MVP ARCHIVE CIVILIZATION | ORDER : Code of Hammurabi / ハンムラビ法典 - 「法を記録し、公に示した」人類最古級の法典

MVP ARCHIVE CIVILIZATION > ORDER : Code of Hammurabi / ハンムラビ法典 - 「法を記録し、公に示した」人類最古級の法典

ハンムラビ法典 - 「法を記録し、公に示した」人類最古級の法典
紀元前18世紀頃、古代メソポタミア では多くの都市と国家が興亡を繰り返していた。
その中でバビロンを中心に勢力を拡大し、広大な領域を支配した王が ハンムラビ( Hammurabi )である。
彼の時代に編纂された ハンムラビ法典( Code of Hammurabi )は、古代世界を代表する成文法典の一つとして知られている。
しかし、その重要性は「 古い法律が石に刻まれている 」ことだけではなく、拡大した国家をどのような規則によって統治し、人々の財産・家族・商取引・労働・犯罪・責任を整理するのかという、文明が複雑化した社会を制度によって管理しようとした姿が残されている。
バビロンとハンムラビ
ハンムラビ は、古バビロニア王国第6代の王である。
即位当初のバビロン は メソポタミア に存在する複数の勢力の一つだったが、ハンムラビ は周辺地域へ支配を拡大し、メソポタミア 南部を中心とする広い領域を統治するようになった。
国家が拡大すれば、異なる都市、身分、職業、土地、商業活動を一つの統治構造の中で扱う必要が生まれる。
農地の管理、商品の取引、借金、賃金、婚姻、相続、建築、医療、犯罪。
社会が複雑になるほど、争いを処理するための基準も複雑になる。
ハンムラビ法典 は、そのような社会を背景として成立した。
石碑に刻まれた法
ハンムラビ法典 を伝える最も有名な史料は、高さ約2.25メートルの黒色の石碑である。
上部には、王ハンムラビ が 正義と太陽の神シャマシュ の前に立つ場面が刻まれ、その下に楔形文字で長大な文章が記されている。
法典 は大きく、序文 → 法規定 → 結語 という構成を持つ。
一般に282条として整理されており、現存部分からは当時の社会生活の非常に広い領域を知ることができる。
社会で起こり得る具体的な問題について、「 もし○○が起きたなら、○○とする 」という形で判断基準を示している。
個々の事件だけを見るのではなく、同じ種類の問題に適用できる規則を示す構造である。
「目には目を」
ハンムラビ法典 を象徴する言葉として知られているのが、「 目には目を、歯には歯を 」という同害報復の原則である。
相手の身体に重大な損害を与えた場合、加害者にも対応する損害を科すという考え方が一部の条文に見られる。
ただし、法典 全体がこの原則だけで構成されていたわけではない。
罰金、財産の返還、死刑、身体刑など、行為によって異なる処罰が定められ、さらに、同じ行為でも当事者の社会的身分によって処罰が異なる場合があった。
現代の「 すべての人間が法の下で平等 」という法体系とは大きく異なる社会だったことも、法典 そのものから読み取ることができる。
社会そのものを記録した法典
ハンムラビ法典 が扱う範囲は非常に広い。
土地や農業、灌漑設備、商取引、債務、預金、賃貸、婚姻、離婚、相続、養子、奴隷、医療、建築、賃金などについて規定が存在する。
たとえば建築では、建築した家が倒壊して住人を死亡させた場合の責任が規定されている。
医療についても、治療の結果や患者の身分などに応じて報酬や責任が定められており、関係を含め、社会を構成するさまざまな関係を規則によって整理しようとする統治構造である。
法と王権
ハンムラビ法典 は、現代的な意味で王の権力を制限する憲法ではない。
法を制定し正義を実現する存在として、王自身が中心に置かれている。
石碑上部に神と王が描かれていることも、法・宗教・王権が密接に結びついていた古代社会の統治観を示している。
一方で、統治の内容が文章として示されたことには重要な意味がある。
何が違反なのか、どのような責任が発生するのか、財産や契約をどう扱うのか、それらが記録された規則として社会に提示された。
統治は、王がその場で判断するだけのものではなく、文章化された基準を持つものへと発展していた。
ハンムラビ法典は出発点ではない
ハンムラビ法典 は長く「 世界最古の法典 」と紹介されることがあった。
しかし、それ以前にも ウル・ナンム法典 などの成文法が存在している。
つまり、ハンムラビ法典 は突然生まれた発明ではなく、メソポタミアでは数世紀にわたり、行政記録と法文化が蓄積されていた。
法が社会の構造を映す
ハンムラビ法典 を見ると、現代からは厳しく、不平等に見える規定も多い。
しかし 法典 は、その時代の価値観だけを記録したものではない。
そこには、どのような社会が存在し、その社会が何を守ろうとし、何を問題としていたのかが刻まれている。
文明が複雑になるほど、社会を維持するための規則もまた複雑になる。
ウル・ナンム法典 から始まった 古代メソポタミア の法文化は、ハンムラビ法典 でより広範な社会制度として姿を現した。
それは、人間が大規模な社会を「 力 」だけではなく「 規則 」によって維持しようとしていた痕跡でもある。
Archive Data
名称 : Code of Hammurabi|ハンムラビ法典
成立 : 紀元前18世紀頃
地域 : 古代メソポタミア・バビロニア
制定者 : ハンムラビ王
言語 : アッカド語
構成 : 序文・法規定・結語、一般に282条として整理
主な対象 : 犯罪・財産・商取引・債務・農業・婚姻・相続・奴隷・医療・建築・労働など
歴史的接続 : Ur-Nammu → Hammurabi → Twelve Tables → Justinian Code → Magna Carta → 近代法・憲法秩序

MVP ARCHIVE CIVILIZATION > ORDER : Code of Hammurabi / ハンムラビ法典 - 「法を記録し、公に示した」人類最古級の法典

