昭和、男もつらかった(番外)軍歴を辿る36 恩師のご尊父(13)
熊本出身の恩師の、戦死されたご尊父の軍歴を探すお手伝いをしている。熊本県庁に軍歴資料を請求する前にご尊父の除籍謄本を取得するため、戸籍があった(現)K市へ除籍謄本の代理請求を行った。そろそろ除籍謄本が届くかと期待していたタイミングで来たK市からの電話は内容確認。追加情報を伝えてさらに待つことに…というのが前項(12)まで。
電話から5日ほど経った週明け。外出前に郵便受けを覗いたら、わたし宛の封筒があった。三つに折った跡のある茶封筒は、返信用封筒としてK市へ送ってあったものだ。
ついに除籍謄本が届いた! とりあえず封筒をかばんに入れる。出先で時間があるときに見てみよう。でも…なんだか「薄い」。ちょっと嫌な予感もする。まさか「書類不備につき請求は却下されました」という通知とか!?
手が空いたタイミングで、封筒の下側、糊が甘い部分を剥がして開封する。ハサミがないときによくやる方法だ。中の書類を取り出して広げる。
「えっ…」。――表れたのは、ご母堂の除籍謄本だった。小為替にして送った交付手数料750円のレシートが、ぱらりと落ちた。K市の規定どおり小為替にして送った交付手数料750円のレシートが、ぱらりと落ちた。
頭がぐらぐらする。なんで? 戦時中に亡くなったご尊父の戸籍は戦災で焼失したとか?(そういうケースもあると聞いている)謄本には「夫」つまりご尊父の死亡(年月日も)は記載されているし、軍歴請求に必要な「軍人(父)と請求者(子である恩師)」の関係もわかる。が、ご尊父本人の生年月日と死没時の戸籍登記地はわからない。これでは県庁に送れないだろう……たぶん。
帰宅後、請求時に送った書類のコピーを(再び)取り出し、K市市民課に電話した。
「お願いした除籍謄本が本日届きまして、ありがとうございました。でも、欲しかった方(かた)のではないんですけど…」
「えっ! 交付日はいつですか? 調べます」
交付日を答え、「調べるのにお時間がかかるかもしれないので、あとでもう一度かけますが」と伝えたら、「こちらからかけます」とのこと。待つことしばし……。
電話がかかってきた。取り損ねたので結局掛け直す。市民課はけっこうな数の職員がいるようで、さっきの人にすぐにはつながらない。しばらく待って電話に出たのは、前回電話で問い合わせて来た男性だった。「あ、先週の…」「はい。違ってましたか?」というやり取りのあとわかったのは……。
わたしが参考情報として伝えたご母堂のお名前が、ご尊父の没後新しく作った戸籍の筆頭者になっていたため、そちらの戸籍の(除籍)謄本を交付した、請求書に記入した「父と長男の関係がわかるもの」という条件も満たしていたから、とのこと。
「必要なのはご尊父が死没されたときの除籍謄本です、当時の戸籍はないのでしょうか」とわたしは食い下がった。((14)へ続く)
