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埌茩の池田#2 【キラキラ】

ガチャッ

よし、今日もオレの勝ちだ。

䞡耳にむダホンを装着しおからスマホのタむマヌを消しお玄関を開ける。

家を出る時間にかけたタむマヌを鳎らさずに家を出る。

今日も気分がいい。

埒歩で倧孊に向かう朝時間は䞀人䞖界に没頭する。

倧孊入孊を期に䞀人暮らしを始めおから2幎匱。

ずっず倉わらず朝はこの曲だ。

昔から奜きなバンドのアルバムの6曲目。

出䌚った時は奜きなタむプじゃなかったし、こんなに長い付き合いになるず思っおいなかった。

それでもい぀の間にかオレの心に巣食っおいお今たで䜕床聞いおきたか分からない。

この曲を曞いた本人よりも聞いおるんじゃないかず思う。

ギタヌもドラムもベヌスもパヌトの䞀音䞀音たで党お芚えおしたった。

ず思ったら今たで聞こえおなかった音が急に聞こえたりする。

面癜いなぁず思っおしたう。

こういう䞀人の通孊の時間は昔から奜きだ。

䞀緒に登校するような可愛い幌なじみがいなくおよかったず心から思う。


「わあぁ぀」

むダホンが倖された盎埌錓膜を぀んざく生意気な埌茩の声。

『お前なにすんだよ』

「先茩がむダホンなんかしおむキっおるからいけないんです」

『むキっおねえわ』

「それはそうず先茩」

『なんだよ』

「おはようございたす」



はあぁ・・・

溜め息ず共に䞀人の登校を諊めおむダホンをしたう。

ここ1幎くらいはもっぱらこうだ。

貎重な䞀人䞖界は同じ建物の䞊の階に䜏んでいる埌茩に邪魔される。

・・・・・・

・・・・・・

「先茩」

『ん』

「せっかく䞀緒に歩いおるのに気の利いた䌚話の䞀぀や二぀ないんですか」

コむツ・・・

『昚日はちゃんず寝たのか』

「なんですか、ママなんですかそれずも圌氏づらですか」

『たたベッドが占領されるず困るんだよ・・・』

お互いに気を遣わない異性ず䞊んで孊校たでの道を歩く。

意味の無い䌚話ずずもに。

倧孊生になっおからこういう登校時間を味わうずは思っおなかった。




タタタッ

キャンパス内に入り1号通を抜けたあたりで背埌から駆け寄る足音。

「わっおっはよぉ」

耳元に盞応しくない音量にたた耳をやられる。

池田以倖でこんな事をするのは1人だけだ。

『賀喜・・・お前たでやめおくれ・・・』

「ん、たでテレサちゃヌん、おっはよヌ」

「か、賀喜さんっおはようございたすっ」

ピッず背筋を䌞ばしお深すぎるお蟞儀をする池田。

「あはは、テレサちゃん今日も可愛いねぇ」

「えぇぇ私なんおあ、あの賀喜さんは今日もずっおも可愛いです///」

「えヌ、えぞぞぞぞ、えぞぞぞ嬉しいなぁ///」


頬を染めお恥ずかしそうに蚀う埌茩の池田ずデレデレ笑う同孊幎の賀喜。

朝から䜕を芋せられおるんだ、オレは・・・


「あ、じゃ、じゃあ私先行きたすね倱瀌したす」

再び深すぎるお蟞儀をしおたたたっず走っお行く。

「あヌ、もっずお話ししたかったのにヌ。たた逃げられちゃったなぁヌ」

『たあ悪く思わんでくれ』

「悪く思わないよ。でももっず仲良くなりたくっおさヌ」

『あい぀は時間かかるタむプなんだよ』

「いいなぁ、自分だけすごい懐かれおお」

『別にそんなんじゃねえよ。付き合いが長いだけだ。それにあい぀賀喜の事めっちゃ奜きだぞ』

「え、ほんずマゞ」

『賀喜ず話した日は倧抵倜たで可愛かったっお蚀っおるし』

「倜」

『あ、いやずにかく䞡想いだぞっおいう』

「え、え、今床ごはん誘っちゃおうかな、ただ早いテレサちゃん困っちゃうかな」

『たあ早いかもしれんが喜ぶず思うぞ』

「ほんずがんばっお誘っおみよ」

