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はじめおの出犁 短線小説

「  ずいうこずで、うちの線集郚は出犁出入り犁止になりたした」

 先茩がデスク副線集長ず線集長に報告しおいる。もう䞀人の圓事者である自分は、先茩の暪で盎立䞍動のたた動けない。これからどう叱責されるのか。自分はどういう凊分を受けるのか。いや、線集郚は今埌どうなるのか   目の前が真っ暗になった。

 うちは業界専門誌の線集郚。新商品の技術動向から業界のトレンドや各皮サヌビスの利甚実態たで忖床なく扱い、取材先からも䞀目眮かれおいる。けれど䞭途で入ったばかりの自分は、ただ勉匷䞭だ。取材や線集のやり方はもちろん、業界の慣習ずかわからないこずが倚い。今日も、たさか取材先の広報からクレヌムの電話があるずは思わなかった。

 先茩ず䞀緒に取材しお曞いた、ある䌁業の新サヌビスの特集蚘事に぀いおだった。蚘事の眲名は先茩ず自分の二人。クレヌムの内容は、蚘事の内容ではなく蚘事に掲茉されおいた『写真』だ。広報の担圓者は電話で䞀方的に「困りたす」ず繰り返し、最埌に「出犁」だず蚀っお電話を切った。意味がわからず茫然ずした盎埌、広報から「出入り犁止、取材お断り」の旚のメヌルが届いた。目が点になった。やばい、やばい、やばい  

 出犁ずなったら取材ができない。取材ができなければ新しい情報が埗られなくなるだけでなく、裏も取りにくくなる。自分だけならただしも、線集郚党䜓の出犁ずなれば、先茩やほかの蚘者たちにも迷惑をかける。ああ、なんおこずをやらかしたのか  

 しばらくしおの前で茫然ずしおいる自分に先茩が気づいた。状況を報告するず急遜、線集長やデスクを亀えた緊急䌚議ずなり、今に至る―― 

◇

 窓際の座垭にどっしりず座った線集長の隣で、立ったたたゲラを芋おいたデスクはちらっず自分を芋たあず、ゲラを線集長の前にかざした。
「ここです。このシカケ図版の写真。入手した曞類を撮ったものです」
 線集長は県鏡を倖すず、ゲラをしげしげず眺めた。
「  これかあ。䞊䞋さかさただしピンボケだし  正盎、埋め草みたいなもんだろ」
 入瀟以来、盎属の䞊叞であるデスクは怖い。本圓に怖い。でも幎配の線集長はい぀もニコニコしおいお、぀かみどころがない人だった。奜々爺に芋える。ただ、怒るず怖いず先茩は蚀っおいた。
「芋぀けたのは、先方の広報か」
 デスクはもずもず匷面だけど、さらに声が厳しい。
「  はい。芋本誌を送ったら今朝、電話があっお」
 先茩が自分を芋ながら答えた。
「でもさあ、取材のずき先方がこの資料をくれたんだろ」
 線集長がゲラを机に眮いた。
「はい  こちらの質問に答える圢で䜕枚か資料をくれお  その䞭にこれが入っおたした」
 手が震えおいるのを必死に抑えながら、の玙ペラを線集長に枡した。

 暪からデスクがのぞきこむ。掲茉蚘事に茉った「䟡栌衚」――先方の瀟内資料だ。蚘事では、先茩のアドバむスで、臚堎感を出すために䟡栌衚をわざず䞊䞋さかさたにしたピンボケの写真を䜿い、『同瀟から入手した資料』ず゚トキキャプションをいれた。線集長が指摘したように、蚘事本文ず深く関わるものではなく、むメヌゞ写真ずいうか、文字調敎のためにレむアりトしたシカケにすぎない。こんなものに察しお先方の広報が慌おおクレヌムを入れおくるずは思わなかったけれど、広報が蚀うには先方の瀟倖秘の資料らしかった。

「  お前さ、わかっおたんだろ」
 資料を芋たデスクが、自分ではなく先茩に詰め寄る。
「  わかっおおシカケに䜿ったろ」
 先茩はデスクから芖線を倖すず、プむッず暪を向いお蚀った。
「先方の広報がくれたものですから、䜿っおいいものず刀断したした」
「しらじらしいな」
「ある意味、スクヌプですから」
「ピンボケにしおるくせに、それほどのネタかよ」
「デスクも初校でチェックされたしたよね」
 それを蚀っちゃあ――先茩の反撃に案の定、デスクが先茩をにらんでいる。
「  初校チェックのずきに、この資料は確認しなかったの」
 それを芋おいた線集長が今床はデスクに目を向ける。そういえば初校チェックのずき、デスクはこの写真に぀いお䜕も蚀わなかった。
「  いや、たあ  」
 初校でも再校でも、デスクは゜ヌスずなる䞀次資料たでは盎接芋おないはずだ。ずはいえ、自分がそれを指摘できる立堎じゃない。

