【🎨展覧会レポ】秋田市立赤れんが郷土館「勝平コレクションでみる<福を呼ぶ 中国版画の世界>」「秋田の自然と風俗<農村へのまなざし>」ほか
【#315、約3,700文字、写真約45枚】
秋田市立赤れんが郷土館(以下、赤れんが郷土館)に初めて行き「勝平コレクションでみる<福を呼ぶ 中国版画の世界>」「秋田の自然と風俗<農村へのまなざし>」などを鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。
▶︎ 結論
秋田市に来た際、時間があれば寄っても良い場所だと思いました。それは主に、1)アートに興味がある人には「勝平得之記念館」が楽しい、2)秋田の歴史を興味をもって学べる、3)値段が格安(310円)なためです。ただしネックは、秋田駅から若干遠いことに加え、シャビーでハコモノ感が強い点でした。
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:①「勝平コレクションでみる<福を呼ぶ 中国版画の世界> 前期」、②「秋田の自然と風俗<農村へのまなざし>」
場所:秋田市立赤れんが郷土館
会期:①②とも令和7年12月20日(土曜日)〜令和8年3月1日(日曜日)
休館日:年末年始
開館時間:午前9時30分から午後4時30分まで
住所:秋田県秋田市大町3丁目3−21
アクセス:秋田駅から徒歩約20分
入場料(一般):310円
事前予約:ー
所要時間:約1時間半
撮影:関谷四郎記念室、勝平得之記念館以外は撮影可
巡回:ー
URL:こちら、こちら
▶︎ 訪問のきっかけ

秋田旅行として、秋田市立千秋美術館、秋田県立美術館に行きました。その後「もう美術館的なものは近くにないかなぁ…」とネットで検索するると、秋田市立赤れんが郷土館を見つけました。HPを見ると、展覧会をしているらしい。そこで、赤れんが郷土館まで歩いて向かいました。
▶︎ アクセス

秋田駅から赤れんが郷土館へは徒歩約20分。秋田県立美術館から赤れんが郷土館へは歩いて約10分でした。また、赤れんが郷土館から宿泊予定だったアキタパークホテルは徒歩約15分と好都合でした。

▶︎ 秋田市立赤れんが郷土館とは?

赤れんが郷土館は、赤れんが館、新館(管理棟)、収蔵庫の3つで構成。また、分館として、赤れんが郷土館から徒歩約5分の立地に、秋田市民俗芸能伝承館(愛称・ねぶり流し館)もあります(共通観覧券あり)。


「赤れんが館」は旧秋田銀行本店として1912年に完成した建物です。1994年に、重要文化財に指定されました(建築2307号)。

1981年に秋田市に寄贈、修復をへて、1985年に「赤れんが郷土館」として開館しました。人間国宝の作品などを展示する「関谷四郎記念室」も併設しています。「新館(管理棟)」の2階には企画展示室、3階には「勝平得之記念館」が同居しています。


なお、館内には人が少なく、寥々とした雰囲気が漂っていました。
✔️ 赤れんが館

入ってすぐの「赤れんが館」には、旧営業室、旧頭取室、旧書庫、旧金庫室、旧貴賓室などで構成されています。設計に携わった建築家は、赤坂離宮の建築にも参加したそうです。
▼ 迎賓館赤坂離宮の感想




施設のドアを開けたら、いきなり営業室なのは意外でした。一般的な銀行であれば、最初は待合室やロビーがあるためです。
しかも、建物の中に部屋が少ないこともびっくり。本当に、ここで銀行業を運営できたのか疑問でした。従業員の休憩室は?メール室、給湯室、印刷室、会議室はどこに…?まるでモデルルームのような不思議な間取りだと感じました😅








旧金庫室では、秋田市のプロモーション映像が流れていました。私には時間がたっぷりあったため、15分すべて見ました(笑。まるで社会見学に来たような気分でした。

2階の旧会議室には、人間国宝の「関谷四郎記念室」があります(撮影不可)。鍛金家といって、一枚の金属を叩き、磨き、結合させて器をつくることを生業としていました。中でも、製造工程の展示が興味深かったです。
関谷四郎や版画家・勝平得之の作品は、旧・秋田市立美術館から秋田私立千秋美術館に移転した際、赤れんが郷土館に移動したそうです。