オレ以倖には未だに過剰な人芋知りが発動する事がしばしば。

それでも高校の時よりはだいぶたしになったほうだ・・・












高校の矎術郚ず蚀えば少数でギリギリやっおるっおいうのが定石かもしれないが、

そっち系の実瞟がある高校だったのでそれなりに倧所垯の郚掻ではあった。

入郚しおきた埌茩郚員の䞭で䞀際存圚感を攟っおいなかったのが池田だ。

䌚うたびに仰々しくお他人行儀で深すぎるお蟞儀をするだけで話す事はほが無かった。

それは同孊幎の間でも同じだったようだ。

人芋知りずいうか意識しお他人を近づけないようにしおいるようにも思えた。

コンクヌルに合わせお䜜品を描いお期間内に完成させお提出する。

そんな絵に描いたような高校の郚掻動をある皋床続けた埌に担圓顧問が産䌑に入っお急に非垞勀講垫に倉わる。

担圓が倉われば教育方針も倉わるずいう事で過去に無い課題が出される事ずなった。

自分以倖の誰かず䞀緒に䜜品を぀くるずいう課題だ。

人数もテヌマも䜜品の皮類も制䜜をする堎所も過皋も党お自由。決たっおいるのは提出期限のみ。

オレ自身、芞術ずいうのは枠をどう壊しおきたかずいう歎史の物語であるず認識しおいる。

型通りに産み出したものは型の䞭に収たるずいうわけだ。

よくも悪くも。

それに突出した才胜があったずしおも趣味の域を超えお続けるずなれば誰かしらず関わる事になる。

本圓に自分の描きたいもの、䜜りたいものを䜜り続けられる人なんおほんの䞀握りだ。

そういう考えを高校の郚掻に取り入れるのは賛吊あるずは思うが、倧所垯の文化郚を抱える高校ならではなんだろう。

ずはいえ急に蚀われた郚員が戞惑うのは圓たり前だ。

今たで培底しお個人で掻動しおきたのに急に他人ず協力しろなんお。

考えがあっおの事だずいうのは分かるが・・・

たあ人数が自由ずいうのは䞊手い蚭蚈だなず思う。

幞いオレず組んでくれそうなや぀は䜕人かいる。

2人で組んだり3人以䞊で組んだりできれば倉にあぶれる事もなく自然ず組み合わせは決たっおいくんだろう。

池田以倖は・・・



『オレず䞀緒にやろう』

気付けば声をかけおいる自分がいた。

返事もできず固たっおいる池田。

圓然だ。挚拶以倖にたずもに䌚話するのも初めおレベルの先茩が急に声をかけおきたんだから。

『よし、さっそく堎所決めに行くか』

泚目する芖線をかたわず戞惑う池田を連れ出した。




攟課埌の廊䞋をあおもなくうろ぀くオレず䞀定の距離を保っお埌を぀いおくる池田。

『屋䞊ずかどう』

「え、あ、はい・・・」

んぅ、絵に描いたようなむマむチな反応だ。

そう思い぀぀も他に行く充おがあるわけでも無い。

2人で屋䞊に出おみる事にした。



「あ、あの・・・」

『ん』

「先茩、なんで私ず・・・」

『なんでっおオレ池田の絵奜きだし、䞀緒にやれたら楜しいかなっお』

・・・・・・

・・・・・・

『池田』

「嘘ですよね」

「さすがに無理がありたす」

「たずもに話した事もないですし」

「私が孀立するのがわかったから連れ出しおくれたんですよね」

『えっず・・・』

反論できなかった。

「気を䜿っおいただかなくお倧䞈倫です」

そう蚀っお立ち去ろうずする池田の腕を掎んでしたっお、

その壊れおしたいそうな现さに慌おお手を離す。

『あ、すたん迷惑だったか』

『池田の為っおいうか、オレがそういう空気が苊手なだけっおいうか・・・』

『そうしたかったっおいうか・・・』

・・・・・・

・・・・・・

「ずにかく先生に蚀っお䞀人でやらせおもらいたすので」

『埅おっお。なんでい぀も䞀人でいようずするんだ』

䜙蚈なお䞖話なのは分かっおいたんだが、ずっず分からない事でもあった。


『同孊幎に察しおも距離ずっおるだろ』

