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具体と抽象④ 仕事がスムーズになる「具体と抽象」のハシゴ術

同じ日本語で話しているはずなのに、なぜか会話のピントが合わない……。

登場人物

  • 高橋課長:IT・物流コンサル出身のロジカルな課長。関西弁がたまに出る。

  • 川島さん:サプライチェーン管理課の新入社員。イチゴ大福が大好物。

川島さんは、パソコンの画面を見つめたまま、頭を抱えていました。

「うーん、前回、話が噛み合わない理由は『具体』と『抽象』のズレだって分かったけど……」

「じゃあ、実際の会話の中でどうやって合わせたらいいんだろう?」

そこへ、マイボトルを手にした高橋課長が通りかかります。

高橋課長:「川島さん、どうしたん? 眉間にものすごいシワ寄ってるで。お気に入りのイチゴ大福でも食べて落ち着く?」

川島さん:「あ、高橋課長! いえ、大福はあとで食べます(笑)。実は、前回の『具体と抽象』の話を思い出していたんです」

高橋課長:「おお、前回のやつな。会話のレベルがズレてると噛み合わんって話や」

川島さん:「そうなんです! ズレているのは分かったんですけど、じゃあどうやって相手とレベルを合わせればいいのかが分からなくて……」

高橋課長:「なるほどなぁ。それは『具体と抽象の上り下り』のコツを知らんからやな。よし、今日もサクッと解説したるわ!」

ランチで考える具体と抽象

高橋課長:「川島さん、普段ランチに行くとき、頭の中でどうやってお店を探してる?」

川島さん:「えっと、まずは『和食がいいな』とか『イタリアンがいいな』ってジャンルを考えますね」

高橋課長:「そう、それが『抽象』のレベルや。そこからさらにどうする?」

川島さん:「そのあと『駅前のあのパスタ屋さんに行こう』って、お店を決めます!」

高橋課長:「素晴らしい。それが『具体』のレベルやな。つまり、頭の中で『飲食店』という大きな箱から、ジャンルを絞って、最後に1つの店に下りていってるんや」

川島さん:「あ、無意識に上り下りしていますね! 『イタリアン(抽象)』から『あのパスタ屋(具体)』へ下りる感じです」

高橋課長:「せや。逆に『あの店、トマトパスタもピザも美味しいな』から『あそこはイタリアンのお店やな』ってまとめるのが『抽象への上り方』やで」

実務での「あるある」

川島さん:「でも課長、実務になると急にその上り下りができなくなるんです……」

高橋課長:「よくあるのは、営業さんと製造現場のトラブルやな。川島さんもこの前、納期の件で板挟みになってフリーズしてたやろ?」

川島さん:「うっ、耳が痛いです……。営業の先輩から『とにかく急ぎで納品して!』って言われて、現場にそのまま伝えたら怒られました」

高橋課長:「現場からは『急に言われてもラインが回らん!』って返ってきたんやろ? それは、お互いが『自分の具体』に引きこもってる状態や。だからこそ、川島さんが間に入って『上り下り』をコントロールせなあかん。ポイントは3つあるで」

1.「なぜ?」で理由を問い、抽象へ上る(視点を広げる)

営業の「急ぎで!」という言葉から、一度「なぜ急ぐのか?」と背景を問いかけます。 「今週中に納品しないと失注する」といった、本当の目的や全体の状況へ視点を引き上げるんや。

2.「どうやる?」で行動に落とし、具体へ下りる(詳細を詰める)

目的が分かったら、現場に対して「製品Aを優先して、製品Bは後回しにする」といった具体的なアクションに落とし込みます。
単に「急いで」と言うのではなく、「いつまでに、何を、どれだけ」と条件を絞って伝えるのがコツや。

3.相手の部署に合わせて言葉をチューニングする

相手がわかりやすいように、相手の部門の言葉に直して話します。 製造現場なら具体的な製造用語、経営陣なら抽象的な「コストや数字」で話すように、相手に合わせるんや。

川島さん:「なるほど……! 営業の『急いで』をそのまま伝えるんじゃなくて、私がハシゴを上り下りしなきゃいけなかったんですね」

次回予告

川島さん:「『なぜ?』で全体を見て、『どうやる?』で行動に落とし込む。これ、今日からのメールや会話でもすぐに練習できそうです!」

高橋課長:「お、ええやん! それに気づけたら、もうフリーズ卒業も間近やな」

川島さん:「はい! まずは今日の夕方の定例ミーティングで、先輩たちの発言が『上り』か『下り』か意識してみます!」

高橋課長:「素晴らしいな。この上り下りが無意識にできるようになれば、誰とでも会話がスムーズになるで。次回は、この具体と抽象のシリーズの『まとめ』をしようか!」

川島さん:「はい! 楽しみです。」

若手のための実践チェックリスト&本質メッセージ

【若手社員のための具体と抽象上り下りチェックリスト】

☐ 相手の話が行き詰まったら、「なぜその作業が必要か?」と頭の中で理由を要約してみる
☐ 自分が指示を出すときは、「具体的に何をいつまでにやるか」と条件を必ず絞る
☐ 相手の部門がよく使っている言葉に置き換えて話す

話が噛み合わないときは、相手を責めるのではなく「お互いの話のレベルがズレているだけ」と考えてみましょう。 仕事ができる人は、説明が上手い人ではありません。

具体と抽象のハシゴを上り下りしながら、異なる部門の言葉を「翻訳」できる人なのです。


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