館内には、ふんわりオイルヒーターの匂いがしました。子供の頃、家族でスキー旅行に行った思い出が蘇りました。
✔️ 新館(管理棟)

赤れんが館の1階と、新館(管理棟)がつながっています。そこでは展覧会を2つ開催していました。観覧券の確認はありませんでした。



◾️ 「勝平コレクションでみる<福を呼ぶ 中国版画の世界>」感想


版画家・勝平得之が集めた中国の版画作品の展覧会です(全38点)。


「中国人観光客のための旧正月を意識した展覧会?2026年の旧正月は2月17日なので、気が早くないか?」と思いました(訪れた当時は、2025年12月)。しかし、展覧会の会期は後期も合わせると、5月10日までの開催のため、私の心配は杞憂でした。



この作品群を見ている時点で、私は勝平得之のことを知らなかったため「なんでこれを集めたんだろう?物好きな人やなぁ」と感じました。まず3階で、勝平得之のことを知ってから、2階でこの展覧会を見ると、感じ方も違ったかもしれません。
そのため、1階ロビーには順路として、まず3階をオススメとして示していただけると、なお良いと思いました。

子ども達が科挙の試験に1番で合格し、
官位に上り、富を得る意味が込められているそう
長寿や多産、豊穣を願うのは、どの国も共通していると思います。ただし中国では、科挙で1番の合格を祈念する絵があるなど「蓄財」にも重きを置いている点が特徴的だと感じました。今も昔も、超学歴社会の中国。



犬種は何だろう?
絵の中にいるワンちゃんの多くは、頭頂部が白かったため「侍の月代みたいに、髪をむしられたのかな?かわいそう…」と思いました。しかし、後で調べると、そこだけ毛が白いだけでした(安心。

◾️ 「秋田の自然と風俗<農村へのまなざし>」感想

3階には「勝平得之記念館」があります(「館」というより「室」でした)。展示室内には、彼が使用していた器具や、木彫り作品も並んでいました。
勝平得之は、紙漉き業の長男として生まれました。竹久夢二の絵に惹かれたことから、20歳から独学で版画を学び、大成した秋田市生まれのアーティストです(本名は勝平徳治。1904年〜1971年)。棟方志功とも交流があったそうです。
▼ 棟方志功の常設展がある青森県立美術館
勝平得之は、秋田のモティーフを使い、秋田を離れず、制作を続けました。また、絵、彫り、摺りの3工程を1人で行うことを理念にしていたそうです。例えば、本の執筆などにライターを使わないようなものでしょうか。
初期作品を見ると単色刷りが多かったです。しかし、年月をへるごとに、多色刷りに移行していきます。色が1つなら版も1つで済みます。しかし、多色なら複数の版が必要になります。作品の方向性によって、作業量が大きく変わると思いました。
例えば、大作2枚に4年、小作12枚の連作にも4年かかったと展示に説明がありました。1度、版を作れば量産できる側面があるものの、版画はコストがかかるアートだと感じました。印刷技術が発展した現在、わざわざ木版画を用いるアーティストは大きく減ったと思います。

人が描き、彫り、摺るからこそ、分析できない味わいや温もりが生まれます。これは「民藝」にも通じると思いました。
▼ 民藝に関する展覧会の感想
また、版画の題材として、秋田の農作業がよくマッチすると思いました。勝平得之の版画は、アートという側面に加え、古き良き秋田の風景や風俗を残した貴重な資料とも言えます。
今では珍しい秋田の風景と版画。今後も、勝平得之の作品は貴重なポジションを高めていくのかな、と思いました。
赤れんが郷土館で「展覧会を見る」をいう側面では、私にとって「勝平得之記念館」が最も価値がありました。翌日訪れた、秋田県立近代美術館にも彼の作品が展示されていたことに加え、その隣接する秋田ふるさと村には、彼の作品を模したステンドグラスもありました。

私が秋田に来て、秋田出身(秋田に関係がある)アーティストとして、特に記憶に残ったのは、勝平得之、三浦明範、藤田嗣治でした。
▶︎ まとめ
いかがだったでしょうか?「赤れんが郷土館」と聞いて、アートはあまり関係がないと思う人は多いと思います。しかし、秋田で重要な版画家・勝平得之の常設展を見られたのは貴重でした。秋田市に観光に来た際、優先順位は低いものの、時間があれば、寄っても良いスポットだと思いました。
▶︎ 今日の美術館飯

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