食べないよって言えばよかった
わが家には、柴犬の男の子がいる。
「散歩が大好き!」というタイプではないけれど、
用を足すため、散歩は毎日の欠かせない日課である。
散歩中は、
拾い食いをさせないようにとか
車の通りに気をつけなきゃとか
他のわんちゃんに迷惑をかけないように
などなど、
気をつける事柄や注意しながら進まなければいけないことがたくさん潜んでいる。
そんな中のひとつの困りごととして、
「そのへんに生えている草を食べてしまう」
という問題がある。
胃の調子を整えるために食べているから大丈夫という説もあると聞いたことはある。
けれど、うちの柴さんは草を食べると
翌朝に吐いてしまったりする。
苦しそうに吐く姿は何度見てもおろおろしてしまう。
そのへんの草に除草剤が撒かれている可能性だってある。だから、むやみやたらに食べて欲しくはない。
さらに、次の日のうんちの時に草が一緒に出てくることもある。
うまく出せればそれでいいのかもしれない。
けれど、そううまくはいかない。
こう門から、草だけがぷらーんと出て
途中で残ってしまうことがある。
そして、柴さんは
草がぶら下がったかわいいおしりをわたしに向けて、
「草取って?」と言ってくるのだ。
わたしは「草引っ張り係」に任命され、
ぴーっと、草を引っこ抜く。
こう門の草を引っこ抜けた時、
結構気持ちよかったりする。
柴さんも引っこ抜かれた時はうれしそうにしている。
しかし、だからと言って、
「なら、いいか」とはならない。
心配ごともあるし、後で大変になるから、
飼い主としては草を食べて欲しくないのだ。
なので、散歩中に柴さんに伝え続けた。
飼い主は目を光らせ、草を食べそうになったら、
「草、食うなよ!」と教える。
すると、柴さんは賢いのでちゃんと覚えてくれた。
「草食うなよ」と言えば、食べずにいてくれる。
これでもう、柴さんが草を食べてしまう問題は解決されたように思えた。
しかし、問題は柴さんではなかったのだ。
柴さんのお気に入りの草は
たいてい公園に生えている。
公園には子供たちがいる。
親たちもいる。
散歩でいつも顔を合わせる人たちもいる。
そんな中、
「草食うなよ」と言う自分。
いや、言葉遣い!
最初は、柴さんにどうしても草を食べて欲しくなくて焦っていたのだと思う。
焦る気持ちのまま、伝えていた言葉だった。
そして、
伝わるようになったから使い続けている、
「草食うなよ」という言葉。
これって、第三者が聞いたら、
「あの人、犬にめっちゃ口悪いな…」
と思われてしまうのでは?
それは恥ずかしい。
だから人がいると、
「…クサ、クウナヨ…」
と小声になってしまう。
しかも、実はこれ、
柴さんが狙った草ごとに言わなくてはならないのだ。
ひと草目に言った「草食うなよ」は
ふた草目には効果がないため、
もう一度「草食うなよ」と言わなくてはならない。
という謎ルールがある。
したがって、
柴さんの好物の草がたくさんある公園では
「草食うなよ」を連発しなければならないのだ。
でも、人がいると小声になる飼い主。
小声にすると
柴さんへの指示としての威力が落ちてしまう。
なんなんだ、このジレンマは。
そして、今になって気づいた。
最初から「食べないよ」って教えておけばよかった、
ということに。
「草食うなよ」ではなく、
「草は食べないよ」とか、
「食べちゃだめだよ」とか。
こんな所で、口の悪さが悪さしてくるなんて。
しかし念のため、
ここで言い訳をさせてもらいたい。
口が悪くない時だってあるのだ。
柴さんが覚えてる言葉の中には
「お菓子食べる?」とか
「ねんねしよっか」とか
かわいいやつもあります!
それだけは伝えておきたい。
柴さんは、言葉は覚えてくれる。
だからこそ、
最初にどんな言葉を教えるかって大事だった。
でも、
もう柴さんは「草食うなよ」を覚えてしまった。
今さら「食べないよ」に変更するのも、
なんだかちょっぴり申し訳ない。
わたしの口の悪さを、
柴さんはもう完全に学習済みなのである。
だからこれからも、柴さんには、
人前では
「草食うなよ…」と小声で言い続けるしかないのだ。
食べないよって言えばよかった。
おわり。
エッセイしりとり
今回は【エッセイしりとり】という企画で、
お友達のこまちさんからバトンを受け取り、
書かせてもらいました。
「タイトルでしりとりをしていく」というルールで、
こまちちゃんから受け取った、【た(だ)】から始まるタイトルでエッセイを書きました。
バトンを受け取るのも
タイトルでしりとりをする一員になれたのも
初めてのことだったので、とても貴重で楽しい経験になりました。
こまちちゃん、ありがとう!
企画を主催されているのは、マイキーさんです。
マイキーさん、
参加させていただきありがとうございます!
エッセイしりとりのルール
①エッセイのタイトルでしりとりをしていきましょう。
バトンを回してくれた人の記事タイトルの最後の一文字を受け取り、その文字から始まるタイトルでエッセイを書いてください。
※わたしのタイトルは
『食べないよって言えばよかった』なので、
次の方は【た】ではじまるタイトルをお願いします。
②「#エッセイしりとり」を付けて下さい。
③可能であれば、バトンを2名にまわすそうです。
④忙しかったらパスでも勿論OKです。
⑤文字数は、140〜3,000文字程度だそうです。
⑥期間は2026年8月12日〜8月31日23時59分までです。
マイキーさんとこまちさんの言葉をお借りしました。
ありがとうございます。
より詳しいルールは
主催のマイキーさんの記事をご覧ください。
というわけで、
わたしもバトンを次の方へまわしたいと思います。
みけこさん
いつも「わたしのことですか?」と思わせてくれる文章を書いてくれるみけこさん。
言葉のチョイスがとても大好きで、わたしがうまく言葉に出来ないことを表現してくれます。
そんなみけこさんへバトンをまわしたいと思いました。
コノサキユキさん
ユキさんも、文章の表現がとても大好きで、ユキさんの見てる世界や日常のあれこれをおもしろおかしく書いてくれるのでいつも楽しみにしています。
わたしには書けない表現をしてくれるユキさんへバトンをまわしたいと思いました。
期限が31日までと、少し迫ってきているので、
まわすかどうか迷いましたが、一緒に企画を楽しめたらいいなの気持ちでまわさせていただきました。
驚かせてしまったかもしれません。
もしタイミングが合えば、
気軽に一緒に楽しんでもらえたらうれしいです。
お忙しかったり、難しそうであれば、
もちろん気にせず、パスしてくださいね。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
それでは、また。

いいなと思ったら応援しよう!
お読みいただきありがとうございます🕯
そのあたたかさが、また次のことばを灯す力、わたしの書く力になります。
これからも一緒に素敵なあかりを灯せたらうれしいです。