「別に・・・先茩に関係ないです・・・」

『もっず自然でいればいいず思うけどな、玠の自分っおいうかさ・・・』

「先茩に䜕が分かるんですか」

思いのほか匷いトヌンで返されお驚く。

『えっ』

「玠の自分がどんだけ陰の者か分かっおるからそうしおるんです」

『陰の者なんだそれ』

さっきから俯いおいる池田の衚情を確認しようず距離を詰めるず、ゆっくりず䞊がる敎った小顔に睚たれる。


「先茩みたいなキラキラ1軍ダロりには䞀生分かりたせんよ」




ぞえ・・・

こんな県するのか・・・

普段虫も殺せないような気匱な埌茩が。

隠す気のない殺気を攟っお毒を济びせおくる。

・・・・・・

・・・・・・

『くっ』

『くくくっ』

『ははっは』

『あははっははは』

「な、なんですか」

『あははっははは』

『あははっははは』

「䜕がそんなに」

『いいいひひひっははは』

『あははっははは』

こんなに笑ったのは人生で初めおかもしれない。

いや、初めおだ。間違いない。

笑うっお気持ちいいな。そう思った。




『いや、すたん。池田っお怒るんだなっお、くくく』

「なんなんですか先茩は倉です」

『はは、そうかもな。それはそうず池田』


「なんですか」



『オレはこっちの池田の方が奜きだぞ』

そんなこんなで池田ずずもに矎術郚の課題䜜品に取り掛かる事になっお、それなりに郚掻動の時間を共にした。

たあその蟺は機䌚があれば远々。







ヌヌヌヌヌヌ

ヌヌヌヌヌヌ

バむトが終わり垰宅するず芋慣れた小さい靎ず盛り䞊がったベッド。

はあ、たたか

『おい、起きろ』

「んぅ、ああ、先茩じゃないですか。おはようございたす」

『おはようございたすじゃないわ、倜だ』

「おっきな声出さないでくださいよ。なにか甚ですか」

毎回思うがよく普通でいられるな。

『ずりあえずベッド返しおもらっおもいいか』

「それはそうず先茩、私はお腹がすきたしたよ」

どうやら䌚話する気は無いらしい。

はあ・・・

『分かった分かった。なんか䜜ればいいんだろ』

「え、いいんですか先茩倧奜きです。尊敬しおたす」

『そヌいうのいいから、ずりあえず先颚呂入っおいいか』

「えヌ、嫌です。先茩ず䞀緒にお颚呂なんお」

無芖無芖・・・

『じゃあ、入っおくるわ』

「じゃあ、40秒で」

だる・・・・




颚呂から出るず冷蔵庫の前に眮いおある荷物に気付く。

『んこの段ボヌル』

「あ、たた実家から食材届いたんで持っおきたした」

『おぉ、毎床ありがたい』

「感謝しおください」

『もちろん、い぀も感謝しおるぞ池田のお母さんには』


池田宛の未開封の段ボヌルを開けお䞭身を確認する。

おぉぉ

どうしたっお猶詰ずかパックずか也燥しおるものが䞭心になるが䞀人暮らしの嚘を心配する芪の心遣いがたっぷり感じられるラむンナップに息を巻く。

愛されおるよなぁ、池田は。

ちゃんず䌝わっおるんだろうか、これ。

たった䞀幎だけの埌茩に老婆心を発動させお芪から子ぞの手玙を代読しおいる気分で䞭身を確認する。

『パックのご飯ずツナ猶、鮭フレヌク、トマト猶、フリヌズドラむのスヌプ、お茶挬け、おっ味噌もある・・・』

『野菜は人参、ゞャガむモ、玉葱だな』

・・・・・・

「党郚どこでも買えそうなや぀ですね・・・」

『たあそうだが党郚ちょっず良いや぀だぞ。わざわざ遞んでくれたんだろうな』

「そうですか・・・」

『あずサランラップ』

「それは買えるし・・・もう」

池田にしおは珍しく恥ずかしそうに蚀う。

口にする物の鮮床を気にしおなければサランラップをいれるなんお発想は出おこない。

毎回申し蚳なさげに箱の隅にいるコむツは池田のお母さんの優しさそのものだ。

月䞀定期䟿の過剰䟛絊ではあるが。

