑えながら流れに慣れる

私は英語コーチングスクールで、これまで250名以上の受講生を担当し、3000回以上のシャドーイング音声を聞いてきました。

その中でよく感じるのが、音をなんとなく追えていることと、一つひとつの音を正しく聞き取れていることは、同じではないということです。

シャドーイング、ディクテーション、マンブリングをどう使い分ければ、リスニング練習の効率が上がるのかを整理していきます。

シャドーイングとディクテーションの違いは、「鍛える練習」か「確かめる練習」か

シャドーイングとディクテーションの一番大きな違いは、聞いたあとの動作です。

シャドーイングでは、流れてくる英語を聞きながら、少し遅れて声に出します。

ディクテーションでは、聞こえた英語を文字として書き取ります。

ただ、「声に出すか、文字にするか」だけで分けると、それぞれの本当の役割が見えにくくなります。

シャドーイングは、英語の音を止めずに処理する力を鍛える

実際の英会話やリスニングでは、英語を一文ずつ止めてもらうことはできません。

英語を聞きながら音を捉え、その内容を理解し、次の英語も処理していく必要があります。

シャドーイングでは、流れてくる音声を止めずに追いかけます。

そのため、英語のリズムや強弱、音のつながりに慣れるだけでなく、英語を聞いた順番で処理する練習にもなります。

音を正確に追う練習と、意味を考えながら追う練習を分けることで、リスニングに必要な処理を段階的に鍛えられます。

音に集中する練習と意味に集中する練習の違いは、「プロソディシャドーイングとコンテンツシャドーイングの違い」で詳しく整理しています。

ディクテーションは、聞き取れない音を一語単位で見つける

ディクテーションでは、聞こえた英語を実際に書き出します。

すると、「だいたい聞こえた」では済ませられません。

書けなかった単語や間違えて書いた部分が、そのまま目に見えるからです。

「このあたりが聞き取りにくかった」という曖昧な感覚が、「toが聞き取れていなかった」「2つの単語がつながって別の音に聞こえていた」という具体的な課題に変わります。

もちろん、ディクテーション自体にもリスニングの練習効果はあります。

ただ、主な役割は、英語をリアルタイムで処理し続けることよりも、聞き取れていない部分を細かく見つけることです。

シャドーイングを、実際に走りながらフォームを整える練習だと考えてみてください。

ディクテーションは、走っている様子を動画で止め、フォームのズレを細かく確認する作業に近いです。

どちらも必要ですが、毎回すべての動きを止めて確認していたら、走る練習そのものが進みません。

リスニングにはどっちが効果的?普段はシャドーイングを軸にする

リスニング力を伸ばすためにどちらかを中心にするなら、私はシャドーイングを軸にすることをおすすめします。

実際のリスニングでは、聞こえた英語を文字に変える時間はありません。

音声が流れている間に音を捉え、意味を理解する必要があります。その処理に近い練習ができるのは、シャドーイングです。

ただし、聞き取れていない音を曖昧なまま真似し続けても、効率はよくありません。

音が取れていない部分では、聞こえたような音を適当に再現してしまうことがあります。

その状態で何度も繰り返すと、本人としては言えるようになっていても、実際には正しい音を捉えられていない可能性があります。

ここで、ディクテーションが役立ちます。

ディクテーションで聞き取れない箇所を見つけ、音を確認したあと、シャドーイングで実際の流れの中に戻す。

この関係で考えると、使い分けが分かりやすくなります。

シャドーイング全体の基本的な流れは、こちらで詳しく解説しています。


「聞こえているつもり」の音は、ディクテーションで初めて見える

受講生のシャドーイングを聞いていると、全体としてはかなり上手にできているのに、細かな単語が抜けていることがあります。

本人も英文全体の流れにはついていけているため、「だいたい聞き取れている」と感じています。

ところが、細かく確認すると、実際には聞こえていない音が残っています。

a・the・to・of・forなどの弱い音が抜けている

英語では、すべての単語が同じ強さで読まれるわけではありません。

特に、a、the、to、of、forなどは弱く読まれやすいため、聞き落としやすい部分です。

例えば、次の英文です。

I went to the store.

