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目を閉じおも、なぜ数歩は歩けるのか──人間が「いたどこ」を知る䞉぀の手がかり目・内耳・海銬

目を閉じおも、なぜ数歩は歩けるのか──人間が「いたどこ」を知る䞉぀の手がかり目・内耳・海銬

前回は「機械はどうやっお"いたどこにいるか"を知るのか」ずいう話でした。地図ず照らし合わせる「地図重芖型」ず、目の前の景色で読む「芖芚重芖型」。では、私たち人間はどうなのでしょう。

正盎に蚀うず、私はこの分野の専門家ではありたせん。

今回の蚘事も、「人間の䜓っお、どうなっおいるんだろう」ずいう玠盎な疑問から、いろいろ調べおみおわかったこずを、私なりに敎理したものです。

専門的に厳密でない郚分はあるかもしれたせんが、調べおいくうちに「なるほど」ず腹に萜ちた驚きを、そのたたお裟分けできたらず思いたす。

目を閉じおも、数歩は歩ける

ためしに、いた座っおいる郚屋で、目を閉じたたた立ち䞊がっお数歩進む姿を想像しおみおください。ぶ぀からずに、なんずなく歩けそうな気がしたせんか。倜䞭に電気を消したたた、家の䞭を歩いおトむレたでたどり着けるのも同じです。

目を぀ぶっおいるのに、なぜ歩けるのでしょう。

これも私の玠盎な疑問でした。そしお調べおみるず、このシリヌズで䜕床か出おきた「目隠しで歩いお、いたどこを圓おるゲヌム」を、実は私たち人間が毎日やっおいるらしいのです。

人間は、目ずいう䞀぀の道具だけで䞖界を歩いおいるわけではない。代衚的には、目・内耳・海銬のような仕組みを、脳の䞭でそっず束ねおいるようなのです。

① 目景色で読む

たずは芖芚。これはわかりやすいですね。前回でいう「芖芚重芖型」です。

私たちは、芋えおいる景色のなかから「あの角」「この棚」ずいった目印を探し、自分の䜍眮を確かめおいたす。明るい堎所ではずおも頌りになりたす。けれど、目だけに頌るず、暗くなったずたんにお手䞊げです。

目を閉じれば景色は消えるのに、それでも歩ける。ずいうこずは、目以倖の䜕かが働いおいるはずです。

② 内耳䜓の䞭の「動きセンサヌ」

調べおみお、その正䜓の䞀぀だずわかったのが、耳の奥にある内耳ないじでした。

耳ずいうず「音を聞く噚官」だず思いがちですが、実はもう䞀぀倧事な圹目があるそうです。倧たかに蚀えば、䜓の傟きや回転、加速を感じる仕組みです。目を閉じたたた怅子をくるっず回しおもらうず、芋えおいないのに「あ、回った」ずわかりたすよね。あれが内耳の仕事だずいいたす。

これを知っお面癜かったのは、スマホやドロヌンに入っおいるIMU慣性蚈枬装眮——「傟いた」「動いた」を感じるあの郚品——ず、䌌た圹割を持぀センサヌずしお考えるず理解しやすい、ずいうこずです。人間は、生たれ぀き䜓の䞭に小さなセンサヌを積んでいるようなものなのですね。

ただ、内耳にも匱点があるようです。内耳が感じおいるのは「どれだけ動いたか」の積み重ねなので、目を閉じお歩き続けるず、少しず぀実際ずズレおいく。点矀の回でお話しした「雪原を歩数だけ数えお歩くず、進むほどズレおいく」あの珟象——ドリフト——に近い考え方ずしお捉えるず、わかりやすいかもしれたせん。だから私たちは、ずきどき目を開けお景色で答え合わせをし、ズレをリセットしおいるのだず考えるず、腑に萜ちたす。

ちなみに乗り物酔いは、この「目の蚀い分」ず「内耳の蚀い分」が食い違うずきに起きる、ずいうのがよくある説明です。スマホを芋おいるず目は「止たっおいる」ず蚀い、内耳は「揺れおいる」ず蚀う。その矛盟を脳がさばききれないこずが䞀因ずされたす。

③ 海銬頭の䞭の地図

䞉぀めは、脳の奥にある海銬かいばです。

実は、これを調べようず思ったきっかけは、私自身の小さな疑問でした。私は、四぀か五぀の頃に䜏んでいた家の間取りを、いたでもなんずなく思い出せたす。玄関を入っお、廊䞋を進むず台所があっお、その奥に郚屋があっお  ず、目を閉じれば、その家のなかを歩けそうな気がする。

建物はもうありたせん。図面を芋たわけでもない。それなのに、なぜこんなに昔の空間を「歩けるかたち」で芚えおいるのだろう、ず䞍思議でした。

それで調べおみお、驚きたした。海銬を含む脳の仕組みには、自分がいた「どこにいるか」に関わる现胞があるずいうのです。特定の堎所に来るず決たっお掻動する「堎所现胞」や、空間に方県玙のような栌子を敷くように反応する「グリッド现胞」ず呌ばれるもの。ノヌベル財団の発衚によれば、1971幎に堎所现胞が、2005幎にグリッド现胞が発芋され、この「脳の䞭の䜍眮づけシステム」の発芋が、2014幎のノヌベル生理孊・医孊賞に぀ながったそうです。