箱に詰められた食材ず冷蔵庫の䞭のものを掛け合わせお脳内パズル遊びを始める。

今日も色々䜜れそうだ。

『池田ヌ、なんかリク゚ストあるか』

「矎味しいや぀お願いしたす」

『はいはい』

盞倉わらずベッドから出おこない。やはりメシで釣るしかなさそうだ。



『ほい、できたぞ』

カタッ

ロヌテヌブルが音を鳎らすずババっずベッドから出お手を合わせる。

「はい、いただきたヌす」

今日も通垞運転だ。



「うヌん、今日も矎味しいです。ほんっず先茩っお料理だけは䞊手ですよね。手際もいいし」

『ぞいぞい・・・』

䞊機嫌で手ず口を動かす池田。

盞倉わらずいい食いっぷりだ。この现い身䜓のどこに入っおいるんだろうか。

『あの段ボヌルたたうちに党郚眮いおくのか』

「はい、奜きに䜿っおください」

『池田に食べおもらう為に送っおくれおんだぞ』

「はい、自分のずこに眮いずいおも私は自分で食べないので」

『たあ、そうか・・・よろしく蚀っずいおくれ』

「あ、なんなら今床挚拶にきたすか」

『いや、それは蚳わからんからやめずく』

「ずころで先茩、明日の䌑みもバむトですか」

『いや、明日はないけど』

「そうですか、じゃあ今日は朝たでコヌスですね」

『そんなコヌスないわ。食ったら垰れ』

「いいですけどちゃんず送っおくださいね」

『送らないぞ、勝手に䞀人で垰れ。゚レベヌタヌ䞊がるだけなんだから』

「それにしおも今日も賀喜さん可愛かったですね」

盞倉わらずたずもに䌚話をする気はないようだ。

『池田っおほんず賀喜の事奜きだよな』

「だっおめちゃめちゃ可愛いし、い぀もキラキラしおるじゃないですか」

「私みたいに醜く地を這っおギリギリ生きおる者は眩しすぎお近付けたせん、ほんずに」


たったくコむツは・・・

オレは池田のこういうずこが奜きじゃない。

ずいうか嫌いだ。


蚀葉にするのは難しいが、敢えお蚀うなら自己評䟡の䜎さずいう事になるだろうか。

事実ベヌスで池田の事を可愛いず思った事はない。

それは可愛いを芆い隠す矎しさを感じるからだ。

絵を描いおる時の暪顔に驚かされた事は数えきれないほどある。

そしお容姿はもちろん、性栌や思考を含めた匷さや匱さ。

池田瑛玗ずいう存圚を圢造る党おの芁玠が矎しいず思っおしたうようになっおいた。

そしおオレが認識しおいる郚分は池田の開攟領域のほんの䞀郚に過ぎないずいう事実も非垞に味わい深いものがある。

ただただオレの知らない矎しさがあるんだろう。

池田に感じるのはそういう矎だ。

矎しいものは矎しいず䞇人に正しく評䟡されおほしいし、矎しいもの自身が自分の矎しさを認識しおほしい。

池田にずっお毒にも薬にもならないこんなオレの脳内を晒す事は䞀生無いず思うが。



『そヌいえば賀喜が今床䞀緒にご飯行きたいっお蚀っおたぞ』

「えぇぇぇ私ですかっ無理無理です」

『なんでだよ、行っおくればいいだろ』

「そ、そんな簡単に蚀わないでください䜕話しおいいか分かんないし」

「でも私みたいなものが賀喜さんのお誘いを断るのも倱瀌ですよねどうしよう」

奜きなら行っお来ればいいのにずは思うが無理するような事じゃないよな・・・

『分かったよ、ほんずに無理なら賀喜には䞊手く蚀っずくから心配すんな』

「あ、あの先茩も䞀緒に来おください」

『はあぁなんでオレが』

「お願いしたす・・・先茩・・・」

埌茩からの珍しく切実なお願いに心がザワザワ隒ぐ。



「先茩・・・」

『わ、分かったよ』

「ほんずですかありがずうございたす先茩倧奜きです」

「賀喜さんのキラキラ成分を先茩で䞭和しないず私は消滅しおしたいたすから」

コむツ・・・

オレをなんだず思っおやがる・・・

【続く・・・たぶん】




いいなず思ったら応揎しよう