文字で見ると、難しい単語は一つもありません。

しかし、実際の音声ではtoやtheが弱く読まれるため、ディクテーションをすると「I went the store.」や「I went to store.」と書いてしまうことがあります。

文全体の意味は分かるので、本人は聞き取れたように感じます。

スクリプトを見ながらシャドーイングをしている場合は、聞こえた音ではなく、文字を見てtoやtheを補っていることもあります。

文脈から意味を補うこと自体は、実際のリスニングでも必要です。

ただ、音として認識できていない部分を文字の記憶だけで補い続けると、スクリプトがない場面で聞き落とす可能性があります。

ディクテーションをすると、自分がtoやtheを本当に聞いたのか、それとも文法や意味から補ったのかを確認しやすくなります。

音のつながりを、別の単語として聞いている

英語では、単語と単語がつながり、一つのまとまりのように聞こえることがあります。

文字で見ると簡単な英文でも、音になると単語の区切りが分からなくなることは珍しくありません。

シャドーイングでは、何の単語か分からなくても、聞こえた音をそれらしく再現できる場合があります。

最初の段階では、それでも構いません。音を真似することは、シャドーイングにおいて大切な練習です。

ただし、何の単語なのか分からない状態が続くと、音と意味がつながりません。

そこで一部分だけディクテーションすると、自分がどこで単語を区切っていたのかが見えてきます。

スクリプトを確認して、実際の音を聞き直し、同じ音を自分でも再現する。

ディクテーションでズレを見つけ、シャドーイングでその音を身につけることで、確認した内容が実際のリスニングにつながりやすくなります。

ディクテーションを入れるべきタイミングは3つ

ディクテーションは、シャドーイングをするたびに入れる必要はありません。

細かい確認が必要になったときに使う方が、練習全体の効率を保ちやすくなります。

何度聞いても同じ箇所が曖昧なとき

数回聞いても、毎回同じ部分がぼんやりしている。

スクリプトを見ないと、何と言っているのか想像できない。

このような場合は、その部分だけディクテーションしてみる価値があります。

一文すべてを書く必要はありません。数語だけでも構いません。

書き取れなかった部分が分かれば、スクリプトと照らし合わせて、どのように音が変化しているのかを確認できます。

音は真似できても、何の単語か分からないとき

シャドーイングをしていると、音だけはそれらしく言えているのに、何と言っているのか分からないことがあります。

プロソディに集中している段階では、音を真似すること自体に意味があります。

ただ、その状態のままでは、音と単語、音と意味がつながりません。

聞こえた音を一度書いてからスクリプトと比べると、思っていた音とのズレが分かります。

聞こえていないのか、意味が分からないのか切り分けたいとき

シャドーイング中に意味が入ってこない場合、必ずしも音が聞こえていないとは限りません。

ディクテーションでは正確に書けるのに、英文の意味をすぐに理解できない場合もあります。

この場合、問題は音の認識ではなく、意味を処理するスピードにある可能性があります。

その状態でディクテーションを増やしても、意味理解の問題は解決しにくいです。

音は聞き取れているのに意味が追いつかない場合は、「シャドーイングで意味が入ってこない原因」の方が整理しやすいです。

反対に、意味は分かっているのに口が追いつかない場合も、ディクテーションが必要とは限りません。

シャドーイングで止まっている場所を切り分けたい場合は、「シャドーイングでついていけない理由」も参考にしてください。

マンブリングとディクテーションの違い|速く確認するか、細かく確認するか

聞こえない部分を確認する方法は、ディクテーションだけではありません。

マンブリングでも、音をどの程度追えているか確認できます。

マンブリングは、流れてくる英語を小さな声でぶつぶつと追う練習です。

シャドーイングほど発音を正確に再現しようとせず、口の動きも小さくするため、負荷を抑えながら英語の音の流れを追えます。

音の流れに慣れるだけならマンブリング

音声のスピードについていけるか確認したいときや、シャドーイングに入る前に英語のリズムへ慣れたいときは、マンブリングの方が効率的です。

書く必要がないため、音声を何度も止めずに進められます。

細かい答え合わせまでは必要ないなら、まずマンブリングで十分です。

一語単位で答え合わせするならディクテーション

マンブリングでは、全体の音を追えているかは分かります。