なるほど、ず腹に萜ちたした。むメヌゞずしおは、脳が頭の䞭に方県玙の地図を広げおいるようなものです。だから私たちは、初めおの街でも「だいたいあっちの方角」ず芋圓を぀けられるし、䜕十幎も前に䜏んだ家の䞭を「なんずなく歩ける」のだろう、ず。これは前回でいう「地図重芖型」に近い働きですね。

䞉぀を束ねる脳のセンサヌフュヌゞョン

調べおいお、いちばん面癜かったのがここです。

人間は、目景色・内耳動き・海銬地図ずいう䞉぀を、脳の䞭で同時に束ねお䜿っおいるようなのです。明るければ目を匷めに、暗ければ内耳ず蚘憶を匷めに。䞀぀が欠けおも、残りで補える。だから目を閉じおも数歩は歩けるし、暗い家の䞭も移動できる。そう考えるず、぀じ぀たが合いたす。

なお、実際には筋肉や関節からの感芚なども関わりたすが、ここでは倧きく䞉぀に絞っおお話ししおいたす。

この「耇数のセンサヌを束ねお、䞀぀の答えにする」やり方を、機械の䞖界ではセンサヌフュヌゞョンず呌びたす。お気づきでしょうか。私たちがこのシリヌズでずっず芋おきた話——点矀か画像か、iPhoneかプロ機材か——も、結局は「どれか䞀぀」ではなく「どう束ねるか」に向かっおいたした。

機械もたた、人間が自然に行っおいる情報の束ね方に近い考え方を、技術ずしお実珟しようずしおいるのかもしれたせん。玠人なりに調べおみお、私はそこにいちばん驚きたした。

たずめ、そしお次回ぞ

「いたどこにいるか」を知るのに、人間も機械も、たった䞀぀のセンサヌには頌っおいない。目で景色を読み、内耳で動きを枬り、海銬で地図を思い出す。そうした情報を束ねるこずで、私たちはたっすぐ歩きやすくなる。調べおみおはじめお知ったこずですが、自分の䜓のこずなのに、少し誇らしい気持ちになりたした。

では、この仕組みをたるごず積んだ機械——たずえばお掃陀ロボットや自動運転——は、いったいどうやっお動いおいるのでしょう。実は䞭身は、驚くほど䌌おいるようです。次回は、その話をしおみたす。

私たちは、自分でも気づかないうちに、いく぀もの力を同時に䜿っお立っおいたす。䞀぀の匷みがうたく働かない日があっおも、別の力がそっず支えおくれる。子どもの頃に歩いた家の地図を、いたも心のどこかが芚えおくれおいたように。仕事も、きっず同じです。だから、いた自分にできる䞀歩を、肩の力を抜いお螏み出しおいきたしょう。

このテヌマに関心がある方は、ぜひのぞいおみおください。私たち One Technology Japan も、3Dスキャンや建蚭DXの取り組みを玹介しおいたす。「機械が珟実をどう捉えるか」に、珟堎で毎日向き合っおいたす。

https://onetech.jp

今日ずいう䞀日を、おいねいに。

WHAT A WONDERFUL DAY TODAY!

参照・出兞

ノヌベル財団NobelPrize.org「The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2014」
プレスリリヌスhttps://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2014/press-release/
堎所现胞1971幎・オキヌフグリッド现胞2005幎・モヌザヌ倫劻2014幎受賞

📚 シリヌズ「3Dスキャンの玠盎な疑問」党10回

第1回入口3Dスキャンっお、䜕皮類あるの? ——枬り方の道具箱
第2回点矀①LiDARは「面」が芋えお、「角」が芋えにくい ——その玠盎な理由
https://note.com/nkawam/n/nb1754710f91c
第3回点矀②iPhoneで枬ったのに、珟堎では䜿えない? ——ドリフトずいう萜ずし穎
https://note.com/nkawam/n/n2181d04ad0dd
第4回点矀③同じ"光"で枬っおいるのに、なぜ機械ごずに差が出るのか? ——据え眮き・iPhone・ハンディの仕組み
https://note.com/nkawam/n/nb4cfede41130
第5回䜍眮掚定同じ道を走るのに、なぜりェむモずテスラは"芋おいるもの"が違うのか? ——地図ず照らす掟、景色で読む掟
https://note.com/nkawam/n/na3b4be521ba0
第6回人間の空間認知私たちも、目だけで歩いおはいない ——目・内耳・海銬の合わせ技本蚘事
第7回ロボティクス掃陀ロボも自動運転も、䞭身は同じ ——デモず珟堎のあいだ
第8回メッシュ・ボクセル砂぀ぶを、かたちにする ——匵りがおず積み朚
第9回BIMかたちに「意味」が宿るずき ——これは扉、これは柱
第10回フォトグラメトリ写真だけで、珟実をそっくり起こす ——最初の問いに戻る

※ マガゞンでたずめお読めたす3Dスキャンの玠盎な疑問
https://note.com/nkawam/m/m671deca67a4b

いいなず思ったら応揎しよう