いい歳こいたおっさんが久しぶりにプラモデルを作る話 その19 ノースロップF-20編
この記事の目的
筆者は1970年代前半生まれの50代男性で、学生時代は熱心な「模型少年」でしたが、90年代の就職後はプラモデル製作から離れていました。コロナ禍による「巣ごもり需要」でプラモデル人気の高まりを感じ模型熱が再燃し、約30年ぶりに製作を再開しました。
しかし、模型業界は大きく変化しており、初心者同然の状態で戸惑いながらも、昔の基本知識を頼りに製作を楽しんでいます。
この一連の記事は、初心者や未経験者に向けて基本的な道具・素材・技術だけでプラモデルを作る楽しさを紹介することを目的としています。
そのため、この記事では
・高価な工具は出てきません
・特殊な素材は出てきません
・スーパーテクニックもありません
(エアブラシもパテ埋めも出てきません。スミ入れ、ウォッシング、ウェザリングは禁句です(笑))
私と同じ「戸惑い」を感じて模型製作の入口で立ち止まっている皆さんに「自分にもできそう」と感じていただき、プラモデルに触れるきっかけになればこの記事の目的は達成です。
米軍のFナンバーズを作るぞ企画 その16 ノースロップF-20 タイガーシャーク

タイガーシャークです。泣く子も黙る超有名機(但し日本国内限定で)です。私はF-5系列が大好物なので、この価格でこんなに出来の良いタイガーシャークが手に入る事に喜びを禁じえません。
F-20は、元を遡ればF-5にたどり着きます。
F-5はアメリカが同盟諸国に供与するための戦闘機であり、安価で整備性が良く運用コストが安いのがセールスポイントでした(F-5B、F-5Eの項↓を参照)。
しかし、仮想敵であるミグの性能向上(この頃はMiG-23や25が運用中で、MiG-29は開発中)に対抗する必要が出てきました。
そこで、アメリカ政府はF-5の代わりとなる戦闘機を探しましたが、そう都合よく戦闘機が道端に落ちているはずもありません。
同盟諸国からはF-16を供与してほしいという声が上がっていましたが、当時のアメリカ政府は米軍が使っている最新鋭の戦闘機であるF-16を提供することには反対していました。
理由は2つ。
一つ目は、最新鋭の技術の塊であるF-16を、同盟諸国は維持管理できないだろう(技術的にも、経費的にも)という心配。
二つ目はF-16を導入した同盟国が裏切ってソ連をはじめとする共産圏へF-16の技術を漏洩してしまう心配です。
ちょうどその頃、F-5の生産者であるノースロップも自己資金でF-5の能力向上型を開発していました。
そこでアメリカ政府はノースロップが開発した能力向上型をF-5Gとして販売することを同盟諸国に提案します。
スペック上はF-5GはF-16Aに匹敵するのですが、あくまで最新鋭機は提供したくないという思いから、意図的にF-5Gの性能は低めに公表されました。しかしそれが面白くない同盟諸国(特にイスラエル)は、米軍が採用してもいない戦闘機よりも運用実績のあるF-16が欲しいと要求します。やがてハト派のカーター政権からタカ派のレーガン政権に移行すると、アメリカ政府は方針を変え、ソ連に対抗するためと称して最新鋭のF-16を海外に供与しても良いという許可を出します。
そうなると今度はノースロップが面白くありません。自己資金持ち出しで開発したF-5Gの販路を潰すようなアメリカ政府のやり方に反発し、「では本格的にF-16を超える軽戦闘機を作ってやる」と意気込み、F-5Gを更にブラッシュアップし、フルスペックのF-20を誕生させます。
なお、FA-18の次がF-19ではなくF-20なのは、「19のような奇数番号はミグ戦闘機みたいでヤだ」というノースロップのわがまま(笑)で、米国防総省が19をスキップしたためです。
このわがままのおかげで「F-19はステルス」という噂が立ち、テスター製(私はイタレリ版を買いましたが)のF-19ステルス戦闘機のキットが爆売れしたのは良い思い出です。
F-20はライバルのF-16に先んじてレーダー誘導型ミサイル(スパローとその派生型)を運用する能力を持ち、整備性や運用コストでもF-16を上回る使い勝手の良さで、機動性もF-16を超えました。
しかし、機動性が「良すぎた」のは問題でした。海外売り込みのためのカナダ、韓国でのデモフライトでは相次いで墜落事故を起こし、販路が絶たれてしまいました。墜落の原因は、機動性が良すぎることによるパイロットの失神だったと言われています。
こうしてF-20は撤退し、海外市場はF-16の一人勝ち状態となって行くのでした。
今回使用するのはハセガワの1/72のキットです。
では、キットの内容を見ていきましょう。
製作

3枚のランナーと、風防パーツ、そしてデカールとインストです。実にシンプルです。

いきなりコクピットの写真から始まります(笑)。
実はその前段階の部品の状態での写真を撮り忘れました。
まずはパイロットとコクピットの部品をランナーにつけたまま塗装します。
パイロットの服はC320濃松葉色、コクピットはC73エアクラフトグレーにフラットベースを混ぜて半艶にしたものを使っています。
各部品を塗装後、写真の状態に組み立てていきます(ただしフィギュアは全体を組み立てた最後に座席に取り付けます。これは、フィギュアがあると胴体の塗装時にコクピットのマスキングの邪魔になるためです)。
同時に作ったF-16のコクピット(写真奥側)と見比べると判りますが、F-16がサイドスティックや30°リクライニングした座席というラディカルな設計なのに対し、F-20はセンタースティックに通常の座席と、あくまでコンサバティブな作りになっています。
そういえば欧州機(ユーロファイターやラファール)がセンタースティックなのは、右腕を負傷したパイロットが左腕で操縦できるようにするためだと聞いたことがあります。

