コンゴ民主共和国と柔道
前回はベルギーとコンゴの、歴史の話を書きました。
今日は、その同じコンゴ民主共和国で、体験したことを書きたいと思います。
2024年10月、私は柔道家・中村美里さんとともに、コンゴ民主共和国の首都キンシャサを訪れました。
中村さんは、2009年、2011年、2015年の世界柔道選手権で3度の優勝を果たし、北京・リオオリンピックでは銅メダルを獲得した、日本を代表する柔道家です。
目的は、柔道を通じた「国づくり」。
今回の訪問には、いくつかの目的がありました。
一つは、日本の協力によって現地の警察機関へ柔道が導入されて20周年を迎えたことを記念する式典への参加。
そして、現地の警察関係者、競技者、子どもたちへの柔道指導、さらには「中村美里杯」の開催です。
どれも印象深い経験でしたが、今回はその中でも女子選手への指導について書きたいと思います。
コンゴは、実は柔道が盛んな国。
意外に思われるかもしれませんが、コンゴ民主共和国では柔道が広く普及しています。
首都キンシャサには約200の柔道クラブがあり、連盟登録選手は約5,000人、全国では約7,000人規模と推定されています。
その背景には、日本が長年にわたり、警察機関への柔道指導を通じて現地へ柔道文化を根付かせてきた歴史があります。
礼節、規律、そして心身を鍛える武道として、日本の柔道は長く受け継がれてきました。
でも、女子選手の機会は、決して多くなかった。
現地で最も感謝されたことの一つが、女子選手への指導でした。
日本のトップ選手、それもオリンピックメダリストから直接指導を受ける機会。
それは男子選手にとっても貴重ですが、女子選手にとってはさらに限られた機会です。
世界のスポーツは、どうしても男子中心になりがちです。
だからこそ、女子選手が世界最高峰の技術や考え方に触れる時間には、大きな価値があります。
現地の警察機関のトップからも、
「このような機会は本当に素晴らしい」
という言葉をいただきました。
柔道を通じて、人と人、そして国と国との信頼が生まれていく。
コンゴが抱える、光と影。
コンゴ民主共和国は、世界有数の鉱物資源国です。
スマートフォンやEVに欠かせないコバルトをはじめ、多くの重要鉱物が眠っています。
しかし、その豊かさゆえに資源をめぐる紛争が長年続いています。
さらに現在もですが、エボラ出血熱の流行にも繰り返し直面してきました。
豊かな資源が、必ずしも人々の豊かさにつながっていない。
地道な活動が、信頼のルートをつくる。
世界の中でも投資が加速して、争奪戦になるなか、こうしたスポーツ交流の積み重ねが、国と国との信頼を築き、その先の協力やビジネスへとつながる土台になっていく。
派手な投資でも、大きな契約でもありません。
柔道で生まれた信頼。
日本が世界に誇る柔道は、競技力だけではありません。
人を育て、信頼を育てる力も持っています。
それは、日本だからこそ提供できる価値の一つだと思います
これはザンビアの話にもつながる。
この経験から、私は一つ確信したことがあります。
女子スポーツへのサポートは、日本が世界で発揮できる大きな強みの一つである。
男子スポーツが注目される世界の中で、女子選手に機会を届ける。
それも誰でも良いわけではありません。世界トップレベルの指導者と出会える環境をつくる。
まだ多くの国で、その機会は十分ではありません。
だからこそ、私たちがザンビアでつくるサッカーアカデミーでも、男子だけではなく女子サッカーの育成にも力を入れていきたいと思っています。
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