本当に優しい人は、嫌われる覚悟を持っている
「あの上司、苦手だったな」
そう思い出す人が、誰にでも一人くらいはいるのではないでしょうか。
「なぜ自分だけ、こんなに言われるんだろう」
「もう少し優しく言ってくれてもいいのに」
当時の私は、厳しい言葉を素直に受け止めることができませんでした。
でも、不思議なもので、時間が経ち、自分自身が経験を重ねるほど、当時とは違う景色が見えるようになります。
あの言葉の裏には、怒りではなく期待があった。
あの厳しさの奥には、見捨てるのではなく、信じてくれていた想いがあった。
社会人になって10数年が経ち、保険営業として、多くのお客様や経営者の方と向き合う中で、仕事への向き合い方も、人との接し方も少しずつ変わってきました。
その中で、何度も思い出す人がいます。
前職のウェディングプランナー時代にお世話になった上司、松元チーフです。
正直、あの頃は、分かりませんでした。
なぜそこまで厳しく向き合ってくれたのか。
なぜ何度も諦めずに伝え続けてくれたのか。
でも今なら、分かります。
本気で向き合ってくれる人がいたことは、当たり前ではなかったのだと。
もし、あの時の自分に会えるなら伝えたい言葉があります。
「その言葉を、もっと素直に受け取りなさい。」
そして今、松元チーフに伝えたい。
「あの時、本気で向き合ってくれてありがとうございました。」と。
社会人1年目。私は完全に調子に乗っていた。
私はもともと営業職を希望していました。
ところが配属されたのは、ウェディングプランナー。
正直、「自分がやりたい仕事ではない」と不満を抱えたまま社会人生活が始まりました。
ところが、最初に担当したお客様がいきなり成約。
「自分には才能があるのかもしれない。」
今思えば、完全な勘違いでした。
その後は思うように成果が出ず、お客様から担当変更を希望されることもありました。
仕事もうまく回らない。
周囲からのアドバイスにも素直になれない。
「自分と合わない」と感じた人とは距離を置く。
振り返ると、本当に未熟な社会人だったと思います。
そんな私と真正面から向き合ってくれたのが、松元チーフでした。
「感じが良い」だけでは仕事はできない
私は昔から、人当たりの良さだけは評価されてきました。
笑顔で接することは得意ですし、初対面の人ともすぐに打ち解けられます。
しかし、仕事はそれだけでは成り立ちません。
ある日、結婚式で大きなミスをしてしまったことがありました。
私は先輩に対して、友達へ頼み事をするような感覚で軽く謝り、協力をお願いしました。
すると松元チーフに厳しく叱られました。
「お願いの仕方が違う。」
当時の私は、「ちゃんと謝っているのに、何が悪いんだろう。」
そう思っていました。
でも今なら、その言葉の意味が分かります。
お願いとは、相手の時間や労力をいただくこと。
だからこそ、敬意や感謝は言葉だけでなく、態度にも表れなければいけない。
松元チーフは、仕事のやり方ではなく、人としての在り方を教えてくれていたのです。
松元チーフは、仕事以上に「人」を見ている
松元チーフを一言で表すなら、「情に厚く、理論的な人」です。
仕事中は本当に厳しい人でした。
だから正直、好き嫌いは分かれると思います。
それでも、不思議と「この人のために頑張りたい」と思わせる魅力がありました。
仕事が終わると、一緒に駅まで帰ることもありました。
厳しく叱った後でも、何気ない会話で心をほぐしてくれる。
頑張った時には、きちんと褒めてくれる。
飴と鞭の使い方が本当に上手な人だったのです。
だから厳しさだけが残ることはありませんでした。
「見捨てずに向き合ってくれている。」
そんな安心感が、いつもありました。
「できない」ではなく、「どうすればできるか」
松元チーフが何より大切にしていたのは、お客様ファーストの姿勢でした。
当時の会社は、自由度の高い結婚式を売りにしていました。
それでも現場では、「前例がないのでできません」と断る場面も少なくありませんでした。しかし松元チーフは違います。
新郎新婦の夢を叶えるために、「どうすれば実現できるか」その一点だけを考えていました。
一見すると難しい要望でも、最初から諦めない。
できない理由ではなく、できる方法を探す。
その姿勢を何度も目の当たりにしました。
気づけば、その教えは受け継がれていた
保険営業になって10年以上経った今。
この記事を書いていて、ふと気づいた事があります。
知らず知らずの内に、松元チーフが大事にしていたマインドが染み込んでいた事を。
保険も結婚式も、正解は一つではありません。
守りたいものも、叶えたい未来も、抱える不安も、人それぞれ違います。
だから、まずは話を聞く。
こちらの型にはめるのではなく、一緒に答えを探していく。
それが、今の私の営業スタイルになっています。
当時は反発していた教えが、いつの間にか自分の仕事の土台になっていたのです。
あの頃は嫌だった。でも、今は感謝しています。
社会人になったばかりの頃は、厳しい上司が苦手でした。
できれば、優しい人についていきたいと思っていました。
でも今は違います。
本当に優しい人とは、ただ甘やかす人ではありません。
相手の未来を考え、嫌われる覚悟を持ってでも伝えるべきことを伝えられる人です。
もちろん、厳しければ良いわけではありません。
相手への敬意があり、成長を願う気持ちがあるからこそ、その言葉には価値があります。
松元チーフは、まさにそんな上司でした。
人生には、その瞬間には意味が分からない出来事があります。
でも時を重ねることで、それが自分を支える大切な贈り物だったと気づく瞬間があります。
あの頃は分からなかった。でも今だから分かる。
あの厳しさの中には、確かな愛情がありました。
最後に
松元チーフとは、以前のように頻繁に連絡を取り合うわけではありません。それでも、SNSを通してご活躍を拝見するたびに、心の中でいつも応援しています。
松元チーフは現在、フリーのウェディングプランナーとして東北地方を拠点に活躍されています。
当時と変わらず、新郎新婦の夢に寄り添い、「どうすれば実現できるか」を何より大切にしながら、一組一組にとって唯一無二のウェディングをつくり続けています。
この記事を書きながら、当時のことを懐かしく思い出すと同時に、「またお会いして、これまでのことや、これからの未来についてゆっくり語り合えたら嬉しいな」と自然と思いました。
私に多くの学びを与えてくださった松元チーフへの感謝を込めて。
そして、こんなにも素敵な想いで人の人生に寄り添い続けているウェディングプランナーがいることを、一人でも多くの方に知っていただけたら嬉しく思います。
保険営業マン 宮崎 将哉