パーティングラインをペーパー掛けで消します。

ジェットノズルは一度ランナーから切り離し……

ゲート処理をした後、出来上がりに影響しない箇所でランナーに接着します。

そしてC61焼鉄色で塗装します。

コクピットを左右胴体で挟み込みます。最初は通常の接着剤を使ってみたのですが、うまく行きません(接着剤を全周に塗布していくうちに、最初に塗布した場所が乾いてしまいます。たくさん塗りすぎて接着箇所が汚くなってしまうのも嫌ですし……)。
というわけで通常タイプの接着剤は仮止めに使用し、本接着は流し込みタイプを使うことにします。

流し込み接着剤で全周を接着しました。
やはりこの様な長い接着ラインには、流し込み接着剤が有効ですね。

あっという間に士の字ですね(四国めたんの声で)。

これは主翼の接着前にやっておけば良かったのですが、脚納庫の扉を閉める作業に入ります。

閉めるにあたって邪魔になる部分を切り取るのですが、胴体に接着する前の主翼に取り付け、はみ出た部分を切除するほうが絶対楽ですね。この判断は失敗でした。反省。

取り敢えず扉を閉めましたが、穴に収めるためにあちこち削ってしまいました。こういうのを無駄な作業と言います。上述のように、主翼を胴体に接着する前に扉を閉める作業をしていれば、なんの苦労もせずに済んだはずです。

ランナーに部品を仮どめし、塗装の準備をします。

今回はインスト通りの塗装ではなく、架空の実戦配備機という設定で塗装します。そう言えば、学生時代にもこのキットを大量買いして、制空迷彩のほか、ヨーロピアン・ワン迷彩(チャコールリザード迷彩)やサンド系の砂漠迷彩とか、色々塗った事を思い出しました。F-5Eの後継としてさまざまな国/環境で活躍するF-20、見てみたいですよね!
まずはAS26ライトゴーストグレイをスプレーします。

胴体も同様にライトゴーストグレイで塗装します。

スプレーを乾かす合間に、ジェットノズルにマスキングして銀を塗ります。

マスキングを剥がしたところ。こんな感じです。

インストを拡大コピーし、キットと同サイズにします。

架空の実戦配備機ということで、迷彩パターンを考えます。最初はエースコンバット5のカラーリングにしようかと思いましたが、オリジナルデザインにしました。

迷彩パターンを切り抜いて、型紙にします。

型紙を切り出して……

機体に貼り付けます。

AS28ミディアムグレイをスプレーします。同時にミディアムグレイを塗装したF-16と一緒に撮影。

乾燥後、マスキングの型紙を剥がします。

迷彩パターンはイメージ通りに良い感じで塗装できました。但し、境界線のボケ足がバラバラで、しっかりボケているところとくっきり塗り分けしてしまったところがあります。型紙と塗装面の距離(隙間)が一定ではないためです。
仕上がりが良いとは言えませんね。この後、迷彩パターンの塗り分けはこのときの反省を踏まえ、後にマスキングテープのコヨリ→粘着タックと変化(進化?)していくことになります。

コクピット内のアンチグレアの黒を筆塗りします。
乾燥後、キャノピーを接着します。

極細のマスキングテープで窓枠を養生します。

ミディアムグレイのスプレーをスペアボトルに採取し、面相筆で窓枠を塗装します。乾燥を待ってマスキングテープを剥がします。

武装類はランナーに付けたまま塗装します。
左は同時製作したF-16のランナーで、右がF-20の部品です。

部品の準備完了。

最終組み立てです。
それにしても、タイガーシャークのスマートなことよ。F-16に比べてかなり「シュッ」としていますね。

デカールを貼ります。使用したデカールは、以前製作したF-15と、今回同時製作しているF-16の余りです。

デカールを貼り終えて、完成です。
やはりF-20(というか、F-5系列)はスマートでカッコ良いです。
機首の左右にある突起物は、F-5の一部にあったもので、F-20には無いのが正解です。インストにも削り落とす指示がありますが、今回は指示を無視して残しました。
製作日数は、同時製作のF-16と合わせて6日でした。1機あたり平均3日ということになりますが、では1機だけなら3日で完成するかというとそういうことは無く、実際は1機の接着や塗装の乾燥待ちの間にもう1機の工作をしたという流れなので、1機だけ製作しても手待ちが発生し、やはり6日は掛かったと思います。
完成写真



せっかく「ライバルのF-16に先んじてレーダー誘導ミサイルの運用能力を獲得した」という史実があるのですから、アムラームを載せてみました。

F-5シリーズはスマートで速そう/強そうで、美しいですね。
F-5Eに比べて大きくなったストレーキにも注目。






X-29改造のF-29は、この後記事にしますのでお楽しみに。

次回予告

F-20の次はなぜF-22に番号が飛のか?米軍機には(F-19のように)F-21は存在しないのかと思ったらありました。次回は、クフィル改造でF-21ライオンを製作します。
お楽しみに!
