見出し画像

それぞれの仕事を進めるには適切な広さがいる


はじめに


 科学者の端くれとして、それ相応に実験室に身を置き働く。ある分子が生体内でどんな挙動をとるか仮説を立て、様々な実験を通じて実証していく。それなりの知見や法令に加え、必要最小限の機材が必要で、試薬もいる。近年では微量で取り扱えるさまざまな道具が行き渡り、ほぼ世界中で共通の機材で同じ様に実験操作できる。滞りなく進めるにあたり、ある程度の設備を伴う空間が必要になる。

上の例に限らず、世の中には様々な仕事がある。それらを進める上で最低限のスペースとは。

きょうはそんな話。

身近なところでは


 私が主宰してきた学習サポートの最初の仕事場は、自宅の8畳間。訪れる児童・生徒が数年で増えて、コピー機やPCなどは同じ部屋には置けなくなり、他の場所へと移動させた。そのうち教材の書籍や資料の置き場も手狭になり、こちらも書棚ごと引っ越し。

こうして仕事が本格稼働しはじめ、入れ替わりながら出入りする人数が一晩で20人を超えるほどに。玄関に靴がずらりと並び、その様子に改めて驚いた。それに伴い送迎される保護者の方々の車の混雑が家の前で起こり始めた。ただでさえ行き合いの容易でない狭い道。送迎される方々の間で、一方通行で次々に家の前に寄せようと、取り決める話し合いが持たれたとのこと。

私はそのあたりの経緯を知らぬままだった。個人事業に周辺の方々を巻き込んでいることに遅ればせながらようやく気づけた。それ以降、ご近所さんたちにお会いするたびに「ご迷惑をおかけしましてすみません。」と頭を下げていく。

実験室は


 お手伝いする大学の研究室。この部屋を構成するメンバーにはそれぞれ机が割り当てられる。必要な書籍やノート類、参考書などとともに普段使いの文具などを各自が置く。共有スペースにはプリンターやPC。もちろん部屋の壁まわりにはずらりと冷蔵庫や実験機材など、そして中央2列の実験机の棚には試薬類や小機材が並ぶ。

それらの機具の多くは共用で、それぞれの実験操作に合わせて交代で使う。いつにだれが使いそうだということを把握しておかねばならない。個人ひとりひとりが持てる機材とは違い、お互いの意思疎通を図る必要がある。私はなるべく早朝に来て、そういった機材の空く間に済ませる。学生たちが訪れた頃合いには、実験結果の整理や次回以降の段取りや準備を行う。こうしてほぼ混雑に巻き込まれずわりとゆったり過ごせる状態を維持する。

学生当時は


 学生の頃の実験室はいずれも手狭だった。大学院に進んでようやくひとりひとつの机が割り当てられたぐらい。講座の人数も多く、上で記したぐらいの部屋に7,8人が常時いる。機材は順番待ちの状態。ある分析機では誰々の分と一緒にまとめてやろうなどということも。

そうやって少ない機材をいろいろと工夫しながら使った。スペースの問題はそんなに気にならなかった。というかどこの講座もそんな様子で、違いがなく、どこも人が溢れて活気があった。今の整然として静かな様子とは随分異なる。安全面や環境面で言えば後者のほうがいいのだが。

おわりに


 いずれの仕事もおそらく適切な広さがあると思う。広すぎても使い勝手が悪く、効率はよくない。仕事の種類や流儀により違うだろうけれども、自らで把握できるスペースと、普段使いの機材が効率いい形で並んでいると仕事は捗るもの。

どんな配置が望ましいかはおのずとわかるし、そんな効率よく進める工夫も仕事のうち。


こちらの記事もどうぞ


広告


いいなと思ったら応援しよう!