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「大好評です」では心が動かない。読み手の“納得”を引き出し、説得力を10倍にする“数字”のロジック

業界最高レベルの品質です」
圧倒的な使いやすさを実現しました」
「お客さまから大変ご好評をいただいています」


ネットショッピングや企業のウェブサイトで、こうした言葉が並んでいるのを見たとき、あなたはそれを100%信じて、迷わず“購入ボタン”や“問い合わせボタン”を押せますか?

おそらく、ほとんどの方が「またまた~!」「大げさじゃない?」と、一歩引いて見てしまうはずです。

私たちは普段“買い手”の立場にいるとき、

「最高の〇〇」
「圧倒的に〇〇」
「大人気の〇〇」

といった美辞麗句や形容詞などの“感覚的な言葉”を、無意識に“売り込み文句”として警戒フィルターにかけます

「良いことばかり言っているけれど、裏があるんじゃないか?」と本能的に疑ってしまうのです。

それなのにいざ自分たちが「売り手」の立場になると、不思議なことにこのフィルターは外れてしまいがち。

そして無意識ベースで「弊社のサービスは高品質です」「迅速に対応します」と書いてしまうのです。

少し厳しい言い方をさせていただくと、“感覚的な言葉”は書き手にとって“ラク”な言葉であり、読み手にとっては“不親切”な言葉だと感じています。

お客さまの「警戒フィルター」をはずし、信頼を勝ち取るために必要なこと・・・

それは、美しく飾られた言葉を重ねることではありません。

誰が読んでも根拠として伝わる“数字”という共通言語にデザインする「ひと手間」なのではないでしょうか。

今回は読み手の不信感を払拭して「なるほど、それなら間違いない!」と納得していただくための、数字を使ったライティングの技術についてお話します。



最適なソリューションやテクノロジーを知るだけでは、課題解決や目的達成ができるとは限りません。実践的に活用できる「リテラシー」をnote記事にして提供していきます。


株式会社Lipple 取締役 根本


「感覚的な言葉」は思考ストップのサイン

例えばあなたがデパ地下で、いつもお世話になっている方へ渡すお土産を探しているとします。

無数の商品が並ぶ中でどれにしようか迷っていると、あるお店の店員さんに声をかけられました。

店員A:「こちらのお菓子、とても人気なんですよ」

そう言われても「へえ、そうなのですね」と相槌を打つだけで、購入の決め手にはなりません。

ただ「人気」と言われても漠然としていて、心の中で(本当かな?このお菓子で相手に喜んでもらえるかな?)と迷いが消えないからです。

一方で、別のお店の店員さんはこう言いました。

店員B:「こちらは、一度召し上がったお客さまの9割がリピートされる、当店1番人気のお菓子なんです

そう言われると「それなら間違いない!」と迷わず手を伸ばせるはずです。

ここにある決定的な違いはなんでしょうか?

それは、書き手(伝え手)が「思考」しているかどうかです。

“人気”や“高品質”といった感覚的な言葉は、誰でも使えます。

根拠がなくても自信がなくても「人気です」と言ってしまえばそれっぽく聞こえてしまう便利な言葉です。

しかし、書き手がラクをして選んだ便利な言葉は、読み手にとっては「実体のない霧」のようなもの

ビジネスにおけるライティングにおいて、私はいつも自分自身に問いかけます。

「その言葉は、思考をストップして選んでいないか?」
「言葉を尽くしているようで、実は具体的な事実(数字)を調べる手間を惜しんでいるだけではないか?」

感覚的な言葉から逃げず、具体的な事実と向き合うこと。

その“手抜き”をしない誠実さは、画面の向こうの読み手にも必ず伝わります。


解像度を上げると、信頼が生まれる

画素数が粗い写真はぼやけて見えますが、画素数が細かい写真はリアリティがあり、その場の空気感や温度感まで伝わってきます。

それは文章にも同じことがいえて・・・

数字を使うことで、ぼやけていたイメージがくっきりと結像し、読み手の中にリアリティが生まれるのです。

いくつかの例で、その「解像度の違い」を見てみましょう。

Case 1:経理ソフトの導入効果

× 解像度が低い(感覚的な言葉)
「業務効率が劇的にアップします。多くの企業さまにご満足いただいています。」
(読者の心の声:劇的ってどれくらい?多くの企業って本当?)