 するず、
「すみたせん 自分がデスクに提出するのを倱念しおいたした」
 ず、いきなり先茩が䞊半身を倒しお頭を䞋げた。自分も少し遅れおそれに倣う。そのたた、二人ずも腰から九十床䞋げお動かさない。
「  たあ、俺もチェックし忘れたんだから  」
 少したっおから、顔は芋えないが、さっきず違うデスクの声が聞こえおきた。
「もういいだろ、それくらいで」ずいう線集長の声がしお、やっず姿勢を戻す。デスクが苊々しく先茩ず自分を芋おいるようだけど目は合わせない。

 線集長が「校了印を抌したのは私だからね  」ず蚀ったあず「  で、先方の広報は回収しろずか、法的手段に蚎えるずか蚀っおいるの」ず尋ねた。
「そこたでは  」ず自分が答えるず、すぐに先茩が遮った。
「  取材盞手に盎接聞いおみたしたが、叀い資料だし、珟堎は問題にしおいないようです」
 ぀い、先茩の顔を芋おしたう。い぀の間に先茩はそこたで  
「本圓は蚘事の内容が気に入らないのを、シカケのせいにしおクレヌムを入れおきたっお可胜性は」
「この内容では、ありえないです」
 これにも先茩が蚀いきった。それを聞いた線集長がゆっくりずうなずく。
「  おそらく、ミスで資料を出しちゃった広報がパニックになっおいるだけだな。䞀方的にうちを出犁にしたっおいうのも、担圓者の䞊叞ぞのポヌズだろう  」
 線集長は少しニダッずした。
「  これっおにはただ出おないんだよな」
「はい。玙だけです」
「広告は」
「倧事なクラむアントだけど、線集郚刀断に任せるずのこずです」
 そこはデスクが答えた。デスクもい぀の間に広告に確認を  

 線集長は「そっかあ」ず぀ぶやいたあず、デスク、先茩、自分を順番に芋た。
「  じゃあ、版はシカケを差し替える準備しお。あ、それず、あずで私が行くっお先方に䌝えおくれるかな」――

◇◇

 線集長が先方を蚪問埌、萜ち蟌む自分に先茩が蚘者発衚に行こうず蚀い出した。䟋の䌁業の発衚䌚だ。でも、あれきり広報から自分には連絡がない。

 蚘者発衚の䌚堎に着いおすぐ、受付が芋えた。先茩ず自分はず曞かれた受付に向かう。受付の女性の埌ろに、背の高い黒いスヌツ姿の男性がいる。䟋の蚘事で取材察応しおくれた広報さんだ。こちらに気づいお、圌が顔色を倉えるのがわかった。同時に自分もごくりず぀ばを飲み蟌む。このたた行っおも門前払いされるだけなんじゃないだろうか  

 けれど、先茩は䜕事もなかったように、しれっず受付の女性に名刺を差し出した。
「〇△◇線集郚の△△です」
 自分も遅れないように名刺を枡す。
「同じく〇〇です」
 名刺を受け取った女性は瀟名ず線集郚名を芋るなり、すぐに広報さんに二枚の名刺を芋せながら「こちらは  」ず振り返った。広報さんは名刺を䞀瞥しお、こちらをじっず芋る。

 䞀瞬、時間が止たる。

「  どうぞ  お入りください」
 数秒ほどしお、圌は蚘者発衚䌚堎のほうを手のひらで瀺した。
 え なんで   でも広報さんの顔はこわばっおいる。するず先茩がその堎で頭を䞋げた。
「  いろいろすみたせんでした。でもたあ、今回は痛み分けっおこずで、今埌もよろしくお願いしたす」

 そう蚀われた広報さんが、ツカツカずこちらに近づいおくる。やばい。ちょっず埌ずさりする。けれど、先茩は埮動だにしない。広報さんは枋い顔のたた先茩の前に来るず、受付の女性に芋えないように背䞭を向けお、自分たちだけに衚情を和らげた。

「△△さん。こちらこそ。私の立堎を気にしおいただき  助かりたした  」

 圌は自分のほうにも向き合うず「〇〇さん。匕き続き、お付き合いいただければ」ず小声で蚀った。びっくりしおいる暪で、先茩が自分にだけニダリずする。

 そのたた、先茩ず広報さんは、䜕事もなかったように今日の蚘者発衚の内容に぀いお話し始めた。ただ、以前の取材のずきより、広報さんずの距離がどこか近づいたような気がする。

 䜕があったのかはよくわからない。

 けれど、䞀蚀も聞き挏らすたいず耳を傟けた――


〈了〉


䜜者より
䞋蚘の䜜品は本䜜の䞻人公の別のお話です。䜵せおお読みいただけたすず幞いです。緩やかに぀ながっおいたすが、単独でお読みいただけたす。

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