一方で、aやtheまで正確に聞き取れているかを確認するのは難しいです。

小さくそれらしい音を出し、曖昧な部分をそのまま通過することもあります。

本当に細かく確認したい場合は、ディクテーションが向いています。

音の流れを速く確認するならマンブリング。

一語単位で聞き取れているか確かめるならディクテーション。

どちらが優れているかではなく、どこまで細かく確認したいかで選びます。

毎回すべてを書き取ると、リスニング練習の効率が落ちる

ディクテーションは、自分の弱点を見つけるうえで効果的です。

ただし、毎回すべての英文を書き取る必要はありません。

ディクテーションでは、音声を止めて、聞き直して、文字を書きます。

一つの音源を最後まで書き取ろうとすると、英語を聞く時間より、手を動かしている時間の方が長くなることもあります。

リスニング力を伸ばすには、細かく確認する時間だけでなく、英語を流れの中で処理する時間も必要です。

ディクテーションに時間を使いすぎて、シャドーイングする時間がなくなるのは、もったいないです。

また、ディクテーションで書けなかったからといって、必ずしも音が聞こえていなかったとは限りません。

音は聞こえていたものの、正しいスペルが分からなかった可能性があります。

聞いた直後は覚えていたのに、書いている間に一部を忘れた可能性もあります。

スクリプトと比べるときは、正解と不正解だけでなく、なぜ書けなかったのかまで確認する必要があります。

普段のシャドーイングに取り入れるなら、全文ではなく、聞き取れない1文や数秒だけで十分です。

ディクテーションは、すべてを書き取る作業ではなく、必要な箇所に使う拡大鏡のようなものです。

シャドーイングの中にディクテーションを入れる順番

ディクテーションを取り入れる場合も、学習の中心はシャドーイングです。

ディクテーションで終わらず、最後はもう一度、音声を追う練習に戻します。

1.まず音声を聞き、マンブリングで大まかな音を追う

最初に音声を聞き、どの程度内容を理解できるか確認します。

そのあと、マンブリングで音の流れを追ってみます。

大まかに音を追えるのであれば、すべてをディクテーションする必要はありません。

ここで、何度聞いても曖昧な箇所を見つけます。

2.曖昧な箇所だけディクテーションする

聞き取れない部分を短く区切り、聞こえたとおりに書きます。

完璧な英文を作る必要はありません。聞こえなかった部分は空欄でも大丈夫です。

大切なのは正解することではなく、自分がどこまで聞き取れているかを見える形にすることです。

3.スクリプトを見て、弱い音や音のつながりを確認する

自分が書いたものとスクリプトを比べます。

聞き落としていた単語が弱く読まれていたのか。

単語同士がつながっていたのか。

自分が覚えていた発音と、実際の音が違っていたのか。

ここまで確認すると、「なんとなく聞こえなかった」が、「この音の変化を認識できていなかった」に変わります。

4.その箇所を練習し、もう一度シャドーイングに戻る

聞き取れなかった原因が分かったら、実際の音を確認し、同じ音を自分でも再現します。

そのあと、もう一度シャドーイングに戻ります。

部分的には言えても、英文全体の流れに戻ると再び崩れることがあります。

最後は音声を止めず、前後の英語も含めて追いかけてください。

ディクテーションで弱点を見つけ、シャドーイングでその音を流れの中に戻す。

ここまでが一つの練習です。

普段はシャドーイング、曖昧な箇所だけディクテーションで確認する

シャドーイングとディクテーションは、どちらもリスニングに効果があります。

ただし、役割は同じではありません。

シャドーイングは、英語の音を流れの中で捉え、処理する力を鍛える練習です。

ディクテーションは、聞き取れていない音を細かく確認する練習です。

そこまで細かな確認は必要なく、音の流れに慣れたい場合は、マンブリングの方が効率よく進められます。

普段はシャドーイングを中心にする。

大まかな音の確認にはマンブリングを使う。

何度聞いても曖昧な部分だけ、ディクテーションで確かめる。

このように目的を分けると、すべての練習を毎回行わなくても、自分に必要なことへ時間を使えます。

大切なのは、どの練習が一番優れているかを決めることではありません。

今の自分が、音の流れに慣れる必要があるのか、細かな聞き落としを確認する必要があるのかを考える。

そのうえで、シャドーイング、マンブリング、ディクテーションを使い分けてみてください。

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