◎ 解像度が高い(数字)
「月初の請求書作成にかかる時間が、10時間から5分に短縮されます。継続率は98.7%です。」
(読者の心の声:10時間が5分!?それはすごい。継続率が高いなら失敗しなさそうだ)

Case 2:食品のこだわり

× 解像度が低い(感覚的な言葉)
「厳選された素材を使用し、職人が手間暇かけて作っています。」
(読者の心の声:どこもそう言うよね・・・)

◎ 解像度が高い(数字)
100キロの原料からわずか3キロしか取れない希少部位を使用し、48時間かけて低温熟成させています。」
(読者の心の声:そんなに貴重で手間がかかっているのか。食べてみたい)

Case 3:働きやすさのアピール

× 解像度が低い(感覚的な言葉)「アットホームで働きやすい職場です。社員の定着率も高いのが自慢です。」(読者の心の声:ブラック企業もそう言うんだよなぁ・・・本当かな?)

◎ 解像度が高い(数字)「長く働きたいあなたへ。過去3年間の離職率は0%。平均残業時間は月10時間以内をキープしています。」
(読者の心の声:3年も誰も辞めていないの?それは本当に環境が良さそうだ)

後者のほうが、圧倒的に“情景”や“イメージ”が浮かびませんか?

そしてもうひとつ、数字には重要な効果があります。

それは“数字は嘘をつかない”ということです。

「98.7%」という数字を出すためには、当然ながら測定していなければなりませんし、嘘をつけば景品表示法違反になります。

つまり具体的な数字を出すということは「私たちは自社の成果を測定し、責任を持っています」という、企業の誠実さの証明でもあるのです。

「なんとなく」で誤魔化さない姿勢こそが、読み手の信頼を勝ち取れるのだと私は実感しています。


数字を扱うことは「覚悟」の証

なぜこれほどまでに「数字」にこだわることで差がつくのかというと、数字を使うことが「責任から逃げない」という宣言に他ならないからです。

たとえば、パーソナルトレーナーの言葉で比べてみましょう。

A:「一生懸命サポートします」
B:「3ヶ月でマイナス5キロを目指します」

この2つでは、背負っている覚悟がまるで違います。

Aは、もし結果が出なくても「一生懸命やったのですが・・・」と言い訳ができてしまいます。

しかしBは、結果が出なければ「約束を守れなかった」という事実が残ります。

つまり、逃げ場がないのです。

嘘をついても実態が伴わなければ、すぐにバレてしまいます。

ウェブサイトやパンフレットに数字を載せるということは、企業として退路を断つ行為であり、

「私たちは、この数字に責任を持ちます」
「ごまかしのない本物を提供します」

そう胸を張って言える覚悟が、数字という形になって表れるのです。

読み手であるお客さまは、無意識のうちに「覚悟」を敏感に感じ取ります。

「ここまで言い切るなら、信じてみようか」

そう思っていただけるのは言葉の巧みさではなく、裏側にある企業のスタンス(姿勢)に対してなのです。

プロフェッショナルとして自分たちの仕事に誇りを持つならば、数字で語れない成果はお客さまにとっては「存在しない」のと同じ。

曖昧な言葉に逃げてはならないと思っています。


“感覚的な言葉”を“数字”に変換する3ステップ

私が普段行っている、3つのステップをご紹介します。

Step 1:感覚的な言葉を「禁止」してみる

まず自社のサイトやパンフレットから「豊富」「迅速」「多数」「安心」といった形容詞や感覚的な言葉をピックアップし、それらを一時的に“使用禁止”にします。

すると・・・

「弊社のつよみは、迅速な対応と豊富な実績です」
→「弊社のつよみは、対応と実績です」

これでは魅力が半減してしまいますよね。

あえて言葉を封じることで初めて「あれ?私たちは具体的に何を伝えたかったんだっけ?」と、思考のスイッチが入ります。

脳が必死に事実を探し始める、この「負荷」が重要なのです。

Step 2:「理解」と「抽出」に戻る

感覚的な言葉を使わずに商品の魅力を伝えるには、裏付けとなる情報が必要です。

ここで重要になるのが、ライティングの基本プロセスである「理解」と「抽出」です。

・「豊富」とは、具体的に何種類なのか?
・「迅速」とは、何分以内のことか?
・「多数」とは、何社くらいか?
・「安心」の根拠となる、リピート率や保証期間は?

現場の担当者にヒアリングしたり、過去のデータを掘り起こしたりして、言葉の裏側にある「一次情報(事実)」を探しにいきます。

地道な作業ですが、このひと手間を惜しんでしまうと、言葉に体温が乗りません。

Step 3:相手にとっての「ベネフィット」にデザインする

数字が見つかったら、それをそのまま出すのではなく、相手にとってのベネフィット(未来の利益)にデザインします。

・「在庫数1万点」→「探している部品が必ず見つかる在庫数1万点」
・「レスポンス5分以内」→「業務の手を止まらせない、平均5分以内の即答サポート」

単なるデータの羅列にならないよう「だからあなたにとって良いことがあるのです」と添えてあげるのがポイントです。


数字は「作る」ものではなく「探す」もの

「大企業なら数字が出せるけど、ウチは実績も少ないし、誇れるような数字がない・・・」

そう思われる方もいるかもしれません。

しかし数字は「No.1」や「100万ダウンロード」といった派手な実績だけではありません。

私がおすすめしているのは「プロセス(過程)」を数字にすることです。

① 開発にかかった時間
「構想から3年、50回の試作を経て完成しました」
② 検品の厳しさ
「100項目のチェックリストをすべてクリアしたものだけを出荷します」
③ お客さまへの姿勢
「チャットの返信は、平均10分以内に有人対応で即答しています」

これらは、会社の規模に関係なく、仕事に対する“熱量”や“こだわり”があれば必ず見つかる数字です。

むしろ中小企業やスタートアップこそ、こうした地道なプロセスの数字を出すことで、“実直さ”や“誠実さ”という強力なブランドを作ることができます。

「大人気」とは言えなくても「お客さまのためにこれだけの時間をかけている」と数字で語ることはできるはずです。

ちなみに、こうした「言葉の変換」が、実際のビジネスにどれほどのインパクトをもたらすのか。

「良いものなのに伝わらない」という壁を、言葉の力で突破した3つの実例をこちらで公開しています。ぜひ合わせてご覧ください。↓

「良い商品を作れば、自然と伝わる」

そう信じたい気持ちは、痛いほどわかります。

しかし情報が溢れかえる現代において、曖昧な言葉はノイズとして処理されてしまいます。

「すごくいい」を「リピート率90%」
「すぐやります」を「60分以内の返信」
「こだわりの味」を「開発期間1000日」

このアレンジのひと手間をかけることこそが、選ばれる企業になるための第一歩です。

ただし数字へのアレンジは「伝え方のテクニック」に過ぎないのも事実。

テクニックの前に整えておくのがおすすめな「スタンスの設計」については、こちらもどうぞ。↓

あなたの会社の中にはまだきっと言葉にされていない、けれど確かな輝きを持つ「数字」が必ず眠っています。

それは、開発にかかった膨大な時間かもしれませんし、お客さまを想って繰り返した試行錯誤の回数かもしれません。

そうした“情熱の足跡”を、誰にでも一目で伝わる「数字」という形にして差し出すこと。

これは忙しい現代において、読み手の時間を奪わないための、最大のリスペクトだとも思うのです。

この記事が、会社に眠る素敵な“原石”を見つける、小さなきっかけになれば嬉しいです。

それではまた。

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